ゲスト
(ka0000)
彼等の撤退
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- サポート
- 現在0人 / 0~4人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/01/25 19:00
- リプレイ完成予定
- 2016/02/03 19:00
オープニング
●×××
しゃん、と鈴の音を鳴らす。
大輪の花を幾つもあしらう艶やかな柄の振り袖に柔らかなストール。結い上げた黒髪は櫛と笄で纏め、華やかな簪を飾る。
白い容に微笑を、硝子玉のような目でうっそりと。
蒸気工場都市フマーレの商業区に程近い廃工場、かつては教会だったその場所は何度も持ち主を変えながら廃れ、今では色ガラスを砕き、壁も剥がれている。
庭は荒れ、締め切られたアイアンレースの柵には蔦が巻き付いているが、一箇所だけ破れている。
冬になる前までは子供がこっそり忍び込んで肝試しをするのに使っていた。
いつ頃からか、この廃工場の周囲で人掠いが起こるようになり、この工場に殺人鬼だの歪虚だのが棲み着いたという噂が立った。
果たしてその噂は真実で。
過日、ハンター達がこの庭に入り、積み上げられた数多くの亡骸を回収していった。
庭は、殺された者達の血で赤く赤く塗られていたという。
ハンター達は下手人たる歪虚を下しきれずに撤退したが、歪虚もまた、その廃工場より出ることは難しくなった。
廃工場の周りは見回りの目が鋭く巡らされている。
この辺りもおっかなくなったなと男は深々と溜息を吐いた。廃工場の近くの道を通勤に使っている職人だ。
日の暮れた道を、鞄を担いで家へ急ぐ。
警ら達の目をくぐり抜けるように現れたその姿は男にそっと囁いた。
「ねえ、いいかしら。頼みたいことがあるの」
「何だ、君は」
「そこのロープ切って欲しいのよ」
「ロープ?」
白く細い指が指した先を男は見詰めた。
廃工場の周りを巡るロープと立ち入り禁止と書かれた帯。
「あれは、……切ってはいけないものだろう」
「どうしても、あの中に入りたいのよ」
――あの中を綺麗な赤に染めていたのに、ペンキが足りなくなってしまって。取りに行っている内に、こんなことになっては入れないの――
「入ろうと思えば入れるのだけど……この格好でロープを跨ぎたくは無いわ」
――それに、折角だから。あなたにもペンキになって欲しいの――
●
腕を包帯で巻いて三角巾で吊った警邏の男、彼の名をシオという。
過日の件で歪虚に嗾されて仲間を廃工場に向かわせ、銃口をシオの属する警邏組織のリーダーに向けた。シオの凶行を止めるように、撃たれた腕の傷は尚も痛み、こんな冷えた日は特に、じくじくと疼いて苛む。
シオの行動は全く無罪とはいかなかったが、職を追われることは無く、シオを嗾したという歪虚探しに日々駆り出されている。
今日もその一環として、街を歩いていた。
隣には、シオと共に廃工場へ向かった仲間、そして彼等のリーダーとして、シオと対峙した壮年の男。
重い空気の中、会話も無く見回りを終え、最後に廃工場の前を通りロープを確かめて詰め所に戻る。
擦れ違った男は刃の鋭い枝切り鋏を担いでいた。
リーダーが2人に声を掛けた。
「こんな時期に剪定か」
2人が男を振り返った。
「おい」
シオが男を呼び止める。
男は弾かれたように走り出した。
男を追った3人だが、辺りの道に詳しい男はすぐにその手を逃れてしまった。
詰め所に戻った彼等が仲間に男の容姿を伝えると、捜索が開始された。
それは、翌朝、男の亡骸が廃工場の前に見付かるまで続けられた。亡骸の傷は、過日、ハンターにより数体が回収されていた廃工場の中のものと同じだった。
集まって周辺の調査を済ませた警邏の男達は、昼前に一旦発見現場に集合した。
リーダーから見回りを一層強化する指示が出される中、1人が、あれ、と廃工場を差して言う。
「ロープ、切られてますよ」
リーダーはそのロープを拾い上げ切り口を眺めて首を傾げた。
「なあ、シオ君……」
シオともう1人を手招いて、昨日あの男が持っていたのは、これを切るための鋏だったのではないだろうかと。
3人がロープに寄った時、不審な音が聞こえた。
しゃん、と鳴る鈴の音。
「こんにちは、皆さん、お揃いで」
ロープの切れ間、絡んだ蔓を引き千切るように錆びた門扉を押し開けて現れたのは。
●
ハンターオフィスに駆け込んできたシオの姿は、何度も転んだのだろう、擦り傷だらけだった。
手当てを拒んで喚く言葉には、焦燥が覗える。
辺りの道には詳しいという受付嬢――案内人を自称している――に連れられてハンター達が現場へ駆けつける。 そこには10人程の男達が倒れ、彼等の傍らには結い上げた髪に華やかな和装の歪虚が、黒い翼の雑魔を従え、うっそりと微笑んで佇んでいた。
濁った声で鳴いた黒い翼の鴉が羽ばたくと、辺りに黒い羽が舞い上がった。
しゃん、と鈴の音を鳴らす。
大輪の花を幾つもあしらう艶やかな柄の振り袖に柔らかなストール。結い上げた黒髪は櫛と笄で纏め、華やかな簪を飾る。
白い容に微笑を、硝子玉のような目でうっそりと。
蒸気工場都市フマーレの商業区に程近い廃工場、かつては教会だったその場所は何度も持ち主を変えながら廃れ、今では色ガラスを砕き、壁も剥がれている。
庭は荒れ、締め切られたアイアンレースの柵には蔦が巻き付いているが、一箇所だけ破れている。
冬になる前までは子供がこっそり忍び込んで肝試しをするのに使っていた。
いつ頃からか、この廃工場の周囲で人掠いが起こるようになり、この工場に殺人鬼だの歪虚だのが棲み着いたという噂が立った。
果たしてその噂は真実で。
過日、ハンター達がこの庭に入り、積み上げられた数多くの亡骸を回収していった。
庭は、殺された者達の血で赤く赤く塗られていたという。
ハンター達は下手人たる歪虚を下しきれずに撤退したが、歪虚もまた、その廃工場より出ることは難しくなった。
廃工場の周りは見回りの目が鋭く巡らされている。
この辺りもおっかなくなったなと男は深々と溜息を吐いた。廃工場の近くの道を通勤に使っている職人だ。
日の暮れた道を、鞄を担いで家へ急ぐ。
警ら達の目をくぐり抜けるように現れたその姿は男にそっと囁いた。
「ねえ、いいかしら。頼みたいことがあるの」
「何だ、君は」
「そこのロープ切って欲しいのよ」
「ロープ?」
白く細い指が指した先を男は見詰めた。
廃工場の周りを巡るロープと立ち入り禁止と書かれた帯。
「あれは、……切ってはいけないものだろう」
「どうしても、あの中に入りたいのよ」
――あの中を綺麗な赤に染めていたのに、ペンキが足りなくなってしまって。取りに行っている内に、こんなことになっては入れないの――
「入ろうと思えば入れるのだけど……この格好でロープを跨ぎたくは無いわ」
――それに、折角だから。あなたにもペンキになって欲しいの――
●
腕を包帯で巻いて三角巾で吊った警邏の男、彼の名をシオという。
過日の件で歪虚に嗾されて仲間を廃工場に向かわせ、銃口をシオの属する警邏組織のリーダーに向けた。シオの凶行を止めるように、撃たれた腕の傷は尚も痛み、こんな冷えた日は特に、じくじくと疼いて苛む。
シオの行動は全く無罪とはいかなかったが、職を追われることは無く、シオを嗾したという歪虚探しに日々駆り出されている。
今日もその一環として、街を歩いていた。
隣には、シオと共に廃工場へ向かった仲間、そして彼等のリーダーとして、シオと対峙した壮年の男。
重い空気の中、会話も無く見回りを終え、最後に廃工場の前を通りロープを確かめて詰め所に戻る。
擦れ違った男は刃の鋭い枝切り鋏を担いでいた。
リーダーが2人に声を掛けた。
「こんな時期に剪定か」
2人が男を振り返った。
「おい」
シオが男を呼び止める。
男は弾かれたように走り出した。
男を追った3人だが、辺りの道に詳しい男はすぐにその手を逃れてしまった。
詰め所に戻った彼等が仲間に男の容姿を伝えると、捜索が開始された。
それは、翌朝、男の亡骸が廃工場の前に見付かるまで続けられた。亡骸の傷は、過日、ハンターにより数体が回収されていた廃工場の中のものと同じだった。
集まって周辺の調査を済ませた警邏の男達は、昼前に一旦発見現場に集合した。
リーダーから見回りを一層強化する指示が出される中、1人が、あれ、と廃工場を差して言う。
「ロープ、切られてますよ」
リーダーはそのロープを拾い上げ切り口を眺めて首を傾げた。
「なあ、シオ君……」
シオともう1人を手招いて、昨日あの男が持っていたのは、これを切るための鋏だったのではないだろうかと。
3人がロープに寄った時、不審な音が聞こえた。
しゃん、と鳴る鈴の音。
「こんにちは、皆さん、お揃いで」
ロープの切れ間、絡んだ蔓を引き千切るように錆びた門扉を押し開けて現れたのは。
●
ハンターオフィスに駆け込んできたシオの姿は、何度も転んだのだろう、擦り傷だらけだった。
手当てを拒んで喚く言葉には、焦燥が覗える。
辺りの道には詳しいという受付嬢――案内人を自称している――に連れられてハンター達が現場へ駆けつける。 そこには10人程の男達が倒れ、彼等の傍らには結い上げた髪に華やかな和装の歪虚が、黒い翼の雑魔を従え、うっそりと微笑んで佇んでいた。
濁った声で鳴いた黒い翼の鴉が羽ばたくと、辺りに黒い羽が舞い上がった。
解説
目的 警邏の撤退
●エネミー
歪虚×1
振り袖に厚底の草履、黒髪を結った小柄な少女の姿。
複数体を対象に針の投擲(最大射程5程度)による攻撃を行う。
他の攻撃、防御手段等々、委細不明。
警邏及びハンターが全員撤退した場合、
或いは、完全に不利となった場合、廃工場内に帰ります。
雑魔×3
全長1m程のカラス。
降下からの体当たり、嘴の打撃による攻撃を行う。
基本的に近い対象を攻撃するが、簡単な指示には従うこともある。
●配置
□□□門扉□□□
□□□□□□□□
□□□□□□□□
□□□□◆□□□
□□□□□□□□
□□◆□★□□□
□□□□□□◆□
□□□□□□□□
□□□●□□□□
□□□□□□□□
□□□警邏は□□
□□□この辺り□
□□□□□□□□
□□□□□□□□
□□到着時、□□
□□ハンター□□
□□初期配置□□
□□□□□□□□
★=少女歪虚
◆=カラス雑魔
●=リーダー
●NPC
リーダー
重傷、意識不明
シオ
オフィスにて保護
案内人
道案内のためハンターに同行、非戦闘員。
指示があれば従いますが、無ければ自力で動ける警邏をつれて撤退します。
警邏
動ける者が3人、動けない者が5人、死者2人
※
サポート参加では警邏の撤退中の護衛、移動の幇助、搬送などをお願いします。
(サポート参加で無くとも、警邏の護衛等の行動は何れも可能です)
●エネミー
歪虚×1
振り袖に厚底の草履、黒髪を結った小柄な少女の姿。
複数体を対象に針の投擲(最大射程5程度)による攻撃を行う。
他の攻撃、防御手段等々、委細不明。
警邏及びハンターが全員撤退した場合、
或いは、完全に不利となった場合、廃工場内に帰ります。
雑魔×3
全長1m程のカラス。
降下からの体当たり、嘴の打撃による攻撃を行う。
基本的に近い対象を攻撃するが、簡単な指示には従うこともある。
●配置
□□□門扉□□□
□□□□□□□□
□□□□□□□□
□□□□◆□□□
□□□□□□□□
□□◆□★□□□
□□□□□□◆□
□□□□□□□□
□□□●□□□□
□□□□□□□□
□□□警邏は□□
□□□この辺り□
□□□□□□□□
□□□□□□□□
□□到着時、□□
□□ハンター□□
□□初期配置□□
□□□□□□□□
★=少女歪虚
◆=カラス雑魔
●=リーダー
●NPC
リーダー
重傷、意識不明
シオ
オフィスにて保護
案内人
道案内のためハンターに同行、非戦闘員。
指示があれば従いますが、無ければ自力で動ける警邏をつれて撤退します。
警邏
動ける者が3人、動けない者が5人、死者2人
※
サポート参加では警邏の撤退中の護衛、移動の幇助、搬送などをお願いします。
(サポート参加で無くとも、警邏の護衛等の行動は何れも可能です)
マスターより
歪虚再び。
今回は、戦闘前提の撤退となります。
よろしくお願いします。
今回は、戦闘前提の撤退となります。
よろしくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/02/04 00:42
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/01/23 09:23:49 |
|
![]() |
相談場所 ブラウ(ka4809) ドワーフ|11才|女性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2016/01/25 06:57:07 |