ゲスト
(ka0000)
少年、恐怖の先に夢をみる
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/01/30 07:30
- リプレイ完成予定
- 2016/02/08 07:30
オープニング
●主の死
彼らはグラズヘイム王国の一角にいた。
「僕、レチタティーヴォ様と出会ったところに行きたい。でも、どこか分からないんだよね」
レチタティーヴォはプエル(kz0127)が目を覚ました時に「人間の所にプエルがいた」と「助けてあげた」と言うことだけは教えてくれた。記憶がないプエルの最初の記憶はレチタティーヴォの淡々としているが頼っていいんだという雰囲気だった。
そして、その場所を尋ねるにも尋ねることはできない。
レチタティーヴォが人間に討たれた、と報告を受ける。
駆けつけようとするプエルをエクエスとプエルについてきた歪虚は止める。なだめすかしてどうにか今は落ち着いているようだった。
プエルは鳥かごの細工のペンダントヘッドを弄んでいた。ふと、何かに気付いたらしく口に入れようとしている。
「駄目です、それは!」
エクエスはあわてる。
「離せ! だって、レチタティーヴォ様がいなくなっちゃったんだよ! 弱いままじゃ、僕はいけないんだっ! だって、ほかの奴ら、僕が弱いって言うこと聞いてくれないし、レチタティーヴォ様がいたから、仕方がないって! 僕が弱いのがいけないんだ! 新参者だからって散々いじめてくるんだもの、ひどいよ! 皆色々持ってうらやましいのにっ! 個性がないとかすぐに言うんだ! そりゃ、クロフェドとかラトスみたいな力もなかったよ? でも、でも、だから僕は一生懸命レチタティーヴォ様にくっついて行って頑張ったんだよ! 嫉妬しているのは僕なのに、おかしいよ、色々!」
「落ち着いてください、プエル様! あのお方があなたに良い所を見出したからこそ使ってくださったのです。あのお方は、そもそも気に入らなければ側におかなかった。ですから、わたくしはプエル様が憎らしいくらいうらやましいですよ?」
エクエスは必死になだめる。ここで貯めている最中のマテリアルを使わせるわけにはいかない。何度かハンターには狙われたが、何とか順調に集めていると言うのに。
エクエスはプエルを羽交い絞めにする。腕力ではプエルに勝てるが、なかなかうまく抑え込めない。
プエルは口に含み、噛み砕いた。
カリッ。
簡単に石は砕ける。
エクエスは攻撃の矛先が来ることを恐れ、プエルを離す。
プエルは地面に膝をついて呆然としているだけだった。
エクエスが何も起こらないかと思っていた次の瞬間、プエルが震える。
「う、うわあああああ、あ、うげっ……」
プエルはうずくまり吐く。吐くとは言えども何も出てくるものはない。膨張したマテリアルにプエルは恍惚と恐怖が生じていた。
「だから……プエル様……」
「マテリアルがたくさん入ってた……ふふっ……僕……余は……レチタティーヴォ様の代わ……」
プエルは立ち上がりかかったところで倒れた。
エクエスの手は剣の柄にかかるが、様々なことを考え剣を抜くのはやめる。
「このまま放置するわけにはいかねぇし……他の奴にくれてやるつもりはない」
エクエスはクツクツと喉の奥で笑う。
「アイツは無に還った! プエルを最期まで見ようとしていたアイツは! 俺は勝った……ふふ、ははは」
エクエスの足元には苦悶の表情を浮かべる美しい少年がいる。
「舞台はまだ終わってないんだ、若君? しばらく、楽しんでくれよ、歪虚としての道を」
エクエスは笑う、楽しくて仕方がない。
「そして、絶望してくれ! 俺はお前のマテリアルを食ってやる! 何のために這いつくばってやってきたのか! 散々アイツの目がこちらに向かないことを考えて行動したのだって!」
マテリアルの暴走を起こしていたかに見えたプエルを抱き上げるのを躊躇したが、問題なかった。吸収して自分のものにしたのだろうか?
「プエル様、きっと舞台は成功いたしますよ」
優しい声音でエクエスはプエルにささやいた。
プエルの揺れた荷物から、レチタティーヴォを模した三頭身の布でできた人形がこぼれる。落下するがちょうどプエルの腕の中に納まった、そこが居場所だと主張するように。
●マテリアルの侵蝕
町の代官コヨテ・アットは気が気ではないが、実にすばらしい物を手に入れた。
美しい少年の姿の歪虚。
連れていた歪虚に見覚えがある気がしたが、気のせいだと片づけた。そもそも歪虚に知り合いなどいない。
コヨテは預けられた少年の汚れは落とし、新しい服を着せ、寝室に寝かせた。少年が決して離さない人形は気味が悪いが、布や綿、ボタンでできている手づくりの人形のようで恐れる理由はない。
「愛らしい、美しい! 人形であり、生きている」
奥の客間は人払いをして、誰も来させないようにした。誰かに聞かれて、領主や教会に伝えられたら終わりだ。
少年の人形は歪虚だから。
滑らかな肌、陶器の人形のようでいて人間に近い外見をしている歪虚。ひょっとしたら本性は別にあるのかもしれないが、コヨテの屋敷に眠る少年の歪虚は人間の姿でしかない。
「くくく……」
マテリアルの侵蝕は発生する恐れも考える。
「もちろん、危険な状況になる前に目を覚ましていただければよいのだが……」
もっと居心地がいいところを見つけてあげればいいのだ。
「できれば、全てを手に入れたい……」
彼が望む行動をとっている間に、少年が目を覚ました際のリスクは大きい。
「ああ、なんと可愛らしい。一番厄介なのは……クリシスにはばれないようにしないと」
領主であるウィリアム・クリシスを思うとコヨテはちっと舌打ちをする。拠点とする町から離れたこの町で築き上げてきた物を失うわけにはいかない。
●町の調査
「マテリアルが不安定になっているみたいなんですよ、この町」
ハンターズソサエティ支部の職員たちは話をする。
町の生活に何も不自由はないが、ちょっとしたことで感じる不安。
「まさかと思うけれど、コヨテさんが公害起こしているんじゃないのかしら?」
「……そういえば機導研究している人ですよね」
領主のクリシスは町で魔法生物大発生を経験しており、取締を強化している。原因となる魔法公害を防ぐために。もちろん、研究そのものは禁止されていないため、小さい公害は時々あるが、人的被害が起こる前に片づけるよう努力されている。
「魔法生物と雑魔の発生があるということかしらね……」
職員たちは溜息をもらす。
「気持ち悪いし、クリシス様に直接話しておく?」
「そうしましょう」
職員たちは賢明な判断を下した。
クリシスからは状況の調査と歪虚退治の依頼が来た。
●異変
町の周りに雑魔が増え、人間を襲う。
まだ冬とはいえ、植物の勢いが妙にない。
敏感な幼子は怯え、周囲を見回してばかりいる。
小さな、小さな不安の塊。
小さくても町中の不安の塊が集まれば、大きく、大きくなってくる。
町の中で殺人も起る、以前にはない頻度で。
人形が動き、人形が笑う――。
彼らはグラズヘイム王国の一角にいた。
「僕、レチタティーヴォ様と出会ったところに行きたい。でも、どこか分からないんだよね」
レチタティーヴォはプエル(kz0127)が目を覚ました時に「人間の所にプエルがいた」と「助けてあげた」と言うことだけは教えてくれた。記憶がないプエルの最初の記憶はレチタティーヴォの淡々としているが頼っていいんだという雰囲気だった。
そして、その場所を尋ねるにも尋ねることはできない。
レチタティーヴォが人間に討たれた、と報告を受ける。
駆けつけようとするプエルをエクエスとプエルについてきた歪虚は止める。なだめすかしてどうにか今は落ち着いているようだった。
プエルは鳥かごの細工のペンダントヘッドを弄んでいた。ふと、何かに気付いたらしく口に入れようとしている。
「駄目です、それは!」
エクエスはあわてる。
「離せ! だって、レチタティーヴォ様がいなくなっちゃったんだよ! 弱いままじゃ、僕はいけないんだっ! だって、ほかの奴ら、僕が弱いって言うこと聞いてくれないし、レチタティーヴォ様がいたから、仕方がないって! 僕が弱いのがいけないんだ! 新参者だからって散々いじめてくるんだもの、ひどいよ! 皆色々持ってうらやましいのにっ! 個性がないとかすぐに言うんだ! そりゃ、クロフェドとかラトスみたいな力もなかったよ? でも、でも、だから僕は一生懸命レチタティーヴォ様にくっついて行って頑張ったんだよ! 嫉妬しているのは僕なのに、おかしいよ、色々!」
「落ち着いてください、プエル様! あのお方があなたに良い所を見出したからこそ使ってくださったのです。あのお方は、そもそも気に入らなければ側におかなかった。ですから、わたくしはプエル様が憎らしいくらいうらやましいですよ?」
エクエスは必死になだめる。ここで貯めている最中のマテリアルを使わせるわけにはいかない。何度かハンターには狙われたが、何とか順調に集めていると言うのに。
エクエスはプエルを羽交い絞めにする。腕力ではプエルに勝てるが、なかなかうまく抑え込めない。
プエルは口に含み、噛み砕いた。
カリッ。
簡単に石は砕ける。
エクエスは攻撃の矛先が来ることを恐れ、プエルを離す。
プエルは地面に膝をついて呆然としているだけだった。
エクエスが何も起こらないかと思っていた次の瞬間、プエルが震える。
「う、うわあああああ、あ、うげっ……」
プエルはうずくまり吐く。吐くとは言えども何も出てくるものはない。膨張したマテリアルにプエルは恍惚と恐怖が生じていた。
「だから……プエル様……」
「マテリアルがたくさん入ってた……ふふっ……僕……余は……レチタティーヴォ様の代わ……」
プエルは立ち上がりかかったところで倒れた。
エクエスの手は剣の柄にかかるが、様々なことを考え剣を抜くのはやめる。
「このまま放置するわけにはいかねぇし……他の奴にくれてやるつもりはない」
エクエスはクツクツと喉の奥で笑う。
「アイツは無に還った! プエルを最期まで見ようとしていたアイツは! 俺は勝った……ふふ、ははは」
エクエスの足元には苦悶の表情を浮かべる美しい少年がいる。
「舞台はまだ終わってないんだ、若君? しばらく、楽しんでくれよ、歪虚としての道を」
エクエスは笑う、楽しくて仕方がない。
「そして、絶望してくれ! 俺はお前のマテリアルを食ってやる! 何のために這いつくばってやってきたのか! 散々アイツの目がこちらに向かないことを考えて行動したのだって!」
マテリアルの暴走を起こしていたかに見えたプエルを抱き上げるのを躊躇したが、問題なかった。吸収して自分のものにしたのだろうか?
「プエル様、きっと舞台は成功いたしますよ」
優しい声音でエクエスはプエルにささやいた。
プエルの揺れた荷物から、レチタティーヴォを模した三頭身の布でできた人形がこぼれる。落下するがちょうどプエルの腕の中に納まった、そこが居場所だと主張するように。
●マテリアルの侵蝕
町の代官コヨテ・アットは気が気ではないが、実にすばらしい物を手に入れた。
美しい少年の姿の歪虚。
連れていた歪虚に見覚えがある気がしたが、気のせいだと片づけた。そもそも歪虚に知り合いなどいない。
コヨテは預けられた少年の汚れは落とし、新しい服を着せ、寝室に寝かせた。少年が決して離さない人形は気味が悪いが、布や綿、ボタンでできている手づくりの人形のようで恐れる理由はない。
「愛らしい、美しい! 人形であり、生きている」
奥の客間は人払いをして、誰も来させないようにした。誰かに聞かれて、領主や教会に伝えられたら終わりだ。
少年の人形は歪虚だから。
滑らかな肌、陶器の人形のようでいて人間に近い外見をしている歪虚。ひょっとしたら本性は別にあるのかもしれないが、コヨテの屋敷に眠る少年の歪虚は人間の姿でしかない。
「くくく……」
マテリアルの侵蝕は発生する恐れも考える。
「もちろん、危険な状況になる前に目を覚ましていただければよいのだが……」
もっと居心地がいいところを見つけてあげればいいのだ。
「できれば、全てを手に入れたい……」
彼が望む行動をとっている間に、少年が目を覚ました際のリスクは大きい。
「ああ、なんと可愛らしい。一番厄介なのは……クリシスにはばれないようにしないと」
領主であるウィリアム・クリシスを思うとコヨテはちっと舌打ちをする。拠点とする町から離れたこの町で築き上げてきた物を失うわけにはいかない。
●町の調査
「マテリアルが不安定になっているみたいなんですよ、この町」
ハンターズソサエティ支部の職員たちは話をする。
町の生活に何も不自由はないが、ちょっとしたことで感じる不安。
「まさかと思うけれど、コヨテさんが公害起こしているんじゃないのかしら?」
「……そういえば機導研究している人ですよね」
領主のクリシスは町で魔法生物大発生を経験しており、取締を強化している。原因となる魔法公害を防ぐために。もちろん、研究そのものは禁止されていないため、小さい公害は時々あるが、人的被害が起こる前に片づけるよう努力されている。
「魔法生物と雑魔の発生があるということかしらね……」
職員たちは溜息をもらす。
「気持ち悪いし、クリシス様に直接話しておく?」
「そうしましょう」
職員たちは賢明な判断を下した。
クリシスからは状況の調査と歪虚退治の依頼が来た。
●異変
町の周りに雑魔が増え、人間を襲う。
まだ冬とはいえ、植物の勢いが妙にない。
敏感な幼子は怯え、周囲を見回してばかりいる。
小さな、小さな不安の塊。
小さくても町中の不安の塊が集まれば、大きく、大きくなってくる。
町の中で殺人も起る、以前にはない頻度で。
人形が動き、人形が笑う――。
解説
コヨテ・アットが治める町の調査。
出現するのであれば、歪虚の殲滅。
●町の造り
丘の斜面にある町です。
城壁は一応あります。
代官の家は中央より、丘の高い所にあります。
エクラ教の教会、転移門もあり、田舎町にしては比較的施設が整っています。
町の外は領内の中央に向かう道と奥の村につながる道があります。
道以外は草地と灌木が目立ちます。灌木は茂っているため、小動物や狼と言った中型の動物も隠れることはあります。
●町の様子
町の周囲に雑魔が散見されます。狼をはじめとした野生動物の死骸だったと思われるものが主です。
動く人形を見たという人もいますが定かではありません。
殺人事件は増えています。ゴロツキが腹を裂かれ、老婦人が首切られといったように死因や年齢性別がバラバラです。犯人は捕まっていません。
●代官の屋敷
質素でそれなりに大きいです。
それでも執事とメイドなど合わせて10人ほどで収まっています。
一部は掃除等しなくていいと言われている部屋もあります。
まあ、地下の実験室なんて怖くて行きたくないからいいとして、客間のある付近を掃除しなくていいと言われるとか……。
●人形の歪虚(PL情報)
ある程度訓練を積んだハンターであれば問題なく対処できるでしょうが、雑魔たちより強敵です。
無邪気な子どもとして街の中を徘徊しています。
一つは青い目の茶髪の少年の姿、一つは青い目に金髪の少女の姿。
少年の方は14歳くらい、少女の方は9歳くらいです。
ナイフ、素手等を使って攻撃をします。
少女の方はそれに加え、硬質のワイヤーのようなものを使っています。
少年は時々簡単な歌を歌っています。
●領主
ウィリアム・クリシスといい領民思い良い領主です。
五年ほど前の領内で起った事件で妻と長男を亡くしています。
出現するのであれば、歪虚の殲滅。
●町の造り
丘の斜面にある町です。
城壁は一応あります。
代官の家は中央より、丘の高い所にあります。
エクラ教の教会、転移門もあり、田舎町にしては比較的施設が整っています。
町の外は領内の中央に向かう道と奥の村につながる道があります。
道以外は草地と灌木が目立ちます。灌木は茂っているため、小動物や狼と言った中型の動物も隠れることはあります。
●町の様子
町の周囲に雑魔が散見されます。狼をはじめとした野生動物の死骸だったと思われるものが主です。
動く人形を見たという人もいますが定かではありません。
殺人事件は増えています。ゴロツキが腹を裂かれ、老婦人が首切られといったように死因や年齢性別がバラバラです。犯人は捕まっていません。
●代官の屋敷
質素でそれなりに大きいです。
それでも執事とメイドなど合わせて10人ほどで収まっています。
一部は掃除等しなくていいと言われている部屋もあります。
まあ、地下の実験室なんて怖くて行きたくないからいいとして、客間のある付近を掃除しなくていいと言われるとか……。
●人形の歪虚(PL情報)
ある程度訓練を積んだハンターであれば問題なく対処できるでしょうが、雑魔たちより強敵です。
無邪気な子どもとして街の中を徘徊しています。
一つは青い目の茶髪の少年の姿、一つは青い目に金髪の少女の姿。
少年の方は14歳くらい、少女の方は9歳くらいです。
ナイフ、素手等を使って攻撃をします。
少女の方はそれに加え、硬質のワイヤーのようなものを使っています。
少年は時々簡単な歌を歌っています。
●領主
ウィリアム・クリシスといい領民思い良い領主です。
五年ほど前の領内で起った事件で妻と長男を亡くしています。
マスターより
こんにちは。
レチタティーヴォに従うプエルにとって、彼の消滅は自分の中に穴が開いたと同じ状況です。それを埋めるために力を求めた様子……。
今回、PCさんは表だってプエルがいることは分かりません、調べることで出会うかもしれませんが。
さて、皆さま、町の人達のためによろしくお願いします。
レチタティーヴォに従うプエルにとって、彼の消滅は自分の中に穴が開いたと同じ状況です。それを埋めるために力を求めた様子……。
今回、PCさんは表だってプエルがいることは分かりません、調べることで出会うかもしれませんが。
さて、皆さま、町の人達のためによろしくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/02/04 20:30
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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調査方針について ミオレスカ(ka3496) エルフ|18才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2016/01/30 00:12:46 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/01/28 15:56:59 |