• 調査

村おこし! の、その前に

マスター:芹沢かずい

このシナリオは2日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
6日
プレイング締切
2016/02/01 09:00
リプレイ完成予定
2016/02/12 09:00

オープニング


「はあああ……まったく……何なのよこの荷物の多さは……?」
 飽きること無く文句を言い続けながら作業すること数時間。相変わらず体力だけはある姉のリタに比べ、妹のエマは文句を言う気力も枯渇してしまったようだ。
「それにしても」
 小さな荷台から溢れ出て来る荷物と格闘しながら、リタ。
「折角故郷の村に帰って来たってのに、引っ越しの手伝いどころかお出迎えもないわけ?」
 疲れと苛立ちがないまぜになり、少々言葉がキツくなる。
 姉妹は、老夫婦の依頼を(半ば強引に)受け、自由都市同盟領からここ、グラズヘイム王国領のとある田舎へと引っ越して来たのだ。その勢いで、芸術的に積み上げられた荷物を非芸術的な姿に整理するところまで付き合っているわけなのだが。
「ううむ……言われてみればそうじゃのぅ。空き家も目立つ」
 改めて周囲を見渡し、暢気に言う老人。
「本当にここがお爺さんの故郷なんですか?」
 少々不躾な質問がエマの口から出るが、そのくらい、この村は寂れている。——と。
「ガーゴ? ガーゴじゃねえかぃ?」
「ん? ……おお、お前はリブか! 懐かしいのぅ!」
 不意に現れたのは、老人と年格好の近い男。……ここに来てようやく、老人の名前を知る姉妹。因みに老婆の名はイルという。
 再会を喜び合う老人達。リブは荷物と一体化するように佇んでいたイルを一瞬にして発見していた。昔馴染みだそうだ。


「そうか……城が……」
「うぅむ。気付かんかったとは情けない話だがなぁ」
 荷物の整理が一段落し、空き家(ガーゴの持ち家だった)の一室に集まった五人は、イルの手料理を味わいながら村の現状をリブに聞いていた。
「ふーん……こんな田舎に千年も前からお城があったなんて、信じられないわね」
「お姉ちゃん、色々失礼だよ」
「ふぉっふぉっ……千年前には立派なモンだったらしいぞ。戦線から取り残されて上手い具合に保存されてな」
「そこに何かが住み着いたっていうのね?」
 リタの言葉を、少々苦い顔で肯定するリブ。
 この村のはずれに、こんもりとした丘がある。本来はそれほど高くないその丘は、今は不気味な程に黒い影が取り囲んでいる。古城を取り囲む雑木林が長い間放置されていた結果だそうだ。現在、古城と一体化したその影が黒々と、月明かりを背に佇んでいる。
「戦を逃れてきた亜人にとっては、城が絶好の隠れ家になったわけじゃな……」
 変わり果てた故郷を憂うガーゴ。……彼が思い出せるのは数十年前の姿だろうが。
 リブが城と村の変化に気付いたのは半年近く前。管理する者がいないはずの城に、何かがいる気配があった。ヒトではなかった。ヒトよりも小さく、発する言語は理解不能。単なる鳴き声かもしれない。
「亜人……ですか」
 話を聞きながら、エマが呟く。
「恐らくはの。ワシらには対抗手段がなかったからなぁ、家に閉じこもってやり過ごすしかなかったんじゃ」
 村に残っている者なら或いは、その姿を視認しているかもしれないが……リブはそう付け足し、話を続ける。
 幼い子供を抱える家族をはじめとし、村人は自分の家を捨てて近隣の町へ移り住んだ。
 住み慣れた村を離れた寂しさと慣れない町での暮らしを思うと、危険とは分かっていてもリブは村を離れられない。村に残っているのはリブと同じ思いを抱えている者ばかりだという。もっとも、移り住んだ家族も村への思いは同じだが、家族の安全の為の苦渋の選択だった。
「そうやって空き家が増えて、この有様じゃ。危険が無くなれば話は別じゃが、亜人に乗っ取られるのも時間の問題かのぅ……」
「ちょっとリブ爺ちゃん! 諦めちゃうの? 自分が生まれ育った村なんでしょっ?」
「そうは言ってもな、リタさんや。ワシらには対抗できんよ。相手は亜人……随分古いとはいえ、住み着いておるのはあの城じゃし……」
「お城って厄介ですね。ちらっと見えただけだけど、かなりの大きさだったよね。周りの雑木林は荒れ放題だし」
「ふむ……その通りじゃ。早くに戦線から離れてしまったんじゃが、幸か不幸か、兵舎や武器庫はほぼそのまま保存されとるしな」
 エマの言葉に返すのは、難しい顔のリブ。
「千年も前のをですか? それじゃあ、あっても使い物にならないんじゃ?」
「いや、実はこの数十年の間には何度か、城を観光名所にしようと色々と手入れはしてあったんじゃ。……この場合は不幸にも、と言った方が良いようじゃが……」
「観光名所として賑わってた時代が懐かしいねぇ」
 どこか遠くを見るような表情で、イル。
「観光名所?」
「そうそう、古城を一般人に開放してなぁ」
 リタの疑問符に、目を細めたガーゴが答える。その昔、イルは一般開放されていた古城のキッチンで、その腕を振るっていたらしい。
「あ、ねえ! 一般開放されてたってことは、お城の見取り図とか案内図みたいのがあるんじゃないの?」
「お、お姉ちゃん……まさか……乗り込む気じゃないよね……?」
 身を乗り出したリタを見るエマの顔色が、物凄い勢いで悪くなった。清々しい程に輝く笑顔で振り返った姉を見て、体中の血がどこかへ抜け出る感覚がエマを襲う。
「まさかってことはないと思うわ! こんな話を聞いちゃったんだもの、黙って見過ごすなんてできないわよ!」
「お城に乗り込んで亜人を退治する気なのね……」
 呆然としつつもどこか諦めたように、エマは溜め息と共に言葉を吐き出した。
「それに、あたし決めたのよ」
「?」
「お城を取り戻したら、そこに住むわよ!」
『はいっ?』
 リタの言葉に全員がハモった。
「…………冗談よ……」
「…………冗談に聞こえないのよ、お姉ちゃんの発言……」
「ま、まあ住むかどうかは別として、よ! お城って観光名所だったんでしょ? それをウリに村おこしをしたらどうかしら?」
「村おこし……?」
「亜人を追い払ったとしても、管理する人がいないワケでしょ? そんなんだったらまた同じことを繰り返すと思うのよ。だったらいっそのこと、観光地として開いておくの。そしたら亜人も近寄ってこないわ。そうでしょ?」
 リタ力説。……彼女曰く、引っ越しを含めた今回の冒険を、ハンターとしての責任ある行動としたいらしい。
 少女の言葉に、老人達も考え込む。
「確かに……その通りじゃな」
「出て行った村人も帰って来るしのぅ。せっかく帰って来たのに廃村の憂き目に遭うのは御免じゃし」
 リブとガーゴの言葉に、イルはどこか嬉しそうに頷いている。
「決まりね!」

 ……かくして、名前すら忘れ去られた田舎における村おこし企画が始まった。

解説

●村おこし! ……の前に、村が寂れた原因を取り除くための作戦です。

 今回の目的は、古城の調査。手掛かりは一般解放されていた時代の古い見取り図。

リタ「乗り込んでって片っ端からやっつけ……られるわけないわ……ね」
エマ「当たり前でしょ! だってお城の構造も分からないんだよ? あるのは古い見取り図で、それも一部だけみたいだし。武器庫や兵舎もあるって言ってたじゃない」
リタ「そうね、確かに。門も立派らしいけど書かれてないわね。城主達が使う秘密の抜け道なんてものもあるらしいわよ! ワクワクするじゃない?」
エマ「お姉ちゃんは絶対! 単独行動禁止! だからね!」
リタ「えええっ?」
エマ「迷子になるから!」
リタ「うっ……痛い所を……。まあ、いいわ。そうだ、目撃情報! 昼間に多いって言ってたわね」
エマ「夜行性ではない、ってことかな? ここからお城の影が見えるけど、灯りの数はそんなに多くないみたいだね」
リタ「寝てるのかしらね」

●達成条件は以下の通り。
・古城に潜入、内部の造りを知ること。
・気付かれない様に、住み着いた『何か』の正体を突き止め、その数を把握すること。
・後々観光地として整備する予定ですので、城内での戦闘は極力避けること。
・住み着いた『何か』を殲滅するための作戦、またその糸口になる情報をまとめること。

●作戦参加NPC
・リタ(姉/13歳)・エマ(妹/11歳)/人間・女性/クリムゾンウエスト


!注意!
リタは天性の方向音痴です! 目を離すと何処に行くか分かりませんので、注意が必要です! ……面倒を見て頂けると助かります。

マスターより

 引っ越しのお手伝いで田舎の村にやって来た姉妹。彼女たちの次なる冒険(?)の幕開けです(←大袈裟)。

 村おこしも楽しそうですが、今回はその前に古城に巣食う『何か』の『調査』です。
 リタも言っていますが、千年も前のお城って、どんな感じなんでしょうね? 見たことがないので、ほぼ全てが想像の領域です。積極的に探索を楽しんで頂けると嬉しいです。

 古代の建造物や歴史的な建物。今とは違う時間を見てきたそれらからは、何か特別なものを感じます。……古いものは大切にしたいですね。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/02/08 09:38

参加者一覧

  • オールラウンドプレイヤー
    柊 真司(ka0705
    人間(蒼)|20才|男性|機導師
  • パティの相棒
    万歳丸(ka5665
    鬼|17才|男性|格闘士

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • 白狼鬼
    ユキトラ(ka5846
    鬼|14才|男性|霊闘士
  • 碧落の矢
    ウィーダ・セリューザ(ka6076
    エルフ|17才|女性|猟撃士
  • 忍者(自称)
    琴吹 琉那(ka6082
    人間(蒼)|16才|女性|格闘士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/01/30 01:23:24
アイコン みっそん いんぱっしぼ
万歳丸(ka5665
鬼|17才|男性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2016/01/31 21:17:30