• 日常

Star Dust Memory

マスター:楠々蛙

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
無し
相談期間
3日
プレイング締切
2016/01/30 22:00
リプレイ完成予定
2016/02/08 22:00

オープニング

※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。

 夜が白み始めた頃、街道を行く馬車が一台。
「ん、どうしたラウラ?」
 御者台に座すバリー=ランズダウンが、車内から出て来たラウラ=フアネーレに声を掛ける。
「えと、ちょっと目が覚めちゃって。バリーは夜通し座ってて大丈夫なの」
「夜はキャロルと交代でやってるからな。それにルーナも一緒だ」
 バリーは膝上で丸くなっているルーナを示した。先日一行の旅路に連れ添う事になった黒猫である。どうも彼女は、バリーを慕っているらしい。
「それより、外は寒いだろ。良ければ入るか?」
「うん、お邪魔します」
 ラウラはバリーの隣に腰掛けると、彼の身を覆う毛布に入り込んだ。
「ねえルーナ、こっち来てくれると嬉しいなー」
 猫撫で声で催促するラウラを、ルーナが片目を開けて一瞥する。すると黒猫は渋々ながら腰を上げて彼女の膝に移った。一行の胃袋を握るラウラは、猫目線の序列では頂点に居るのだろう。高貴なこの黒猫も、彼女には逆らえないのである。
「ありがと──あったかい」
「それで、どうしたんだ?」
 頬を緩めるラウラに、バリーは再度問い掛けた。
「……お礼、まだ言ってなかったなと思って」
「お礼?」
「わたしをこの馬車に乗せてくれた、お礼」
「ああ、その事か。礼なんて要らないさ。寧ろ感謝するのはこっちの方だ。いつも美味い飯が食えるってのはそれだけで幸せなもんだ。なあ、ルーナ?」
 バリーの言葉に黒猫が一鳴きして応じる。そのやり取りを聞いたラウラは「ありがと」と微笑んだ。しかし明るい表情が、一転して思い詰めた物に変わる
「あのね、バリー。わたしここに居てもいいのかな?」
「どうして、そんな事を?」
「……最近ね、父さんと母さんの夢を見なくなったの」
 不安そうにラウラは呟きを漏らした。右手で首から提げた細鎖に通してある二つの指輪──両親が彼女に残した結婚指輪を弄る。
「森の家──父さんと母さんと一緒に暮らしていた、父さんと母さんとの想い出の詰まった家。あの家で暮らしていた頃は毎晩視ていた夢を──父さんと母さんが生きていた頃の夢を、もうずっと視てない」
 左手でルーナの背を撫でながら、ラウラは続ける。
「それはとても寂しい事なのに、でもね、ほっとしているわたしが居る。
 だって夢の中のわたしは小さい頃のまま。父さんと母さんに囲まれて無邪気に笑ってるわたしは、今のわたしじゃない。
 泣きじゃくるわたしを父さんと母さんが慰めてくれても、頭を撫でてくれる手は今のわたしの背よりもずっとずっと低い所にある。
 そして眼が覚めた時に思い知るの。想い出には触れないし、触ってはくれないんだって。
 そんな冷たい朝が嫌で嫌で仕方なかった──自分じゃ優しい夜を捨てられない癖にね」
 ルーナが長い尻尾でラウラの頬を撫で返す。さらさらとした肌触りに、ラウラは少しだけ笑みを零した。
「だから、俺達と一緒に旅を?」
「──ええ、あなた達と一緒に居ると、とっても楽しい。恐い思いもしたし、辛い事だってあるけど、わたし今しあわせよ」
「ならどうして、ここに居たらいけないなんて思ったんだ?」
 三度目の問いに、ラウラはまた心苦しそうな表情を浮かべて答える。
「村の人達に、酷い事してるから」
「村?」
「うん。森の傍にある村の人達とはね、わたしが作った薬と食べ物とかを交換してたの。良い人達ばっかりだったわ。わたしを家に迎えてくれようとした人も居た。強引にでも、あの家から連れ出そうとしてくれた人も居たわ。でもその時は、村長さんが間に入って止めてくれた」
 ラウラちゃんの心の整理が付いた時で良い、いつでもこの村に帰って来て良いからね。そう言ってくれた優しい老人の事を思い出す。今の自分はその優しさを裏切っている様なものだ。
 ラウラの口は「ごめん」と謝罪の言葉を衝いた。
「ごめんなさい。全部わたしの我儘ね。わたしの身勝手な我儘のせいで、皆に迷惑ばかり掛けてる。ごめんなさ──」
 顔を俯かせて謝罪を続けるラウラの頭を、バリーの手が優しく撫でる。
「迷惑なんてとんでもない。言ったろ、感謝してるって。それにだ、少しくらい我儘も言って貰わなけりゃ、俺の男としての格が疑われちまう」
「なにそれ。ていうか、子供扱いしてるでしょ」
「おや、子供扱いして欲しかったんじゃなかったのか? 淑女が男の布団に易々と入るのは頂けないと思うけどな」
「……じゃあ今は子供で良い」
「了解だ、セニョリータ」
「……バリーって、案外意地悪なのね」
 赤毛を梳く様に頭を撫で続けるバリーと、されるがままにするラウラ。二人の様子に妬いたのか、ルーナが不満気な鳴き声を上げた。



 日が頂点に達し始めた頃、彼らの馬車は川に辿り着いた。ラウラは川に架かった石橋を指してバリーに問う。
「あれ渡るの?」
「いや、今日はここで野宿だ。俺達はともかく、スレイプニルとブケパロスは歩き通しだしな」
「そっか。じゃあ今日の夕飯は何にしようかしら。根菜は一通り揃ってるけど、干し肉はどうだったかな。今日一晩三人分、いえ三人と一匹分くらいなら足りるかしら」
「どっちみち、食糧を補給しておいた方が良いかもな。なに、この川なら魚が獲れるし、野生動物も水場として利用してるだろうから、獲物には事欠かないさ」
「それもそうね。ん? ねえバリー、あれ何かしら?」
 ラウラが指差した先にあったのは、街道から外れて停めてある一台の馬車だ。その大きさ、形状から考えるに乗合馬車だろうか。どうも車輪が破損しているらしい。
 馬車の傍で頭を抱えていた男──おそらく御者だろう──は、バリー達に気付くと声を掛けて来た。
「おお、丁度良い所に。なあ、車輪の予備があったら売ってくれないか?」
「悪いな。今は持ち合わせがない」
「そうか。やっぱり馬に乗って、近くの街まで買いに行くしかないか」
「ここから往復するとなると、一晩は掛かるんじゃないか?」
「仕方ないさ、ここで手をこまねいているわけにもいかんからな。客だって、一晩待たせるだけでも不味いってのに。畜生、あの時に岩に乗り上げなけりゃ……」
「お客さんが居たの? 見当たらないみたいだけど」
 悪態を漏らす御者に、ラウラが質問する。
「ああ、彼らなら川の方へ行ったよ。全員ハンターらしい。一通り説明して、運賃は返すと言ったら取り敢えず納得して貰えたよ。全員依頼を済ませた帰りだったのが幸いしたな」
 御者の答えに、ラウラとバリーは顔を見合わせる。
「どうする?」
「とにかく川に行ってみよう。どうせなら協力した方が良いしな──それよりキャロルはまだ寝てるのか? 悪いがラウラ、起こしに行ってくれるか?」
「いえっさー」

解説

・目的
御者が新しい車輪を調達して来るまで(一晩)野宿

・フィールド
上流の川辺

・NPC
ラウラ=フアネーレ
料理担当します。

バリー=ランズダウン
断っておきますが、彼はロリコンじゃありません。
普段は、レバーアクションライフルを扱います。

ルーナ
黒猫。雌。二歳。紫がかかった綺麗な毛並みをしています。許可を取らないと、彼女は触らせてくれません。

キャロル=クルックシャンク
OP未登場ですが、リプレイには顔を出すでしょう。口は悪いですが、ノリは良い奴です。
普段はシングルアクションリボルバーを扱います。

バリー達の馬車。
箱型の四輪馬車。大人八人まで収容可能。左右の側面には乗り出して射撃する為の窓一つずつ、後方に乗り降り用の扉、前にも扉があり御者台との行き来が可能。側面に鉄板が打ち付けてある。

・備考
報酬は発生しません。

全体的な流れとして、食糧調達→調理→食事→就寝という感じを予定しておりますが、プレイング次第で変更します。
寝床に関しては、女性PCが馬車に、男性PCが馬車に積んである大型テントにと考えていますが、特に制約はないです。焚火を囲んで全員星空の下で寝袋に、となっても支障ありません。その方がタイトルに即していますね。

調理器具は一式揃っています。材料は、人参、玉葱、じゃがいもなどの根菜や、チーズに香辛料などの保存の効く物は人数分揃っています。ただタンパク源が不足している様です、自給して下さい。

OP前半のやり取りはPL情報になります。ただラウラの両親が亡くなっている事、彼女の首元に提げられた指輪が両親の形見である事についてはPCが把握していても問題ないです(彼女自身から聞いたとか)。
NPCとPCをどう絡ませるかの取っ掛かりにして貰えたなら光栄ですが、あれは個人的な趣味の様なものです。気にせずプレイングを組み立てて頂いて一向に構いません。

マスターより

 これは、ラウラをヒロインとした乙女ゲ―ではありません。ご注意下さい。

 西部劇トリオ改め、西部劇カルテットの登場です。
 初めての日常回になりますね。彼ら的にも、僕的にも。
 解説にも書きましたが、OP前半は蛇足です(言い切った!)。読み流しても、リプレイに支障はないでしょう。
 いやホント、実質800文字で済むからね、このOP。
 ちなみに日常回という事で、相談期間は短めの三日間。あんまり足止めを食らっても何なので。

 あの本当にロリコンじゃないですよ?

関連NPC

  • Mr.Safety
    バリー=ランズダウン(kz0161
    人間(リアルブルー)|21才|男性|猟撃士(イェーガー)
  • Senorita
    ラウラ=フアネーレ(kz0162
    人間(クリムゾンウェスト)|12才|女性|一般人
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/02/05 01:04

参加者一覧

  • 掲げた穂先に尊厳を
    ルーエル・ゼクシディア(ka2473
    人間(紅)|17才|男性|聖導士
  • それでも私はマイペース
    レイン・ゼクシディア(ka2887
    エルフ|16才|女性|機導師
  • クールガイ
    エリミネーター(ka5158
    人間(蒼)|35才|男性|猟撃士
  • この手で救えるものの為に
    カッツ・ランツクネヒト(ka5177
    人間(紅)|17才|男性|疾影士
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
  • 金色のもふもふ
    パトリシア=K=ポラリス(ka5996
    人間(蒼)|19才|女性|符術師
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/01/28 21:47:29
アイコン 今頃だけど何となく相談場所
ディーナ・フェルミ(ka5843
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2016/01/30 17:54:22