ゲスト
(ka0000)
無能力異邦人とコーヒー豆
マスター:真太郎

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 4日
- プレイング締切
- 2016/02/04 07:30
- リプレイ完成予定
- 2016/02/13 07:30
オープニング
私がクリムゾンウェストに召喚された時の事は今でもよく覚えている。
場所は喫茶店だった。
学校で授業を受けていたはずなのに、周囲の風景が急に見知らぬ喫茶店になったのだ。
あまりに驚天動地の出来事だったから、『きっと授業中に居眠りしちゃて夢を見てるんだ』と思ったくらい。
ま、当然の反応だよね。
だから店内をきょろきょろしていて注文を聞かれたら、普通にコーヒーを頼んでた。
そして勘定の時に見知らぬ通貨を見せられて、お金がない理由を説明していたら店長が何となく事情を察してくれて、それで色々教えてくれた。
私は異世界に召喚されたんだと……。
魔法や魔物が実際に存在するファンタジーな世界。
その魔物と戦う力を持つ能力者。
そんな世界に私はワクワクした。
私は能力者になって世界を救う勇者になるために召喚されたに違いない!
そう思った私は意気揚々と検査を受けたのだけれど……。
「残念ながらアナタには覚醒者としての素質はありませんね」
とハッキリ言われてしまった。
なんで?
「おかえりマオちゃん。どうだった?」
喫茶店に戻ると店長が笑顔で迎えてくれた。
「店長さん……。ダメでしたぁ~~」
「あれま。ダメだったんだ」
「微塵も才能がないらしいですぅ~~」
「あらら、じゃあマオちゃん何のために召喚されたんだろうねぇ?」
「そんなの私が聞きたいですよ……」
「神様が何かの手違いで召喚しちゃったとか」
「単なる事故ですか!?」
神様……あんまりです。
私はテーブルに突っ伏した。
脳裏に想い描いていた夢の英雄譚が霧散してゆく。
ぐ~……。
落ち込んでいてもお腹は減る。
でもお金はない。
しかしハンターとしての道は閉ざされてしまった。
だからハンター以外の働き口を何か見つけないといけない。
でも数日前まで単なる女子高生だった私に何ができるだろう?
異世界で一人ぼっちの私に……。
何もできる気がしない。
何をやればいいのかも分からない。
未来は真っ暗だ。
不安だけが大きくなり、涙がこぼれそうになる。
「はい、マオちゃん」
店長が突っ伏す私の前にケーキを置いてくれた。
「お祝いケーキの予定だったんだけど。ま、とりあえず食べなよ」
「店長さん……」
人の優しさが身にしみた。
思わず目から涙が零れて、店長の顔が霞む。
「それでさ、マオちゃん。ものは相談なんだけど、ここで働かない?」
「え?」
救いの神がここにいた。
店長さんは神様に違いない。
「実はマオちゃんいてくれると助かるのよ」
「そんな、私こそ……あ、あ、ありがとうごじゃいましゅぅ~……」
言葉尻が涙と鼻水で変な声になってしまった。
「ほら泣かない泣かない。ケーキ食べな」
「はい」
私は涙を拭うとケーキを食べた。
この時のケーキの味は一生忘れないと思う。
こうして私『柊真緒』は『マルシア・シュタインバーグ』さんの喫茶店『ひだまり亭』で働く事になった。
しかしこの喫茶店、実は全然流行っていない。
なぜなら店長は基本的に面倒くさがり屋で、作る料理は不味くはないけれど美味くもないという中途半端なものばかりだからだ。
それでも店が潰れていないのは、店長の淹れるコーヒーが絶品なためだろう。
このコーヒーは店長の旦那さんが長年研究を重ねて作り上げたものらしい。
しかし旦那さんは事故で亡くなってしまう。
店長は亡き夫の残したコーヒーの味を再現させるために奮起し、なんとか味を取り戻した。
でもそこで精根尽き果てて、他の料理は適当になってしまったらしい。
なのでこの店は旦那さんの残したコーヒーで支えられている。
なのに……。
最近そのコーヒー豆が店に届かない。
毎週荷馬車で送られてくるのだけど、この2週間どの荷馬車にも積まれていなかった。
「マオちゃん……うちの店、もう潰れるかもしれない」
「いきなり何言ってんですか店長!?」
「だってもうコーヒー豆が底を尽きそうなんだもん……」
「別の豆を使えばいいじゃないですか」
「ダメよ。私、あのコーヒー豆でないとコーヒー淹れられないの」
「何言ってるんですか~。あんなに美味しく淹れられるんですから、他の豆でも大丈夫ですよー」
試しに他の豆で淹れてもらった。
……不味い。
本当に不味い。
なんで?
「ほら、言った通りでしょ」
「こんな事で威張らないでください」
仕方なく1週間後の荷馬車を待ったけど、やっぱりコーヒー豆は届かなかった。
「マオちゃん……短い間だったけどありがとう。アナタ……今からそっちに行くわ」
「人生諦めるの早すぎです店長!!」
首くくろうとしていた店長を何とか引き止める。
「だってもう豆が残ってないのよ。もう3週間も届かないし。きっともう豆は届かないんだわ。コーヒー出せない喫茶店なんて潰れちゃう。もう飢え死ぬしかないわ……」
なんたるネガティブ。
「だったら……わ、私が直接豆を取りに行ってきます!!」
私は勇気を振り絞り、一大決心して告げた。
「マオちゃん無能力者じゃない。女の子の一人旅なんて危ないわ。無理よ~」
そ、そうだけど、その呼ばれ方は心外だわ。
「大丈夫です! 元いた世界でも一人旅はした事ありますから!」
店長は最後まで心配していたけど何とか説得して了承させた。
異世界での初めての旅。
どんな冒険が待ち受けているのかとワクワクしてたのだけど……。
なーんの問題も起こらず農園に着いてしまった。
まぁ、安全に着けてよかったんだけどね。
ただ、私は無事に着けたけど、コーヒー農園は無事じゃなかった。
農場の建物が半壊していたのだ。
「なにこれ……」
しばらく呆然としてしまったけど、私は半壊している建物に入っていった。
「あ、お客さんかい?」
中には目が細くて浅黒い肌の男性がいた。
「悪いけど見ての通りの有様で、今は店をやっていないんだ」
「何があったんですか?」
「巨大ネズミの歪虚に襲われてね。従業員共々農園をボロボロにされてしまったんだ。歪虚はハンターを雇って退治してもらったし、歪虚に汚染された農園も先日清め終わったんだけどね」
「じゃあ農園を再開できるんですね!」
「それが従業員の怪我が治っていなくてね。今はハンターさんを雇って収穫してもらってるんだけど、営業再開はまだまだ先になるかな」
「そんなぁ~……」
私はガックリ落ち込んだが、ここで諦めるわけにはいかない。
今諦めたら店は潰れ、私も店長も露頭に迷ってしまう。
「じゃあ私も収穫手伝います! 自分で収穫した分を売ってもらうならいいですよね!」
「いや、収穫したての豆をすぐコーヒーに出来る訳じゃないんだけど……。でもそうだね、収穫した分と備蓄のコーヒー豆を交換して売ってあげてもいいよ」
「ありがとうございます!」
これで何とか私の生活と店長の命を繋ぐ事ができそうだ。
でも農園のお仕事って大変そうだなぁ……。
大丈夫かな?
場所は喫茶店だった。
学校で授業を受けていたはずなのに、周囲の風景が急に見知らぬ喫茶店になったのだ。
あまりに驚天動地の出来事だったから、『きっと授業中に居眠りしちゃて夢を見てるんだ』と思ったくらい。
ま、当然の反応だよね。
だから店内をきょろきょろしていて注文を聞かれたら、普通にコーヒーを頼んでた。
そして勘定の時に見知らぬ通貨を見せられて、お金がない理由を説明していたら店長が何となく事情を察してくれて、それで色々教えてくれた。
私は異世界に召喚されたんだと……。
魔法や魔物が実際に存在するファンタジーな世界。
その魔物と戦う力を持つ能力者。
そんな世界に私はワクワクした。
私は能力者になって世界を救う勇者になるために召喚されたに違いない!
そう思った私は意気揚々と検査を受けたのだけれど……。
「残念ながらアナタには覚醒者としての素質はありませんね」
とハッキリ言われてしまった。
なんで?
「おかえりマオちゃん。どうだった?」
喫茶店に戻ると店長が笑顔で迎えてくれた。
「店長さん……。ダメでしたぁ~~」
「あれま。ダメだったんだ」
「微塵も才能がないらしいですぅ~~」
「あらら、じゃあマオちゃん何のために召喚されたんだろうねぇ?」
「そんなの私が聞きたいですよ……」
「神様が何かの手違いで召喚しちゃったとか」
「単なる事故ですか!?」
神様……あんまりです。
私はテーブルに突っ伏した。
脳裏に想い描いていた夢の英雄譚が霧散してゆく。
ぐ~……。
落ち込んでいてもお腹は減る。
でもお金はない。
しかしハンターとしての道は閉ざされてしまった。
だからハンター以外の働き口を何か見つけないといけない。
でも数日前まで単なる女子高生だった私に何ができるだろう?
異世界で一人ぼっちの私に……。
何もできる気がしない。
何をやればいいのかも分からない。
未来は真っ暗だ。
不安だけが大きくなり、涙がこぼれそうになる。
「はい、マオちゃん」
店長が突っ伏す私の前にケーキを置いてくれた。
「お祝いケーキの予定だったんだけど。ま、とりあえず食べなよ」
「店長さん……」
人の優しさが身にしみた。
思わず目から涙が零れて、店長の顔が霞む。
「それでさ、マオちゃん。ものは相談なんだけど、ここで働かない?」
「え?」
救いの神がここにいた。
店長さんは神様に違いない。
「実はマオちゃんいてくれると助かるのよ」
「そんな、私こそ……あ、あ、ありがとうごじゃいましゅぅ~……」
言葉尻が涙と鼻水で変な声になってしまった。
「ほら泣かない泣かない。ケーキ食べな」
「はい」
私は涙を拭うとケーキを食べた。
この時のケーキの味は一生忘れないと思う。
こうして私『柊真緒』は『マルシア・シュタインバーグ』さんの喫茶店『ひだまり亭』で働く事になった。
しかしこの喫茶店、実は全然流行っていない。
なぜなら店長は基本的に面倒くさがり屋で、作る料理は不味くはないけれど美味くもないという中途半端なものばかりだからだ。
それでも店が潰れていないのは、店長の淹れるコーヒーが絶品なためだろう。
このコーヒーは店長の旦那さんが長年研究を重ねて作り上げたものらしい。
しかし旦那さんは事故で亡くなってしまう。
店長は亡き夫の残したコーヒーの味を再現させるために奮起し、なんとか味を取り戻した。
でもそこで精根尽き果てて、他の料理は適当になってしまったらしい。
なのでこの店は旦那さんの残したコーヒーで支えられている。
なのに……。
最近そのコーヒー豆が店に届かない。
毎週荷馬車で送られてくるのだけど、この2週間どの荷馬車にも積まれていなかった。
「マオちゃん……うちの店、もう潰れるかもしれない」
「いきなり何言ってんですか店長!?」
「だってもうコーヒー豆が底を尽きそうなんだもん……」
「別の豆を使えばいいじゃないですか」
「ダメよ。私、あのコーヒー豆でないとコーヒー淹れられないの」
「何言ってるんですか~。あんなに美味しく淹れられるんですから、他の豆でも大丈夫ですよー」
試しに他の豆で淹れてもらった。
……不味い。
本当に不味い。
なんで?
「ほら、言った通りでしょ」
「こんな事で威張らないでください」
仕方なく1週間後の荷馬車を待ったけど、やっぱりコーヒー豆は届かなかった。
「マオちゃん……短い間だったけどありがとう。アナタ……今からそっちに行くわ」
「人生諦めるの早すぎです店長!!」
首くくろうとしていた店長を何とか引き止める。
「だってもう豆が残ってないのよ。もう3週間も届かないし。きっともう豆は届かないんだわ。コーヒー出せない喫茶店なんて潰れちゃう。もう飢え死ぬしかないわ……」
なんたるネガティブ。
「だったら……わ、私が直接豆を取りに行ってきます!!」
私は勇気を振り絞り、一大決心して告げた。
「マオちゃん無能力者じゃない。女の子の一人旅なんて危ないわ。無理よ~」
そ、そうだけど、その呼ばれ方は心外だわ。
「大丈夫です! 元いた世界でも一人旅はした事ありますから!」
店長は最後まで心配していたけど何とか説得して了承させた。
異世界での初めての旅。
どんな冒険が待ち受けているのかとワクワクしてたのだけど……。
なーんの問題も起こらず農園に着いてしまった。
まぁ、安全に着けてよかったんだけどね。
ただ、私は無事に着けたけど、コーヒー農園は無事じゃなかった。
農場の建物が半壊していたのだ。
「なにこれ……」
しばらく呆然としてしまったけど、私は半壊している建物に入っていった。
「あ、お客さんかい?」
中には目が細くて浅黒い肌の男性がいた。
「悪いけど見ての通りの有様で、今は店をやっていないんだ」
「何があったんですか?」
「巨大ネズミの歪虚に襲われてね。従業員共々農園をボロボロにされてしまったんだ。歪虚はハンターを雇って退治してもらったし、歪虚に汚染された農園も先日清め終わったんだけどね」
「じゃあ農園を再開できるんですね!」
「それが従業員の怪我が治っていなくてね。今はハンターさんを雇って収穫してもらってるんだけど、営業再開はまだまだ先になるかな」
「そんなぁ~……」
私はガックリ落ち込んだが、ここで諦めるわけにはいかない。
今諦めたら店は潰れ、私も店長も露頭に迷ってしまう。
「じゃあ私も収穫手伝います! 自分で収穫した分を売ってもらうならいいですよね!」
「いや、収穫したての豆をすぐコーヒーに出来る訳じゃないんだけど……。でもそうだね、収穫した分と備蓄のコーヒー豆を交換して売ってあげてもいいよ」
「ありがとうございます!」
これで何とか私の生活と店長の命を繋ぐ事ができそうだ。
でも農園のお仕事って大変そうだなぁ……。
大丈夫かな?
解説
目的:NPCのマオと一緒にコーヒー農園でコーヒー豆の収穫をする
NPC:
柊真緒(通称、マオちゃん)
リアルブルー出身の16歳の女の子
非覚醒者
身重154cm
痩せ型(Acup)
農園の主の名はハンニ。
仕事内容:
午前
コーヒーの実を収穫する。
井戸から水を汲んで樽に満たし、コーヒーの実を漬ける。
昼食
パン、ソーセージ、サラダ、自家製コーヒー
午後
以前樽に漬けていたコーヒーの実から豆を取り出す。
取り出したコーヒー豆を天日に干す。
注:
実の収穫は腰の痛くなるような作業です。
豆の取り出しは目や手の疲れる作業です。
マオのアクション(PL情報)
コーヒーの実を食べようとする。
収穫に夢中になり過ぎて人とぶつかる。
バケツの水を引っくり返す。
樽を運ぼうとするけど重くて持ち上げられない。
コーヒーの豆を食べようとする。
干した実を狙いにきたカラスを追い払おうとして逆に襲われる。
農園にはネズミ退治のための猫が3匹います。
クロ(メス)
トラ(オス)
ブチ(メス)
午前中は農園をブラブラしてます。
昼食時はソーセージをねだってきます。
午後は作業場の日当たりの良い所で寝てます。
ほぼボランティアのような依頼のため報酬は安めです。
NPC:
柊真緒(通称、マオちゃん)
リアルブルー出身の16歳の女の子
非覚醒者
身重154cm
痩せ型(Acup)
農園の主の名はハンニ。
仕事内容:
午前
コーヒーの実を収穫する。
井戸から水を汲んで樽に満たし、コーヒーの実を漬ける。
昼食
パン、ソーセージ、サラダ、自家製コーヒー
午後
以前樽に漬けていたコーヒーの実から豆を取り出す。
取り出したコーヒー豆を天日に干す。
注:
実の収穫は腰の痛くなるような作業です。
豆の取り出しは目や手の疲れる作業です。
マオのアクション(PL情報)
コーヒーの実を食べようとする。
収穫に夢中になり過ぎて人とぶつかる。
バケツの水を引っくり返す。
樽を運ぼうとするけど重くて持ち上げられない。
コーヒーの豆を食べようとする。
干した実を狙いにきたカラスを追い払おうとして逆に襲われる。
農園にはネズミ退治のための猫が3匹います。
クロ(メス)
トラ(オス)
ブチ(メス)
午前中は農園をブラブラしてます。
昼食時はソーセージをねだってきます。
午後は作業場の日当たりの良い所で寝てます。
ほぼボランティアのような依頼のため報酬は安めです。
マスターより
今回は初の非戦闘シナリオです。
クリムゾンウェストに召喚された人が全て覚醒者な訳ではありません。
じゃあ、覚醒者になれなかった人はどうやって暮らしてるんだろう?
そんな疑問から生まれたのが今回のシナリオです。
ちなみにマオちゃんは今後も登場させたいと思っているキャラなので、ご贔屓にしてくれると嬉しいです。
あと、非戦闘シナリオなので相談事も少ないと思い、相談期間を通常より1日短くしていますのでご注意下さい。
それでは皆様のご参加お待ちしております。
クリムゾンウェストに召喚された人が全て覚醒者な訳ではありません。
じゃあ、覚醒者になれなかった人はどうやって暮らしてるんだろう?
そんな疑問から生まれたのが今回のシナリオです。
ちなみにマオちゃんは今後も登場させたいと思っているキャラなので、ご贔屓にしてくれると嬉しいです。
あと、非戦闘シナリオなので相談事も少ないと思い、相談期間を通常より1日短くしていますのでご注意下さい。
それでは皆様のご参加お待ちしております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/02/08 04:48