ゲスト
(ka0000)
ハコの中の世界
マスター:波瀬音音

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/02/10 19:00
- リプレイ完成予定
- 2016/02/19 19:00
オープニング
●
「剣とペンは、どちらが強いと思う?」
そんなことを問われたのは、先生の下についてほんの少し経ってからのことだった。
先生は愛用の椅子に腰掛け、キャンパスに筆を走らせている。
その一筆一筆をなぞるように目で追いながら、
「ええと……確かリアルブルーから入ってきた諺にそんなものがありましたよね。
それだと、ペンですけど」
私が答えると、先生は筆を止め此方を振り返る。
そして悪戯っぽく笑い、かつ、諭すように言葉を向けてきた。
「どちらも強い。それぞれ別種の強さがあるんだ。
それを識ることは、君にとっても有益である筈だよ」
●
「外の景色は見てみたいけど……」
僅かにくすんだ金髪を結い上げた少女が、目の前の壁の貼り紙を見上げている。
少女――ティアナは口元に指先を当てる。
【見るのも勉強! 雑魔を倒す様子を見学しよう】
などと、貼り紙には書かれていた。
ティアナは画家を志す少女である。
独学で描いた絵を見た画家に才能を買われ、ロドリグという名のその画家に師事するべく故郷を出、はや数ヶ月。
『先生』となったロドリグの口添えもあり、とある貴族がパトロンとなった。
その貴族のお陰で、王立学校の芸術科にも通うことができている。
ところが、師であるロドリグはそれほど裕福ではない。
ティアナのパトロンであるアライス家は彼自身の実力も高く買っているのだけれども、何故か人気が伴わない。
アライス家に世話になってばかりはいられないものの、幸い、彼はかつてそれなりに実力のある騎士でもあった。
というわけで、アライス家の敷地内で剣術の私塾を開きつつ、その授業料を生活費に当てていた。
ティアナは本来関わる必要がないのだけれども、「剣を見るのもまた勉強」と言われ、助手として手伝っているのである。
彼女が見上げている貼り紙は、まさにその私塾の入口に貼ってあるものだ。
無言のまま思考を巡らせていると、
「ティアナは行かないのか?」
後ろから少年に声をかけられた。
振り返らなくても誰かは分かっていたけれども、ティアナはすぐさま振り返り、その後一礼した。
というのも、声をかけたのはパトロンであるアライス家の子息・ジュールだったからである。
十八歳であるティアナに対しジュールは十五歳。彼はこの私塾に通っているのだ。
「生徒の皆さんをまとめるのに手伝いに行くように言われてはいますけど……」
「……ああそうか、こっちに来る前に雑魔に襲われかけたんだっけ」
躊躇いがちな言葉の真意に気づいたジュールの指摘に、ティアナは肯く。
雑魔に悲しい経験をさせられそうになったのは、故郷の家を出る直前のことだった。
あの時はハンターのお陰で事なきを得たけれども、少し怖いといえば怖い。
「大丈夫だって。あくまで戦うのはハンターらしいし、僕たちは見てるだけだ。
それに万が一のことがあるようなら、僕が君を守るし」
長兄であるが故か精神的にやや大人びている彼は、割とこういうことを恥ずかしげもなく言う。
おそらくは、家のことを考えての言葉でもあるだろう。
そうと分かっているから、まだ少し躊躇いながらも
「分かりました。行くことにします」
ティアナがそう伝えると、ジュールは薄く笑みを浮かべた。
「うん。君にとっては街の外の風景をゆっくり見るいい機会だろうし、その方が僕らも嬉しい」
――絵しかなかった自分にとって、知らない世界は、まだいくらでも転がっている。
ロドリグもジュールも、たぶん同じことを言っているのだろうとティアナは思った。
「剣とペンは、どちらが強いと思う?」
そんなことを問われたのは、先生の下についてほんの少し経ってからのことだった。
先生は愛用の椅子に腰掛け、キャンパスに筆を走らせている。
その一筆一筆をなぞるように目で追いながら、
「ええと……確かリアルブルーから入ってきた諺にそんなものがありましたよね。
それだと、ペンですけど」
私が答えると、先生は筆を止め此方を振り返る。
そして悪戯っぽく笑い、かつ、諭すように言葉を向けてきた。
「どちらも強い。それぞれ別種の強さがあるんだ。
それを識ることは、君にとっても有益である筈だよ」
●
「外の景色は見てみたいけど……」
僅かにくすんだ金髪を結い上げた少女が、目の前の壁の貼り紙を見上げている。
少女――ティアナは口元に指先を当てる。
【見るのも勉強! 雑魔を倒す様子を見学しよう】
などと、貼り紙には書かれていた。
ティアナは画家を志す少女である。
独学で描いた絵を見た画家に才能を買われ、ロドリグという名のその画家に師事するべく故郷を出、はや数ヶ月。
『先生』となったロドリグの口添えもあり、とある貴族がパトロンとなった。
その貴族のお陰で、王立学校の芸術科にも通うことができている。
ところが、師であるロドリグはそれほど裕福ではない。
ティアナのパトロンであるアライス家は彼自身の実力も高く買っているのだけれども、何故か人気が伴わない。
アライス家に世話になってばかりはいられないものの、幸い、彼はかつてそれなりに実力のある騎士でもあった。
というわけで、アライス家の敷地内で剣術の私塾を開きつつ、その授業料を生活費に当てていた。
ティアナは本来関わる必要がないのだけれども、「剣を見るのもまた勉強」と言われ、助手として手伝っているのである。
彼女が見上げている貼り紙は、まさにその私塾の入口に貼ってあるものだ。
無言のまま思考を巡らせていると、
「ティアナは行かないのか?」
後ろから少年に声をかけられた。
振り返らなくても誰かは分かっていたけれども、ティアナはすぐさま振り返り、その後一礼した。
というのも、声をかけたのはパトロンであるアライス家の子息・ジュールだったからである。
十八歳であるティアナに対しジュールは十五歳。彼はこの私塾に通っているのだ。
「生徒の皆さんをまとめるのに手伝いに行くように言われてはいますけど……」
「……ああそうか、こっちに来る前に雑魔に襲われかけたんだっけ」
躊躇いがちな言葉の真意に気づいたジュールの指摘に、ティアナは肯く。
雑魔に悲しい経験をさせられそうになったのは、故郷の家を出る直前のことだった。
あの時はハンターのお陰で事なきを得たけれども、少し怖いといえば怖い。
「大丈夫だって。あくまで戦うのはハンターらしいし、僕たちは見てるだけだ。
それに万が一のことがあるようなら、僕が君を守るし」
長兄であるが故か精神的にやや大人びている彼は、割とこういうことを恥ずかしげもなく言う。
おそらくは、家のことを考えての言葉でもあるだろう。
そうと分かっているから、まだ少し躊躇いながらも
「分かりました。行くことにします」
ティアナがそう伝えると、ジュールは薄く笑みを浮かべた。
「うん。君にとっては街の外の風景をゆっくり見るいい機会だろうし、その方が僕らも嬉しい」
――絵しかなかった自分にとって、知らない世界は、まだいくらでも転がっている。
ロドリグもジュールも、たぶん同じことを言っているのだろうとティアナは思った。
解説
ロドリグの私塾に通う子供たちに、実際の雑魔討伐の様子を見せる為に招集されました。
剣術の私塾である為、基本的には近接武器のみ使用することをオーダーされています。
最悪他の武器・攻撃系魔法を用いても構いません。但し評価は落ちます。
最低限の成功条件は雑魔の討伐、かつ塾生に被害を出さないこと。
雑魔を倒しても見学している塾生が一人でも怪我をした場合失敗となります。
雑魔:ヴォーパルバニー×2
所謂首狩りウサギ。今のところ街道でのみ出没情報が上がっています。
ウサギ型の割に敏捷性は大したことはなく、馬を走らせれば逃げることは容易。
その為現在に至るまで人的及び物的被害は出ていません。
野生動物だけがやられています。
戦場:
街近くの街道。散発的に茂みがある以外は視界は開けています。
幅2sqの街道の上以外は足場はあまり良くありません。
雑魔のねぐらの位置は判明していません。
ある程度気配を感じると雑魔側から出没するようです。
見学者:
ティアナを含め9人。ティアナ以外は全て塾生。
ロドリグはおらず、監督役は年長者の塾生とティアナが行っています。
戦闘中は自分たちで判断できる範囲で距離を取ります。
但し目的は見学なので、そこまで遠くには逃げません。
剣術の私塾である為、基本的には近接武器のみ使用することをオーダーされています。
最悪他の武器・攻撃系魔法を用いても構いません。但し評価は落ちます。
最低限の成功条件は雑魔の討伐、かつ塾生に被害を出さないこと。
雑魔を倒しても見学している塾生が一人でも怪我をした場合失敗となります。
雑魔:ヴォーパルバニー×2
所謂首狩りウサギ。今のところ街道でのみ出没情報が上がっています。
ウサギ型の割に敏捷性は大したことはなく、馬を走らせれば逃げることは容易。
その為現在に至るまで人的及び物的被害は出ていません。
野生動物だけがやられています。
戦場:
街近くの街道。散発的に茂みがある以外は視界は開けています。
幅2sqの街道の上以外は足場はあまり良くありません。
雑魔のねぐらの位置は判明していません。
ある程度気配を感じると雑魔側から出没するようです。
見学者:
ティアナを含め9人。ティアナ以外は全て塾生。
ロドリグはおらず、監督役は年長者の塾生とティアナが行っています。
戦闘中は自分たちで判断できる範囲で距離を取ります。
但し目的は見学なので、そこまで遠くには逃げません。
マスターより
このたびAdivに配属になりました。
相変わらず低速ゆるゆるですけれども、どうぞ宜しくお願いします。
ティアナは1作目『その光景が色褪せる前に』にも出てきた子です。
前回シナリオは今回とは関係ありませんけれども、もしかしたら役に立つ、かも?
もちろん読まなくても成り立つ仕様にはなっています。
相変わらず低速ゆるゆるですけれども、どうぞ宜しくお願いします。
ティアナは1作目『その光景が色褪せる前に』にも出てきた子です。
前回シナリオは今回とは関係ありませんけれども、もしかしたら役に立つ、かも?
もちろん読まなくても成り立つ仕様にはなっています。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/02/24 04:39
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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ハコの中の世界ツアー レイ・T・ベッドフォード(ka2398) 人間(リアルブルー)|26才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2016/02/10 18:58:57 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/02/07 21:21:22 |