• 日常

まかろん・うぇすたん

マスター:楠々蛙

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
無し
相談期間
2日
プレイング締切
2016/02/10 22:00
リプレイ完成予定
2016/02/19 22:00

オープニング

※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。

「ねえ、ルーナ。少しくらい持ってくれないの?」
 とある街の市場、紙袋を抱えながら歩くの赤毛の少女は、ラウラ=フアネーレ。その前を首の後ろで結ばれたリボンを揺らしながら歩く黒猫の名はルーナだ。その名が示す通り、紫が掛かった毛並みを持つこの黒猫は雌。年は二歳──人間に換算するなら妙齢の女性であある
 ルーナは主人の方へ振り向くと、どことなく呆れた様な視線を向けた。その蒼い瞳に籠められた思いを人語に翻訳するなら「無茶を言わにゃいで」といったところだろうか。
 彼女達は旅路に必要なあれこれの買い出し中だった。
「はあ、キャロルもバリーも何か忙しくしてるし。買い出しを一人でやるのは骨が折れるわ」
 旅路の同行者の名前を告げて、年齢に不相応な溜息を漏らすラウラ。普段なら彼らの内どちらかが荷物持ち役に任命されるのだが、今回は都合が付かなかったのである。
「せめて手早く終わらせましょ。さあ次に行くわよ、ルーナ」
 彼女は黒猫の脇を過ぎながら、先へと促す。が、ルーナは主人の言葉には従わずに立ち止まったままだ。
「? どうしたの、ルーナ」
 それにラウラは小首を傾げる。ルーナへと振り向くと、黒猫は一枚の張り紙へと視線を注いでいた。紙面には色とりどりの菓子類の絵が描かれている。
「何見てるの? んーとなになに……『今年のバレンタインはマカロンで決まり! 恋する乙女達よ、集え!』──何これ?」
 張り紙の内容を朗読して、ラウラはまた首を傾げた。マカロンという菓子は見知っているが、バレンタインという単語は聞き覚えのないものだ。
「ねえ、そこのお姉さん」
 ラウラは張り紙の事を尋ねようと、近くにあった露店の店員に声を掛ける。陳列棚を見るに、そこは手作りの装飾品を扱っている様だ。
「やあ、お嬢ちゃん。いらっしゃい。何か気に入った物でもあった?」
 中性的な印象を持つ女性店員が、商いの挨拶で応じる。
「ごめんなさい、お客じゃないの」
「なんだそっか。それじゃあ、他に何の用があるのかな?」
 ラウラが首を横に振って誤解を解くと、店員はさして気にした風もなく気さくに問い掛けて来た。
「あの張り紙について聞きたいんだけど、お姉さんは何か知ってる?」
「あー、あれか。バレンタインデーに向けて、この辺りにある菓子屋が教室を開くんだ」
「あの、バレンタインデーって何? わたし、あまり都会のお祭りとか知らないの」
「あー成程。そこからわからないのか、結構手間だな──よし、どうしても知りたいなら条件が一つ」
「条件? あの、そのアクセサリーを買ってとか言われても無理よ。お財布にそんな余裕なんてないもの」
「そんなどうでも良い事は言わないよ」
「ど、どうでも良いの……?」
 商売っ気がなさ過ぎるのではないだろうか。
「そんな事じゃなくてさ、その猫ちゃんを触らせてくれないかな?」
「ルーナを? 別にわたしは構わないけど」
「やった。それじゃあ、遠慮なく」
 女性がルーナに手を伸ばすが、黒猫の前足にはたかれる。
「……私、何か嫌われる様な事したかな?」
「そうじゃなくて、この子はちゃんと許可を取らないと触らせてくれないの」
「なんと。小生意気な猫ちゃんだぜ」
「だぜ……?」
(何か、変な人ね)
「それじゃあ、お触りしてもいいかい?」
 訝しんだ視線を送るラウラを他所に、女性はルーナへ許可を申請する。黒猫が若干たじろぎながら一声鳴くと、女性はそれを肯定と受け取って意気揚々とその小さな額を撫で始めた。
「おお、なんという。得も言われぬ触り心地──えいっ」
 一頻り撫で回したかと思うと、彼女はいきなり黒猫を抱き締めた。女性の腕の中で黒猫が暴れる。
「良いではないか、良いではないか──あっ」
 構わずに頬擦りをする女性から、ルーナは何とか脱出した。毛を逆立てて怒りを露にする彼女に、女性は何故かニヤニヤとした笑みを浮かべる。
「好きな子に嫌われるのって、ゾクゾクするよね」
「あ、あのお姉さん、そろそろ質問に答えてくれないかしら」
 一歩引いていたラウラが恐る恐る声を掛けた。
「ん? 質問ってなんだったけ?」
「バレンタインデーって何って聞いたの!」
「ああ、そうだった。バレンタインデーっていうのはね、女の子が好きな男の子にお菓子を贈る恋愛イベントの事さ」
「……なんかすごいざっくりしてない? 何も手間が掛かってないじゃない」
「そんじゃもう少し詳細を語るけど。もとはリアルブルーの習慣なんだよ。あっちの世界じゃ、国によって色々やり方が違ったんだけどね。何故かこっちに伝わる時に、リアルブルーの日本って国の文化が反映されたお陰で、恋愛要素が強くなったみたいだ。本当は、男も女も関係なく親しい人に贈り物をする日だった筈なんだけど、クリムゾンウェストでは女性が男性への親愛の証としてチョコレートを渡す日として広まっている様だね」
「チョコレート? でも、あの張り紙にはマカロンって」
「ここ最近チョコレートが高騰しているらしいからね。その代わりにマカロンを作ろうって話になったんだよ」
「ふぅん、そうなんだ」
「どうだい? 参加費は無料だから、君も参加してみれば」
「んー、別にいいや。そういう相手が居るわけじゃないもの」
「別に恋だの愛だのに拘らなくても良いんだよ? 普段お世話になっている人へのお礼の気持ちとかでも構わない」
「そうなの? でも今更そんなの渡すのは、ほら、照れ臭いじゃない? だから──ん? どうしたの、ルーナ」
 断ろうとしたラウラの足下で、ルーナが鳴声を上げて主人に呼び掛ける。彼女は尻尾の先で、張り紙の方を指して更に一声鳴いた。
「もしかしてあなた、マカロン食べたいの?」
 その様子から飼い猫の要望を察したラウラがしゃがみ込んで問うと、黒猫は尻尾を揺らしながらまた鳴く。
「へえ、面白そうだね。何なら猫用のレシピも考えたげるよ?」
「考えるって、お姉さんが?」
「言ってなかったっけ? 私、その教室開くっていうお店のオーナーやってんの。この露店はちょっとした趣味みたいなものでね」
「……うそでしょ」
 こんな商売っ気のない変人が店を切り盛りしている姿は、全く想像できないのだが。
「本当だって。これでも中々人気の店なんだよ? で、どうする? 参加してみる?」
「うーん、どうしようかしら」
 迷うラウラの足下で、催促する様にルーナが身を擦り寄せる。
「……調子良いんだから──わかったわ、作るわよ、参加すれば良いんでしょ」
「そんじゃ決まりね。時間と場所はその張り紙にかいてある通りだから。ああ、そうだ。余った張り紙あげるから取っておくと良いよ」
 ラウラに張り紙を手渡した女性が、首を傾げる。
「それにしても、猫の味覚は甘さを感じないんじゃなかったけ?」
「この子もこの子で、大概変わってるから」
 女性の疑問に答えながら、ラウラは誰にも聞こえない様に呟いた。
 
 ついでにあの二人の分も作ってあげようかしら。

解説

・目的
マカロンを作ろう!

・フィールド
手広いキッチン。オーブンや洗い場など、各種必要な設備は十分に整っています。
ボウルや混ぜ器など調理道具も揃っていますが、ハンドミキサーなどという利器は存在しません。真心を込めて人力でやりましょう。

・NPC
ラウラ=フアネーレ
12歳の女の子。お菓子作りはある程度経験あり。ただマカロンは初めて。

ルーナ
二歳の黒猫。雌です。甘味に舌鼓を打つ贅沢な猫。ちなみにキッチン内には入れません。

・材料
卵白
アーモンドパウダー
粉糖
グラニュー糖
食用色素(ピンク、水色、黄色)、抹茶
ホイップクリーム、抹茶クリーム、ピーナッツバター、苺ジャム、ブルーベリージャム、マーマレード

・手順
1・粉糖、アーモンドパウダーを振るいに掛ける。
2・ボウルに卵白、グラニュー糖、食用色素または抹茶を混ぜてメレンゲを作る。
3・2に1を数回に分けて入れ、ゴムベラでボウル側面に擦る様にして混ぜる(マカロナージュと言うらしいです)。
4・3を絞り器に入れて、鉄板の上に直径2cm程の円状に盛る。
5・4を生地が手に付かなくなるまで室温に置き乾燥させる。
6・オーブンで焼く。
7・焼き上がった生地の間にホイップクリーム、抹茶クリーム、ピーナッツバター、苺ジャム、ブルーベリージャム、マーマレードから好きな物を選んで挟む。
8・ラッピング

・備考
相談期間は最短の二日間。
もしもペット用に作るのであれば、粉糖、グラニュー糖を入れず、アーモンドパウダーの代わりにきな粉を使います。生地に挟むのは、糖分控え目の苺ジャムかマーマレードで。
報酬として参加PCには「マカロン」が配布されますが、リプレイの判定はアイテムデータに反映されません、悪しからず。
また今回は教室ですので、「料理(初級)」スキルを所有してなくても美味しいマカロンを作る事ができます。

マスターより

さて、何気に力が入ったシナリオです。何が大変だったかってマカロンの作り方を調べるところから入りましたからね。ペット用のレシピとか、本当にしんどかった。ルーナの我儘の一番の被害者は間違いなく僕でしょう。

今回はバレンタインシナリオです。男性PCお断りとは言いませんが、どんな目に遭っても当方は一切の責任を負いません。いや、当日に自分でチョコ買う以上のチャレンジャーですよね実際。

しかしOPで遊び過ぎだろ、誰だよあのお姉さん。モブキャラじゃないの?

関連NPC

  • Senorita
    ラウラ=フアネーレ(kz0162
    人間(クリムゾンウェスト)|12才|女性|一般人
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/02/15 23:57

参加者一覧

  • この手で救えるものの為に
    カッツ・ランツクネヒト(ka5177
    人間(紅)|17才|男性|疾影士
  • Rot Jaeger
    ステラ・レッドキャップ(ka5434
    人間(紅)|14才|男性|猟撃士
  • 美しき演奏者
    ナーディル・K(ka5486
    エルフ|27才|女性|疾影士
  • 金色のもふもふ
    パトリシア=K=ポラリス(ka5996
    人間(蒼)|19才|女性|符術師

  • エリザベート・アインナッハ(ka6051
    エルフ|17才|女性|魔術師
  • 旋雪の望み
    セリナ・アガスティア(ka6094
    人間(紅)|22才|女性|符術師
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/02/10 14:11:32