ゲスト
(ka0000)
節分に泣いて拗ねた女鬼アオユキ
マスター:鳴海惣流

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在4人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/02/16 12:00
- リプレイ完成予定
- 2016/02/25 12:00
オープニング
●
――女鬼のアオユキは、空を見上げていた。
日中の太陽が嘘みたいに消え失せ、寒くなった夜風を肌に浴びながら、真っ暗な世界で体育座りをしている。
グラズヘイム王国ラスリド領。王国北東部――フェルダー地方に存在する領内のとある小さな田舎村リーラン。村というよりは集落と呼んだ方が相応しい規模である。
夜の闇が深くなった現在、村を歩き回る人間は誰もいない。だが、シンと静まり返ってるわけでもない。
豊かな木々を揺らすように風が吹き、アオユキの前髪を揺らす。導かれるように視線を前方の家に移動させれば、中から楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
そこはアオユキが世話になっている刀匠ドリューの家だった。ドリューには娘がいる。エリーという名前で、少し前まで鬼嫌いだった少女だ。
今ではすっかり仲良くなった。アオユキはそう思っていた。しかし、とある一日がすべてを破壊してしまった。
――節分という日が。
節分に関する情報を得たエリーは、同じ家で暮らすソニア、血は繋がっていないが姉のように慕う少女に是非、豆まきをやりたいと訴えた。
父親のドリューも娘には甘いが、ソニアも甘い。二つ返事で了承し、豆まきをやることになった。
鬼に豆をぶつけて、外へ追い出すという悪夢のイベントを。
「アタシが……アタシが何をしたっていうんだ……この仕打ちは……あんまりじゃないか……」
溢れそうになる涙を堪えるため、アオユキはまた空を見上げた。
豆まきをするにあたって、鬼役――というか鬼だったアオユキは瞬く間に標的にされた。
豆をぶつけられ、追い回され、鬼は外という掛け声とともに家から追い出された。
それから三十分。アオユキはまだ家に戻るのを許されていない。
冬空の下、ポツンとひとりでいるのはあまりにも寂しい。旅をしていた頃は、こんなふうに思ったりしなかった。この村で知り合ったエリーやドリューと過ごすようになった影響だろうか。
温かい部屋で笑顔のエリーとお喋りをしながら、楽しいひと時を過ごす。他愛もない時間が、こんなにもアオユキにとって大切なものになっていたのだと今になって気づいた。
「な、なあ、エリー。そろそろ中に入れてくれよ!」
立ち上がったアオユキは、おもいきって家の中にいるエリーに声をかけてみた。何度も扉を叩き、自分の存在を思い出してくれとアピールする。
けれど中から放たれた言葉は、あまりにも無慈悲だった。
「ごめんね。家の中に福を入れたばかりだし、日付が変わるまでは我慢してね」
アオユキは立ちくらみを覚えた。日付が変わるまで、あと数時間もある。申し訳程度に貸し出されている毛布一枚で、耐え続けろというのか。
家の前で膝をつき、両手で土を掴む。
「どうして福は家の中に入れてもらえて、アタシは駄目なんだ……!」
節分なんて日がなければ、仲良く生活できていたのに。そう考えると、とても悔しくなる。
「大体、どうして鬼だけが豆をぶつけられなければならないんだ。不公平じゃないか!」
忌々しげにそう言ったあとで、アオユキは気付く。
そうだ。人間に豆をぶつければいいんだ。そして、アタシの悲しみを少しでも知ってもらおう。
「エリー、今からアタシは鬼になる。……いや、もう鬼だけど」
言いながらアオユキは、ぶつけられたまま地面に転がっていた豆をひとつずつ拾っていく。
人間へ逆襲するために――。
●
「なーんちゃって。ごめんね。ちょっと意地悪してみました……って、あれ?」
家の中に入れてくれと言われたあとすぐ、エリーは自分の言葉を撤回しつつ扉を開けた。もちろん、外で寂しい思いをしているアオユキを迎えるためだ。
けれど家の外には、アオユキの影も形もなかった。周囲を見渡しても目的の女鬼を発見できなかったエリーは涙目になる。
「もしかして、怒って家出しちゃったの? ごめんなさい。いくらでも謝るから、帰ってきてよぉ」
泣きだしたエリーに反応するかのように、家の裏側にある茂みで何かが動く音がした。
それからすぐ、今度はアオユキの声が周囲に響いた。
「悪いけど、そうはいかない。アタシの辛さをエリーにも味わってもらう」
「うん、わかった。私が悪いんだもん、当然だよ。ごめんね」
「……ええっと、あの、その……」
「ちゃんと怒られるから、帰ってきて。せっかく仲良くなったのに、お別れは嫌だよ。やりすぎたのは謝るから」
「いや、そんなに泣かれると……あうう、そ、そうだ。じゃあ明日、アタシと勝負だ。それでエリーが勝ったら帰るよ。それでいいだろ」
「勝負?」
「指定した日の午前中に、同じく指定したコースを歩いてもらう。ゴールするまで、エリーがアタシに一回……じゃ少ないか。三回、豆をぶつけられなければ勝ちだ。いいね?」
頷いたエリー。涙はだいぶ乾きつつある。
そんなエリーの背後。家の中から音もなくドリューが姿を現した。
「話は聞いていたよ、エリー。確かにお前は意地悪をしすぎた。けれど、アオユキも大人気がなさすぎる。そこで、パパが秘密兵器を貸そう」
「秘密兵器?」
エリーが首を傾げた。
「これは試作豆鉄砲ハート。ハンドガンを改良し、弾丸の代わりに豆を使ったものだ。それでも、一般人を狙って撃ったら駄目なほどの威力がある。それでアオユキを返り討ちにするんだ。そうすれば結果的に豆をぶつけられず、お前の勝ちになる」
「そっか。パパ、頭いいね」
「もちろんだとも。ああ、そうだ。ハンターにも依頼を出しておこう。大人気ない女鬼を懲らしめたいという依頼をね」
「さ、さすがにやりすぎだろ! なんだ、その凶悪な豆鉄砲とやらは。それにハンターまで連れてこようとするなって!」
アオユキの声が震える。
「これでアオユキ対策は完璧だ。エリーが勝ったあとで、改めて仲直りの豆料理パーティーでもすればいい。大量の豆を使うだろうからね」
「うんっ!」
ドリューの提案に、元気よくエリーが頷く。
えらいことになったと隠れている茂みの中で震えるアオユキを、窓から憐れみを含んだ目でソニアが見つめていた。
――女鬼のアオユキは、空を見上げていた。
日中の太陽が嘘みたいに消え失せ、寒くなった夜風を肌に浴びながら、真っ暗な世界で体育座りをしている。
グラズヘイム王国ラスリド領。王国北東部――フェルダー地方に存在する領内のとある小さな田舎村リーラン。村というよりは集落と呼んだ方が相応しい規模である。
夜の闇が深くなった現在、村を歩き回る人間は誰もいない。だが、シンと静まり返ってるわけでもない。
豊かな木々を揺らすように風が吹き、アオユキの前髪を揺らす。導かれるように視線を前方の家に移動させれば、中から楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
そこはアオユキが世話になっている刀匠ドリューの家だった。ドリューには娘がいる。エリーという名前で、少し前まで鬼嫌いだった少女だ。
今ではすっかり仲良くなった。アオユキはそう思っていた。しかし、とある一日がすべてを破壊してしまった。
――節分という日が。
節分に関する情報を得たエリーは、同じ家で暮らすソニア、血は繋がっていないが姉のように慕う少女に是非、豆まきをやりたいと訴えた。
父親のドリューも娘には甘いが、ソニアも甘い。二つ返事で了承し、豆まきをやることになった。
鬼に豆をぶつけて、外へ追い出すという悪夢のイベントを。
「アタシが……アタシが何をしたっていうんだ……この仕打ちは……あんまりじゃないか……」
溢れそうになる涙を堪えるため、アオユキはまた空を見上げた。
豆まきをするにあたって、鬼役――というか鬼だったアオユキは瞬く間に標的にされた。
豆をぶつけられ、追い回され、鬼は外という掛け声とともに家から追い出された。
それから三十分。アオユキはまだ家に戻るのを許されていない。
冬空の下、ポツンとひとりでいるのはあまりにも寂しい。旅をしていた頃は、こんなふうに思ったりしなかった。この村で知り合ったエリーやドリューと過ごすようになった影響だろうか。
温かい部屋で笑顔のエリーとお喋りをしながら、楽しいひと時を過ごす。他愛もない時間が、こんなにもアオユキにとって大切なものになっていたのだと今になって気づいた。
「な、なあ、エリー。そろそろ中に入れてくれよ!」
立ち上がったアオユキは、おもいきって家の中にいるエリーに声をかけてみた。何度も扉を叩き、自分の存在を思い出してくれとアピールする。
けれど中から放たれた言葉は、あまりにも無慈悲だった。
「ごめんね。家の中に福を入れたばかりだし、日付が変わるまでは我慢してね」
アオユキは立ちくらみを覚えた。日付が変わるまで、あと数時間もある。申し訳程度に貸し出されている毛布一枚で、耐え続けろというのか。
家の前で膝をつき、両手で土を掴む。
「どうして福は家の中に入れてもらえて、アタシは駄目なんだ……!」
節分なんて日がなければ、仲良く生活できていたのに。そう考えると、とても悔しくなる。
「大体、どうして鬼だけが豆をぶつけられなければならないんだ。不公平じゃないか!」
忌々しげにそう言ったあとで、アオユキは気付く。
そうだ。人間に豆をぶつければいいんだ。そして、アタシの悲しみを少しでも知ってもらおう。
「エリー、今からアタシは鬼になる。……いや、もう鬼だけど」
言いながらアオユキは、ぶつけられたまま地面に転がっていた豆をひとつずつ拾っていく。
人間へ逆襲するために――。
●
「なーんちゃって。ごめんね。ちょっと意地悪してみました……って、あれ?」
家の中に入れてくれと言われたあとすぐ、エリーは自分の言葉を撤回しつつ扉を開けた。もちろん、外で寂しい思いをしているアオユキを迎えるためだ。
けれど家の外には、アオユキの影も形もなかった。周囲を見渡しても目的の女鬼を発見できなかったエリーは涙目になる。
「もしかして、怒って家出しちゃったの? ごめんなさい。いくらでも謝るから、帰ってきてよぉ」
泣きだしたエリーに反応するかのように、家の裏側にある茂みで何かが動く音がした。
それからすぐ、今度はアオユキの声が周囲に響いた。
「悪いけど、そうはいかない。アタシの辛さをエリーにも味わってもらう」
「うん、わかった。私が悪いんだもん、当然だよ。ごめんね」
「……ええっと、あの、その……」
「ちゃんと怒られるから、帰ってきて。せっかく仲良くなったのに、お別れは嫌だよ。やりすぎたのは謝るから」
「いや、そんなに泣かれると……あうう、そ、そうだ。じゃあ明日、アタシと勝負だ。それでエリーが勝ったら帰るよ。それでいいだろ」
「勝負?」
「指定した日の午前中に、同じく指定したコースを歩いてもらう。ゴールするまで、エリーがアタシに一回……じゃ少ないか。三回、豆をぶつけられなければ勝ちだ。いいね?」
頷いたエリー。涙はだいぶ乾きつつある。
そんなエリーの背後。家の中から音もなくドリューが姿を現した。
「話は聞いていたよ、エリー。確かにお前は意地悪をしすぎた。けれど、アオユキも大人気がなさすぎる。そこで、パパが秘密兵器を貸そう」
「秘密兵器?」
エリーが首を傾げた。
「これは試作豆鉄砲ハート。ハンドガンを改良し、弾丸の代わりに豆を使ったものだ。それでも、一般人を狙って撃ったら駄目なほどの威力がある。それでアオユキを返り討ちにするんだ。そうすれば結果的に豆をぶつけられず、お前の勝ちになる」
「そっか。パパ、頭いいね」
「もちろんだとも。ああ、そうだ。ハンターにも依頼を出しておこう。大人気ない女鬼を懲らしめたいという依頼をね」
「さ、さすがにやりすぎだろ! なんだ、その凶悪な豆鉄砲とやらは。それにハンターまで連れてこようとするなって!」
アオユキの声が震える。
「これでアオユキ対策は完璧だ。エリーが勝ったあとで、改めて仲直りの豆料理パーティーでもすればいい。大量の豆を使うだろうからね」
「うんっ!」
ドリューの提案に、元気よくエリーが頷く。
えらいことになったと隠れている茂みの中で震えるアオユキを、窓から憐れみを含んだ目でソニアが見つめていた。
解説
●目的
エリーの護衛&豆料理パーティーを楽しむ
●簡易map
※上から見下ろしてる感じ。map外の移動は不可
ABCDEFGHI 1マス=4sq(移動や射程に影響あり
a□□□草□□□□□ □=土
b□□□△□□草□□ ■=木(通行不可
c□穴□■■■□△△ △=茂み
d□□□■△■□□□ 草=土の上に草が乗っている
e□□□■△■□□□ 穴=落とし穴。ハンターであれば跳躍可能
f□□□■△■□□□ ※=ゴール地点
g□□□■△■□□□ ア=アオユキ
h□ア□□△■□ハ□ エ=エリー
i□※□■△■□エ□ ハ=ハンターの初期位置
ハンターはmap情報を事前に知らない。
●味方情報
ハンターの武器はドリューから貸し出される試作豆鉄砲ハート。豆鉄砲の射程範囲は12sq。3マス以内。移動手段は徒歩。
エリーが簡易map上「※」のゴール地点に重なる形で到達すれば、エリー側の勝利。エリーの移動力は1ラウンド3マス。移動に全力。
●敵情報
アオユキは豆鉄砲を10回当てると撃退可能。しかしアオユキは金棒を持っており、正面からの豆鉄砲は跳ね返す。
アオユキは手で豆を投げてくる。アオユキの射程は最大で4マス。ぶつけられてもダメージはない。
簡易map内には罠が仕掛けてある。引っかかってもダメージはないが、1ラウンド移動不能。
●豆料理パーティー
勝負終了後、エリー宅で使った豆をメインの食材にした料理でエリーとアオユキの仲直りパーティーが開催される。
どちらが勝利しても、行われる。殺伐とはせず、和気藹々な雰囲気になる。
食材は豆の他は、一般家庭でも調達できそうな田舎村でも流通されてる一般的なもの。ジャガイモや人参など。
作る側でも、食べる側でも、自由に参加可能。
なおエリー単独での料理を作ればメシマズになる。いつもはソニア主導で手伝いだけさせている。
アオユキは男勝りな口調は見た目とは裏腹に料理ができる。意外に美味しい。
エリーの護衛&豆料理パーティーを楽しむ
●簡易map
※上から見下ろしてる感じ。map外の移動は不可
ABCDEFGHI 1マス=4sq(移動や射程に影響あり
a□□□草□□□□□ □=土
b□□□△□□草□□ ■=木(通行不可
c□穴□■■■□△△ △=茂み
d□□□■△■□□□ 草=土の上に草が乗っている
e□□□■△■□□□ 穴=落とし穴。ハンターであれば跳躍可能
f□□□■△■□□□ ※=ゴール地点
g□□□■△■□□□ ア=アオユキ
h□ア□□△■□ハ□ エ=エリー
i□※□■△■□エ□ ハ=ハンターの初期位置
ハンターはmap情報を事前に知らない。
●味方情報
ハンターの武器はドリューから貸し出される試作豆鉄砲ハート。豆鉄砲の射程範囲は12sq。3マス以内。移動手段は徒歩。
エリーが簡易map上「※」のゴール地点に重なる形で到達すれば、エリー側の勝利。エリーの移動力は1ラウンド3マス。移動に全力。
●敵情報
アオユキは豆鉄砲を10回当てると撃退可能。しかしアオユキは金棒を持っており、正面からの豆鉄砲は跳ね返す。
アオユキは手で豆を投げてくる。アオユキの射程は最大で4マス。ぶつけられてもダメージはない。
簡易map内には罠が仕掛けてある。引っかかってもダメージはないが、1ラウンド移動不能。
●豆料理パーティー
勝負終了後、エリー宅で使った豆をメインの食材にした料理でエリーとアオユキの仲直りパーティーが開催される。
どちらが勝利しても、行われる。殺伐とはせず、和気藹々な雰囲気になる。
食材は豆の他は、一般家庭でも調達できそうな田舎村でも流通されてる一般的なもの。ジャガイモや人参など。
作る側でも、食べる側でも、自由に参加可能。
なおエリー単独での料理を作ればメシマズになる。いつもはソニア主導で手伝いだけさせている。
アオユキは男勝りな口調は見た目とは裏腹に料理ができる。意外に美味しい。
マスターより
お世話になっております、鳴海惣流です。
今回は通り過ぎた節分の日に起きた一件からの出来事となります。
ある意味で大人気ない女鬼のアオユキを懲らしめるでも、逆に味方になってみるでも可能です。
コメディ色が強くなりそうな気もしますので、自由に遊んでもらえればと思います。
それでは、皆様の依頼への参加を、お待ちしています。
今回は通り過ぎた節分の日に起きた一件からの出来事となります。
ある意味で大人気ない女鬼のアオユキを懲らしめるでも、逆に味方になってみるでも可能です。
コメディ色が強くなりそうな気もしますので、自由に遊んでもらえればと思います。
それでは、皆様の依頼への参加を、お待ちしています。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/02/21 20:22
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/02/15 17:54:24 |
|
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相談卓 恭牙(ka5762) 鬼|24才|男性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2016/02/15 19:29:42 |