ゲスト
(ka0000)
【深棲】TransPORT
マスター:墨上古流人

- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- サポート
- 現在0人 / 0~2人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 4日
- プレイング締切
- 2014/08/17 22:00
- リプレイ完成予定
- 2014/08/26 22:00
オープニング
「はい、よーい……」
ぱんっ、と大きな手拍子が一拍、石造りの部屋に反響する。
冷たい床に力を込めて、音と同時に男が駆けだすと、
体を曲げて足に力を込め、一瞬で数m先に数個積んであった木箱の頂点へと到達する。
「あ、そっちは……」
手を合わせたまま立っていた男は、
箱を飛び越えてゆく男の姿が、着地点に置いてあった梱包材の雪崩に埋まっていくところまでを見届けていた。
「けほ……おいユウ……前にもよく似た展開があったが……こんな所に荷物なんてあったか……?」
「足元ちゃんと見とかないからだよ」
「テンドンなんて求めてねーんだよ……」
食べたことないよ、おいしいの? と首を傾げながら、
ユウ、と呼ばれた男はきょとんとしている。
窓から入り込む夏の日差しは、整った顔立ちの長い銀髪を一直線に照らす。
幸の薄そうな、どこか虚ろで透明感のあるその男は、眩しそうに見せる様子もなく、執務用の椅子に腰をかけた。
ここは帝国第九師団―――フリデンルーエンと呼ばれる部隊の執務室。
先日帝国のこの救援師団は、巷を騒がせる『狂気』のヴォイド対策の一環として、
同盟領某所の海岸線の警備、海難救護に赴いていた。
「リベルトの報告書、返ってきたよ」
「なんか言ってるか、うちの女帝様は」
リベルトと呼ばれた先の任務に参加した副師団長は、
ユウの向かいで椅子を反対に座り、背もたれに手と顎を載せてきぃきぃとゆりかごのように揺らす。
「見たよって印押してある」
「それだけか?」
「たまに芋の皮が挟まってる」
「いっぺんルミナちゃんには鼻から芋を食べるコツを教えてやらなきゃならんようだな」
「ダメだよリベルト、仮にも副師団長が不敬罪で連れてかれたら、僕の仕事が増えちゃうからね?」
机を挟んで手を伸ばし、リベルトの口を塞ぐように指を伸ばすユウ。
にこっ、と虚ろな目で微笑まれると、舌打ち混じりで報告書をひったくる。
「んで、次はどーすんだ?」
「わかってるでしょ? ってことなんじゃないかなぁ」
「俺はさっぱりだ。何か意見はあるかい?」
「んー……ヴィルヘルミナさん、あんま派兵はしたくないらしいし、かといって救援師団として全く人出さないのも……」
おもむろに席を立つユウ。
机の周りをぐるぐる歩き、手持無沙汰に棚の本を整理し、壁にかかったマトにダーツを4、5本飛ばしたところで席に戻ってきた。
「忘れてた、物資輸送しなきゃだった」
「おう、そういやそうだったな」
窓際で3本目の煙草に火をつけたところで、リベルトも思い出したように書類の束を放り投げる。
「持ってくものの手配は済んでるぞ。展開中の自軍用と、被害食らったパンピーの慰安用だな」
「ありがとうリベルト。どうやって持ってくんだっけ?」
「うちの師団のリソースはほとんど出す。残しとかなきゃいけねー分もあるから、輸送隊にはAPVからハンターを何人か拾ってくるつもりだ。道は帝国南東から同盟領に入って陸路で、途中分散しつつ大隊はヴァリオスまで」
「なるほど、うーん……でも、結構量多いよね?」
「そうだな、うちの女帝が今回そんなノリ気じゃない以上、下手な事で死なないようにってのもあるし、ハンターについては相変わらず手厚い対応が用意されてる」
「じゃあ……船でいこっか? 陸路は最小限にして」
ユウの提案に目をぱちくりさせるリベルト。伸びきった煙草の灰が窓の外へと零れていった。
「同盟領の北東部あたりのどっかに船止めさせてもらって、そこから陸沿いに輸送するの。量が多いなら船の方がみんな疲れないし、おっきな休憩の必要もないから早いと思うよ」
「そりゃあそうだがよユウ……リゼリオ沿岸から既に警戒態勢なのに、大丈夫なのか? 襲撃を喰らった際のリスクヘッジを考えるなら、陸路だぞ」
船が一隻沈めば、人も、物も、一度に失うものが多い。
確かに運搬は格段に楽になるが、それはハイリスクハイリターンな行動であった。
「でも戦いを控えて、人的疲弊は減らすにこしたことはないよ。それに僕自身、ハイなリターンが望めるなら、ハイなリスクも受けてたつけど……」
「そんなに船に乗りたいのか? 俺だけならいい、師団の連中だけでもない、ハンターや一般の水夫だっている」
「うん、わかってる。それらを蔑ろにするほど僕もまだ冷たくないよ」
だから……と言ってユウが立つ。
「船の方は僕が指揮執るよ。リベルトは一旦ここで待機して、次の行動に備えてて」
「なぁユウ、そういう問題でもねーんだよ。トップが出張るのは責任を果たしてるようで、ある意味責任逃れなんだよ」
さりげなく、ドアとユウの間に立つリベルト。
少し力を込めた顔で見つめるリベルトだが、ユウは動じない。
「ユウ。お前はここのトップだ。マストが揺らぐと船も揺れる。ふてぶてしく、そこで笑って立ってろ。そして俺に汚れてこいと命じろ。それが組織ってもんには必要なんだ」
「ありがとう、リベルト。でも……」
すっ、とリベルトの体ををすり抜けるようにドアへと向かうユウ。
「自分の立場は理解してるつもりだよ。僕の一言が与える影響は時に大きい、こういう作戦の立案だって出来る。だからこそ、今回の船のように僕だけでも手を伸ばしきれる『範囲』がわかってるなら、僕が守ってあげるべきだと思うんだ」
「……結局、やるんだな?」
「人については意地でも守るよ。物資はダメにしても、責任取るのは僕だしね」
相変わらずどこか虚ろな目ではある、が、その目は真っ直ぐにリベルトを見つめていた。
意図があるのか、決意が固いのか……リベルトはため息をひとつ零し、そして師団長の椅子へと向かう。
「ちゃんと戻ってこいよ」
「迷子の時は迎えに来てね」
鉄縁のドアが閉まる音が、石の部屋に響く。
クリムゾンウェストを苛む脅威は、既に錨をあげてすぐそこまで迫って来ていた。
ぱんっ、と大きな手拍子が一拍、石造りの部屋に反響する。
冷たい床に力を込めて、音と同時に男が駆けだすと、
体を曲げて足に力を込め、一瞬で数m先に数個積んであった木箱の頂点へと到達する。
「あ、そっちは……」
手を合わせたまま立っていた男は、
箱を飛び越えてゆく男の姿が、着地点に置いてあった梱包材の雪崩に埋まっていくところまでを見届けていた。
「けほ……おいユウ……前にもよく似た展開があったが……こんな所に荷物なんてあったか……?」
「足元ちゃんと見とかないからだよ」
「テンドンなんて求めてねーんだよ……」
食べたことないよ、おいしいの? と首を傾げながら、
ユウ、と呼ばれた男はきょとんとしている。
窓から入り込む夏の日差しは、整った顔立ちの長い銀髪を一直線に照らす。
幸の薄そうな、どこか虚ろで透明感のあるその男は、眩しそうに見せる様子もなく、執務用の椅子に腰をかけた。
ここは帝国第九師団―――フリデンルーエンと呼ばれる部隊の執務室。
先日帝国のこの救援師団は、巷を騒がせる『狂気』のヴォイド対策の一環として、
同盟領某所の海岸線の警備、海難救護に赴いていた。
「リベルトの報告書、返ってきたよ」
「なんか言ってるか、うちの女帝様は」
リベルトと呼ばれた先の任務に参加した副師団長は、
ユウの向かいで椅子を反対に座り、背もたれに手と顎を載せてきぃきぃとゆりかごのように揺らす。
「見たよって印押してある」
「それだけか?」
「たまに芋の皮が挟まってる」
「いっぺんルミナちゃんには鼻から芋を食べるコツを教えてやらなきゃならんようだな」
「ダメだよリベルト、仮にも副師団長が不敬罪で連れてかれたら、僕の仕事が増えちゃうからね?」
机を挟んで手を伸ばし、リベルトの口を塞ぐように指を伸ばすユウ。
にこっ、と虚ろな目で微笑まれると、舌打ち混じりで報告書をひったくる。
「んで、次はどーすんだ?」
「わかってるでしょ? ってことなんじゃないかなぁ」
「俺はさっぱりだ。何か意見はあるかい?」
「んー……ヴィルヘルミナさん、あんま派兵はしたくないらしいし、かといって救援師団として全く人出さないのも……」
おもむろに席を立つユウ。
机の周りをぐるぐる歩き、手持無沙汰に棚の本を整理し、壁にかかったマトにダーツを4、5本飛ばしたところで席に戻ってきた。
「忘れてた、物資輸送しなきゃだった」
「おう、そういやそうだったな」
窓際で3本目の煙草に火をつけたところで、リベルトも思い出したように書類の束を放り投げる。
「持ってくものの手配は済んでるぞ。展開中の自軍用と、被害食らったパンピーの慰安用だな」
「ありがとうリベルト。どうやって持ってくんだっけ?」
「うちの師団のリソースはほとんど出す。残しとかなきゃいけねー分もあるから、輸送隊にはAPVからハンターを何人か拾ってくるつもりだ。道は帝国南東から同盟領に入って陸路で、途中分散しつつ大隊はヴァリオスまで」
「なるほど、うーん……でも、結構量多いよね?」
「そうだな、うちの女帝が今回そんなノリ気じゃない以上、下手な事で死なないようにってのもあるし、ハンターについては相変わらず手厚い対応が用意されてる」
「じゃあ……船でいこっか? 陸路は最小限にして」
ユウの提案に目をぱちくりさせるリベルト。伸びきった煙草の灰が窓の外へと零れていった。
「同盟領の北東部あたりのどっかに船止めさせてもらって、そこから陸沿いに輸送するの。量が多いなら船の方がみんな疲れないし、おっきな休憩の必要もないから早いと思うよ」
「そりゃあそうだがよユウ……リゼリオ沿岸から既に警戒態勢なのに、大丈夫なのか? 襲撃を喰らった際のリスクヘッジを考えるなら、陸路だぞ」
船が一隻沈めば、人も、物も、一度に失うものが多い。
確かに運搬は格段に楽になるが、それはハイリスクハイリターンな行動であった。
「でも戦いを控えて、人的疲弊は減らすにこしたことはないよ。それに僕自身、ハイなリターンが望めるなら、ハイなリスクも受けてたつけど……」
「そんなに船に乗りたいのか? 俺だけならいい、師団の連中だけでもない、ハンターや一般の水夫だっている」
「うん、わかってる。それらを蔑ろにするほど僕もまだ冷たくないよ」
だから……と言ってユウが立つ。
「船の方は僕が指揮執るよ。リベルトは一旦ここで待機して、次の行動に備えてて」
「なぁユウ、そういう問題でもねーんだよ。トップが出張るのは責任を果たしてるようで、ある意味責任逃れなんだよ」
さりげなく、ドアとユウの間に立つリベルト。
少し力を込めた顔で見つめるリベルトだが、ユウは動じない。
「ユウ。お前はここのトップだ。マストが揺らぐと船も揺れる。ふてぶてしく、そこで笑って立ってろ。そして俺に汚れてこいと命じろ。それが組織ってもんには必要なんだ」
「ありがとう、リベルト。でも……」
すっ、とリベルトの体ををすり抜けるようにドアへと向かうユウ。
「自分の立場は理解してるつもりだよ。僕の一言が与える影響は時に大きい、こういう作戦の立案だって出来る。だからこそ、今回の船のように僕だけでも手を伸ばしきれる『範囲』がわかってるなら、僕が守ってあげるべきだと思うんだ」
「……結局、やるんだな?」
「人については意地でも守るよ。物資はダメにしても、責任取るのは僕だしね」
相変わらずどこか虚ろな目ではある、が、その目は真っ直ぐにリベルトを見つめていた。
意図があるのか、決意が固いのか……リベルトはため息をひとつ零し、そして師団長の椅子へと向かう。
「ちゃんと戻ってこいよ」
「迷子の時は迎えに来てね」
鉄縁のドアが閉まる音が、石の部屋に響く。
クリムゾンウェストを苛む脅威は、既に錨をあげてすぐそこまで迫って来ていた。
解説
同盟領を陸沿いに南下し船にて人員及び物資を輸送する。
船は3隻、中型帆船。
特別な武装は無く、小型の手漕ぎボートが各船に6艘備えられている。
乗組員は各船に師団メンバー10ずつ、一般水夫5名。
ユウはそのうちの1隻に乗ります、ハンターの乗船内訳はお任せ。
師団メンバーの8割(=24名)はクルセイダー、残り6名は1名ずつ残りのクラスが在籍しています。
◆出現予想敵勢力
・トビウオ型雑魔
大きさはマグロ程。
なりふり構わず突撃してきます。
攻撃手段は主に噛みつき。滑空時の羽も切れますし、体当たりも結構痛いです。
・ウミヘビ型雑魔
全長2m~5m。
潜って移動し攻撃の際に姿を現すという感じです。
攻撃手段は主に噛みつきと締めつけ。
・鳥型雑魔
一般的なカラス程~大きいものでは翼竜ぐらいのものも。
攻撃手段は主に突撃、爪。
◆備考
クルセイダーのユウが随伴します。
割とふらふらふわふわしてるんで、適当に使って構いません。
その他、師団メンバー及び水夫については、
細かい指示は行き渡りずらいかもしれませんが、大まかなお願いをすることは可能です。
船は3隻、中型帆船。
特別な武装は無く、小型の手漕ぎボートが各船に6艘備えられている。
乗組員は各船に師団メンバー10ずつ、一般水夫5名。
ユウはそのうちの1隻に乗ります、ハンターの乗船内訳はお任せ。
師団メンバーの8割(=24名)はクルセイダー、残り6名は1名ずつ残りのクラスが在籍しています。
◆出現予想敵勢力
・トビウオ型雑魔
大きさはマグロ程。
なりふり構わず突撃してきます。
攻撃手段は主に噛みつき。滑空時の羽も切れますし、体当たりも結構痛いです。
・ウミヘビ型雑魔
全長2m~5m。
潜って移動し攻撃の際に姿を現すという感じです。
攻撃手段は主に噛みつきと締めつけ。
・鳥型雑魔
一般的なカラス程~大きいものでは翼竜ぐらいのものも。
攻撃手段は主に突撃、爪。
◆備考
クルセイダーのユウが随伴します。
割とふらふらふわふわしてるんで、適当に使って構いません。
その他、師団メンバー及び水夫については、
細かい指示は行き渡りずらいかもしれませんが、大まかなお願いをすることは可能です。
マスターより
大規模作戦、始まりますが皆さん準備の方はいかがでしょうか。
第九はあんま表立つ部隊ではないので、こんな作戦で、全体の準備の貢献するような感じです。
散々リベルトが脅してますが、ビビりすぎてもアレな依頼です。
よかったらユウと遊んでやってください。
第九はあんま表立つ部隊ではないので、こんな作戦で、全体の準備の貢献するような感じです。
散々リベルトが脅してますが、ビビりすぎてもアレな依頼です。
よかったらユウと遊んでやってください。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/08/24 03:22
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/08/13 22:45:59 |
|
![]() |
相談はこっちでね。 ジェーン・ノーワース(ka2004) 人間(リアルブルー)|15才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/08/17 20:40:01 |