ゲスト
(ka0000)
ハルトフォートの客人と、妖魔戦士
マスター:草なぎ

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- サポート
- 現在0人 / 0~20人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/02/19 19:00
- リプレイ完成予定
- 2016/02/28 19:00
オープニング
金髪で軍服を着た若者がいた。名をユゼリウスと言った。彼はふと手を止めた。思いもよらない時に人は過去を思い出す。懐かしい彼女の顔。アリア。王立学校で出会った彼女は今頃どうしているだろうか……。夢中で恋をした。好きだった。自分の中の溢れる感情を抑えきれなかったものだ。あれから五年が経った。二十五歳になったユゼリウスは軍人になって王国西方リベルタースに赴任し、前線の砦ハルトフォートにおいてドワーフの司令官ラーズスヴァンの下で将校を務めている。
彼が所属しているのは、ラーズスヴァンの管理下にある魔導砲関連の分室だった。室内では士官と技術者がデスクを挟んでミーティングをしていたり、ある者は書類と睨めっこしたり、書類の束を抱えて歩いていたりする者がいる。デスクの上には兵器の設計図などが雑然と散らかっている。部屋の壁は石造りで、ヴィクトリア朝を思わせる暖炉や調度品なども置かれている。
「将校殿」
ユゼリウスは下士官に呼ばれて客人の来訪を告げられた。王都イルダーナの軍務省からの客人であった。部下が連れて来た客人を見て、ユゼリウスは驚愕した。
「アリア」
軍帽を被った軍服の美女がユゼリウスのデスクの前までやってくる。アリアは長い黒髪を後ろでまとめていた。軍帽を取ると、アリアは敬礼した。
「ユゼリウス様。お久しぶりでございます」
「『様』はいいだろ。軍務省で何をしているんだ?」
アリアは笑った。
「あれやこれやよ。お偉方の手伝いね」
「官僚になったのか。出世したな」
「あなたもね」
しばし旧交を温め合った二人であったが、ユゼリウスが用向きを伝えると、アリアは肩をすくめた。
「ちょっと、例の魔導砲の様子を見に来たんだけど」
「というと?」
「ラーズスヴァンがロマンを抱いている代物。要塞砲のことなんだけど」
「あれはまだ完成はしてないんだが」
「そう。噂じゃかなりのでかぶつ、大きさって聞いてるわ。貴族たちが欲しがってるわよ」
アリアはくすくすと笑った。
「話が広まってるようだな」
「そりゃそうでしょ。国内のお偉方、教会も貴族連も無関心じゃないわよ。仮にそんなものが自分たちの方に向けられたら心穏やかじゃないわよね。というより、そんなものが存在するとしたら、自分たちが所有したいと思うのは当然よね」
「ふむ」
ユゼリウスは指先でデスクを叩いていた。アリアは肩をすくめた。
「設計図はどこ? 見せて頂戴」
「設計図は無い」
「嘘おっしゃい」
「ほんとだ」
「これだけ資料が散らばっていて、設計図が一枚も無いって言うの?」
アリアが室内を見渡すと、ユゼリウスは肩をすくめた。
「ここにあるのは普通の魔導砲の設計図だけだ。まだ野戦砲をベースに改良を施している段階だ」
そこで、室内に割れんばかりの怒号が鳴り響いた。
「よお官僚のお嬢さん! ユゼリウスの言ってることはほんとだぜ!」
アリアは振り返った。室内の全員が立ち上がって敬礼する。
小柄なずんぐりとしたドワーフがいた。髪は青緑がかった黒。瞳は暗い赤。小麦色の肌をして、金の肩章を付けた漆黒の軍服を身に付けている。ひげを蓄えた顔から覗く真紅の瞳は笑っていなかった。西方リベルタース方面軍ハルトフォート司令官のドワーフ、ラーズスヴァンである。
ラーズスヴァンのことを噂程度にしか知らなかったアリアは、小柄なドワーフの身が放つ圧倒的な威風に胸騒ぎを覚えつつ目を細めた。この男がラーズスヴァン……。
ラーズスヴァンは後ろに手を組んで歩み寄ってくると、アリアを頭の先から足の先まで眺めまわした。
「良い女だな。ユゼリウス、知り合いか。隅に置けん奴だ。がっはっは!」
「王立学校時代の学友です」
「そうか。お嬢ちゃん。残念だがここにはまだ普通の魔導砲関連しか無いぞ。要塞砲の設計図は目下ここに入ってる」
ラーズスヴァンは自分の頭を指で叩いた。
「洗脳でもして俺の脳みそを調べ尽くすか? だがまあ、期待はしてもらおう。宮廷のお偉方にはエールをたんまりと送ってよこせと言っておいてくれ」
ラーズスヴァンはアリアの尻をぽんぽんと叩いた。
「上司からは要塞砲の進捗状況に関して、確認するように命令されております。司令官殿」
「そうか! ご苦労なことだな! まあ好きにしてくれ! その辺のデスクを適当に使ってくれて構わんぞ! 働いてくれるなら結構! ユゼリウス! お嬢さんを部屋に案内してやれ! 肝の据わった女は嫌いじゃない! がっはっは!」
ラーズスヴァンは大笑して部屋から出て行った。
アリアはその後ろ姿を見送って吐息した。
「憎めないお人だな」
「気に入られたようだな」
ユゼリウスは苦笑した。こうしてハルトフォートは新たな客人を迎えることになる。
ベリアルが撤退した歪虚の島イスルダ島は歪虚の浸食が進んで風前の灯であった。沿岸地帯には王国軍の野営地があって、二十四時間体制でイスルダ島を監視している。野営地からハルトフォートへ知らせが届いたのは、ある晴れた日のことだった。
アイテルカイトの鋼塊弾が次々と沿岸部に飛来し、爆発した鋼塊弾は炸裂して負のマテリアルをばらまいた。雑魔が発生して王国軍の野営地へ向かって前進し始めた。
「撃て!」
ドウ! ドウ! ドウ! ドウ! ドウ! ドウ! ドウ! ドウ!
前線の高台に備えつけられた野戦砲が火を吹く。前進してくる雑魔は降り注ぐ榴弾で木端微塵になっていく。
「しぶといな」
先日とは打って変わって黒い甲冑に巨大な黒い戦斧を背負ったラーズスヴァンは、望遠鏡で前線を見ていた。
「とりあえず雑魚は火砲で一掃する。退屈しのぎだな」
ラーズスヴァンは望遠鏡を下ろして砲兵たちに砲撃の続行を命じると、自身は野営地に設置したヴィクトリア朝様式の豪奢なテーブルと椅子のセットに居を構え、大好物のエールを飲み始めた。
状況に変化が生じたのは、間断なく降り注ぐ歪虚の鋼塊弾で沿岸地帯の汚染がひどくなり始めた頃だった。雑魔とは明らかに異なる黒鋼の甲冑姿の妖魔戦士が火線を突破し始めたのである。
「仕方ねえなあ……」
ラーズスヴァンはエールを飲み干すと、部下に命じた。
「兵を出せ。ハンターの出番だ。連中を解き放て。あの化け物どもをぶっ潰して来い、とな」
戦の幕が開く。
彼が所属しているのは、ラーズスヴァンの管理下にある魔導砲関連の分室だった。室内では士官と技術者がデスクを挟んでミーティングをしていたり、ある者は書類と睨めっこしたり、書類の束を抱えて歩いていたりする者がいる。デスクの上には兵器の設計図などが雑然と散らかっている。部屋の壁は石造りで、ヴィクトリア朝を思わせる暖炉や調度品なども置かれている。
「将校殿」
ユゼリウスは下士官に呼ばれて客人の来訪を告げられた。王都イルダーナの軍務省からの客人であった。部下が連れて来た客人を見て、ユゼリウスは驚愕した。
「アリア」
軍帽を被った軍服の美女がユゼリウスのデスクの前までやってくる。アリアは長い黒髪を後ろでまとめていた。軍帽を取ると、アリアは敬礼した。
「ユゼリウス様。お久しぶりでございます」
「『様』はいいだろ。軍務省で何をしているんだ?」
アリアは笑った。
「あれやこれやよ。お偉方の手伝いね」
「官僚になったのか。出世したな」
「あなたもね」
しばし旧交を温め合った二人であったが、ユゼリウスが用向きを伝えると、アリアは肩をすくめた。
「ちょっと、例の魔導砲の様子を見に来たんだけど」
「というと?」
「ラーズスヴァンがロマンを抱いている代物。要塞砲のことなんだけど」
「あれはまだ完成はしてないんだが」
「そう。噂じゃかなりのでかぶつ、大きさって聞いてるわ。貴族たちが欲しがってるわよ」
アリアはくすくすと笑った。
「話が広まってるようだな」
「そりゃそうでしょ。国内のお偉方、教会も貴族連も無関心じゃないわよ。仮にそんなものが自分たちの方に向けられたら心穏やかじゃないわよね。というより、そんなものが存在するとしたら、自分たちが所有したいと思うのは当然よね」
「ふむ」
ユゼリウスは指先でデスクを叩いていた。アリアは肩をすくめた。
「設計図はどこ? 見せて頂戴」
「設計図は無い」
「嘘おっしゃい」
「ほんとだ」
「これだけ資料が散らばっていて、設計図が一枚も無いって言うの?」
アリアが室内を見渡すと、ユゼリウスは肩をすくめた。
「ここにあるのは普通の魔導砲の設計図だけだ。まだ野戦砲をベースに改良を施している段階だ」
そこで、室内に割れんばかりの怒号が鳴り響いた。
「よお官僚のお嬢さん! ユゼリウスの言ってることはほんとだぜ!」
アリアは振り返った。室内の全員が立ち上がって敬礼する。
小柄なずんぐりとしたドワーフがいた。髪は青緑がかった黒。瞳は暗い赤。小麦色の肌をして、金の肩章を付けた漆黒の軍服を身に付けている。ひげを蓄えた顔から覗く真紅の瞳は笑っていなかった。西方リベルタース方面軍ハルトフォート司令官のドワーフ、ラーズスヴァンである。
ラーズスヴァンのことを噂程度にしか知らなかったアリアは、小柄なドワーフの身が放つ圧倒的な威風に胸騒ぎを覚えつつ目を細めた。この男がラーズスヴァン……。
ラーズスヴァンは後ろに手を組んで歩み寄ってくると、アリアを頭の先から足の先まで眺めまわした。
「良い女だな。ユゼリウス、知り合いか。隅に置けん奴だ。がっはっは!」
「王立学校時代の学友です」
「そうか。お嬢ちゃん。残念だがここにはまだ普通の魔導砲関連しか無いぞ。要塞砲の設計図は目下ここに入ってる」
ラーズスヴァンは自分の頭を指で叩いた。
「洗脳でもして俺の脳みそを調べ尽くすか? だがまあ、期待はしてもらおう。宮廷のお偉方にはエールをたんまりと送ってよこせと言っておいてくれ」
ラーズスヴァンはアリアの尻をぽんぽんと叩いた。
「上司からは要塞砲の進捗状況に関して、確認するように命令されております。司令官殿」
「そうか! ご苦労なことだな! まあ好きにしてくれ! その辺のデスクを適当に使ってくれて構わんぞ! 働いてくれるなら結構! ユゼリウス! お嬢さんを部屋に案内してやれ! 肝の据わった女は嫌いじゃない! がっはっは!」
ラーズスヴァンは大笑して部屋から出て行った。
アリアはその後ろ姿を見送って吐息した。
「憎めないお人だな」
「気に入られたようだな」
ユゼリウスは苦笑した。こうしてハルトフォートは新たな客人を迎えることになる。
ベリアルが撤退した歪虚の島イスルダ島は歪虚の浸食が進んで風前の灯であった。沿岸地帯には王国軍の野営地があって、二十四時間体制でイスルダ島を監視している。野営地からハルトフォートへ知らせが届いたのは、ある晴れた日のことだった。
アイテルカイトの鋼塊弾が次々と沿岸部に飛来し、爆発した鋼塊弾は炸裂して負のマテリアルをばらまいた。雑魔が発生して王国軍の野営地へ向かって前進し始めた。
「撃て!」
ドウ! ドウ! ドウ! ドウ! ドウ! ドウ! ドウ! ドウ!
前線の高台に備えつけられた野戦砲が火を吹く。前進してくる雑魔は降り注ぐ榴弾で木端微塵になっていく。
「しぶといな」
先日とは打って変わって黒い甲冑に巨大な黒い戦斧を背負ったラーズスヴァンは、望遠鏡で前線を見ていた。
「とりあえず雑魚は火砲で一掃する。退屈しのぎだな」
ラーズスヴァンは望遠鏡を下ろして砲兵たちに砲撃の続行を命じると、自身は野営地に設置したヴィクトリア朝様式の豪奢なテーブルと椅子のセットに居を構え、大好物のエールを飲み始めた。
状況に変化が生じたのは、間断なく降り注ぐ歪虚の鋼塊弾で沿岸地帯の汚染がひどくなり始めた頃だった。雑魔とは明らかに異なる黒鋼の甲冑姿の妖魔戦士が火線を突破し始めたのである。
「仕方ねえなあ……」
ラーズスヴァンはエールを飲み干すと、部下に命じた。
「兵を出せ。ハンターの出番だ。連中を解き放て。あの化け物どもをぶっ潰して来い、とな」
戦の幕が開く。
解説
リベルタースの最前線にて、歪虚を撃退するシナリオです。じわじわと妖魔戦士が火戦を突破。前線基地に向かってきます。これを撃退して下さい。現在のところは相手にする数はそれほど多くはありません。戦場には起伏があり、木が生えており、岩場などもあります。白兵戦になるでしょう。
■メイン敵情報
アイテルカイト鋼塊弾:ダイヤモンド型の鋼塊歪虚。炸裂して負のマテリアルをばらまく。戦闘開始時には出現が収まって戦闘には参加しない。
アイテルカイト妖魔戦士:黒鋼の甲冑に身を包んだ妖魔戦士。甲冑の中身はマグマのような炎で満たされている。知能は高め。人語はほとんど話せない。一部流暢に喋る変異体も混じっている模様。近接武器で武装。スマッシュ、ソニックブーム、連続攻撃、スマッシュ強、ソニックブーム大、面甲を開いての熱光線、指先からのマグマ弾などの魔法を使う歪虚もいる。総数30体程度。PCが遭遇して相手にするのはこの中の10体程度の敵主力チーム。この敵チームは二人一組でペアを組んで二体のボス格を囲んでダイヤモンドを形成しています。
■味方NPC
ハンターや騎士など。PCが戦う以外の他の敵チームと戦っています。この辺りは背景情報ですが、PCの他に敵の数に応じた味方NPCが戦っています。
■補足NPC
ユゼリウス:25歳。男。ハルトフォート士官。エンフォーサーLV20。戦闘には参加しない。
アリア:25歳。女。軍務省の官僚。クルセイダーLV20。戦闘には参加しない。
ラーズスヴァン:56歳(外見年齢)。ハルトフォート総司令官。ドワーフの猛者。エールが大好物らしい。
■その他
戦闘終結後に聖職者たちが沿岸地帯を浄化します。雑魔の掃討戦などもあり。
■メイン敵情報
アイテルカイト鋼塊弾:ダイヤモンド型の鋼塊歪虚。炸裂して負のマテリアルをばらまく。戦闘開始時には出現が収まって戦闘には参加しない。
アイテルカイト妖魔戦士:黒鋼の甲冑に身を包んだ妖魔戦士。甲冑の中身はマグマのような炎で満たされている。知能は高め。人語はほとんど話せない。一部流暢に喋る変異体も混じっている模様。近接武器で武装。スマッシュ、ソニックブーム、連続攻撃、スマッシュ強、ソニックブーム大、面甲を開いての熱光線、指先からのマグマ弾などの魔法を使う歪虚もいる。総数30体程度。PCが遭遇して相手にするのはこの中の10体程度の敵主力チーム。この敵チームは二人一組でペアを組んで二体のボス格を囲んでダイヤモンドを形成しています。
■味方NPC
ハンターや騎士など。PCが戦う以外の他の敵チームと戦っています。この辺りは背景情報ですが、PCの他に敵の数に応じた味方NPCが戦っています。
■補足NPC
ユゼリウス:25歳。男。ハルトフォート士官。エンフォーサーLV20。戦闘には参加しない。
アリア:25歳。女。軍務省の官僚。クルセイダーLV20。戦闘には参加しない。
ラーズスヴァン:56歳(外見年齢)。ハルトフォート総司令官。ドワーフの猛者。エールが大好物らしい。
■その他
戦闘終結後に聖職者たちが沿岸地帯を浄化します。雑魔の掃討戦などもあり。
マスターより
草なぎです。今回はアイテルカイト妖魔戦士との戦闘です。リベルタースでの戦闘をお楽しみください。PCの状況を限定しての敵チームとの戦闘です。背景の方は蛇足なので、メインは敵歪虚主力チームの攻略となります。宜しくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/02/21 21:59
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
作戦相談卓 不動 シオン(ka5395) 人間(リアルブルー)|27才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2016/02/19 01:46:31 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/02/17 01:01:39 |