• 戦闘

珈琲サロンとぱぁずの誘拐

マスター:佐倉眸

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/03/08 07:30
リプレイ完成予定
2016/03/17 07:30

オープニング

●或る号外
(前略)
 此度の襲撃による被害者は、発見者である母親の娘とその夫と子どもの3名。
 夫はフマーレ在住のオルゴール職人で先月に帰省、滞在中の部屋には多数のデザイン画、装飾類工具の類いが散乱しており、物取りの線からも調査中。
 また、母親の証言により、持ち去られたと見られるオルゴールについても目下捜索中。
 識者によるとこの襲撃は通常の歪虚によるものとは異なり、何等かの別の意図が覗えるとのことで……
(後略)

 まさかね、とユリアは呟いて号外をマガジンラックに立てる。
 もうすぐランチタイムの客で賑わう時間だ。

 蒸気工場都市フマーレの商業区の一角に小さな喫茶店が佇んでいる。
 店長は現在隠居中で、孫娘のユリアが代理として、店員のローレンツとともに切り盛りしている。
 店長の隠居先は極彩色の街ヴァリオス、その路地裏で閉店中の宝飾工房だ。
 店長が寄越した宝飾技師の見習いの少女、モニカがこの冬まで店を手伝っていたが、今は風邪を引いた店長の見舞いを兼ねて工房の片付けを手伝いに行っている。

 モニカが店にいた頃は彼女に任せていたマガジンラックを片付ける。雑誌を交換し、届いていた号外を前面に立てる。
 ふと目に入った小さな記事に胸騒ぎがした。
 母親と娘、オルゴール職人、子ども。
 先月、この店に来ていたオルゴール職人は、果たして彼ではないだろうか。
 実家に帰っていた妻から娘が生まれた知らせを受けて、娘のために作った特別なオルゴールを届けに向かったあの職人は。
「まさかね」
 もう一度呟くと、嫌な想像を振り払って、ランチの客を迎える準備を進める。


 賑わう時間を終えた店内は静かで、今日は常連客の姿も無い。空いている内に掃除をとモップを取ると、ドアのベルがからんと鳴った。
「こんにちは、ユリア」
 店に入ってきたのは大輪の花を幾重も飾る華やかな和装に、笄と櫛で結い上げて簪を揺らす黒い髪。
 底の厚い草履は鈴を仕込んで、歩く度にしゃんと涼しげな音を立てた。
 しかし、微笑んでユリアを呼んだその頬には深く裂けた傷が走っている。
「っ、どうしたの、その怪我」
 ユリアが慌てて声を上げるが、呼ぼうとしてもその名前が思い出せない。
 戸惑うユリアに硝子玉のような目がうっそりと微笑んで、ユリアの顔を覗き込んだ。
「酷い人たちに虐められたの。ぜーったい、許さないんだから。――私のことはハナって呼んで? もっと堅苦しい名前もあるけど、ユリアは友達だからね?」
――友達だから、私に怪我をさせた人たちのこと、ユリアも許したら駄目よ――
「ええ。ハナ。あなたに怪我をさせるなんて本当に酷いわ」
 ユリアの答えに満足げに笑ったハナはカウンターの椅子に座る。コーヒーを、と注文する。
 ネルに2杯分の豆を量って静かに湯を落とす。珈琲の香りが店内に広がった。

 ことん、と小さな音を立ててユリアがカップをハナの前に置く。ユリア自身もピンクのマグカップに煎れて寛いでいる。
「ねえ、ユリア……いいもの、見せてあげましょうか。ユリアもきっと気に入ると思うの」
 ハナが取り出したのは装飾のされた箱形のオルゴール、蓋を開くと優しいメロディが零れ落ちる。
「綺麗な音でしょ? 子守歌なのよ」
 どこかで聞いたことがあるそのメロディを思い出す前に、ハナの言葉が思考を掠う。
――よく聞いてね、この音だけを聞いて――
――私はユリアのお友達なの、ユリアはお友達の言うことは聞いてくれる優しい人でしょう――
 ハナの目がうっそりとユリアを見詰める。ハナの目を見ると手が震え、コーヒーを残したままのマグカップが床に落ちて砕けた。
 破片が散らばる。
 何かとても、大切なものをなくした記憶が重なって、ユリアは肩を抱き締めて座り込んだ。
「ユリア、ユリアの大切な人に会いたいでしょう?」
――一緒に来なさい――


 街の中を走る。
 手を引かれて。
 商店街を抜け、工場の並ぶ工業区へ、見慣れない道を繋いだ冷たい手だけを頼りに走って行く。
 今日は天気が良かったから。
 そんな理由を付けて飾っていたリボンが解けて、風に飛ばされていった。
 気に入っていたのに。
 どこか遠く、飛んでいって仕舞った。
 頭の中にはオルゴールの優しいメロディだけが延々と巡り続けている。

 どのくらい走っただろう。背後からはカラスの羽ばたきだけが聞こえてきた。


 急な依頼が入ったとオフィスに慌ただしく掲示された。

『フマーレの街中でカラス型の雑魔が大量発生しています。
 全て排除した後、原因の調査に協力をお願いします』

 街中に雑魔化かと顔を顰めて、もう1つ。

『喫茶店の店長さんが行方不明だそうです。
 捜索への協力をお願いします。
 街中には雑魔が発生しているため、注意して下さい』

解説

目的 雑魔の撃退、ユリアの捜索

●エネミー
カラス型雑魔×?
全長1m程のカラス。
地表から上に3スクエアまでの範囲で移動可能。
降下からの体当たり、嘴の打撃による攻撃を行う。
射程は下図。

□□□□□□□
□□◆★◆□□
□◆◆□◆◆□
□◆◆□◆◆□
★=カラス型雑魔、◆=カラス型雑魔の射程圏

PCからカラスへの攻撃は、
カラスの真下までのスクエア数+2(カラス下降中は+1、若しくは+0)の射程で可能とする。

歪虚(自称:ハナ)
振り袖に厚底の草履、黒髪を結った小柄な少女の姿。
針の投擲(対象1~3、射程1~5程度を確認)による攻撃を行う。
他の攻撃手段は不明。
雑魔や人間の死体などを盾として扱う特殊な防御手段を確認。
目的等の委細不明。
ユリアを連れて商業区を脱出。
(PL情報として:目的地は工業区の廃墟です)

●場所
商業区の街中。
表通りを細い通りに曲がった辺りからカラスが出没。
入り組んだ道を暫く行くと、工業区まで続く広い道へ。
工業区では物陰などに潜むものも。

細い道は幅1~、広い道は4~
道の両脇は柵や軒、広い道では並木など。
住人には退避が呼び掛けられています。

1スクエアに満たない物陰からの攻撃はありませんが、
通過後に背後を取る場合があります。

●NPC
ユリア
 珈琲サロンとぱぁずの店長代理、妙齢の女性。夫と死別して実家に戻ったところ、怪我の勢いで隠居した祖父に、店を任されることになった模様。
 現在攫われ中。


カラスを全て排除することで達成となります。
回避してユリアを捜索に専念することも可能です。
(その場合、到着までの捜索の方針と、残したカラスの対策をプレイングにお願いします)
スタート地点は特に定まっておりません。
出没地点がマッピングされており、細い道、広い道、工業区など、任意で出動可能です。
(PL情報として:排除完了後に、安全確認及び調査への同行が打診されます)

マスターより

オルゴール:珈琲サロンとぱぁずと誕生祝
マグカップとリボン:【春郷祭】珈琲サロンとぱぁずの贈り物
PL情報の廃墟:彼等の撤退

夏頃からとぱぁずに出ていた和装の不審者(×××)がやっと不審者(もとい、歪虚)になりました。
今回は、わらわら出てくるカラスの撃退です。
よろしくお願いします。

安全確認に同行した場合「~「とぱぁず」」とラストで合流します。

関連NPC

  • 店長代理
    ユリア・エーレンフリート(kz0155
    人間(クリムゾンウェスト)|26才|女性|一般人
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/03/16 23:50

参加者一覧

  • 課せられた罰の先に
    クオン・サガラ(ka0018
    人間(蒼)|25才|男性|機導師
  • 弾雨のイェーガー
    冬樹 文太(ka0124
    人間(蒼)|29才|男性|猟撃士
  • 雨降り婦人の夢物語
    外待雨 時雨(ka0227
    人間(蒼)|17才|女性|聖導士
  • Slum Nail
    リーゼロッテ(ka1864
    人間(紅)|20才|女性|疾影士
  • 電脳シューター
    榎本 かなえ(ka3567
    人間(蒼)|13才|女性|機導師
  • 真白き抱擁
    カリアナ・ノート(ka3733
    人間(紅)|10才|女性|魔術師
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/03/08 01:04:51
アイコン 相談卓
リーゼロッテ(ka1864
人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2016/03/08 01:13:34