ゲスト
(ka0000)
【闇光】嘘を真に
マスター:奈華里

このシナリオは2日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/03/11 07:30
- リプレイ完成予定
- 2016/03/22 07:30
オープニング
●
「おい、遅れてるぞ。急げ」
隊長が僕に声をかけてくる。
気にかけてくれるのは正直嬉しい。しかしだ。初任務からこんな危険な所に赴く事になるとは思わなかった。
リグ・サンガマ――そこは忘れられた国。青龍の加護を受けていた筈の土地は今や人と歪虚の戦場となりつつある。ある種の汚染が進む場所も多く、今自分が運んでいる龍鉱石がなければ覚醒者とてあまり長く滞在すると命の危機にもさらされる。そんな土地に来る事になったのはつい先日の事だった。
「予定していた者が体調を崩してしまってな。着任早々悪いが、輸送部隊に加わって欲しい」
尊敬していた上官からの移動命令に僕は首を縦に振る。
しかし、詳しい話を聞くうちに昔からの性格が災いして、どうにも気が重くなってゆく。
(うそだろ…あんな土地に行くなんて)
強欲の眷属がうようよしていると聞いている。でも、それは名誉ある任務でもあった。
なぜなら、その任務は人類のこれからを担う大事な任務だ。龍鉱石は普通の鉱石より力が強いらしく、ハンター達の力で奪還したカム・ラディ遺跡に運び復活させる事が出来れば、今後の戦いを有利に運ぶ事が出来るという…いわば切り札であると言っていい。だから、それを無事運び届ける事は最重要事項となっている。
「期待しているぞ」
上官の言葉――言葉を賜った時はとても嬉しかったのだが、今はその嬉しさより自分の弱さがついて回る。
(自分は決して強くないのに…)
むしろ臆病な部類に入る。なのに、こんな場所に送られたという事はもしかすると自分は捨て駒にされたのかもと邪推を巡らせてしまう。
(あぁ、駄目だ。あの方はそんな人ではないのに…)
判っていても頭はそちらへと気持ちを引っ張ってゆく。そんな自分に天罰が下った。
「お、おい…あれは!」
「敵だ! 皆、配置につけ…恐れ…グッ!?」
言いかけた隊長の肩に小さな影――
よく見てみればそこには三十センチほどの大きさの爬虫類に似た姿の敵が隊長の肩に喰らいついている。
「た、隊長!」
次第に食い込みが増し、苦悶の表情を浮かべる隊長に僕は声をかける事しかできない。
足がすくみ、汗が流れて…剣を握る手がガタガタと震える。
「俺は、いい…それより荷物を」
肩の敵をむんずと掴んで、隊長は強引に引き剥がそうとする。小さいながらも食い込んだ細かい歯は多く、肉を引き裂き血飛沫が飛ぶ。
「あ、ああぁぁぁぁ~」
僕はその光景に堪らず逃げ出していた。敵前逃亡とはまさにこの事を言うのだろう。
仲間が立ち向かう中、僕はそのまま荷車を置いて来た道をひたすら引き返す。
遠ざかっていく…後方では剣戟の音やら悲鳴が絶えず聞こえていたが、気にする余裕なんてなかった。
だけど、その後聞こえた言葉ははっきりと覚えている。それは隊長の言葉だ。
「あいつに救援を任せた。だから、持ち堪えるんだっ、いいなっ!」
ただ逃げ出しただけなのに…あの隊長は自分を庇ってくれたのだ。帰った時腰抜けだと言われないように。
いや、その時は士気を落としたくないと思っただけかもしれない。けれど、その言葉に救われて――。
●
「何、第1班が襲撃された?」
「はい。敵は複数…ワイバーンが何体かと、小型の、歩くトカゲみたいなやつが沢山です!」
輸送部隊は自分の隊だけではない。
出発日をズラして二班、三班がくる予定となっていた事を思い出し、僕は第二班に報告する。
「で、今の状況は?」
「隊長が交戦命令を出しましたが、あの様子だと長くはもたないと…」
逃げ出した自分が言える立場ではないが、敵にはあの翼竜がいるのだ。
小型のやつも動きは機敏だったから戦闘は厳しいものとなっている事だろう。
二班から本部へと情報は飛んで、僕が襲撃地に戻った時にはそこに隊長他生きた仲間の姿は見当らない。残っていたのは無残に引き裂かれた仲間の遺体とズタボロに壊された荷台のみだ。
「隊長…」
あの出血で大丈夫だっただろうか。
万一の為に回復魔法の使える仲間もいた筈だが、この分だとそれが行えたかは判らない。
「お、おい。あそこに人影があるぞっ!」
そんな折、同行していた一人がそれを見つけて駆けよれば、血だらけの隊長の姿がそこにある。
「おぉ……すまんな。派手にやられた……仲間も散じりに逃げて隠れてる筈だ。幸い、敵さんは鉱石を優先したらしいしなぁ…」
木に身体を預けながら、か細い声で隊長が言う。
「そうか…ま、処分は免れんが、生きていて何よりだ」
駆け寄った一人――隊長の見知った顔だったようで、彼が静かに慰める。
「ははっ、違いねぇ……けどな。まだ取り返す方法は、あるんだせぇ?」
隊長がそう言って小さく口元を吊り上げる。
「おまえ、まさか…」
「これでも隊長、なんでな。備えあれば憂いなしだ…」
隊長はそう言って、何故だか僕の方に視線を向けると何かを放って寄こす。
それは小さな笛だった。
その笛に息を吹き込むと同時に、近付いてくる小さな足音。大地を駆け、徐々にこちらに近付いてくる。
「何、俺のピエールは優秀だからな…きっとやってくれる」
隊長はそこで力尽きたようだった。かくりと力を失くし、目を閉じる。
「託されたのはお前だ。大方敵に何か仕込んだんだろうな…ピエールはそれを追う事が出来る」
すらっとした体格の恰好のいい犬だった。その犬の瞳の強さに勇気を貰って、僕はチャンスだと思った。
腑抜けた心に鞭を打って、もう一度…いや、今度はちゃんと向き合わなければならない。
時間はない。今度こそやれる事をちゃんとやらなければ。
「おい、遅れてるぞ。急げ」
隊長が僕に声をかけてくる。
気にかけてくれるのは正直嬉しい。しかしだ。初任務からこんな危険な所に赴く事になるとは思わなかった。
リグ・サンガマ――そこは忘れられた国。青龍の加護を受けていた筈の土地は今や人と歪虚の戦場となりつつある。ある種の汚染が進む場所も多く、今自分が運んでいる龍鉱石がなければ覚醒者とてあまり長く滞在すると命の危機にもさらされる。そんな土地に来る事になったのはつい先日の事だった。
「予定していた者が体調を崩してしまってな。着任早々悪いが、輸送部隊に加わって欲しい」
尊敬していた上官からの移動命令に僕は首を縦に振る。
しかし、詳しい話を聞くうちに昔からの性格が災いして、どうにも気が重くなってゆく。
(うそだろ…あんな土地に行くなんて)
強欲の眷属がうようよしていると聞いている。でも、それは名誉ある任務でもあった。
なぜなら、その任務は人類のこれからを担う大事な任務だ。龍鉱石は普通の鉱石より力が強いらしく、ハンター達の力で奪還したカム・ラディ遺跡に運び復活させる事が出来れば、今後の戦いを有利に運ぶ事が出来るという…いわば切り札であると言っていい。だから、それを無事運び届ける事は最重要事項となっている。
「期待しているぞ」
上官の言葉――言葉を賜った時はとても嬉しかったのだが、今はその嬉しさより自分の弱さがついて回る。
(自分は決して強くないのに…)
むしろ臆病な部類に入る。なのに、こんな場所に送られたという事はもしかすると自分は捨て駒にされたのかもと邪推を巡らせてしまう。
(あぁ、駄目だ。あの方はそんな人ではないのに…)
判っていても頭はそちらへと気持ちを引っ張ってゆく。そんな自分に天罰が下った。
「お、おい…あれは!」
「敵だ! 皆、配置につけ…恐れ…グッ!?」
言いかけた隊長の肩に小さな影――
よく見てみればそこには三十センチほどの大きさの爬虫類に似た姿の敵が隊長の肩に喰らいついている。
「た、隊長!」
次第に食い込みが増し、苦悶の表情を浮かべる隊長に僕は声をかける事しかできない。
足がすくみ、汗が流れて…剣を握る手がガタガタと震える。
「俺は、いい…それより荷物を」
肩の敵をむんずと掴んで、隊長は強引に引き剥がそうとする。小さいながらも食い込んだ細かい歯は多く、肉を引き裂き血飛沫が飛ぶ。
「あ、ああぁぁぁぁ~」
僕はその光景に堪らず逃げ出していた。敵前逃亡とはまさにこの事を言うのだろう。
仲間が立ち向かう中、僕はそのまま荷車を置いて来た道をひたすら引き返す。
遠ざかっていく…後方では剣戟の音やら悲鳴が絶えず聞こえていたが、気にする余裕なんてなかった。
だけど、その後聞こえた言葉ははっきりと覚えている。それは隊長の言葉だ。
「あいつに救援を任せた。だから、持ち堪えるんだっ、いいなっ!」
ただ逃げ出しただけなのに…あの隊長は自分を庇ってくれたのだ。帰った時腰抜けだと言われないように。
いや、その時は士気を落としたくないと思っただけかもしれない。けれど、その言葉に救われて――。
●
「何、第1班が襲撃された?」
「はい。敵は複数…ワイバーンが何体かと、小型の、歩くトカゲみたいなやつが沢山です!」
輸送部隊は自分の隊だけではない。
出発日をズラして二班、三班がくる予定となっていた事を思い出し、僕は第二班に報告する。
「で、今の状況は?」
「隊長が交戦命令を出しましたが、あの様子だと長くはもたないと…」
逃げ出した自分が言える立場ではないが、敵にはあの翼竜がいるのだ。
小型のやつも動きは機敏だったから戦闘は厳しいものとなっている事だろう。
二班から本部へと情報は飛んで、僕が襲撃地に戻った時にはそこに隊長他生きた仲間の姿は見当らない。残っていたのは無残に引き裂かれた仲間の遺体とズタボロに壊された荷台のみだ。
「隊長…」
あの出血で大丈夫だっただろうか。
万一の為に回復魔法の使える仲間もいた筈だが、この分だとそれが行えたかは判らない。
「お、おい。あそこに人影があるぞっ!」
そんな折、同行していた一人がそれを見つけて駆けよれば、血だらけの隊長の姿がそこにある。
「おぉ……すまんな。派手にやられた……仲間も散じりに逃げて隠れてる筈だ。幸い、敵さんは鉱石を優先したらしいしなぁ…」
木に身体を預けながら、か細い声で隊長が言う。
「そうか…ま、処分は免れんが、生きていて何よりだ」
駆け寄った一人――隊長の見知った顔だったようで、彼が静かに慰める。
「ははっ、違いねぇ……けどな。まだ取り返す方法は、あるんだせぇ?」
隊長がそう言って小さく口元を吊り上げる。
「おまえ、まさか…」
「これでも隊長、なんでな。備えあれば憂いなしだ…」
隊長はそう言って、何故だか僕の方に視線を向けると何かを放って寄こす。
それは小さな笛だった。
その笛に息を吹き込むと同時に、近付いてくる小さな足音。大地を駆け、徐々にこちらに近付いてくる。
「何、俺のピエールは優秀だからな…きっとやってくれる」
隊長はそこで力尽きたようだった。かくりと力を失くし、目を閉じる。
「託されたのはお前だ。大方敵に何か仕込んだんだろうな…ピエールはそれを追う事が出来る」
すらっとした体格の恰好のいい犬だった。その犬の瞳の強さに勇気を貰って、僕はチャンスだと思った。
腑抜けた心に鞭を打って、もう一度…いや、今度はちゃんと向き合わなければならない。
時間はない。今度こそやれる事をちゃんとやらなければ。
解説
内容
奪われた龍鉱石を取り戻す事
カム・ラディ遺跡への輸送中、運悪く強欲の眷属と思われる敵に襲撃されてしまった輸送部隊
しかし、輸送部隊の隊長は優秀でした
彼の相棒犬・ピエールに敵を追跡させる為の策を講じていたようです
一度は逃げ出してしまった新任君と共に敵を追跡し、龍鉱石を奪還してきて下さい
尚、隊長の策とは彼自身の匂いの付いたものを敵に仕込み追跡させるというもののようです
●場所、および敵について
カム・ラディ遺跡に向かう途中の樹海のような場所であり、
足元はごつごつしている所があったかと思うと時に湿り気を帯びていたりとさまざま
襲撃された地点は木々の切れ目にあたり、上空から姿を見つけられた模様
敵についてはOPの通り、ワイバーンが数体と小型の恐竜っぽい敵が確認されている
小型の敵は動きが素早く、無数の歯を有している事から注意が必要
そこそこの跳躍力もあるようだ
●NPCについて
まだ入ったばかりのひよっこ軍人君
誰かの助けになる為に軍人という道を選んだが、臆病な性格の持ち主
まず自分を助けないといけない事に気付いていない…のかもしれない
実技訓練の成績は意外と優秀であり、冷静な対処が出来れば戦力になる筈
今回の依頼には彼と案内役の犬・ピエールが同行します
何かありましたら、プレイングにて一筆お願いします
奪われた龍鉱石を取り戻す事
カム・ラディ遺跡への輸送中、運悪く強欲の眷属と思われる敵に襲撃されてしまった輸送部隊
しかし、輸送部隊の隊長は優秀でした
彼の相棒犬・ピエールに敵を追跡させる為の策を講じていたようです
一度は逃げ出してしまった新任君と共に敵を追跡し、龍鉱石を奪還してきて下さい
尚、隊長の策とは彼自身の匂いの付いたものを敵に仕込み追跡させるというもののようです
●場所、および敵について
カム・ラディ遺跡に向かう途中の樹海のような場所であり、
足元はごつごつしている所があったかと思うと時に湿り気を帯びていたりとさまざま
襲撃された地点は木々の切れ目にあたり、上空から姿を見つけられた模様
敵についてはOPの通り、ワイバーンが数体と小型の恐竜っぽい敵が確認されている
小型の敵は動きが素早く、無数の歯を有している事から注意が必要
そこそこの跳躍力もあるようだ
●NPCについて
まだ入ったばかりのひよっこ軍人君
誰かの助けになる為に軍人という道を選んだが、臆病な性格の持ち主
まず自分を助けないといけない事に気付いていない…のかもしれない
実技訓練の成績は意外と優秀であり、冷静な対処が出来れば戦力になる筈
今回の依頼には彼と案内役の犬・ピエールが同行します
何かありましたら、プレイングにて一筆お願いします
マスターより
戦闘でございます、奈華里です
敵が龍っぽいというのを知って、ならばやれるのではないかと急遽参加を
とは言え、私のシナリオですから大型の凄いのはいないです
けれども侮る事なきように…ご参加お待ちしています
敵が龍っぽいというのを知って、ならばやれるのではないかと急遽参加を
とは言え、私のシナリオですから大型の凄いのはいないです
けれども侮る事なきように…ご参加お待ちしています
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/03/21 23:30
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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龍鉱石を取り返せ! エリス・ブーリャ(ka3419) エルフ|17才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2016/03/10 21:59:30 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/03/08 16:10:23 |