ゲスト
(ka0000)
仔ユグディラが迷子
マスター:坂上テンゼン

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 普通
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在25人 / 1~25人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/03/16 12:00
- リプレイ完成予定
- 2016/03/25 12:00
オープニング
●一匹の仔ユグディラが行商人の荷馬車の中で揺られていた。
荷馬車でゴトゴトだからといって売られていくのではない。好奇心で潜り込んだのだ。
リンダールの森周辺の開拓村で商品を捌いている時のことだった。
食べ物でもあると思って、商人が取引をしている隙に荷馬車に飛び乗った。
珍しかったこともあってそのまま荷物の中身を物色していたら、荷馬車が動き出してしまった。
すぐに降りればよかったものを、動き出してから怖くなってしまい丸まって震えることしかできなかった。商人はまるで気づかずに馬車を走らせていく。
●そして時は流れ、港町ガンナ・エントラータ。
商人はついに気がつくことがなかった。荷車ごと倉庫に入れ、馬を厩舎に連れて行った。
仔ユグディラはようやく自分が取り返しの付かないところまで来てしまったのに気が付いた。
だがこのまま動かずにいて人間に見つかってしまうのはもっと怖い。何となく、そんな気がした。
意を決して荷馬車から飛び降りる。靴は履いていたので問題ない。しかしそれ以外には何も無い。
漏れている光を頼りに扉までは行けたが、当然鍵がかかっている。力の限り押すと、どうにか通れるだけの隙間が開いた。
ヒゲで距離を確かめ、押しながら通る。
体が通り抜けた。
そして尻尾が挟まれた。「ミギャアァーー!!!」
飛び上がった。
何とか扉を引っ張って尻尾を取り戻し、フーフー息を吹きかける。効果のほどは不明だ。
気を取り直して歩き出す。
夜の港町が広がっていた。
空気はどこか湿り気を帯び、吹き付ける風は潮の匂いを運んでくる。
夜だというのに灯りがそこここに見られる。漁から帰った漁師たちや取引を終えた商人達が夜の時間を楽しんでいるのだが、仔ユグディラには知る由もなかった。
恐る恐る歩き出す。地理もわからず彷徨うしかなかったが、そのままそこにいるわけにはいかなかった。
すると進行方向から突然野太い男の怒鳴り声が聞こえた。仔ユグディラには意味はわからなかったが、二人の男が怒鳴り合っていた。仔ユグディラは物陰に隠れて様子を伺っていたが、そのうち男達は殴り合いを始めた。
どうするべきか迷っていると、突如獣の臭いが鼻をついた。見ると、そこには黒い毛の大きな犬が大口を開けてこちらを見ているではないか。
一目散に逃げる。犬は追いかけて来る。ユグディラは種族として幻術を使えるのだが、使えるのは万全な状態のみであって、突然の危機に対応できるものではない。
だから頼れるものは己の足だけだったのだが、小さな穴が突然視界に飛び込んできたので、そこに飛び込んだ。
犬は音を立てて穴の縁にぶつかるが、大きいので中には入れない。
仔ユグディラはなんとかここでやり過ごそうとしたが、ふと上を見ると、そこには自分を見下ろす何者かがいることに気がついた。
人間だ。髪をざんばらにして汚い服を着ている。そして手にはぎらりと光るナイフが握られていた。
「ケガワ……ニク…………」
そいつはにやりと笑った。見るもの全てに嗜虐心を感じさせずにはおかない笑みだった。
ナイフが振り下ろされてきた。反射的に避け、人間の股の下を通って逃げる。
「むぁぁぁてぇぇぇぇ~~~~!」
喉の底から声を絞り出して追ってくる。逃げ惑う。しばしその人間の住まいと思しき廃屋で命をかけた追いかけっこが繰り広げられる。
その廃屋がかつて建物と呼ばれていた時は二階建てだった。今でも二階にあたる部分はあるので、仔ユグディラは階段を駆け上がった。
月が見えた。窓だ。
意を決して飛び込む。
ガラスははまっていなかった。眼前には隣の建物の屋根がある。仔ユグディラは屋根に跳び移ると、別の建物の屋根から屋根へと次々跳び移っていった。
追っ手が来ないことに気づいたのは三軒分の屋根に跳び移ってからだった。
……夜は危険だ。
そう判断した仔ユグディラは安全な場所を確保して夜を明かすことにした。
結局公園の木の上で一晩明かすことにした。
寒いが、外敵からは身が隠せるし、見通しも良い。
枝の上で丸まる。
春先の暖かい日だったので野外でもなんとか眠ることはできた。
●そして夜が明けた……。
仔ユグディラは目を覚まして顔を洗うと、下を見て高さに怯えつつも、恐る恐る降りていった。
ゆっくりと降りてやっと降り切った。周りを見渡す。
知らない世界が広がっていた。
太陽の位置でなんとなく故郷の方角くらいはわかるが、それ以外はさっぱりだ。
それでもなんとかして帰らなければならない。
仔ユグディラの、長い旅が始まる……。
荷馬車でゴトゴトだからといって売られていくのではない。好奇心で潜り込んだのだ。
リンダールの森周辺の開拓村で商品を捌いている時のことだった。
食べ物でもあると思って、商人が取引をしている隙に荷馬車に飛び乗った。
珍しかったこともあってそのまま荷物の中身を物色していたら、荷馬車が動き出してしまった。
すぐに降りればよかったものを、動き出してから怖くなってしまい丸まって震えることしかできなかった。商人はまるで気づかずに馬車を走らせていく。
●そして時は流れ、港町ガンナ・エントラータ。
商人はついに気がつくことがなかった。荷車ごと倉庫に入れ、馬を厩舎に連れて行った。
仔ユグディラはようやく自分が取り返しの付かないところまで来てしまったのに気が付いた。
だがこのまま動かずにいて人間に見つかってしまうのはもっと怖い。何となく、そんな気がした。
意を決して荷馬車から飛び降りる。靴は履いていたので問題ない。しかしそれ以外には何も無い。
漏れている光を頼りに扉までは行けたが、当然鍵がかかっている。力の限り押すと、どうにか通れるだけの隙間が開いた。
ヒゲで距離を確かめ、押しながら通る。
体が通り抜けた。
そして尻尾が挟まれた。「ミギャアァーー!!!」
飛び上がった。
何とか扉を引っ張って尻尾を取り戻し、フーフー息を吹きかける。効果のほどは不明だ。
気を取り直して歩き出す。
夜の港町が広がっていた。
空気はどこか湿り気を帯び、吹き付ける風は潮の匂いを運んでくる。
夜だというのに灯りがそこここに見られる。漁から帰った漁師たちや取引を終えた商人達が夜の時間を楽しんでいるのだが、仔ユグディラには知る由もなかった。
恐る恐る歩き出す。地理もわからず彷徨うしかなかったが、そのままそこにいるわけにはいかなかった。
すると進行方向から突然野太い男の怒鳴り声が聞こえた。仔ユグディラには意味はわからなかったが、二人の男が怒鳴り合っていた。仔ユグディラは物陰に隠れて様子を伺っていたが、そのうち男達は殴り合いを始めた。
どうするべきか迷っていると、突如獣の臭いが鼻をついた。見ると、そこには黒い毛の大きな犬が大口を開けてこちらを見ているではないか。
一目散に逃げる。犬は追いかけて来る。ユグディラは種族として幻術を使えるのだが、使えるのは万全な状態のみであって、突然の危機に対応できるものではない。
だから頼れるものは己の足だけだったのだが、小さな穴が突然視界に飛び込んできたので、そこに飛び込んだ。
犬は音を立てて穴の縁にぶつかるが、大きいので中には入れない。
仔ユグディラはなんとかここでやり過ごそうとしたが、ふと上を見ると、そこには自分を見下ろす何者かがいることに気がついた。
人間だ。髪をざんばらにして汚い服を着ている。そして手にはぎらりと光るナイフが握られていた。
「ケガワ……ニク…………」
そいつはにやりと笑った。見るもの全てに嗜虐心を感じさせずにはおかない笑みだった。
ナイフが振り下ろされてきた。反射的に避け、人間の股の下を通って逃げる。
「むぁぁぁてぇぇぇぇ~~~~!」
喉の底から声を絞り出して追ってくる。逃げ惑う。しばしその人間の住まいと思しき廃屋で命をかけた追いかけっこが繰り広げられる。
その廃屋がかつて建物と呼ばれていた時は二階建てだった。今でも二階にあたる部分はあるので、仔ユグディラは階段を駆け上がった。
月が見えた。窓だ。
意を決して飛び込む。
ガラスははまっていなかった。眼前には隣の建物の屋根がある。仔ユグディラは屋根に跳び移ると、別の建物の屋根から屋根へと次々跳び移っていった。
追っ手が来ないことに気づいたのは三軒分の屋根に跳び移ってからだった。
……夜は危険だ。
そう判断した仔ユグディラは安全な場所を確保して夜を明かすことにした。
結局公園の木の上で一晩明かすことにした。
寒いが、外敵からは身が隠せるし、見通しも良い。
枝の上で丸まる。
春先の暖かい日だったので野外でもなんとか眠ることはできた。
●そして夜が明けた……。
仔ユグディラは目を覚まして顔を洗うと、下を見て高さに怯えつつも、恐る恐る降りていった。
ゆっくりと降りてやっと降り切った。周りを見渡す。
知らない世界が広がっていた。
太陽の位置でなんとなく故郷の方角くらいはわかるが、それ以外はさっぱりだ。
それでもなんとかして帰らなければならない。
仔ユグディラの、長い旅が始まる……。
解説
このシナリオは港町ガンナ・エントラータから故郷のリンダールの森までを旅する仔ユグディラと、その途中に出会うPC達の群像劇です。
PCは何か目的を持って行動しており、その最中で仔ユグディラと出会い、少しの間時間を共有してから、別れます。仔ユグディラに関わる目的で近づくことや、旅の最後まで同行することはできません。
・ユグディラとは
二足歩行する猫の姿をした幻獣。
人語を解するが、人語を実際に口に出して喋ることはできない。
この物語の仔ユグディラは白い毛並みで身長30cm程の仔猫らしい仔猫。靴は履いている。
・参加方法
プレイングに「どの場所で登場し」「何をしているか」を書いてください。
「どの場所で登場するか」は以下の中から選んでください。
港街ガンナ・エントラータ
王国の主要都市のひとつ。同盟との交易によって非常に栄えている王国の海の玄関口。「夜も眠らぬ街」。
ブリギッド大街道
王国を東西に通る街道。
エリダス河
王国を横切る二本の大河のうち一本が、仔ユグディラの行く先を横切るように流れている。
開拓村
王国の東南東部辺り、森の南端周辺には小さな小さな開拓村がある。リンダールの森に面している。
リンダールの森
必ず迷うと噂される深い森。仔ユグディラの故郷がある。
「何をしているか」は冒険でも仕事でも自由に決めてください。
他にはどんなシチュエーションで出会うのか、どのように関わるか、どのように別れるか、など、貴方なりにドラマを演出してください。
貴方の『脇役力』が試されます!!!
諸注意:
PCの描写量はなるべく差がないようにしますが、どうしてもプレイングの内容次第で、描写量に差異が生じる可能性があります。
あまりに同じ場所に人が集中すると、描写量が相対的に減ってしまう可能性があります。
PCは何か目的を持って行動しており、その最中で仔ユグディラと出会い、少しの間時間を共有してから、別れます。仔ユグディラに関わる目的で近づくことや、旅の最後まで同行することはできません。
・ユグディラとは
二足歩行する猫の姿をした幻獣。
人語を解するが、人語を実際に口に出して喋ることはできない。
この物語の仔ユグディラは白い毛並みで身長30cm程の仔猫らしい仔猫。靴は履いている。
・参加方法
プレイングに「どの場所で登場し」「何をしているか」を書いてください。
「どの場所で登場するか」は以下の中から選んでください。
港街ガンナ・エントラータ
王国の主要都市のひとつ。同盟との交易によって非常に栄えている王国の海の玄関口。「夜も眠らぬ街」。
ブリギッド大街道
王国を東西に通る街道。
エリダス河
王国を横切る二本の大河のうち一本が、仔ユグディラの行く先を横切るように流れている。
開拓村
王国の東南東部辺り、森の南端周辺には小さな小さな開拓村がある。リンダールの森に面している。
リンダールの森
必ず迷うと噂される深い森。仔ユグディラの故郷がある。
「何をしているか」は冒険でも仕事でも自由に決めてください。
他にはどんなシチュエーションで出会うのか、どのように関わるか、どのように別れるか、など、貴方なりにドラマを演出してください。
貴方の『脇役力』が試されます!!!
諸注意:
PCの描写量はなるべく差がないようにしますが、どうしてもプレイングの内容次第で、描写量に差異が生じる可能性があります。
あまりに同じ場所に人が集中すると、描写量が相対的に減ってしまう可能性があります。
マスターより
坂上テンゼンに候。
仔ユグディラが幾多の出会いと別れを経験するシナリオです。
どんな物語になるかは皆さん次第。
是非、PCの個性を発揮して物語に彩を添えてください。
仔ユグディラが幾多の出会いと別れを経験するシナリオです。
どんな物語になるかは皆さん次第。
是非、PCの個性を発揮して物語に彩を添えてください。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/03/23 00:59
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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迷子の子猫さんと。 ミコト=S=レグルス(ka3953) 人間(リアルブルー)|16才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2016/03/16 11:40:15 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/03/16 11:31:39 |