主要街道の近辺に出現したジャイアントを追い払う、という依頼を受けて、ハンターたちは近くの市街にやってきていた。
「この先の森林を通る公道なのですが」
　現地の調査員が書類をめくり、ブリーフィングを始めた。
「先日から、鎧を装備したジャイアントの家族がこの一帯に居住区域を定めたようです」
　相手は夫婦と息子の三人の団体らしい。
　ジャイアントが移住してくることはそう珍しいことではないが、一方で彼らが人間の生活圏に近づいてくるのは珍しい。
　調査の結果、彼らが先日二人目の子供を産んでいること、彼らの元の居住区域が海岸線沿いであることを話した。
「海は今物騒ですからね。それでこちらに逃げてきたのだと思いますが」
　問題は、彼らが公道を半ば占拠しているということだ。
「このままだと物流は滞りますし、周囲の動物も瞬く間に数を減らすでしょう。幸い人的被害はまだありませんが、間接的な街の被害は甚大です」
　ですが、と調査員はジャイアントの情報を話す。
　全員が鎧を装備しており、家長は兜を身につけている。また全員鉄塊のような剣で武装しており、それなり以上の練度を持っているようだ。
　ジャイアントの特徴として耐久性が高く、驚くほどに膂力がある。
「危険な相手だと思われます。覚醒者の皆様であれば倒すことは不可能ではないでしょうが」
　だが、今回の依頼はあくまでジャイアントを追い払うこと、ひいては街道の安全を確保し周囲の生態系を保全することだ。
　別に殺す必要はなく、この土地からより遠くへ行ってくれればいいのだ。
「取引を試みましたが話にならず……こうして皆様に来ていただきました。何とかして、あのジャイアントを街道近辺から退けてください」
　彼は印のついた地図を差し出した。
「彼らの居住区域です。この辺りは起伏が激しく、恐らくどこかの洞窟を住処としていると思われます」
　昼間は二人が狩りに出て一人が居住区で子守をしているようだが、時折水を汲みに洞窟の中から出てくる事があり、暫く戻らない。
　夜間は基本的に全員居住区へ帰り、すぐに眠るようだ。敵のいない海岸での生活を引きずっており、見張りを立てる様子はない。
「奴らをこの近辺から排除することができれば依頼は成功です。よろしくお願いします」

●目標
　ジャイアントの街近辺からの排除

●戦力情報
・ジャイアント
　三メートルほどの巨人です（サイズ二、つまり二×二スクエアを占拠）。
　リーダーは兜を被り鎧を着て、残る二人は鎧のみです。

　動作は緩慢で移動も遅いですが非常に頑丈かつ剛力です。
　身の丈ほどの巨剣で武装しており、高い攻撃力を持ちます。常に射程は二スクエアです。
　近接百八十度を薙ぎ払う攻撃は、範囲内の全ての対象を攻撃しますが、準備動作があり回避が容易です。
　大上段からの叩きつけ攻撃は恐ろしいほど威力が高く、直撃すればまず無事では済まないでしょう。回避は容易です。

　赤子は成人男性ほどのサイズで、戦闘力は持ちません。

●状況
・森林
　木（一スクエア）が三スクエア間隔で生えています。
　ジャイアントの移動、攻撃時に範囲内の木は破壊されます。この時攻撃範囲や移動距離に変化はありません。
　ハンターの移動、攻撃、及び敵味方問わず視界を遮ります。

・洞窟
　高さ六メートル幅八メートルの大きな洞窟です。
　奥深くに続いていますが、使われているのは入り口から近い四つの横穴のみです。
　入り口から順に、居間に類する部屋、食料庫、寝床、母と赤ん坊の部屋、と並んでいます。
　各部屋は、入り口が六×四メートル、内部は六×十メートルです。

・街道
　幅は十メートルほどで、よく整備されています。
　森林内部を緩く湾曲しながら抜ける形です。

●注意点
　ジャイアントの言語は注意すれば意味を取ることが出来ます。
　彼らは人間に非友好的です。知能はありますが複雑な思考はできません。無策に交渉しても一蹴されるでしょう。

　えーてるです。
　不法占拠は困りますね。追い出しましょう。

　それでは、皆様の知力と武力の限りを尽くしたプレイングをお待ちしています。