●魂が遺したもの

　蛇の戦士シバが遺した霊闘士の技。
　ハンター達は、幻獣の森に住む大幻獣『ナーランギ』より技の正体は霊闘士の奥義であると教えられる。
　奥義を習得できるのは、厳しい試練を潜り抜けた霊闘士のみ。覚悟を決めたハンター達は辺境各地に点在する『魂の道』に向かって歩き出した。


●求めるはその力

「成る程。確かに――我等が聖地の近くに、そのような場所は御座います」
　腕を組んだまま。ガルヴァンはハンターたちの問いかけに答えた。
「本来ならば集落の中でも、限られた者しか入れないのですが――皆様は先日、我らの代わりに歪虚を退治してくれましたからな。…その借りを返す形であれば――」
　先日、と話題が持ち上がった故に、ハンターたちはガルヴァンに問いかける。アレ以来、何か異常はなかったのか、と。失踪者は、いなかったのかと。
「いえ、特にありません。あの狩人はあの後、高熱を出しましたが――今はもう元気になっております」
　偽装した歪虚の目的は、人間を食す事ではなかったのだろうか？
　お互い、顔を見合わせるハンターたち。それを不審げに見つめるガルヴァンの視線に気づき、なんでもない、と返す。
「…宜しいでしょう。…けれども我らの試練は――少し、特殊なのです。今まで誰もが、試みた事のない物なので――」
　何が起こるか分からない。故に、十分に注意すべし。そう言われ、ハンターたちは送り出された。


●30年前の真実

　指定された場所に入った瞬間。ハンターたちの頭の中に、語りかけてくる者たちがいた。
　それは、過去に滅した――マフォジョ族たちの霊。

「今一度――体験するがいい。我等が当時経た、その悪夢を」

　目を開けた時。ハンターたちは、民族衣装を纏い、草原に立っていた。
「ん、あれ、うちの部族の人じゃん。最近物忘れが酷くてさー。人の顔も忘れちゃう。笑っちゃうわよね」
　どこか自嘲を帯びたその声に振り向くと、そこにはヒラヒラの魔法少女の衣装を纏い、ステッキを持った少女の姿が。
　その姿が、集落にあった像と瓜二つであった事から分かる。
　――この少女こそが、初代『マフォジョ』。今に至るまで信仰される英霊の、人間だった頃の姿。
　――蒼風リリカだと言う事が。

「このような所に居りましたか、マフォジョ様」
「やだなー。魔法少女とちゃんと言ってって、いつも言ってるでしょ」
「は、こればかりは、発音が――」
「もー、仕方ないね。どうしたの、ファルヴァン」
「は、明日は我等が宿敵との決戦でございますのでな。お早めにお休みになられた方が――」
　ファルヴァンと呼ばれた男のその言葉に、リリカはあからさまに苦い顔をする。
「もー…分かったわよ。ファルヴァンも、子供が出来たばかりなんだから、あんまり奥さん――ストラを一人にさせないでよね。あの子――ガルヴァンだっけ、色々世話も必要でしょ？」
「は、ご心配要りません。一族の存続の大事の前では、私の家族など小事に御座います」
「ったく……その後の事も考えなきゃいけないでしょうが！」
　騒がしくしながらも、彼らは、去っていった。


　その夜。扉に鍵を掛け、部屋から一人、リリカは空を見上げ――静かに涙を流す。
「バーンズ先生……どうして……」

皆様の目的は、30年前に起こった事をマフォジョ族の一員として最後まで追体験して、試験をクリアし、力を授かる事にあります。

体験期間は、決戦前日の夕食時から、決戦終了（次の日の夕方）まで。スキル等は普段どおり運用可能です。（但し、探査系スキルは効きません）
成功条件は、誰か一人でも最後まで追体験に成功する事。
失敗条件は、
・物語の結末が三十年前と違う物になってしまう事（マフォジョが死なずに勝利する、等）
・参加したメンバー全員が、怪しまれて劇から弾き出されてしまう事（知らない筈の事を漏らしたり等すると…。疑惑が一定以上積もると、強制的にこの場所からはじき出される事になります。怪しまれた、と言うのは、皆様が感覚的に分かるようになってます）

尚、PL情報ですが、この追体験には前回討伐し損ねたが故に歪虚『ノーフェイス』が紛れ込んでいます。
彼は皆様に直接攻撃できず（行った瞬間彼がはじき出されます）代わりに特定の人物（一人だけ）に化けて、偽の情報を提供してくる事になります。
若しも皆様が失敗条件を満たしたのならば、彼がこの場にある『力』を喰らう事になり、全盛期、或いはそれ以上の力を取り戻します。
彼だと確信した場合、ノーフェイスと指摘することで、強制的にこの場からはじき出す事は可能です。但しそのキャラクターが違った場合、指摘を行ったキャラクター自身がはじき出されます。
離れた場所に出るため、戦闘の心配は御座いません。
尚、皆様が成功条件を満たした場合も、ノーフェイスは同様に遠くにはじき出されます。

今回、事前行動卓が設置されます。これには皆様「それぞれ」相談期間中最大3回まで行動を行う事が可能で、代理でガルヴァンが結果を返してくれます。事前調査にお役立てください。
ただ、事前調査で即座にはじき出される事はないものの、ノーフェイスの指摘は不可能で、行動によっては疑惑も溜まります。そこはご注意ください。

どうも、剣崎です。
恐るべき時間のタイトさでしたが、何とかリリースできました。
今回は一味違った情報系シナリオ。『クリアするだけなら』そこまで難しくありません。それ故の難易度『普通』です。但し若しも情報が欲しいのならば――相応のリスクを覚悟する必要はあるでしょう。
どこまで手を出すのか――ご注意ください。