ゲスト
(ka0000)
ドルチェのかわりにほしいもの
マスター:紺堂 カヤ

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/03/17 19:00
- リプレイ完成予定
- 2016/03/26 19:00
オープニング
「はあ……」
重々しいその溜息を聞くのは、今日だけでもう十回目になる。ここ三日間のトータルで考えるならば、ゆうに五十回は越えるだろう。
「……どうかなさいましたか、お嬢様」
どんな返事が聞かされるかわかってはいたが、クロスはお仕えしているお嬢様──ダイヤに、一応、律義に尋ねた。尋ねながらも仕事の手を止めないのは優秀と言うべきか礼儀にかなっていないと言うべきか。
「別になんでもないわ」
「左様でございますか、じゃあ溜息つかないでください、鬱陶しいですから」
使用人とは思えない、遠慮のない物言いだが、クロスはいつもこの調子だ。そしていつもならダイヤはその物言いに必ず文句を言うはずなのに、今日はそれもなかった。
クロスは、自分も溜息をつきたくなるのを必死にこらえて、仕事──ダイヤのお部屋のカーテン交換──を続けた。重たい冬用の、ブラウンのカーテンだったものを、今日から春らしい花柄に替えたのだ。素材も軽く、窓から爽やかな風が入れば、喜んで迎え入れるかのように膨らむだろう。
この様子だって、毎年はしゃいでカーテンが華やいでいくのを見守るはずのダイヤだが、今年はちらちらとカーテンとクロスを気にするものの、溜息をつくばかりで近寄ろうとはしない。
その理由を、クロスは実はもうわかっていた。わかっていて、あえて気が付いていないふりをしている。
だが。
「はあ……」
十一回目の溜息を聞いた瞬間。
クロスの血管がブチッと音を立てた。
「いい加減にしてください!!!」
怒鳴るように声を上げながら、クロスはギッとダイヤを睨んだ。クロスがそこまで大声を出したのは初めてのことで、ダイヤは目を見開いて驚いている。
「言いたいことがおありならば、はっきり言ったらいいではないですか!」
「……じゃあ、言わせてもらうわ!!」
喧嘩腰のクロスに、ダイヤも驚いたふうな顔をムッとさせて怒鳴り返した。
「なんなのよ、あのホワイトデーのプレゼントは!!!!!」
やっぱりそのことか、とクロスは胸中で嘆息した。だが、そんなことはおくびにも出さずに怒鳴り返す。
「何、ってケーキでしょう!」
「そんなことはわかってるわ!」
「じゃあ何がご不満なんです! 美味しそうに食べてたではありませんか!」
「……だって、あれ、手作りじゃないでしょう。ウチのパティシエに作らせたのよね?」
「そうですよ!? 仕方がないでしょう、私にはケーキなど作れないのですから。特注で作っていただいたのです、何か問題が!?」
ダイヤはぐっと唇を噛んだ。怒鳴り声を押さえて、悔しそうに言う。
「別に、手作りにこだわってるわけじゃないわ。ただ……、単にバレンタインのお返しをしなきゃいけないから、適当に何か用意したって感じがしたんだもの」
クロスはドキッとして一瞬言葉を失った。そうではない、と言い返すことが、できない。言い返せない、代わりに。
「……充分ではありませんか。私がいただいたのは、ヘンなキノコだったのですよ? お返しがもらえただけ、お嬢様は幸福だと思われるべきでしょう」
そんなことを、口にしていた。
ダイヤは。
頬をひっぱたかれたかのような顔をして固まった。
しまった、と思ったがもう遅い。
「クロスのバカっ!!!」
ダイヤは、背を向けて走り去った。
「はあ……」
クロスは、我慢していた溜息を、今度こそ深く深く、吐いた。
そしてその翌日。クロスは、ダイヤの両親に許可を得て、休暇を取った。
ホワイトデーのやり直しを、するために。「枯れないバラ」を探しに。
重々しいその溜息を聞くのは、今日だけでもう十回目になる。ここ三日間のトータルで考えるならば、ゆうに五十回は越えるだろう。
「……どうかなさいましたか、お嬢様」
どんな返事が聞かされるかわかってはいたが、クロスはお仕えしているお嬢様──ダイヤに、一応、律義に尋ねた。尋ねながらも仕事の手を止めないのは優秀と言うべきか礼儀にかなっていないと言うべきか。
「別になんでもないわ」
「左様でございますか、じゃあ溜息つかないでください、鬱陶しいですから」
使用人とは思えない、遠慮のない物言いだが、クロスはいつもこの調子だ。そしていつもならダイヤはその物言いに必ず文句を言うはずなのに、今日はそれもなかった。
クロスは、自分も溜息をつきたくなるのを必死にこらえて、仕事──ダイヤのお部屋のカーテン交換──を続けた。重たい冬用の、ブラウンのカーテンだったものを、今日から春らしい花柄に替えたのだ。素材も軽く、窓から爽やかな風が入れば、喜んで迎え入れるかのように膨らむだろう。
この様子だって、毎年はしゃいでカーテンが華やいでいくのを見守るはずのダイヤだが、今年はちらちらとカーテンとクロスを気にするものの、溜息をつくばかりで近寄ろうとはしない。
その理由を、クロスは実はもうわかっていた。わかっていて、あえて気が付いていないふりをしている。
だが。
「はあ……」
十一回目の溜息を聞いた瞬間。
クロスの血管がブチッと音を立てた。
「いい加減にしてください!!!」
怒鳴るように声を上げながら、クロスはギッとダイヤを睨んだ。クロスがそこまで大声を出したのは初めてのことで、ダイヤは目を見開いて驚いている。
「言いたいことがおありならば、はっきり言ったらいいではないですか!」
「……じゃあ、言わせてもらうわ!!」
喧嘩腰のクロスに、ダイヤも驚いたふうな顔をムッとさせて怒鳴り返した。
「なんなのよ、あのホワイトデーのプレゼントは!!!!!」
やっぱりそのことか、とクロスは胸中で嘆息した。だが、そんなことはおくびにも出さずに怒鳴り返す。
「何、ってケーキでしょう!」
「そんなことはわかってるわ!」
「じゃあ何がご不満なんです! 美味しそうに食べてたではありませんか!」
「……だって、あれ、手作りじゃないでしょう。ウチのパティシエに作らせたのよね?」
「そうですよ!? 仕方がないでしょう、私にはケーキなど作れないのですから。特注で作っていただいたのです、何か問題が!?」
ダイヤはぐっと唇を噛んだ。怒鳴り声を押さえて、悔しそうに言う。
「別に、手作りにこだわってるわけじゃないわ。ただ……、単にバレンタインのお返しをしなきゃいけないから、適当に何か用意したって感じがしたんだもの」
クロスはドキッとして一瞬言葉を失った。そうではない、と言い返すことが、できない。言い返せない、代わりに。
「……充分ではありませんか。私がいただいたのは、ヘンなキノコだったのですよ? お返しがもらえただけ、お嬢様は幸福だと思われるべきでしょう」
そんなことを、口にしていた。
ダイヤは。
頬をひっぱたかれたかのような顔をして固まった。
しまった、と思ったがもう遅い。
「クロスのバカっ!!!」
ダイヤは、背を向けて走り去った。
「はあ……」
クロスは、我慢していた溜息を、今度こそ深く深く、吐いた。
そしてその翌日。クロスは、ダイヤの両親に許可を得て、休暇を取った。
ホワイトデーのやり直しを、するために。「枯れないバラ」を探しに。
解説
■成功条件
クロスと一緒に「枯れないバラ」を探してあげる。
また、クロスの愚痴を聞いてあげる。
■枯れないバラ
風が吹きだまる谷にあるらしい。
色鮮やかではなく、どうもやら、花ですらないという。
クロスは以前に見つけたことがあるという。
ただし、壊れやすいものだったのでそのときは持ち帰ることができず、ダイヤに見せることができなかった。
■クロスがバレンタインにもらったもの
ダイヤお嬢様がハンターたちに手伝ってもらいながら自力で見つけた「ビスケット味のキノコ」の、チョコレートコーティングがされたもの。
不味くはないが特別美味しくもなく、クロスは結構頑張って食べた。
クロスと一緒に「枯れないバラ」を探してあげる。
また、クロスの愚痴を聞いてあげる。
■枯れないバラ
風が吹きだまる谷にあるらしい。
色鮮やかではなく、どうもやら、花ですらないという。
クロスは以前に見つけたことがあるという。
ただし、壊れやすいものだったのでそのときは持ち帰ることができず、ダイヤに見せることができなかった。
■クロスがバレンタインにもらったもの
ダイヤお嬢様がハンターたちに手伝ってもらいながら自力で見つけた「ビスケット味のキノコ」の、チョコレートコーティングがされたもの。
不味くはないが特別美味しくもなく、クロスは結構頑張って食べた。
マスターより
あーあ、言っちゃった。
って感じですねえ……。しかしながら、クロス君にもいろいろと思うところがあるのです。
それを吐き出させてあげてください。探し物より、むしろその方がメインかもしれません……。
って感じですねえ……。しかしながら、クロス君にもいろいろと思うところがあるのです。
それを吐き出させてあげてください。探し物より、むしろその方がメインかもしれません……。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/03/22 01:31
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/03/16 21:04:13 |
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相談卓 大伴 鈴太郎(ka6016) 人間(リアルブルー)|22才|女性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2016/03/17 18:15:26 |