ゲスト
(ka0000)
帰ってきた死者
マスター:KINUTA

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- プレイング締切
- 2016/03/24 22:00
- リプレイ完成予定
- 2016/04/02 22:00
オープニング
裏通りにあるアパートの一室。
魔術師スペットは、新聞にある以下の記事を読み、猫の顔をしかめていた。
『――当市は歪虚事件が多発していることを重く見、今年中に下水道の一斉清掃を行うことを決めた。そのための予算の確保や詳しい日程などについては、これから引き続き市議会で議論し、なるべく早いうちに結論を出すとのことで――』
「あんまりきれいにされたくないねんけど……あそこ時々、掘り出し物が流れてくることあるしなあ」
掘り出し物とは、死骸のことである。
生物の融合と分離を研究している身の上にとってそれは、欠くべからざる実験材料なのだ。
実にありがたいことに、埋めてやる手間が惜しいのか、死んだ動物をマンホールから投げ込む不届きな輩が結構いるのだ。
時々だが、生きた犬の子猫の子等も投げ込まれる。まれに人間の赤ん坊も、同じ憂き目を見ていたりする。
「今のうちに、使えそうなもんかき集めとこか」
新聞を閉じたスペットは、早速下水道に向かった。
円形の天井に足音を響かせ歩き回る。
そして、発見する。
「ややっ!!」
新鮮な男の死体。
足が変な方向にひん曲がっているのは、上から落とされた際の衝撃によるものだろう。
直接的な死因は絞殺かと思われた。首のぐるりに圧迫跡がある。
「おおー、大収穫や!」
スペットは恐れ気もなく死体を担ぎ、来た道を戻って行く。
暗渠の角を曲がって、姿を消す。
●
――極彩色の町ヴァリオスで、わずか一日の間に、続けて2件の殺人事件が起きた。
殺されたのは商工ギルドの理事である、バスコとカブラル。
前者も後者も自宅で絞殺。
容疑者として名が挙がっているのは、事務局長のジョルディ。
数日前に横領の件を、同ギルドの理事バスコ氏、カブラル氏、並びに監事のアンヘル氏に告発され姿をくらまし、現在も逃亡中――
商工ギルド監事のアンヘルは、以上の記事が掲載された新聞を畳み、机に投げ出した。
眉が吊り上がり、頬がたるみ、目は視点が定まらない。恐れの感情が全身から滲み出している。
応接間には彼のほかに、警察官と刑事がいる。
前者は気の毒そうにアンヘルを見ているが、後者はそうではない。窓から外に顔を向けている。
「こりゃ間違いありませんよ。犯人はあのジョルディに間違いありません。あの男、てっきり死んだと思っていたのに、わしらが横領の件を告発したのを根に持ってこんな凶行に出て来たのに違いありません。次はきっとわしを狙いに来る。おまわりさん頼みます、わしの身辺警護をしてください、あいつが捕まるまで、24時間、万全の態勢で! 警察はもちろん善良な市民の味方でしょう?」
「ええ、ええ、もちろんそうです。ですから落ち着いてください。既に警備体制は敷いていますし、ジョルディの捜索も併せて行っておりますから」
「頼みますぞ、本当に。このままでは恐ろしくて、自宅から一歩も出られやしない……」
警官に宥められ、椅子に腰掛け直すアンヘル。
それまでずっと窓の方を見ていた刑事が、ふと振り向いた。
「……アンヘルさん、なぜジョルジュのことを、死んだと思っていたんですか? 彼が行方をくらました後、遺書でも見つけたのですか?」
「い――いいえ、いいえ、そんなものありゃしませんよ。ただあんなことをしたのなら普通良心の呵責を感じてですね、自殺ということもあるかもしれないとそういうふうに思っただけのことですよ」
●
「商工ギルド監事って、お金持ちなんですねえ」
警備する邸宅の華麗さに、カチャを始めとするハンターたちは感心する。
「うわー、高そうな錦鯉がいっぱい」
「自家用馬車が6台もあるぞ」
彼らが守りを任されたのは、外方面だ。
既に夜だが、敷地全体に照明がたくさんついているため、そんなに暗くない。
「しかし、自宅警護にハンターまで呼び寄せるなんて、ちょっと物々しすぎないか?」
「まあな。警官も大勢いるんだから、それで間に合うと思うけどな」
「いいじゃないですか、別に。報酬はしっかり払ってくれてるんですから」
●
スペットは、柵の外から屋敷を覗き、呻いた。
「ハンターめっちゃ集まってるやん……」
完成するなり逃げ出した合成歪虚の行方を追ってここまで来たのだが、これでは手が出しづらい。
しかし、是非とも回収したい。滅多にないほどよい出来なのだ、あれは。
仕方ない。結界術を駆使しつつ、侵入するとしよう。
「中途半端に記憶が残っとると、あかんなあ」
●
寝室のアンヘルは、やっと一息つく。
屋敷の内外に多数の人員を配置した。ジョルジュがどんな手で来るとしても、この包囲網は破れまい。
「くそっ……よもや息を吹き返すとはな……だからちゃんとどこぞに埋めておけと言ったのだ……バスコもカブラルもとんだ間抜け野郎だ……手間を省いてマンホールなんぞに捨てやがって……わしらは悪くないぞ。大体な、あの若造が生意気に、強請ってこようとするからいかんのだ……」
ぶつぶつ毒づきながら、棚に置いてあるウイスキーを取ろうとする。
そのとき背後で、カタンと小さな音がした。
なんだ、と思う間も与えずクローゼットから這い出してくる。胸から上が人、胸から下が大蛇の化け物が。
「ジョッ……」
化け物はアンヘルに、3メートルの長さはあろうかという蛇の体で巻きつき、喉に手をかけ、締め上げた。
アンヘルは声も上げられないまま足掻こうとする。手にしたウイスキーのビンが床に落ち割れた。
物音を聞き付け、部屋の前で待機していた警官が入ってくる。
「アンヘルさん、どうし――うあああああ!?」
その声と銃声は、外にいたハンターたちにも、ちゃんと聞こえた。
魔術師スペットは、新聞にある以下の記事を読み、猫の顔をしかめていた。
『――当市は歪虚事件が多発していることを重く見、今年中に下水道の一斉清掃を行うことを決めた。そのための予算の確保や詳しい日程などについては、これから引き続き市議会で議論し、なるべく早いうちに結論を出すとのことで――』
「あんまりきれいにされたくないねんけど……あそこ時々、掘り出し物が流れてくることあるしなあ」
掘り出し物とは、死骸のことである。
生物の融合と分離を研究している身の上にとってそれは、欠くべからざる実験材料なのだ。
実にありがたいことに、埋めてやる手間が惜しいのか、死んだ動物をマンホールから投げ込む不届きな輩が結構いるのだ。
時々だが、生きた犬の子猫の子等も投げ込まれる。まれに人間の赤ん坊も、同じ憂き目を見ていたりする。
「今のうちに、使えそうなもんかき集めとこか」
新聞を閉じたスペットは、早速下水道に向かった。
円形の天井に足音を響かせ歩き回る。
そして、発見する。
「ややっ!!」
新鮮な男の死体。
足が変な方向にひん曲がっているのは、上から落とされた際の衝撃によるものだろう。
直接的な死因は絞殺かと思われた。首のぐるりに圧迫跡がある。
「おおー、大収穫や!」
スペットは恐れ気もなく死体を担ぎ、来た道を戻って行く。
暗渠の角を曲がって、姿を消す。
●
――極彩色の町ヴァリオスで、わずか一日の間に、続けて2件の殺人事件が起きた。
殺されたのは商工ギルドの理事である、バスコとカブラル。
前者も後者も自宅で絞殺。
容疑者として名が挙がっているのは、事務局長のジョルディ。
数日前に横領の件を、同ギルドの理事バスコ氏、カブラル氏、並びに監事のアンヘル氏に告発され姿をくらまし、現在も逃亡中――
商工ギルド監事のアンヘルは、以上の記事が掲載された新聞を畳み、机に投げ出した。
眉が吊り上がり、頬がたるみ、目は視点が定まらない。恐れの感情が全身から滲み出している。
応接間には彼のほかに、警察官と刑事がいる。
前者は気の毒そうにアンヘルを見ているが、後者はそうではない。窓から外に顔を向けている。
「こりゃ間違いありませんよ。犯人はあのジョルディに間違いありません。あの男、てっきり死んだと思っていたのに、わしらが横領の件を告発したのを根に持ってこんな凶行に出て来たのに違いありません。次はきっとわしを狙いに来る。おまわりさん頼みます、わしの身辺警護をしてください、あいつが捕まるまで、24時間、万全の態勢で! 警察はもちろん善良な市民の味方でしょう?」
「ええ、ええ、もちろんそうです。ですから落ち着いてください。既に警備体制は敷いていますし、ジョルディの捜索も併せて行っておりますから」
「頼みますぞ、本当に。このままでは恐ろしくて、自宅から一歩も出られやしない……」
警官に宥められ、椅子に腰掛け直すアンヘル。
それまでずっと窓の方を見ていた刑事が、ふと振り向いた。
「……アンヘルさん、なぜジョルジュのことを、死んだと思っていたんですか? 彼が行方をくらました後、遺書でも見つけたのですか?」
「い――いいえ、いいえ、そんなものありゃしませんよ。ただあんなことをしたのなら普通良心の呵責を感じてですね、自殺ということもあるかもしれないとそういうふうに思っただけのことですよ」
●
「商工ギルド監事って、お金持ちなんですねえ」
警備する邸宅の華麗さに、カチャを始めとするハンターたちは感心する。
「うわー、高そうな錦鯉がいっぱい」
「自家用馬車が6台もあるぞ」
彼らが守りを任されたのは、外方面だ。
既に夜だが、敷地全体に照明がたくさんついているため、そんなに暗くない。
「しかし、自宅警護にハンターまで呼び寄せるなんて、ちょっと物々しすぎないか?」
「まあな。警官も大勢いるんだから、それで間に合うと思うけどな」
「いいじゃないですか、別に。報酬はしっかり払ってくれてるんですから」
●
スペットは、柵の外から屋敷を覗き、呻いた。
「ハンターめっちゃ集まってるやん……」
完成するなり逃げ出した合成歪虚の行方を追ってここまで来たのだが、これでは手が出しづらい。
しかし、是非とも回収したい。滅多にないほどよい出来なのだ、あれは。
仕方ない。結界術を駆使しつつ、侵入するとしよう。
「中途半端に記憶が残っとると、あかんなあ」
●
寝室のアンヘルは、やっと一息つく。
屋敷の内外に多数の人員を配置した。ジョルジュがどんな手で来るとしても、この包囲網は破れまい。
「くそっ……よもや息を吹き返すとはな……だからちゃんとどこぞに埋めておけと言ったのだ……バスコもカブラルもとんだ間抜け野郎だ……手間を省いてマンホールなんぞに捨てやがって……わしらは悪くないぞ。大体な、あの若造が生意気に、強請ってこようとするからいかんのだ……」
ぶつぶつ毒づきながら、棚に置いてあるウイスキーを取ろうとする。
そのとき背後で、カタンと小さな音がした。
なんだ、と思う間も与えずクローゼットから這い出してくる。胸から上が人、胸から下が大蛇の化け物が。
「ジョッ……」
化け物はアンヘルに、3メートルの長さはあろうかという蛇の体で巻きつき、喉に手をかけ、締め上げた。
アンヘルは声も上げられないまま足掻こうとする。手にしたウイスキーのビンが床に落ち割れた。
物音を聞き付け、部屋の前で待機していた警官が入ってくる。
「アンヘルさん、どうし――うあああああ!?」
その声と銃声は、外にいたハンターたちにも、ちゃんと聞こえた。
解説
補足説明。
これは復讐鬼と化した死者に、引導を渡してあげるシナリオです。
そして隠された犯罪を暴くシナリオです。
OPを読めば大体察しがつくと思いますが、話の流れは以下のようになっています。
1 バスコ、カブラル、アンヘルの三名がジョルジュを殺す。
2 ジョルジュの遺体がマンホールに捨てられる。
3 スペットがそれを持ち帰って魔改造。歪虚にしてしまう。
4 しかし歪虚として蘇ったジョルジュには、記憶がうっすら残っていた。
5 自分を殺した相手への復讐を思い立ち、スペットのもとから逃げる。
6 バスコ、カブラルを首尾よく殺す。
7 さあ次はアンヘル←今ここ
ジョルジュの思考回路は、すでに人間のものでなくなっています。
持てる記憶すら刻一刻薄れて行く有り様です。まともな会話は不可能です。
バスコ、カブラル、アンヘルがジョルジュを殺害した理由は、自分たちの横領に気づいた上で、それを公表すると言われたためです。
警察は一応警護に来ていますが、ひそかに、その線を疑っています。
ジョルジュが殺されて捨てられていたということを知っているのはスペットだけ。真相究明のためには、是非ともその証言が欲しいところです。
ですので、なるべくスペットの身柄を押さえるようにしてください。彼は必ず歪虚戦の現場に割り込んできます。回収のために。
魔術師スペットの戦い方については、「悪いやつほどよく眠る」のリプレイを参考にしてください。
相手のやり口が分かれば、裏をかきやすくなると思います。
歪虚データ
大きさ:3メートル弱。
戦法:締めつけ、首絞め。
備考:移動の際音をほとんど出さない。
これは復讐鬼と化した死者に、引導を渡してあげるシナリオです。
そして隠された犯罪を暴くシナリオです。
OPを読めば大体察しがつくと思いますが、話の流れは以下のようになっています。
1 バスコ、カブラル、アンヘルの三名がジョルジュを殺す。
2 ジョルジュの遺体がマンホールに捨てられる。
3 スペットがそれを持ち帰って魔改造。歪虚にしてしまう。
4 しかし歪虚として蘇ったジョルジュには、記憶がうっすら残っていた。
5 自分を殺した相手への復讐を思い立ち、スペットのもとから逃げる。
6 バスコ、カブラルを首尾よく殺す。
7 さあ次はアンヘル←今ここ
ジョルジュの思考回路は、すでに人間のものでなくなっています。
持てる記憶すら刻一刻薄れて行く有り様です。まともな会話は不可能です。
バスコ、カブラル、アンヘルがジョルジュを殺害した理由は、自分たちの横領に気づいた上で、それを公表すると言われたためです。
警察は一応警護に来ていますが、ひそかに、その線を疑っています。
ジョルジュが殺されて捨てられていたということを知っているのはスペットだけ。真相究明のためには、是非ともその証言が欲しいところです。
ですので、なるべくスペットの身柄を押さえるようにしてください。彼は必ず歪虚戦の現場に割り込んできます。回収のために。
魔術師スペットの戦い方については、「悪いやつほどよく眠る」のリプレイを参考にしてください。
相手のやり口が分かれば、裏をかきやすくなると思います。
歪虚データ
大きさ:3メートル弱。
戦法:締めつけ、首絞め。
備考:移動の際音をほとんど出さない。
マスターより
KINUTAです。
2時間サスペンスのノリで、よろしくお願い致します。
2時間サスペンスのノリで、よろしくお願い致します。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/03/29 02:31
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
事件解決するにゃ ファル・グリン(ka5449) 人間(クリムゾンウェスト)|26才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/03/24 21:15:36 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/03/23 04:23:03 |