• 冒険

戦闘訓練

マスター:有坂参八

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
参加費
1,000
参加人数
現在7人 / 4~7人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2014/08/25 07:30
リプレイ完成予定
2014/09/03 07:30

オープニング

●裏事情
 辺境帝国軍の本拠地たる大要塞ノアーラ・クンタウ、その中枢部とも言える管理者執政室にて。
「横領の疑い?」
 要塞管理者ヴェルナー・プロスフェルトは、部下でもある目の前の女性の報告に対して問い返し、ほんの僅かに眉を潜めた。
 机を挟んで対面した女性は、全く無表情の鉄面皮で上司に報告を続ける。
「ここ数日間の山岳猟団の動きは不審です。訓練、実働の両面における行動が、急激に迅速化、活発化しました」
「それは、良い事の様に思えますが」
「問題は、その理由です。数日前、猟団に大量の補給物資が運び込まれたことについては、目撃談もあり確かな事実ですが……補給課及び会計課から、この件について『未掌握事案である』と報告が」
 要塞管理者の表情が、初めてはっきりと曇った。
「……独断で補給を行った?」
「仮にそうであれば、重大な軍規違反です。帝国軍の補給細則を無視し、本来別用途の為に支給された資金を無許可で物資購入に充てたとすれば、これは横領。最悪は責任者の処分さえあり得る」
「至急調査を命じます。貴方達、ベヨネッテ・シュナイダーに」
 ヴェルナーが迷わず口にしたその名前は、そのまま報告者である女性の所属部隊でもある。
 女性は、氷の無表情を崩さぬまま、静かに答えた。
「お任せを。手は、打っています」

●表事情
 山岳猟団。
 辺境帝国軍において、対歪虚戦の最前線を担うその部隊は、よく言えば『人類を守護する為に集いし異文化混成部隊』であり、悪く言ってしまえば唯の『寄せ集め』である。
 帝国軍、辺境部族、傭兵、ハンター、そして先日にはここにドワーフの戦力も加わり、その構成は今や、クリムゾンウェストいち混沌とした部隊と言っても過言ではない。
 その山岳猟団の本拠地、ほぼ全隊員が集結した、兵舎脇の訓練場にて。

「だ・か・ら! 重装兵で陣形を作り列員同士が相互支援しながら進撃すればいかなる敵の突撃をも……」
「わからん! ワケわからんッ! 強い鎧きて強い武器で思い切りブン殴りゃ負けねぇってだけだろが!?」
「ドワーフは脳筋すぎるよ……足を使って敵を追い立てるのが、この土地の部族伝統のやり方で」
「いやいやヴォイド相手に画一的な戦法じゃ生き残れねぇって。俺達がリアルブルーの中東で稼いでた頃はなぁ……」
 喧々囂々。
 人種も立場も違う隊員達は、戦闘訓練を前にして終わりなき論争を繰り広げていた。
 無理もない。『いくさ』に対する考え方が、何もかも違うのだ。
 その考え方の違いは、幾度も意志の不統一を生み、部隊の運用に歪みを生じさせてきた。
 一度はハンターの意見を取り入れ、種族毎に部隊を分けた運用を行って勝利したこともあるが……

「…………」
 その男……山岳猟団団長代理、八重樫敦は訓練場の隅に仁王立ちしながら、遅々として進まない猟団の訓練を眺めていた。
「全く、ヒトとモノが揃って漸く全力で動けると思うたらこれじゃものなぁ」
 八重樫の背に声をかけたのは、猟団最年長の団員である老兵シバ。言葉とは裏腹、目の前の烏合の衆を眼にして、笑いを押し殺している。
「改善案はないか」
 八重樫は最早考えるのも面倒、と言いたげに、シバに尋ねた。
「ハンターなら、何か良い案があるかもしれん」
「またか。連中を随分買っているな」
「灰色谷での戦も、隊商との取引も中々であったが、ドワーフを猟団に引き入れたのはでかい。団長代……奴らは、使えるぞ」
 シバの言葉は穏やかでありながら、その表情は何かを企む様な含み笑いだった。
「それに元々寄せ集めの戦力で戦う事が前提の彼らであれば、何かしら知恵も持っておろうよ」
「……いいだろう。やってくれ」
 迷う時間が無駄だ。こういう時、八重樫はそう考える男だった。
「おう、後は儂に任しとけ。それと、たったいま入った情報だがな、ベヨネッテ・シュナイダーが『訓練視察』に来るぞ」
「審問隊がか」
 審問隊『ベヨネッテ・シュナイダー(銃剣の仕立て屋)』……辺境帝国軍の規律維持をその存在意義とし、その監督・調査を担う部隊だ。平たく表現すれば、風紀委員と言った所か。
「今更何を見に……いや、会計の事だな」
「十中八九、そっちが本当の目的じゃろな」
 数日前、山岳猟団は、帝国軍の補給規則を無視し、独自に商人から物資を購入した。忠実に規則をなぞるならば、これは軍資金の横領として成立する。
 物資不足で瓦解寸前の部隊を立て直す為だったとはいえ、もし事が明るみにでれば、要塞側から猟団の動きが制限されるのは間違いないだろう。
「さぁ、どうする団長代」
 にやにやしながら、シバは問う。八重樫は即答した。
「名目が訓練視察なら、できるだけ派手にやって見せればいい。ハンターも使って、金庫など覗く暇もない程な」
「くくく、お前さんも解ってきたな」
「……」
 目的は二つ。混成部隊である山岳猟団の練度向上と、視察官の調査に対する欺瞞。
 ここが最初の正念場だ。ここを越えれば……
「ここを越えれば、漸く歪虚共と正面からぶつかれるのだぞ、団長代……そう、お主の望んでいる通りにな」
「……!」
 シバの言葉に、八重樫は一度だけ、彼の顔を見た。
 老兵はその視線に……意味深な笑みを返すだけであった。

解説

●依頼内容
山岳猟団への訓練視察に伴い、訓練に参加し部隊の練度向上に協力する
以上

●山岳猟団
帝国軍第一師団隷下、辺境要塞ノアーラ・クンタウ所属の対歪虚戦闘部隊。
複数の人種が入り乱れる混成部隊であることから意思不統一、集団戦闘の練度が低い状態です。
この部隊が、組織として歪虚と戦う為に何が必要か、皆様の知恵をお貸し下さい。
内容は形式を問わず、意見具申でも、実際の訓練でも構いません。
猟団員は訓練参加者は凡そ100名、構成は、おおむね以下の通り。

・直参派
いわゆる、帝国軍正規兵。
重装備の歩兵が横陣を組んで進撃する、組織的戦闘を得意とする。
貴族などの次男、三男坊が多く、モラルとプライドが高い傾向。

・部族派
帝国軍に帰順した辺境部族達。
身軽な軽戦士が多く、足を使った戦術が得意。
帝国からは「部族の文化を一切捨て、帝国文化に同化せよ」と要求されているが、殆どの者はそれに反発している。

・傭兵派
元々は団長代理の八重樫が率いていた傭兵団の団員。
射撃武器への習熟度が比較的高い。
構成人種が不統一で、赤・青双方の世界の様々な人種が混在している。
多くは金で動く仕事人達。

・ドワーフ派
猟団と共同戦線を結んだ、帝国要塞のドワーフ達。
みんなとにかく脳筋で大雑把、しかし冶金や鍛冶の分野では大陸屈指の技術を有する。
単純に大勢で戦えば強いと考え猟団に来ている。

●その他
質問は猟団員のシバが回答しますので、掲示板にてどうぞ。




※依頼書の裏に貼り付けられたメモより…
当日は要塞の審問隊ベヨネッテ・シュナイダーから、訓練視察官が派遣されます。
その真の目的は、猟団の不正な物資購入の証拠を掴む事であり、視察官は何かと猟団兵舎にある金庫の中を確認しようとします。
ハンター達には猟団側から非公式に、『どうにかして視察官の目をそらし、金庫の監査を回避して欲しい』という要請が来ています。

マスターより

この依頼をご紹介致します、有坂参八と申します。

かなりキナ臭い話題がくっついていますが、主旨はあくまで訓練です。
山岳猟団がこれから歪虚と戦う為に何が必要か……
どんな形でも構いません、皆様の知恵をお貸し下さい。

皆様のご活躍に、期待いたしております。

関連NPC

  • 山岳猟団団員
    シバ(kz0048
    人間(クリムゾンウェスト)|90才|男性|霊闘士(ベルセルク)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2014/09/02 23:23

参加者一覧

  • 思い出の守り手
    茅崎 颯(ka0005
    人間(蒼)|25才|男性|猟撃士
  • うさぎのどうけし
    リズリエル・ュリウス(ka0233
    人間(紅)|16才|女性|疾影士
  • 和なる剣舞
    オウカ・レンヴォルト(ka0301
    人間(蒼)|26才|男性|機導師
  • 求道者
    猫実 慧(ka0393
    人間(蒼)|23才|男性|機導師
  • 征夷大将軍の正室
    天竜寺 詩(ka0396
    人間(蒼)|18才|女性|聖導士
  • 仁愛の士
    ライエル・ブラック(ka1450
    人間(紅)|15才|男性|聖導士

  • ジュン・トウガ(ka2966
    人間(蒼)|13才|女性|霊闘士
依頼相談掲示板
アイコン シバさんへの質問擦れ
茅崎 颯(ka0005
人間(リアルブルー)|25才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2014/08/23 09:08:30
アイコン 戦闘訓練どうしましょう?
茅崎 颯(ka0005
人間(リアルブルー)|25才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2014/08/25 07:26:52
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/08/20 17:40:06