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アマリリス~首吊り自殺と夜逃げ
マスター:深夜真世

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在7人 / 4~7人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/03/21 22:00
- リプレイ完成予定
- 2016/04/04 22:00
オープニング
●
ここは、蒸気工業都市フマーレの山中にあるセル鉱山。
「え……まだ掘るんですか?」
現場を取り仕切っていた若き鉱山技師のハミル・タグは目を丸めた。
無理もない。
以前に、鉱床から産出される鉄鉱石の質の悪さは報告済み。横に掘り進めるなど各種手立てを施しても良質な鉱脈にはたどり着けなかった。これ以上やっても見込みは薄いと考えている。
「そうじゃ。せっかく吸血鬼も退治したし、手に負えなかった作業員たちもその危機を乗り越えようやく一つにまとまったし前より勤勉になった」
ここの開発を提案した山師、ノーザン・ウエストがまくし立てる。
「そんなことを言っても鉄鉱石で採算が取れる見込みは薄いですよ。もっとほかの鉱石なら……」
「今はCAMやら魔導トラックやらの開発で鉄鉱石は超売り手市場。ほかの鉱石なんぞで採算は取れんわい。……それに何より、引ける訳がなかろう。ワシも、まだ若いお前もここで失敗は許されん」
にらみをきかせハミルを黙らせるノーザン。過日、事業主のグリス・オムによそから持ってきた良質の鉄鉱石を見せペテンにかけ、事業を続行させた悪事は黙ったままだ。
「自分の評判は次の実績で示せばいいだけです。それより資金的に苦しいはずですよ。鉄鉱石を運ぶ業者からも支払いがあるからやるけど、もうグリス氏も長くは持たないだろうって……」
「まだ坑道にガスや落盤などの事故はなかろう。もう少しだけ良質の鉄鉱石が出ればあとは量で何とかなる。負債はひどいが、なあに、事業主のグリスは村長だ。村の広大な農場の水門権利を抵当に入れて新たな融資を引き込んだ。これでグリスが亡くなりでもしない限り……」
後日の晩、フマーレ郊外にあるグリスの屋敷で悲鳴が挙がった。
「だ、旦那様!」
立ちすくむメイドの目の前に、ぶらんと振り子のように揺れる影。
事業主の、無念の姿がそこにあった。もちろん、もう動くことはない。
は、とメイド。
足元に残された遺書に気付いた。
文面を読んだメイドはすぐに駆け出した。
「奥様、奥様ーっ!」
メイドに呼ばれたグリス氏夫人のセリアが部屋に来たとき、声もなく立ち尽くした。そして執事たちに下ろされた夫の遺体に駆け寄りひとしきり涙するとすぐに威厳を取り戻した。
「急いで娘と息子を起こして。今、屋敷にいるのはアマリリス商会さんですね。運がいい……お願いしていた鉱山街の定期警備はもういいから、私たちの警備をお願いします。すぐここへ呼んでください。借金取りからこの屋敷がマークされているのは知っています。気付かれる前にひとまず隠れるのです」
「そ、それからどうなさるので?」
「いったん身を隠し敵を味方を見分けます。とにかく、村にはまだ水門の権利は私にあるので自由にさせないよう伝えて」
そう、村の水門の権利。
または農業調整池の権利と言ってもいい。
村の広大な水田などの農地に水を行き渡らせるために整備し、これをもって地域の権力闘争に終止符を打ち一まとめにした、村長家の権力の象徴。グリス・オムは、先祖代々受け継がれてきたこの権利を抵当に入れた直後に、それまで協力的だった鉄鉱石受け入れ業者からの鉄鉱石値下げ交渉――それはほぼ撤退を視野に入れた交渉だった――に衝撃を受け、首を吊ったのだ。
グリス氏は知っている。
いや、知ってしまった。
先祖が村を、付近で猛威を振るった吸血鬼歪虚に一族の娘を生贄に差し出してまで守っていたことを。
グリス氏は、それをすべて台無しにしてしまった。
いわば、先祖が身を挺して守って来た村を売ってしまったのだ。もちろん買い戻せばいいのだろうが、その手段が途絶えた。
死んで侘びを入れた、ということだろう。
遺書には、「すまない」とだけ書いてあったという。
「十歳にもならない娘と息子だけは、何とか――」
それが残されたセリア・オムの願いであった。
こうして、アムたちアマリリス商会に雇われたハンターたちは馬車の護衛任務に就くことになる。
が、夜明け後についに某所山中で追っ手に追い付かれた。
合計十六人の盗賊たちが馬に乗って追いすがって来たのだ。
「止まれ! 夫人と子供たちを戻してもらおうか」
遠く追いすがる盗賊からの声が聞こえる。
果たしてどうしたものか。
ここは、蒸気工業都市フマーレの山中にあるセル鉱山。
「え……まだ掘るんですか?」
現場を取り仕切っていた若き鉱山技師のハミル・タグは目を丸めた。
無理もない。
以前に、鉱床から産出される鉄鉱石の質の悪さは報告済み。横に掘り進めるなど各種手立てを施しても良質な鉱脈にはたどり着けなかった。これ以上やっても見込みは薄いと考えている。
「そうじゃ。せっかく吸血鬼も退治したし、手に負えなかった作業員たちもその危機を乗り越えようやく一つにまとまったし前より勤勉になった」
ここの開発を提案した山師、ノーザン・ウエストがまくし立てる。
「そんなことを言っても鉄鉱石で採算が取れる見込みは薄いですよ。もっとほかの鉱石なら……」
「今はCAMやら魔導トラックやらの開発で鉄鉱石は超売り手市場。ほかの鉱石なんぞで採算は取れんわい。……それに何より、引ける訳がなかろう。ワシも、まだ若いお前もここで失敗は許されん」
にらみをきかせハミルを黙らせるノーザン。過日、事業主のグリス・オムによそから持ってきた良質の鉄鉱石を見せペテンにかけ、事業を続行させた悪事は黙ったままだ。
「自分の評判は次の実績で示せばいいだけです。それより資金的に苦しいはずですよ。鉄鉱石を運ぶ業者からも支払いがあるからやるけど、もうグリス氏も長くは持たないだろうって……」
「まだ坑道にガスや落盤などの事故はなかろう。もう少しだけ良質の鉄鉱石が出ればあとは量で何とかなる。負債はひどいが、なあに、事業主のグリスは村長だ。村の広大な農場の水門権利を抵当に入れて新たな融資を引き込んだ。これでグリスが亡くなりでもしない限り……」
後日の晩、フマーレ郊外にあるグリスの屋敷で悲鳴が挙がった。
「だ、旦那様!」
立ちすくむメイドの目の前に、ぶらんと振り子のように揺れる影。
事業主の、無念の姿がそこにあった。もちろん、もう動くことはない。
は、とメイド。
足元に残された遺書に気付いた。
文面を読んだメイドはすぐに駆け出した。
「奥様、奥様ーっ!」
メイドに呼ばれたグリス氏夫人のセリアが部屋に来たとき、声もなく立ち尽くした。そして執事たちに下ろされた夫の遺体に駆け寄りひとしきり涙するとすぐに威厳を取り戻した。
「急いで娘と息子を起こして。今、屋敷にいるのはアマリリス商会さんですね。運がいい……お願いしていた鉱山街の定期警備はもういいから、私たちの警備をお願いします。すぐここへ呼んでください。借金取りからこの屋敷がマークされているのは知っています。気付かれる前にひとまず隠れるのです」
「そ、それからどうなさるので?」
「いったん身を隠し敵を味方を見分けます。とにかく、村にはまだ水門の権利は私にあるので自由にさせないよう伝えて」
そう、村の水門の権利。
または農業調整池の権利と言ってもいい。
村の広大な水田などの農地に水を行き渡らせるために整備し、これをもって地域の権力闘争に終止符を打ち一まとめにした、村長家の権力の象徴。グリス・オムは、先祖代々受け継がれてきたこの権利を抵当に入れた直後に、それまで協力的だった鉄鉱石受け入れ業者からの鉄鉱石値下げ交渉――それはほぼ撤退を視野に入れた交渉だった――に衝撃を受け、首を吊ったのだ。
グリス氏は知っている。
いや、知ってしまった。
先祖が村を、付近で猛威を振るった吸血鬼歪虚に一族の娘を生贄に差し出してまで守っていたことを。
グリス氏は、それをすべて台無しにしてしまった。
いわば、先祖が身を挺して守って来た村を売ってしまったのだ。もちろん買い戻せばいいのだろうが、その手段が途絶えた。
死んで侘びを入れた、ということだろう。
遺書には、「すまない」とだけ書いてあったという。
「十歳にもならない娘と息子だけは、何とか――」
それが残されたセリア・オムの願いであった。
こうして、アムたちアマリリス商会に雇われたハンターたちは馬車の護衛任務に就くことになる。
が、夜明け後についに某所山中で追っ手に追い付かれた。
合計十六人の盗賊たちが馬に乗って追いすがって来たのだ。
「止まれ! 夫人と子供たちを戻してもらおうか」
遠く追いすがる盗賊からの声が聞こえる。
果たしてどうしたものか。
解説
緊急事態です。
山中で馬車に追いすがる覚醒者の盗賊たち十六人を何とかしてください。盗賊はすべて馬に乗っています。
皆さんはアムからアマリリス商会の一員として、セル鉱山街の定期警備に雇われグリス・オム邸宅に一泊しているところでした。
その晩、グリス氏が首を吊り自殺。
グリス氏はすでに相当な借金を抱え支払いを催促されていた状態で、借金取りから屋敷はマークされています。残された妻のセリア・オムは七歳の娘・ポーラと六歳の息子・ルイスを連れて夜逃げする決心をしました。
夜明けまで距離を稼ぎ、明るくなってから山中を移動していたのですが、ついに通せんぼされた状態です。
山道は一本道。
幸い、まだ後方から声を掛けられただけで射撃などの攻撃は来ていません。
ただ、たった今脇道に八騎が外れて行きました。細い半面、近道らしくずいぶん先で合流するようです。おそらく前に回られてしまい挟撃される可能性があります。
逃げている馬車は幌馬車です。
中にはセリア夫人とポーラ&ルイスがいます。参加者も数人、こちらに乗ることができます。
御者席には一人の御者が乗って操作しています。参加者も一人だけ乗ることができ、操作を変わるなどすることができます。
残りの参加者は屋敷の馬に乗っているか、運よく自前の馬やバイクなどで参加しています。数値的に、借りた馬よりも有利でしょう。
アマリリス商会からは、アム(馬車内)とモータル(騎乗)がいます。
敵の装備は不明ですが、馬車を追うことを前提とした装備をしているはずです。
なお、敵の盗賊は借金取りがそれぞれ雇っているため、各盗賊団が入り乱れています。服装などで三つの盗賊団があると判断できるでしょう。
山中で馬車に追いすがる覚醒者の盗賊たち十六人を何とかしてください。盗賊はすべて馬に乗っています。
皆さんはアムからアマリリス商会の一員として、セル鉱山街の定期警備に雇われグリス・オム邸宅に一泊しているところでした。
その晩、グリス氏が首を吊り自殺。
グリス氏はすでに相当な借金を抱え支払いを催促されていた状態で、借金取りから屋敷はマークされています。残された妻のセリア・オムは七歳の娘・ポーラと六歳の息子・ルイスを連れて夜逃げする決心をしました。
夜明けまで距離を稼ぎ、明るくなってから山中を移動していたのですが、ついに通せんぼされた状態です。
山道は一本道。
幸い、まだ後方から声を掛けられただけで射撃などの攻撃は来ていません。
ただ、たった今脇道に八騎が外れて行きました。細い半面、近道らしくずいぶん先で合流するようです。おそらく前に回られてしまい挟撃される可能性があります。
逃げている馬車は幌馬車です。
中にはセリア夫人とポーラ&ルイスがいます。参加者も数人、こちらに乗ることができます。
御者席には一人の御者が乗って操作しています。参加者も一人だけ乗ることができ、操作を変わるなどすることができます。
残りの参加者は屋敷の馬に乗っているか、運よく自前の馬やバイクなどで参加しています。数値的に、借りた馬よりも有利でしょう。
アマリリス商会からは、アム(馬車内)とモータル(騎乗)がいます。
敵の装備は不明ですが、馬車を追うことを前提とした装備をしているはずです。
なお、敵の盗賊は借金取りがそれぞれ雇っているため、各盗賊団が入り乱れています。服装などで三つの盗賊団があると判断できるでしょう。
マスターより
朝でも昼でもこんばんは、深夜真世です。
続きものですが、盗賊十六人に追われた馬車を守るミッション、という認識で問題ありません。
巻き込まれ型で情報が不足しがちですが、大体状況から類推される状態になっています。もちろん、相手はならず者なのですべて当てはまるとは限りませんが、それならばそういうことで対応は可能ともいえます。
類推しての戦闘などをお楽しみください。
では、よろしくお願いします。
続きものですが、盗賊十六人に追われた馬車を守るミッション、という認識で問題ありません。
巻き込まれ型で情報が不足しがちですが、大体状況から類推される状態になっています。もちろん、相手はならず者なのですべて当てはまるとは限りませんが、それならばそういうことで対応は可能ともいえます。
類推しての戦闘などをお楽しみください。
では、よろしくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/04/05 01:35
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/03/18 21:55:32 |
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仕事の時間です 真田 天斗(ka0014) 人間(リアルブルー)|20才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2016/03/21 14:32:35 |