ゲスト
(ka0000)
雪見桜見ゆ
マスター:月宵

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~10人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/03/23 19:00
- リプレイ完成予定
- 2016/04/01 19:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
辺境の地。そこには様々な部族が存在している。彼らにはそれぞれ崇拝し、信仰するトーテムと言うものが存在する。彼ら部族をまとめあげるに不可欠なもの、言わば生命線と言ったところだろうか。
そんな部族の中に『イチヨ族』と言うものがいる。彼らは流浪の少数部族で、各地を転々とする者達。彼らのトーテムの名は『概念精霊・コリオリ』と言う。
彼らの信条は『他部族の信仰を信仰する』と言う変わったものだ。
それが例え、如何なる信仰であろうとも……
●
洞窟。もうどれくらい歩いたのだろうか、黒髪の隙間から垂れる汗の湿り気をうんざりしつつ、10歳の少年ヤ・マダはその場所を歩いていた。
「っ……は…」
催事の補助はもう何年も経験しているので、体力は通常の子供のそれよりも勝っている、と多分思う。
多分思うが、それでも慣れない洞窟はマダを疲労させた。
「着きましたよ」
案内役の人間は、彼を導くように洞窟の入り口を譲ってくれている。出口、それを潜った先に目的の物はあったのだ。
頬をなでた暖かな風はそっと優しい薫りも運んでくる。マダの見上げた視線の先にそれはあった。巨大な怪物、そう見間違えてもおかしくない。それほどの大樹がマダの視覚をめいっぱい支配した。
「すごい……」
それはとんでもないサイズの桜の樹だった。
「一つに見えますけど、実は細かな桜の木々がより集まってこう見えるのですよ」
男は自慢気に語る。この地では春をトーテムとし、この桜は近隣の集落でもちょっとした名物となっているらしい。
決して濃いとは言えない桃色花弁を僅かに散らす桜を見ながら、出掛け際に聞いたイチヨ族、族長であるサ・ナダの言葉を思い出していた。
『マダ君。今回、彼処の部族は貴方の担当でしたね』
『はい。ハンターの皆さんと花祭りの準備です』
『あそこはいいよ。何年かに一度しか桜は開かないけど、素晴らしい場所だ』
『そ、そうなんですか?』
『いやぁ、残念。私も観に行きたかったよ……もう見られるか、わからないからね』
その時のナダの表情は、いつもと変わらない微笑み。それなのに、何処か影が射しているように、少年ながらにマダは感じられた。
「どうしましたか?」
彼は族長がこの桜を見たがっていたことを、案内役の男に話してみた。
「そうですか、ナダ様が……わかりました! 催事後、ひと振り桜の枝を誂えましょう」
「え? 怒られません?」
「大丈夫、大丈夫。ミコは俺なんだから」
ちょっとした無理は聞くよ、と白い歯を見せて男は笑った。聞けば、祖父、父親の代からナダに世話になっていたらしい。
ただ、彼が補助する年に限って桜も咲かないと言った始末。
「お世話になったお礼です」
「あ、ありがとうございます……」
いたずらに口元に人差し指をあて、男はウインクを一つ。
「それじゃ確認も終わったし、戻ろっか。明日の準備しないとね」
「はい。ハンターの皆さん、待たせてしまいましたね」
●天災は突然に
春をトーテムとする集落のお祭り。それは言ってしまえば、一般的なお花見である。彼ら部族はイチヨ族と同じく、東方の血を受け継ぐ者達。そこで祭り用にちらし寿司の様な料理を食すと言う。
彼らの成人の儀式は10歳の頃に行われる。その為この日は、9歳最後の祝いの日とも言われているのだ。
そんな理由からか、明日の花祭りも子供が多かったりする。
夜遅く、子供達の為にハンター達がちらし寿司等の料理を準備していた時、その言葉が誰の口からでもなく漏れた。
「雪だ。雪が降っているぞ!」
その言葉に驚き、ミコとマダは天幕をくぐり外へと飛び出した。その後をハンター達も、調理用具を置いて追う。
「そんな、この時季に……」
風は無くとも、視界に敷き詰められた雪と言う白。そこへ更に吐息の白が混ざる。地面を見れば、もう既に白化粧は施され始めていた。
「これは、朝までにかなり積もるぞ」
その言葉に、マダはハッとする。
「桜が!!」
そう、あの大きな桜の樹にもまた、雪が降り積もると言うことなのだ。つまりそれは……
「花が殆んど散ってしまう」
それだけではない。雪の重みで、咲きかけのつぼみや、最悪枝が折れてしまうことも有り得る。
「何か布をかけて、それで防ぐのは!?」
「布が桜に被ったら、結局散ってしまうだろ」
「傘はどうだ?」
「あの大きさをか? いくつあっても足りやせん」
「それに朝まで傘を持っていろと?」
折角久しぶりに咲いた、子供達が楽しみにしていたのに……聴こえてくる悔やみの声が降雪の中で染み入る。
巨大な桜。それはとても一般人では、どうにかなるものでは無いのだろう……しかし、覚醒者ならば……
マダはあの桜を思い出す様に瞳を一度閉じてから、ハンター達に振り返り言葉を絞り出した。
「お願い……出来ます、か?」
「俺からもお願いしたい」
ミコの男も、頭を垂れてこう願った。先程までヘラヘラしていた雰囲気が嘘のようだ。
「どうか、桜を護ってくれ!」
辺境の地。そこには様々な部族が存在している。彼らにはそれぞれ崇拝し、信仰するトーテムと言うものが存在する。彼ら部族をまとめあげるに不可欠なもの、言わば生命線と言ったところだろうか。
そんな部族の中に『イチヨ族』と言うものがいる。彼らは流浪の少数部族で、各地を転々とする者達。彼らのトーテムの名は『概念精霊・コリオリ』と言う。
彼らの信条は『他部族の信仰を信仰する』と言う変わったものだ。
それが例え、如何なる信仰であろうとも……
●
洞窟。もうどれくらい歩いたのだろうか、黒髪の隙間から垂れる汗の湿り気をうんざりしつつ、10歳の少年ヤ・マダはその場所を歩いていた。
「っ……は…」
催事の補助はもう何年も経験しているので、体力は通常の子供のそれよりも勝っている、と多分思う。
多分思うが、それでも慣れない洞窟はマダを疲労させた。
「着きましたよ」
案内役の人間は、彼を導くように洞窟の入り口を譲ってくれている。出口、それを潜った先に目的の物はあったのだ。
頬をなでた暖かな風はそっと優しい薫りも運んでくる。マダの見上げた視線の先にそれはあった。巨大な怪物、そう見間違えてもおかしくない。それほどの大樹がマダの視覚をめいっぱい支配した。
「すごい……」
それはとんでもないサイズの桜の樹だった。
「一つに見えますけど、実は細かな桜の木々がより集まってこう見えるのですよ」
男は自慢気に語る。この地では春をトーテムとし、この桜は近隣の集落でもちょっとした名物となっているらしい。
決して濃いとは言えない桃色花弁を僅かに散らす桜を見ながら、出掛け際に聞いたイチヨ族、族長であるサ・ナダの言葉を思い出していた。
『マダ君。今回、彼処の部族は貴方の担当でしたね』
『はい。ハンターの皆さんと花祭りの準備です』
『あそこはいいよ。何年かに一度しか桜は開かないけど、素晴らしい場所だ』
『そ、そうなんですか?』
『いやぁ、残念。私も観に行きたかったよ……もう見られるか、わからないからね』
その時のナダの表情は、いつもと変わらない微笑み。それなのに、何処か影が射しているように、少年ながらにマダは感じられた。
「どうしましたか?」
彼は族長がこの桜を見たがっていたことを、案内役の男に話してみた。
「そうですか、ナダ様が……わかりました! 催事後、ひと振り桜の枝を誂えましょう」
「え? 怒られません?」
「大丈夫、大丈夫。ミコは俺なんだから」
ちょっとした無理は聞くよ、と白い歯を見せて男は笑った。聞けば、祖父、父親の代からナダに世話になっていたらしい。
ただ、彼が補助する年に限って桜も咲かないと言った始末。
「お世話になったお礼です」
「あ、ありがとうございます……」
いたずらに口元に人差し指をあて、男はウインクを一つ。
「それじゃ確認も終わったし、戻ろっか。明日の準備しないとね」
「はい。ハンターの皆さん、待たせてしまいましたね」
●天災は突然に
春をトーテムとする集落のお祭り。それは言ってしまえば、一般的なお花見である。彼ら部族はイチヨ族と同じく、東方の血を受け継ぐ者達。そこで祭り用にちらし寿司の様な料理を食すと言う。
彼らの成人の儀式は10歳の頃に行われる。その為この日は、9歳最後の祝いの日とも言われているのだ。
そんな理由からか、明日の花祭りも子供が多かったりする。
夜遅く、子供達の為にハンター達がちらし寿司等の料理を準備していた時、その言葉が誰の口からでもなく漏れた。
「雪だ。雪が降っているぞ!」
その言葉に驚き、ミコとマダは天幕をくぐり外へと飛び出した。その後をハンター達も、調理用具を置いて追う。
「そんな、この時季に……」
風は無くとも、視界に敷き詰められた雪と言う白。そこへ更に吐息の白が混ざる。地面を見れば、もう既に白化粧は施され始めていた。
「これは、朝までにかなり積もるぞ」
その言葉に、マダはハッとする。
「桜が!!」
そう、あの大きな桜の樹にもまた、雪が降り積もると言うことなのだ。つまりそれは……
「花が殆んど散ってしまう」
それだけではない。雪の重みで、咲きかけのつぼみや、最悪枝が折れてしまうことも有り得る。
「何か布をかけて、それで防ぐのは!?」
「布が桜に被ったら、結局散ってしまうだろ」
「傘はどうだ?」
「あの大きさをか? いくつあっても足りやせん」
「それに朝まで傘を持っていろと?」
折角久しぶりに咲いた、子供達が楽しみにしていたのに……聴こえてくる悔やみの声が降雪の中で染み入る。
巨大な桜。それはとても一般人では、どうにかなるものでは無いのだろう……しかし、覚醒者ならば……
マダはあの桜を思い出す様に瞳を一度閉じてから、ハンター達に振り返り言葉を絞り出した。
「お願い……出来ます、か?」
「俺からもお願いしたい」
ミコの男も、頭を垂れてこう願った。先程までヘラヘラしていた雰囲気が嘘のようだ。
「どうか、桜を護ってくれ!」
解説
今回の目的は【巨大桜を大雪から護る】です。
PC達はお花見の準備の為、集落より依頼を受けました。しかし、夜中0時頃大雪が降り始めました。このままだと、お花見前に桜が散ってしまうので知恵を使いなんとか桜の全滅を防ぎましょう。部族の皆さんも、桜を護りたいと言う気持ちは一緒なので、PCが声をかけてくだされば手伝いには応じます。
そして楽しく雪見桜と洒落混みましょう!
・桜の大樹
沢山の桜の木々がよりあつまったもの。大きさが6スクエア(12m)高さが10mの高さ(およそ三階建ての建物)。
桜に直接シートを被せるなどは、桜が散ってしまうためNG。但し、木に登る等は許可は出ています。
・現在の天候
大雪。風等は幸い吹いていませんが、水分を多く含まないさらさらな雪の為、結構積もります。
※PL情報ですが、今(午前0時)から朝(午前6時)まで雪は降り続けます。
・登場人物
ヤ・マダ
イチヨ族の少年。性格は大人しく、空気は読める子。今回桜を族長のお土産にするつもり。
PC達はお花見の準備の為、集落より依頼を受けました。しかし、夜中0時頃大雪が降り始めました。このままだと、お花見前に桜が散ってしまうので知恵を使いなんとか桜の全滅を防ぎましょう。部族の皆さんも、桜を護りたいと言う気持ちは一緒なので、PCが声をかけてくだされば手伝いには応じます。
そして楽しく雪見桜と洒落混みましょう!
・桜の大樹
沢山の桜の木々がよりあつまったもの。大きさが6スクエア(12m)高さが10mの高さ(およそ三階建ての建物)。
桜に直接シートを被せるなどは、桜が散ってしまうためNG。但し、木に登る等は許可は出ています。
・現在の天候
大雪。風等は幸い吹いていませんが、水分を多く含まないさらさらな雪の為、結構積もります。
※PL情報ですが、今(午前0時)から朝(午前6時)まで雪は降り続けます。
・登場人物
ヤ・マダ
イチヨ族の少年。性格は大人しく、空気は読める子。今回桜を族長のお土産にするつもり。
マスターより
こんにちは、月宵です。実際に降った大雪、蕾のそのままに落ちた桜。実際にそんな光景を見たことがありました。もし、真っ白な雪の中舞い散る桜を見ながら花見が出来たら、そんな思いからこのシナリオを作りました。少し趣の違うお花見是非お楽しみ下さい。
お酒はほどほどに、外は寒いかもですので暖かい格好をおすすめします。
それでは皆様の御参加お待ちしております。
お酒はほどほどに、外は寒いかもですので暖かい格好をおすすめします。
それでは皆様の御参加お待ちしております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/03/30 18:37
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談。 ステラ・フォーク(ka0808) 人間(リアルブルー)|12才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2016/03/23 18:55:47 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/03/22 02:28:09 |