ゲスト
(ka0000)
心悪しき商人の企みと新婚夫婦の夢
マスター:鳴海惣流

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在7人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/03/25 12:00
- リプレイ完成予定
- 2016/04/03 12:00
オープニング
●
「助けてください!」
のどかだったはずの昼下がりは、切羽詰まった女性の涙声によって一気に緊迫感を増した。
グラズヘイム王国ラスリド領内にある小さな町で事件は起こった。
存在するハンターオフィス支部の扉を開けたばかりの女性が、偶然に居合わせたハンターたちの前で伸ばした手を震わせる。
腕にはところどころ真っ赤な痕がある。推測するに、どうやら何かに刺されたらしい。
ハンターの視線に気づいた女性は、腕を悲しげに見つめながら「大丈夫です」と言った。
「すでに処置を済ませてもらってあります。でも……私たちの家が……私たちの夢が……!」
堪えきれなくなり、溜まっていた涙をボロボロとこぼす若い女性に、ハンターのひとりが事情を説明してほしいとお願いする。
オフィスの受付にいる若い男性が椅子に座るのを勧め、温かい紅茶をカップに入れて女性へ差し出す。
お礼を言ってカップを受け取った女性は紅茶をひと口飲んで唇を潤したあと、改めてハンターたちへ向き直った。
「私はアイラと言います。結婚したばかりの夫と一緒に、この町へやってきました。夫の名前はスミスといいます。今は薬師の方に調合してもらった薬を全身に塗り、宿のベッドで休んでいます」
よほどの恐怖を味わったのか、事情説明をし始めた瞬間から、アイラは体を震わせていた。
「夫は故郷の村にあるパン屋で働いていました。作り手ではなかったのですが、結婚を機に私がパンを焼いてみたところ、夫はとても喜んでくれて……」
いつか一緒にパン屋をやろうと笑顔で言われて、アイラもその気になった。
夫のスミスが働くパン屋へ修行に行き、筋がいいと褒められた。
作り方や味の良し悪しは知っていても、調理の腕がなかったスミスには最高のパートナーとなった。
スミスの夢は夫婦の夢となり、パン屋を開業するために資金を溜めようと一生懸命に働いた。そのため、まだ子供はいない。
「まだしばらく時間はかかると思っていましたが、そんな時にとてもいいお話を持ちかけられたのです」
黙って聞いているハンターに、沈痛な面持ちのアイラが言葉を続ける。
「村を訪れた男性が、私たちに店舗兼自宅となる物件を格安で提供してくれると言ったのです。とても評判の良い商人ということで、私も夫もその方を信用しました。それが大きな間違いだとも知らずに……」
アイラの両手が怒りと後悔で大きく震え、持っているカップがカタカタと鳴る。紅茶の中に、ひと粒の涙がこぼれ落ちる。
「店の準備も順調に進み、これから本格的に営業を開始しようとした矢先です。突如、店にも自宅にも通常の倍はあろうかという蜂が現れたのです」
いきなり現れた蜂を追い払おうとスミスは掃除用具片手に奮戦したが、やはり普通の蜂とは違っていた。
すぐに気づいてアイラを逃がしてくれたが、その分だけスミスは蜂の攻撃を受けるはめになった。
周辺住民の助けもあってなんとか助け出せたが、全身を刺されてしまった。
治療してくれた薬師の見解では命に別状はないが、しばらくは安静にする必要があるとのことだった。
「幸せの象徴と思えた新居は蜂に占拠されました。スミスのお見舞い後、必要な物を買おうと町を歩いていたら、偶然にも物件を紹介してくれた商人を見かけました」
そこで一旦言葉を区切ったアイラが、憎々しげにおもいきり奥歯を噛んだ。カップを挟むように持つ両手にも、相当な力が入っているのがわかる。
「私は商人の方に事情を説明しました。なんとかしてほしいとも。けれど返ってきたのは、あまりにも薄情な言葉でした」
購入後の責任まで持てない。蜂が怖いのなら家を出て行けばいい。後処理の手間もかかるから、売値の十分の一の価格で買い戻してやる。蜂が他の住民に危害を加える前に決断しろ。
商人から言われたという台詞を、一字一句自らの口で再現するアイラ。燃え上がる怒りの炎で、瞳を潤ませていた涙が乾いていく。
「ハンターに相談しても無駄。このような住民の依頼は受けてもらえない、とも言われました。でも、私とスミスは知っています。決して、そんなことはないと」
だから依頼に来たとも、アイラは付け加えた。
「お願いです。どうか、あの狂暴な蜂をなんとかしてください!」
涙ながらに懇願するアイラの肩に手を置き、受付の男性が「わかりました」と頷く。
「アイラさんの依頼を受理します。それだけ狂暴な蜂なのであれば、歪虚の可能性もあるでしょうしね」
「まさか、あの商人が……」
「いえ、それはないでしょう。人間が歪虚を意のままに操るなんて無理です。可能性があるとしたら、歪虚がいると知っていながらアイラさんに紹介したというものでしょう。悪質な手法ですね。仮にアイラさんが売却を決断しても、今度は他の方に売って儲けるつもりかもしれません」
だとすれば商人の企みを阻止する意味でも、店や家の中にいる蜂をすべて駆除してしまえばいい。受付の男性はそうも言った。
「ですが逆に逃がせば、仲間を連れてきてしまうかもしれません。逃がさずに完全駆除が主な目的になりそうですね。大丈夫ですよ。すぐにハンターが解決に向かいますから」
「お願いします! どうか私たち夫婦の夢を救ってください。お金儲けしか頭にないような商人の男――ダンダ・ダッダの企みから!」
「助けてください!」
のどかだったはずの昼下がりは、切羽詰まった女性の涙声によって一気に緊迫感を増した。
グラズヘイム王国ラスリド領内にある小さな町で事件は起こった。
存在するハンターオフィス支部の扉を開けたばかりの女性が、偶然に居合わせたハンターたちの前で伸ばした手を震わせる。
腕にはところどころ真っ赤な痕がある。推測するに、どうやら何かに刺されたらしい。
ハンターの視線に気づいた女性は、腕を悲しげに見つめながら「大丈夫です」と言った。
「すでに処置を済ませてもらってあります。でも……私たちの家が……私たちの夢が……!」
堪えきれなくなり、溜まっていた涙をボロボロとこぼす若い女性に、ハンターのひとりが事情を説明してほしいとお願いする。
オフィスの受付にいる若い男性が椅子に座るのを勧め、温かい紅茶をカップに入れて女性へ差し出す。
お礼を言ってカップを受け取った女性は紅茶をひと口飲んで唇を潤したあと、改めてハンターたちへ向き直った。
「私はアイラと言います。結婚したばかりの夫と一緒に、この町へやってきました。夫の名前はスミスといいます。今は薬師の方に調合してもらった薬を全身に塗り、宿のベッドで休んでいます」
よほどの恐怖を味わったのか、事情説明をし始めた瞬間から、アイラは体を震わせていた。
「夫は故郷の村にあるパン屋で働いていました。作り手ではなかったのですが、結婚を機に私がパンを焼いてみたところ、夫はとても喜んでくれて……」
いつか一緒にパン屋をやろうと笑顔で言われて、アイラもその気になった。
夫のスミスが働くパン屋へ修行に行き、筋がいいと褒められた。
作り方や味の良し悪しは知っていても、調理の腕がなかったスミスには最高のパートナーとなった。
スミスの夢は夫婦の夢となり、パン屋を開業するために資金を溜めようと一生懸命に働いた。そのため、まだ子供はいない。
「まだしばらく時間はかかると思っていましたが、そんな時にとてもいいお話を持ちかけられたのです」
黙って聞いているハンターに、沈痛な面持ちのアイラが言葉を続ける。
「村を訪れた男性が、私たちに店舗兼自宅となる物件を格安で提供してくれると言ったのです。とても評判の良い商人ということで、私も夫もその方を信用しました。それが大きな間違いだとも知らずに……」
アイラの両手が怒りと後悔で大きく震え、持っているカップがカタカタと鳴る。紅茶の中に、ひと粒の涙がこぼれ落ちる。
「店の準備も順調に進み、これから本格的に営業を開始しようとした矢先です。突如、店にも自宅にも通常の倍はあろうかという蜂が現れたのです」
いきなり現れた蜂を追い払おうとスミスは掃除用具片手に奮戦したが、やはり普通の蜂とは違っていた。
すぐに気づいてアイラを逃がしてくれたが、その分だけスミスは蜂の攻撃を受けるはめになった。
周辺住民の助けもあってなんとか助け出せたが、全身を刺されてしまった。
治療してくれた薬師の見解では命に別状はないが、しばらくは安静にする必要があるとのことだった。
「幸せの象徴と思えた新居は蜂に占拠されました。スミスのお見舞い後、必要な物を買おうと町を歩いていたら、偶然にも物件を紹介してくれた商人を見かけました」
そこで一旦言葉を区切ったアイラが、憎々しげにおもいきり奥歯を噛んだ。カップを挟むように持つ両手にも、相当な力が入っているのがわかる。
「私は商人の方に事情を説明しました。なんとかしてほしいとも。けれど返ってきたのは、あまりにも薄情な言葉でした」
購入後の責任まで持てない。蜂が怖いのなら家を出て行けばいい。後処理の手間もかかるから、売値の十分の一の価格で買い戻してやる。蜂が他の住民に危害を加える前に決断しろ。
商人から言われたという台詞を、一字一句自らの口で再現するアイラ。燃え上がる怒りの炎で、瞳を潤ませていた涙が乾いていく。
「ハンターに相談しても無駄。このような住民の依頼は受けてもらえない、とも言われました。でも、私とスミスは知っています。決して、そんなことはないと」
だから依頼に来たとも、アイラは付け加えた。
「お願いです。どうか、あの狂暴な蜂をなんとかしてください!」
涙ながらに懇願するアイラの肩に手を置き、受付の男性が「わかりました」と頷く。
「アイラさんの依頼を受理します。それだけ狂暴な蜂なのであれば、歪虚の可能性もあるでしょうしね」
「まさか、あの商人が……」
「いえ、それはないでしょう。人間が歪虚を意のままに操るなんて無理です。可能性があるとしたら、歪虚がいると知っていながらアイラさんに紹介したというものでしょう。悪質な手法ですね。仮にアイラさんが売却を決断しても、今度は他の方に売って儲けるつもりかもしれません」
だとすれば商人の企みを阻止する意味でも、店や家の中にいる蜂をすべて駆除してしまえばいい。受付の男性はそうも言った。
「ですが逆に逃がせば、仲間を連れてきてしまうかもしれません。逃がさずに完全駆除が主な目的になりそうですね。大丈夫ですよ。すぐにハンターが解決に向かいますから」
「お願いします! どうか私たち夫婦の夢を救ってください。お金儲けしか頭にないような商人の男――ダンダ・ダッダの企みから!」
解説
●目的
店と住居内にいる蜂歪虚の殲滅
●簡易map
※上から見下ろしてる感じ。map外の移動は不可
住居
ABCDEFGHI 1マス=1sq 住居と店は繋がっている。
a□■□■□□121 □=床。通行可能
b□■□■□□□□□ ●=テーブル(通行不可
c扉■□■■■扉■■ ▲=商品棚(通行不可
d1□□□□□□□□ ▼=カウンター(通行不可
e■■扉■■□■■■ ■=壁(通行不可
f1□□□■□■□□
g□□□1■□扉1□ Gcの扉内=寝室
h□1□□■□■■■ Acの扉内=トイレ
i□□□□■□□□□ Ceの扉内=厨房(台所、ダイニングを兼務
店 Ggの扉内=小部屋(現在は物置に使用
j■□■■■■■□□
k□1□□□□□□□ 1=蜂歪虚=3体一組で行動
l□□□□1□▼□□ 2=女王蜂歪虚
m▼▼▼▼▼▼▼□□
n□□□□□□□□▲ ハ=ハンター初期位置
o□●●1□●●□▲
p□●●□□●●□▲
q□●●□□●●□▲
r□□□ハ□□□□▲
■■■扉扉■■■■
※ハンターはmapの見取り図を貰っている。どこに敵がいるかは知らない。
●map情報
蜂歪虚は自ら窓は開けられない。扉は木製なので、その気になれば突き破れる。
家の壁は石。床は木。床の下は硬い土。
家の中には、家具やベッドなどを設置済み。
●敵情報
名前 生命力 回避 受け 受防 防御 抵抗 攻撃 命中 移動 性格 行動
蜂 中 中 中 激低 低 低 中 中 中 好戦 飛行、噛みつき、毒針
女王蜂 高 高 中 低 中 中 高 高 中 好戦 飛行、噛みつき、毒針
※毒針=毒によるダメージランク1(抵抗可
店と住居内にいる蜂歪虚の殲滅
●簡易map
※上から見下ろしてる感じ。map外の移動は不可
住居
ABCDEFGHI 1マス=1sq 住居と店は繋がっている。
a□■□■□□121 □=床。通行可能
b□■□■□□□□□ ●=テーブル(通行不可
c扉■□■■■扉■■ ▲=商品棚(通行不可
d1□□□□□□□□ ▼=カウンター(通行不可
e■■扉■■□■■■ ■=壁(通行不可
f1□□□■□■□□
g□□□1■□扉1□ Gcの扉内=寝室
h□1□□■□■■■ Acの扉内=トイレ
i□□□□■□□□□ Ceの扉内=厨房(台所、ダイニングを兼務
店 Ggの扉内=小部屋(現在は物置に使用
j■□■■■■■□□
k□1□□□□□□□ 1=蜂歪虚=3体一組で行動
l□□□□1□▼□□ 2=女王蜂歪虚
m▼▼▼▼▼▼▼□□
n□□□□□□□□▲ ハ=ハンター初期位置
o□●●1□●●□▲
p□●●□□●●□▲
q□●●□□●●□▲
r□□□ハ□□□□▲
■■■扉扉■■■■
※ハンターはmapの見取り図を貰っている。どこに敵がいるかは知らない。
●map情報
蜂歪虚は自ら窓は開けられない。扉は木製なので、その気になれば突き破れる。
家の壁は石。床は木。床の下は硬い土。
家の中には、家具やベッドなどを設置済み。
●敵情報
名前 生命力 回避 受け 受防 防御 抵抗 攻撃 命中 移動 性格 行動
蜂 中 中 中 激低 低 低 中 中 中 好戦 飛行、噛みつき、毒針
女王蜂 高 高 中 低 中 中 高 高 中 好戦 飛行、噛みつき、毒針
※毒針=毒によるダメージランク1(抵抗可
マスターより
お世話になっております、鳴海惣流です。
今回は悪徳商人に騙された哀れな新婚夫婦を助ける依頼となります。
準備が終わるまで新婚夫婦が襲われなかったのは、運が良かっただけです。
慎重に獲物が脅威か見定めてから襲い掛かった、という感じです。
よろしければ是非、参加なさってみてください。
皆様の参加をお待ちしています。
今回は悪徳商人に騙された哀れな新婚夫婦を助ける依頼となります。
準備が終わるまで新婚夫婦が襲われなかったのは、運が良かっただけです。
慎重に獲物が脅威か見定めてから襲い掛かった、という感じです。
よろしければ是非、参加なさってみてください。
皆様の参加をお待ちしています。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/03/29 23:30
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/03/23 21:09:43 |
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相談卓 アルスレーテ・フュラー(ka6148) エルフ|27才|女性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2016/03/25 11:55:11 |