ゲスト
(ka0000)
ダイエットの代償
マスター:葉槻

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- 不明
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/03/28 09:00
- リプレイ完成予定
- 2016/04/11 09:00
オープニング
●微睡む闇の揺籠にて
……まだだ。まだ、足りぬ。
……多少、質が落ちても構わぬ。
……数を、数が、重要だ。
……あの『役立たず』をもっと働かせろ。
……しかし、あまり派手に動いてハンターの目に留まっても目障りだ。
……いや、構わん。もう計画は終盤だ。
……精々、数を稼いで我々の役に立って貰おう。
●ある報告事例
朝から酷く寒い日だった。
3月も半ばになった頃、再び帝都は寒波に見舞われていた。
まるで年始に戻ったような骨まで染み入るような冷気に、人々は仕舞いかけた厚手のコートを再び引っ張り出して前を寄せる。
男は漸くこの日、山積みだった仕事を終え、同僚達と軽く夕食を済ませて帰宅途中だった。馬車を降り、玄関の鍵を開けようとして、目の端に何やら蠢くモノを見た気がして振り返る。
「……飲み過ぎたかな?」
時間はまだ日が変わる前。とはいえ、帝都襲撃からこの2ヶ月はほぼ休み無く働いてきた為、疲れが溜まっている感は否めない。
「気のせいか」
呟きながら鍵を回し、再び気配に振り返る。
目を凝らし、茂みの中を見れば暗がりに蠢く『何か』がいた。
「ひっ!」
男は護衛の為に身につけていた拳銃を震える手で取り出すと、わたわたと構えた。
それは全身がゼリー状の化け物だった。それが、男には目にもくれずぞろぞろと地面を這うように歩道へと向かって行く。
男は初めて間近で見る雑魔を前に、歯を鳴らしながらも、視線を逸らせずその行動を見守る。
雑魔はずるずると動き、そして雨水用の側溝に落ちると、そのまま下水道へと落ちていった。
1時間以上、恐怖からその側溝を見守っていたが、雑魔が出てこないことに漸く、男はへたりとその場にしゃがみ込んだ。
それから、這うようにして自宅へ帰ると、大声で妻の名を呼んだ。
しかし姿を現さない為、不審に思いながらも寝室へ向かう。
2ヶ月ぶりに帰る家は他人の家のように冷えていて、うっすらと埃すら溜まっているようだった。
男は得も言われぬ不安に襲われながら寝室の扉を開く。
だがそこ妻の姿はなく、ただ脱ぎ捨てられた寝間着と、開かれた窓があるだけだった。
●変異
「……そんなにそれが美味いのか……?」
娘がシェフに頼んで作らせたという、レアよりも限りなく生に近いブルーと言われる両面を数秒焼いた程度のステーキを行儀良く――しかし、二人前の量を――食べる娘を見て、うんざりしたように父親は問う。
「お父様ったら。今、生食がとてももてはやされているのよ? 流石、リアルブルーの調理法よね。この血が滴る新鮮さと、肉の柔らかさがいいの。今までこんな美味しい食べ方は帝都には無かったもの」
ちらりと、赤い舌を見せながら娘は微笑む。耳にはダイエット効果があると言われる銀のピアスが光っている。
ぽっちゃりとしていた娘にダイエットをしてはどうだと進めたのは自分だったが、この4ヶ月で娘の体重はみるみる落ちて今はもう女性らしい丸みすら失われつつあった。
「……お前、その、そろそろダイエットも止めて良いんじゃ無いか?」
そう父親が告げると、娘は片眉を跳ね上げて父親を見た。ぎょろりとした目に射竦められて、父親は思わずゴクリと生唾を飲み込む。
「お父様がやせろと言うから今頑張っているのよ。あともうちょっとで目標のドレスが着られるようになるの」
「……お、おぉ、そ、そうか」
娘はほぼ生肉のままのステーキだけを平らげるとフォークとナイフを置いた。机の上のスープとパンにはほとんど手を付けていない。
「も、もういいのか? せっかく母さんが焼いたパンなのに……」
「えぇ。パンは太る原因になるんですって」
それでは、ゴチソウサマでしたと、静かに席を立つと、優雅にお辞儀をして娘は食堂を出て行く。父親はその一挙一動を見守ったあと、知らず知らずのうちに溜息を吐いて、食事を再開したのだった。
その夜。
いつものようにメイドが娘の髪に櫛を入れ、寝支度を整えていた時だった。
ふらりと娘は立ち上がると、窓を開け放った。まだ冷たい春の夜風が室内を駆ける。
「お嬢様」
メイドが声を掛けた時だった。
「……行かなきゃ」
そう娘が告げると、その姿は突如ぐにゃりと溶けた。
ぱさり、と軽い音を立てて寝間着が床に落ちる。
窓の枠の上には赤みの強いゼリー状の雑魔。
――メイドの上げた悲鳴と同時に、雑魔は窓の外へと消えた。
何事かと走ってきた屋敷の主人に、メイドは窓の外を指差しながら何とか自分が目撃したものを説明をする。
男は――父親は――窓の外を見て、そこにずるずると移動するスライムを見つけ、メイドの言葉が少なくとも『雑魔が出た』という点において嘘を吐いていないことを確認した。
彼は猟銃を手に取ると、スライムの後を追って家を飛び出した。
「……ご主人、どうされました?」
そんな彼に背後から声をかけたのは、ハンターの一人だった。
……まだだ。まだ、足りぬ。
……多少、質が落ちても構わぬ。
……数を、数が、重要だ。
……あの『役立たず』をもっと働かせろ。
……しかし、あまり派手に動いてハンターの目に留まっても目障りだ。
……いや、構わん。もう計画は終盤だ。
……精々、数を稼いで我々の役に立って貰おう。
●ある報告事例
朝から酷く寒い日だった。
3月も半ばになった頃、再び帝都は寒波に見舞われていた。
まるで年始に戻ったような骨まで染み入るような冷気に、人々は仕舞いかけた厚手のコートを再び引っ張り出して前を寄せる。
男は漸くこの日、山積みだった仕事を終え、同僚達と軽く夕食を済ませて帰宅途中だった。馬車を降り、玄関の鍵を開けようとして、目の端に何やら蠢くモノを見た気がして振り返る。
「……飲み過ぎたかな?」
時間はまだ日が変わる前。とはいえ、帝都襲撃からこの2ヶ月はほぼ休み無く働いてきた為、疲れが溜まっている感は否めない。
「気のせいか」
呟きながら鍵を回し、再び気配に振り返る。
目を凝らし、茂みの中を見れば暗がりに蠢く『何か』がいた。
「ひっ!」
男は護衛の為に身につけていた拳銃を震える手で取り出すと、わたわたと構えた。
それは全身がゼリー状の化け物だった。それが、男には目にもくれずぞろぞろと地面を這うように歩道へと向かって行く。
男は初めて間近で見る雑魔を前に、歯を鳴らしながらも、視線を逸らせずその行動を見守る。
雑魔はずるずると動き、そして雨水用の側溝に落ちると、そのまま下水道へと落ちていった。
1時間以上、恐怖からその側溝を見守っていたが、雑魔が出てこないことに漸く、男はへたりとその場にしゃがみ込んだ。
それから、這うようにして自宅へ帰ると、大声で妻の名を呼んだ。
しかし姿を現さない為、不審に思いながらも寝室へ向かう。
2ヶ月ぶりに帰る家は他人の家のように冷えていて、うっすらと埃すら溜まっているようだった。
男は得も言われぬ不安に襲われながら寝室の扉を開く。
だがそこ妻の姿はなく、ただ脱ぎ捨てられた寝間着と、開かれた窓があるだけだった。
●変異
「……そんなにそれが美味いのか……?」
娘がシェフに頼んで作らせたという、レアよりも限りなく生に近いブルーと言われる両面を数秒焼いた程度のステーキを行儀良く――しかし、二人前の量を――食べる娘を見て、うんざりしたように父親は問う。
「お父様ったら。今、生食がとてももてはやされているのよ? 流石、リアルブルーの調理法よね。この血が滴る新鮮さと、肉の柔らかさがいいの。今までこんな美味しい食べ方は帝都には無かったもの」
ちらりと、赤い舌を見せながら娘は微笑む。耳にはダイエット効果があると言われる銀のピアスが光っている。
ぽっちゃりとしていた娘にダイエットをしてはどうだと進めたのは自分だったが、この4ヶ月で娘の体重はみるみる落ちて今はもう女性らしい丸みすら失われつつあった。
「……お前、その、そろそろダイエットも止めて良いんじゃ無いか?」
そう父親が告げると、娘は片眉を跳ね上げて父親を見た。ぎょろりとした目に射竦められて、父親は思わずゴクリと生唾を飲み込む。
「お父様がやせろと言うから今頑張っているのよ。あともうちょっとで目標のドレスが着られるようになるの」
「……お、おぉ、そ、そうか」
娘はほぼ生肉のままのステーキだけを平らげるとフォークとナイフを置いた。机の上のスープとパンにはほとんど手を付けていない。
「も、もういいのか? せっかく母さんが焼いたパンなのに……」
「えぇ。パンは太る原因になるんですって」
それでは、ゴチソウサマでしたと、静かに席を立つと、優雅にお辞儀をして娘は食堂を出て行く。父親はその一挙一動を見守ったあと、知らず知らずのうちに溜息を吐いて、食事を再開したのだった。
その夜。
いつものようにメイドが娘の髪に櫛を入れ、寝支度を整えていた時だった。
ふらりと娘は立ち上がると、窓を開け放った。まだ冷たい春の夜風が室内を駆ける。
「お嬢様」
メイドが声を掛けた時だった。
「……行かなきゃ」
そう娘が告げると、その姿は突如ぐにゃりと溶けた。
ぱさり、と軽い音を立てて寝間着が床に落ちる。
窓の枠の上には赤みの強いゼリー状の雑魔。
――メイドの上げた悲鳴と同時に、雑魔は窓の外へと消えた。
何事かと走ってきた屋敷の主人に、メイドは窓の外を指差しながら何とか自分が目撃したものを説明をする。
男は――父親は――窓の外を見て、そこにずるずると移動するスライムを見つけ、メイドの言葉が少なくとも『雑魔が出た』という点において嘘を吐いていないことを確認した。
彼は猟銃を手に取ると、スライムの後を追って家を飛び出した。
「……ご主人、どうされました?」
そんな彼に背後から声をかけたのは、ハンターの一人だった。
解説
最近、帝都内にて主に上~中流階級の婦女子(一部男性)の失踪とスライム状の雑魔の目撃証言が続いていたことから、帝国軍よりAPVへバルトアンデルス市街内の巡回の依頼があり、あなたはそれに参加していました。(もちろんAPV所属でなくても参加は可能です)
父親と出会うのは、帝都でも主に中流階級の者達が住まう敷地の広い一軒家の続く歩道です。
父親の手には猟銃が握られ、彼の前方にはスライムが見えます。
スライムはどこかを目指して進んでいます。
あなたは父親から「あのスライムが娘かもしれない」という(OPの)話しを聞くことが出来ます。
あなたたちに出来る行動は大きく2つのうち、どちらか1つです。
1.スライムを退治する
2.スライムが行く先を見守る
意思統一が出来なかった場合、多数決で方針を決定とさせていただきます。
(意見が真っ二つに割れていた場合は、サイコロ判定します。奇数が出たら1。偶数が出たら2です)
1.となった場合、場所はどこで戦うにしてもバルトアンデルスの市街内となります。
場所によっては騎乗が不可となる可能性がありますのでご注意下さい。
スライムはウィンドスラッシュのような攻撃とマテリアルドレインを行ってきます。
それ以外の能力は不明です。
2.となった場合、スライムはどのようにでも形状を変えることが出来ますので、人では易々とは入り込めない場所に入ることもあるかもしれません。
様々なケースを想定して準備が必要となるでしょう。
出会う父親は貴方たちに付いていこうとしますが、彼は一般の商人であり、戦闘技術はありません。
一緒にいさせるなら被害が出ないよう対策をして下さい。
家に帰るように促すなら、説得のプレイングが必要です。
※説得の難易度自体はさほど高くありません。
父親と出会うのは、帝都でも主に中流階級の者達が住まう敷地の広い一軒家の続く歩道です。
父親の手には猟銃が握られ、彼の前方にはスライムが見えます。
スライムはどこかを目指して進んでいます。
あなたは父親から「あのスライムが娘かもしれない」という(OPの)話しを聞くことが出来ます。
あなたたちに出来る行動は大きく2つのうち、どちらか1つです。
1.スライムを退治する
2.スライムが行く先を見守る
意思統一が出来なかった場合、多数決で方針を決定とさせていただきます。
(意見が真っ二つに割れていた場合は、サイコロ判定します。奇数が出たら1。偶数が出たら2です)
1.となった場合、場所はどこで戦うにしてもバルトアンデルスの市街内となります。
場所によっては騎乗が不可となる可能性がありますのでご注意下さい。
スライムはウィンドスラッシュのような攻撃とマテリアルドレインを行ってきます。
それ以外の能力は不明です。
2.となった場合、スライムはどのようにでも形状を変えることが出来ますので、人では易々とは入り込めない場所に入ることもあるかもしれません。
様々なケースを想定して準備が必要となるでしょう。
出会う父親は貴方たちに付いていこうとしますが、彼は一般の商人であり、戦闘技術はありません。
一緒にいさせるなら被害が出ないよう対策をして下さい。
家に帰るように促すなら、説得のプレイングが必要です。
※説得の難易度自体はさほど高くありません。
マスターより
初めまして、もしくは、またお目にかかれて光栄です。葉槻(はづき)です。
タイトルと内容がどのように繋がっているのかと所見の方には「?」が浮かぶかもしれません。
実際知らなくても問題ありませんが、一応今回の依頼は『ダイエットの流行』(http://www.wtrpg10.com/scenario/replay/4146)からの派生依頼となっております。
ご興味惹かれた方はそちらも見ていただけると、さらに楽しめるかもしれませんし、もちろん見なくても問題ありません。
どうぞ、あなたらしいプレイングをお待ちしております。
タイトルと内容がどのように繋がっているのかと所見の方には「?」が浮かぶかもしれません。
実際知らなくても問題ありませんが、一応今回の依頼は『ダイエットの流行』(http://www.wtrpg10.com/scenario/replay/4146)からの派生依頼となっております。
ご興味惹かれた方はそちらも見ていただけると、さらに楽しめるかもしれませんし、もちろん見なくても問題ありません。
どうぞ、あなたらしいプレイングをお待ちしております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/04/13 12:30
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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ダイエット? 知りませんね 水流崎トミヲ(ka4852) 人間(リアルブルー)|27才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/03/28 07:17:46 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/03/25 17:09:16 |