ゲスト
(ka0000)
【審判】忘れられた巡礼路
マスター:芹沢かずい

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/04/03 19:00
- リプレイ完成予定
- 2016/04/12 19:00
オープニング
●忘れられた教会
人里から離れた山奥、切り立った崖を背に、それは静かに佇んでいた。
質素な造りの壁は剥がれかけ、屋根も一部壊れてはいるが、それは教会だった。
過去、この教会は村人だけでなく、王国の多くの巡礼者たちが静かに祈りを捧げる場所であり、村もそれなりに賑わっていた。
数年前に村を襲った災害。それによって村は壊滅的な被害を受けた。巡礼路の一つとして最低限の修復がなされたが、村に移住する者はなく、その佇まいは寂しさだけを映し出しているようだ。
巡礼者を拒むことはないが、過去の災害の影響を危惧した教会が早々に立ち去ることを布告し、巡礼路の中では非常に影の薄い教会となっている。
現在では、一人残った老齢の司教が孤児たちの世話をしながら暮らしている。時折、他の教会から施される僅かな生活物資が届けられる他は、巡礼以外の訪問者もない。
住む家や家族を失ってしまった子供たちが身を寄せる。そんな寂しい場所になってしまっているが、一人残った司教に愛され、慎ましくも幸せな暮らしが、ここにはあった。
●翼を持つ者
『こんな物寂しい教会とはねぇ……。ま、どれだけ寂れていても、巡礼路の一つであるならば教徒に見捨てられることもないということでしょうか……』
背に純白の翼を負った人でない『それ』は、教会の屋根を見下ろす木の上で独り呟く。……呆れるような、嘲るような。何とも形容し難い声色。
『それ』が言うように、数日に一度程度だが、巡礼者がエクラに祈りを捧げながらやってくる。ただ、教会から言われているのだろう。長居することなく、すぐに次の教会へと向かっていく。最低限の修復がなされたとはいえ、手入れする者がないために、年月によって荒れた山道。自然豊かと言えば聞こえは良いだろうが、人を襲う獣も多い。
●降り立った『天使』
その日、外からの巡礼者はなかった。教会の中には、司教と子供たちの姿。
祈りを捧げる彼らの前に、突如としてそれは現れた。
『皆さん……』
翼を持つ者は、礼拝中の彼らの前に神々しく舞い降りると、彼らに順に視線を送りながら、恭しく声をかけた。
『あぅ……』
誰が漏らした言葉か、虚しく宙を舞う。
『わたくしは、皆さんに救いを授けにきたのです……さあ』
永遠なる安寧の地に……。
この時、礼拝堂で何が起こったのか。それを知る者はいない。だが、命ある者が存在しなくなったのは、確かなことだった。
●翼を持つ者たち
数羽のカラスが、不気味とさえ感じる声で鳴き交わしながら、教会の上空を旋回している。
この教会に生活物資を届けに来ていた者からの依頼だった。山の麓、近くの村からだ。
数人のハンターたちが、細く険しい山道を登っていく。
これまでに何度も山頂の教会を尋ねていた依頼人の話では、いつも聞こえてくる子供達の声が聞こえないのだという。司教を尋ねても、扉は固く閉ざされたまま。
物音ひとつしないその教会は、壊れかけの佇まいとも相まって、背筋が凍り付くような感覚さえ与えた。
「……ここです」
山道を登りきり、後ろに控えるハンターたちに向き直って伝える依頼人。
不気味なカラスの鳴き声、崖を吹き抜ける風の物悲しい音、揺れる木々のざわめき。その風に混じって、ハンターたちの鼻をつく『匂い』があった。
ぎぎぎぃぃ……。
彼らを招き入れるように、教会の扉が開く。
『お待ちしておりました、ハンターさん。……本当ならば、訪れる巡礼者たちをお連れするつもりだったのですがねぇ』
翼を持ち、歪んで不格好な顔をした『それ』が、言葉を巧みに操り言う。
彼の後ろには、どろりと濁った瞳を虚ろにこちらに向ける老人と、七人の子供達。……誰もが背中に純白の翼を背負わされ、すでに生気を失っている。哀れにも生前の信仰を奪われ、翼持つ者の命令に従わされているのだろう。
『ふむ……ハンターさんがお相手では、このヒトたちでは少々荷が重いでしょうね』
翼持つ者は表情を変えたようだが、その継ぎ接ぎされたような奇妙な顔は、ぎこちなく首を回しただけ。
『いえね、この地がエクラ教の巡礼路と知りましてね。わたくしごときでも、あの方のお力になりたいのです。ええ! ごくごく僅かなものであろうとも、少しでもお力に、ね!』
言うなり片方の手をかざす。着ていた純白の外套がばさりっ、と翻る。瞬間、教会の左右の森から、黒い影が幾つも姿を現していた。
いずれも背に翼を負っている。
鷲のような純白の翼を持っている、狼。鹿や蛇の身体に、不似合いな翼を縫い付けられた奇妙な姿の、雑魔だろう。
気付けば、上空を舞っていたカラスたちは姿を消している。
『さあ、皆さんも……行きましょう。永遠なる安寧の地へ!』
人里から離れた山奥、切り立った崖を背に、それは静かに佇んでいた。
質素な造りの壁は剥がれかけ、屋根も一部壊れてはいるが、それは教会だった。
過去、この教会は村人だけでなく、王国の多くの巡礼者たちが静かに祈りを捧げる場所であり、村もそれなりに賑わっていた。
数年前に村を襲った災害。それによって村は壊滅的な被害を受けた。巡礼路の一つとして最低限の修復がなされたが、村に移住する者はなく、その佇まいは寂しさだけを映し出しているようだ。
巡礼者を拒むことはないが、過去の災害の影響を危惧した教会が早々に立ち去ることを布告し、巡礼路の中では非常に影の薄い教会となっている。
現在では、一人残った老齢の司教が孤児たちの世話をしながら暮らしている。時折、他の教会から施される僅かな生活物資が届けられる他は、巡礼以外の訪問者もない。
住む家や家族を失ってしまった子供たちが身を寄せる。そんな寂しい場所になってしまっているが、一人残った司教に愛され、慎ましくも幸せな暮らしが、ここにはあった。
●翼を持つ者
『こんな物寂しい教会とはねぇ……。ま、どれだけ寂れていても、巡礼路の一つであるならば教徒に見捨てられることもないということでしょうか……』
背に純白の翼を負った人でない『それ』は、教会の屋根を見下ろす木の上で独り呟く。……呆れるような、嘲るような。何とも形容し難い声色。
『それ』が言うように、数日に一度程度だが、巡礼者がエクラに祈りを捧げながらやってくる。ただ、教会から言われているのだろう。長居することなく、すぐに次の教会へと向かっていく。最低限の修復がなされたとはいえ、手入れする者がないために、年月によって荒れた山道。自然豊かと言えば聞こえは良いだろうが、人を襲う獣も多い。
●降り立った『天使』
その日、外からの巡礼者はなかった。教会の中には、司教と子供たちの姿。
祈りを捧げる彼らの前に、突如としてそれは現れた。
『皆さん……』
翼を持つ者は、礼拝中の彼らの前に神々しく舞い降りると、彼らに順に視線を送りながら、恭しく声をかけた。
『あぅ……』
誰が漏らした言葉か、虚しく宙を舞う。
『わたくしは、皆さんに救いを授けにきたのです……さあ』
永遠なる安寧の地に……。
この時、礼拝堂で何が起こったのか。それを知る者はいない。だが、命ある者が存在しなくなったのは、確かなことだった。
●翼を持つ者たち
数羽のカラスが、不気味とさえ感じる声で鳴き交わしながら、教会の上空を旋回している。
この教会に生活物資を届けに来ていた者からの依頼だった。山の麓、近くの村からだ。
数人のハンターたちが、細く険しい山道を登っていく。
これまでに何度も山頂の教会を尋ねていた依頼人の話では、いつも聞こえてくる子供達の声が聞こえないのだという。司教を尋ねても、扉は固く閉ざされたまま。
物音ひとつしないその教会は、壊れかけの佇まいとも相まって、背筋が凍り付くような感覚さえ与えた。
「……ここです」
山道を登りきり、後ろに控えるハンターたちに向き直って伝える依頼人。
不気味なカラスの鳴き声、崖を吹き抜ける風の物悲しい音、揺れる木々のざわめき。その風に混じって、ハンターたちの鼻をつく『匂い』があった。
ぎぎぎぃぃ……。
彼らを招き入れるように、教会の扉が開く。
『お待ちしておりました、ハンターさん。……本当ならば、訪れる巡礼者たちをお連れするつもりだったのですがねぇ』
翼を持ち、歪んで不格好な顔をした『それ』が、言葉を巧みに操り言う。
彼の後ろには、どろりと濁った瞳を虚ろにこちらに向ける老人と、七人の子供達。……誰もが背中に純白の翼を背負わされ、すでに生気を失っている。哀れにも生前の信仰を奪われ、翼持つ者の命令に従わされているのだろう。
『ふむ……ハンターさんがお相手では、このヒトたちでは少々荷が重いでしょうね』
翼持つ者は表情を変えたようだが、その継ぎ接ぎされたような奇妙な顔は、ぎこちなく首を回しただけ。
『いえね、この地がエクラ教の巡礼路と知りましてね。わたくしごときでも、あの方のお力になりたいのです。ええ! ごくごく僅かなものであろうとも、少しでもお力に、ね!』
言うなり片方の手をかざす。着ていた純白の外套がばさりっ、と翻る。瞬間、教会の左右の森から、黒い影が幾つも姿を現していた。
いずれも背に翼を負っている。
鷲のような純白の翼を持っている、狼。鹿や蛇の身体に、不似合いな翼を縫い付けられた奇妙な姿の、雑魔だろう。
気付けば、上空を舞っていたカラスたちは姿を消している。
『さあ、皆さんも……行きましょう。永遠なる安寧の地へ!』
解説
●教会に現れた『翼持つ者=歪虚』と、翼を持つ雑魔、堕落者たちとの戦闘依頼です。
●翼を持った歪虚は人型で、総合的な能力は強くありませんが、飛行能力があり、魔法を使った攻撃をしてきます。……今の所は高みの見物を決め込んでいるように見受けられます。
●雑魔にも全て翼がついており、飛行能力はありそうですが、元々の能力が低いのに加え、飛行は得意ではありません。
●敵戦力
人型歪虚×1:飛行能力、剣、魔法
狼×3:爪や牙での引っ掻き、噛み付き。翼を利用したハイジャンプ等
鹿×2:突進、蹄での引っ掻き。翼を利用し舞い上がってからの体当たり等
蛇×5:サイズは小さく、素早く地を這い、鋭い牙で噛み付く。翼を利用して飛びかかる等
老神父・7人の子供(堕落者):武器なし。攻撃方法は不明。
●教会の背後は断崖絶壁。左右には深い森。教会前にはちょっとした広場があり、左右の森に関しても深入りしなければ大立ち回りするには十分と思われます。
●翼を持った歪虚は人型で、総合的な能力は強くありませんが、飛行能力があり、魔法を使った攻撃をしてきます。……今の所は高みの見物を決め込んでいるように見受けられます。
●雑魔にも全て翼がついており、飛行能力はありそうですが、元々の能力が低いのに加え、飛行は得意ではありません。
●敵戦力
人型歪虚×1:飛行能力、剣、魔法
狼×3:爪や牙での引っ掻き、噛み付き。翼を利用したハイジャンプ等
鹿×2:突進、蹄での引っ掻き。翼を利用し舞い上がってからの体当たり等
蛇×5:サイズは小さく、素早く地を這い、鋭い牙で噛み付く。翼を利用して飛びかかる等
老神父・7人の子供(堕落者):武器なし。攻撃方法は不明。
●教会の背後は断崖絶壁。左右には深い森。教会前にはちょっとした広場があり、左右の森に関しても深入りしなければ大立ち回りするには十分と思われます。
マスターより
今日和、芹沢かずいです。
【審判】連動してみました。片田舎で起こっている事件の一端。
……普段こういう悲しい感じはあまり書かないのですが、色々と挑戦です。春ですし。
敵の数は多いです。飛んだり跳ねたり鬱陶しく襲いかかってきますが、雑魚ばかりです。齧られないように気を付けて、思う存分蹴散らしちゃって下さい。
忘れられた教会で静かに暮らしていた人たちの冥福のためにも、幸運を祈ります。
【審判】連動してみました。片田舎で起こっている事件の一端。
……普段こういう悲しい感じはあまり書かないのですが、色々と挑戦です。春ですし。
敵の数は多いです。飛んだり跳ねたり鬱陶しく襲いかかってきますが、雑魚ばかりです。齧られないように気を付けて、思う存分蹴散らしちゃって下さい。
忘れられた教会で静かに暮らしていた人たちの冥福のためにも、幸運を祈ります。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/04/09 20:29
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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忘れられないひとびと 水流崎トミヲ(ka4852) 人間(リアルブルー)|27才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/04/03 00:39:45 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/03/31 12:59:27 |