ゲスト
(ka0000)
器様、花見に行かされる!
マスター:神宮寺飛鳥

このシナリオは3日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/04/06 12:00
- リプレイ完成予定
- 2016/04/18 12:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
「器様~! 浄化術の稽古をつけてください!」
エルフハイムの中でも特に維新派が多く暮らす集落、ナデルハイム。その道端で器は無表情に片方の眉だけを動かした。
少女を取り囲むように集まっているのは浄化の巫女見習い達。つまり、彼女の後輩たちである。
「いや……私は物を考えて術を使っていないから、教えるとかそういうの無理だから」
「でも、器様はこの森で一番の浄化術者なんですよね!?」
「ナデルハイムが襲われた事件の時も、次々に歪虚をやっつけたんだよね!?」
ぽりぽりと頬を掻き、面倒くさそうにため息を零しても子供たちの羨望の眼差しからは逃れられない。
そんな時だ。一人の巫女が駆け寄り、屯する見習い達を注意したのは。
「こら! みんな、器様はとっても位の高い巫女様なんだから、困らせちゃ駄目だよ!」
ぶーぶー言いながら走り去っていく子供たちを見送り、巫女は苦笑を浮かべる。
「大丈夫ですか、器様?」
「その器“様”っていうのやめて欲しいんだけど。浄化の器を様付けするなんて前代未聞だよ」
「でも禁じられては居ませんし、高位の巫女なのも事実ですし……ナデルハイムは恭順派の監視も薄いですから」
そう言って笑う巫女は、先日のナデルハイム防衛戦で行動を共にした一人。名をカリンと言った。
警備隊からはぐれたところを助けてみれば懐かれたようで、元はと言えば彼女が器に話しかけるようになったのが騒動の発端だ。
「私は別のあなた達の為に戦ったわけじゃない」
「だとしても大勢の命を救ったのは事実です。本当のあなたを知って憧れて、巫女の志願者はとっても増えたんですよ」
「本当の私……?」
そんなもの、他人にわかるものか。自分自身ですらわかっていないのに。
と、いうのも面倒くさいので、器はあくびを一つ残して歩き出す。
「あの……やっぱり迷惑でしたか?」
「別に。私は私以外の誰かがどこで何をしようが興味ないから」
振り返ることも足を止めることもせずに立ち去る器を、カリンは複雑な眼差しで見送っていた。
「聞いたわよ。あんた、友達ができたって」
ナデルハイム内にあるハイデマリーの工房も、最近は留守にされる事が増えた。
機導浄化の発表に伴いハイデマリーは帝都の錬金術師組合に滞在する時間が多くなったからだ。
忙しそうに工房を歩きまわり鞄に荷物を詰め込むハイデマリーの横顔を、少女はベッドに腰掛けて見つめる。
「友達……?」
「私とジエルデみたいな関係性のことよ」
頭上にクエスチョンマークを浮かべながら小刻みに震える器の妄想を振り払い。
「自分でも例えが悪かったと思うわ……でもまあ、そういう関係性も生きる為に必要なのよ」
「友達……友達……」
考えてもよくわからない。“同郷”でも“役職”でも“使命”でも“仲間”でもない。
それはきっと本当は生きる為に必要ではないもの。けれど共にあれば人生を豊かにするもの。
「あんたは本来、すこぶるシンボリックな存在でしょ。圧倒的な力を持ち、仲間にすら畏れられる怪物。でもだからこそ、その力を正しく使えるのならあんたは“英雄”にだってなれる。浄化の器という制度そのものを変えることさえ可能なのよ」
鞄を背負ったハイデマリーは優しい声でそう言って、少女の頭を少し乱暴に撫でる。
「歪められてしまった誰かの願いを、力を、本来あるべき形に戻し証明する。それができるのはあんただけよ」
「ハイデマリーもそうなの?」
「……そうね。私もきっとそう。本当は“そうあるべき”だった未来を証明する為に戦ってる。今を生きている。これがあの人の……私の存在証明だから」
またしばらく仕事で留守にすると言って女は立ち去った。
その手が閉じた扉の音が工房に響き渡ると、少女は胸に手を当て目を細めた。
「……え? 遠征?」
「はい。といっても近場ですけど……今や浄化の巫女は各地の戦場に派遣される立場にありますが、見習いの子たちは森から出たこと自体がまだないんです」
翌日。道端を歩いていると子供たちに捕まりカリンに助けられるという一連の流れを繰り返した後、相談を受けてしまった。
「かくいう私も実はそうでして……器様は遠征経験も豊富ですし、ご同道いただければ心強いかなと」
ぴくりと器の耳が動き瞳が輝く。もう森の中でヒマをしているのはうんざりだった。
「東方への遠征に北伐作戦、帝国領防衛もやってるからね。自慢じゃないけど。自慢じゃないけど……!」
「じゃあ、一緒に来てくれますか?」
無言でサムズアップしたのが運の尽きだった。
更に翌日、器は子供たちに左右の手を引かれ、もみくちゃにされながら青ざめていた。
エルフハイムの外交が閉ざされていた頃でもほそぼそとした取引のあった中立都市、ピースホライズン。
暴食王との戦いの傷跡が癒え始めたその町に、何故か器は足を踏み入れていた。
「なんでピースホライズン……近すぎでしょ」
「まずは森の外の世界になれる事が目的だからよ」
「なんでジエルデがいるの?」
「なんでって……私は浄化の巫女のトップみたいなものだから、監督役として……というかどうしてあなたがいるの?」
互いに顔を見合わせる器とジエルデ。そこへどっと巫女見習いたちが雪崩れ込み器をさらっていく。
「器様ー! 今はお花見っていうのをやってるんですって!」
「珍しいものが沢山売ってるんだって! 一緒に見に行こー!」
「あああああああああああああ!!!!」
絶叫する器の姿が遠ざかっていくのをジエルデは苦笑しつつ見つめる。
「あの子達はもう……! 申し訳ありません、ジエルデ様!」
「いいのよ。でも、外の世界の常識がわからない子も多いだろうから、目を離さないようにしなきゃね」
深々と頭を下げるカリンに優雅に笑顔を返すジエルデ。しかし頬に手を当て、内心理解不能な疑問に苦しんでいた。
「器………………“様”?」
暖かい風が吹き、ジエルデの長い髪を揺らす。
変わっていく世界。少しだけ遠くに行ってしまった少女。
追いかける足取りはゆっくりと大地を踏みしめる。今はそれを楽しめる……そんな気がした。
「器様~! 浄化術の稽古をつけてください!」
エルフハイムの中でも特に維新派が多く暮らす集落、ナデルハイム。その道端で器は無表情に片方の眉だけを動かした。
少女を取り囲むように集まっているのは浄化の巫女見習い達。つまり、彼女の後輩たちである。
「いや……私は物を考えて術を使っていないから、教えるとかそういうの無理だから」
「でも、器様はこの森で一番の浄化術者なんですよね!?」
「ナデルハイムが襲われた事件の時も、次々に歪虚をやっつけたんだよね!?」
ぽりぽりと頬を掻き、面倒くさそうにため息を零しても子供たちの羨望の眼差しからは逃れられない。
そんな時だ。一人の巫女が駆け寄り、屯する見習い達を注意したのは。
「こら! みんな、器様はとっても位の高い巫女様なんだから、困らせちゃ駄目だよ!」
ぶーぶー言いながら走り去っていく子供たちを見送り、巫女は苦笑を浮かべる。
「大丈夫ですか、器様?」
「その器“様”っていうのやめて欲しいんだけど。浄化の器を様付けするなんて前代未聞だよ」
「でも禁じられては居ませんし、高位の巫女なのも事実ですし……ナデルハイムは恭順派の監視も薄いですから」
そう言って笑う巫女は、先日のナデルハイム防衛戦で行動を共にした一人。名をカリンと言った。
警備隊からはぐれたところを助けてみれば懐かれたようで、元はと言えば彼女が器に話しかけるようになったのが騒動の発端だ。
「私は別のあなた達の為に戦ったわけじゃない」
「だとしても大勢の命を救ったのは事実です。本当のあなたを知って憧れて、巫女の志願者はとっても増えたんですよ」
「本当の私……?」
そんなもの、他人にわかるものか。自分自身ですらわかっていないのに。
と、いうのも面倒くさいので、器はあくびを一つ残して歩き出す。
「あの……やっぱり迷惑でしたか?」
「別に。私は私以外の誰かがどこで何をしようが興味ないから」
振り返ることも足を止めることもせずに立ち去る器を、カリンは複雑な眼差しで見送っていた。
「聞いたわよ。あんた、友達ができたって」
ナデルハイム内にあるハイデマリーの工房も、最近は留守にされる事が増えた。
機導浄化の発表に伴いハイデマリーは帝都の錬金術師組合に滞在する時間が多くなったからだ。
忙しそうに工房を歩きまわり鞄に荷物を詰め込むハイデマリーの横顔を、少女はベッドに腰掛けて見つめる。
「友達……?」
「私とジエルデみたいな関係性のことよ」
頭上にクエスチョンマークを浮かべながら小刻みに震える器の妄想を振り払い。
「自分でも例えが悪かったと思うわ……でもまあ、そういう関係性も生きる為に必要なのよ」
「友達……友達……」
考えてもよくわからない。“同郷”でも“役職”でも“使命”でも“仲間”でもない。
それはきっと本当は生きる為に必要ではないもの。けれど共にあれば人生を豊かにするもの。
「あんたは本来、すこぶるシンボリックな存在でしょ。圧倒的な力を持ち、仲間にすら畏れられる怪物。でもだからこそ、その力を正しく使えるのならあんたは“英雄”にだってなれる。浄化の器という制度そのものを変えることさえ可能なのよ」
鞄を背負ったハイデマリーは優しい声でそう言って、少女の頭を少し乱暴に撫でる。
「歪められてしまった誰かの願いを、力を、本来あるべき形に戻し証明する。それができるのはあんただけよ」
「ハイデマリーもそうなの?」
「……そうね。私もきっとそう。本当は“そうあるべき”だった未来を証明する為に戦ってる。今を生きている。これがあの人の……私の存在証明だから」
またしばらく仕事で留守にすると言って女は立ち去った。
その手が閉じた扉の音が工房に響き渡ると、少女は胸に手を当て目を細めた。
「……え? 遠征?」
「はい。といっても近場ですけど……今や浄化の巫女は各地の戦場に派遣される立場にありますが、見習いの子たちは森から出たこと自体がまだないんです」
翌日。道端を歩いていると子供たちに捕まりカリンに助けられるという一連の流れを繰り返した後、相談を受けてしまった。
「かくいう私も実はそうでして……器様は遠征経験も豊富ですし、ご同道いただければ心強いかなと」
ぴくりと器の耳が動き瞳が輝く。もう森の中でヒマをしているのはうんざりだった。
「東方への遠征に北伐作戦、帝国領防衛もやってるからね。自慢じゃないけど。自慢じゃないけど……!」
「じゃあ、一緒に来てくれますか?」
無言でサムズアップしたのが運の尽きだった。
更に翌日、器は子供たちに左右の手を引かれ、もみくちゃにされながら青ざめていた。
エルフハイムの外交が閉ざされていた頃でもほそぼそとした取引のあった中立都市、ピースホライズン。
暴食王との戦いの傷跡が癒え始めたその町に、何故か器は足を踏み入れていた。
「なんでピースホライズン……近すぎでしょ」
「まずは森の外の世界になれる事が目的だからよ」
「なんでジエルデがいるの?」
「なんでって……私は浄化の巫女のトップみたいなものだから、監督役として……というかどうしてあなたがいるの?」
互いに顔を見合わせる器とジエルデ。そこへどっと巫女見習いたちが雪崩れ込み器をさらっていく。
「器様ー! 今はお花見っていうのをやってるんですって!」
「珍しいものが沢山売ってるんだって! 一緒に見に行こー!」
「あああああああああああああ!!!!」
絶叫する器の姿が遠ざかっていくのをジエルデは苦笑しつつ見つめる。
「あの子達はもう……! 申し訳ありません、ジエルデ様!」
「いいのよ。でも、外の世界の常識がわからない子も多いだろうから、目を離さないようにしなきゃね」
深々と頭を下げるカリンに優雅に笑顔を返すジエルデ。しかし頬に手を当て、内心理解不能な疑問に苦しんでいた。
「器………………“様”?」
暖かい風が吹き、ジエルデの長い髪を揺らす。
変わっていく世界。少しだけ遠くに行ってしまった少女。
追いかける足取りはゆっくりと大地を踏みしめる。今はそれを楽しめる……そんな気がした。
解説
●目的
できればなにごともなく休日を楽しむ。
●概要
あっ! ご、ごめんなさい……! 大丈夫ですか?
あの子たちったらはしゃいじゃって周りも見ないから……ご迷惑をおかけします。
私達ですか? はい。エルフハイムから来ました。
彼女たちは浄化の巫女、その見習い達です。今、エルフハイムでは巫女の育成に力を入れているんですよ。
あなたは……ハンターさんですか? 先日のナデルハイム防衛戦では私も助けられました。
この街も戦場になって間もないのに、沢山の人で賑わっていて……頑張って復興しているんですね。
今は春らしい食べ物や飲み物が売っている他、広場にはどこからか持ってきた大きな桜の木があるらしいですよ。
あの子達もそこを目指しているだろうから、私は行きますね。
できるだけ周りの観光客にご迷惑はかけないようにしないと……!
●???
「浄化の器」
ちびっこ達に懐かれて今にも死にそうな顔をしている。
町中で暴れてはいけないことも、金銭感覚もわりと身についている。
花見じゃなくて戦闘がしたかった。
「ジエルデ」
子供たちの監督役としてついてきたはいいが、彼女も森の外に明るいわけではない。
知識的な引率役ではなく、物理的な護衛と見るべきか。
「カリン」
浄化の巫女の一人。中位の術者で、見習い巫女の世話を任される事もある。
物静かで心優しい……つまり地味目で普通のエルフ。
「巫女見習いたち」
10人の子供たち。実年齢はともかく、見た目は10歳くらい。
好奇心旺盛で世間知らず。金の使い方もよくわかってない。
当然のように観光客に迷惑をかける。
できればなにごともなく休日を楽しむ。
●概要
あっ! ご、ごめんなさい……! 大丈夫ですか?
あの子たちったらはしゃいじゃって周りも見ないから……ご迷惑をおかけします。
私達ですか? はい。エルフハイムから来ました。
彼女たちは浄化の巫女、その見習い達です。今、エルフハイムでは巫女の育成に力を入れているんですよ。
あなたは……ハンターさんですか? 先日のナデルハイム防衛戦では私も助けられました。
この街も戦場になって間もないのに、沢山の人で賑わっていて……頑張って復興しているんですね。
今は春らしい食べ物や飲み物が売っている他、広場にはどこからか持ってきた大きな桜の木があるらしいですよ。
あの子達もそこを目指しているだろうから、私は行きますね。
できるだけ周りの観光客にご迷惑はかけないようにしないと……!
●???
「浄化の器」
ちびっこ達に懐かれて今にも死にそうな顔をしている。
町中で暴れてはいけないことも、金銭感覚もわりと身についている。
花見じゃなくて戦闘がしたかった。
「ジエルデ」
子供たちの監督役としてついてきたはいいが、彼女も森の外に明るいわけではない。
知識的な引率役ではなく、物理的な護衛と見るべきか。
「カリン」
浄化の巫女の一人。中位の術者で、見習い巫女の世話を任される事もある。
物静かで心優しい……つまり地味目で普通のエルフ。
「巫女見習いたち」
10人の子供たち。実年齢はともかく、見た目は10歳くらい。
好奇心旺盛で世間知らず。金の使い方もよくわかってない。
当然のように観光客に迷惑をかける。
マスターより
お世話になっております。神宮寺です。
というわけで、NPCの関係でシナリオが回ってない間に突発シナリオです。
ピースホライズンで観光中に巫女の一団に出くわした、という感じになります。
ほっとくと普通に観光もできなくなる可能性があるので、子供のコントロールがキモです。
尚、質問には浄化の器様がお答えできます。
それではよろしくお願い致します。
というわけで、NPCの関係でシナリオが回ってない間に突発シナリオです。
ピースホライズンで観光中に巫女の一団に出くわした、という感じになります。
ほっとくと普通に観光もできなくなる可能性があるので、子供のコントロールがキモです。
尚、質問には浄化の器様がお答えできます。
それではよろしくお願い致します。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/04/08 17:04
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/04/01 22:57:02 |
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お花見相談・質問会場 エイル・メヌエット(ka2807) 人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2016/04/06 09:52:49 |