ゲスト
(ka0000)
海岸線に潜む影
マスター:瀬川綱彦

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- サポート
- 現在0人 / 0~2人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/08/30 22:00
- リプレイ完成予定
- 2014/09/08 22:00
オープニング
●調査員の手記より抜粋
私がその漁村に出会ったそもそもの原因は、近隣の街道での通行人の神隠しに端を発していた。
近頃、ある海岸沿いの街道を行き来する行商人が行方不明になっている報告があった。その事実を確信できたのは、私が居を構える村での食事がいつまでもまずいスープとパンに保存食を切り崩すというものだったからだ。
私の村は食糧難で苦しんでいた。といっても、普段なら行商人から買い物ができる。それがいくら予定の期間をすぎてもやってこないのだ。
決定的だったのは、村の猟師が森の中でもぬけの殻になった荷馬車を見つけたことだ。馬の姿もなく、まだ生活臭のする荷馬車が破棄されているなど尋常ではない。
不気味がっていても、村の状況はよくならない。
私は自警団の者たちと、私が飼っている伝書鳩をつれて、近隣の街へと直接赴くことにした。
空は雨雲で陰りつつある。例年通り、蒸し暑い雨が降りそうだ。
●翌日
海岸沿いの街道を征く旅は空が今にも泣き出しそうなのが不安だが、この調子なら十二人の馬での旅は明日の朝には先方に到着できそうだった。
日が沈み始めた頃、私たちは海岸沿いに民家が並び立っている事に気がついた。だが、私の記憶ではこんな所に人が住んでいたとは聞いたことがない。
浜辺には手に網を持った人影があったので、私たちは声をかけてみることにした。
彼は漁師であるらしい。どうやらここは小規模な漁村で、自分たちは余所から移住してきたのだという。
漁師の何人かが珍しいのか馬の口元を撫でていた。何かで塗れた革手袋に包まれた手を馬の口の中にまで伸ばすものだから、馬が不機嫌そうに鼻を鳴らした。手を口から引き抜くときに、つんと鼻にくる臭いがした。
だが馬ににらみ付けられてものっぺりとした表情を変えない漁師たちは不気味で、私たちは先を急がせてもらうことにした。
それにしても、漁師とはあんなに死骸が腐ったような体臭を漂わせるものなのだろうか?
●その日の夜
順調だと思われた旅は突如として道を遮られた。
ついに空が決壊し、雨が降り出したのだ。
強行軍といきたいところだが、馬は雷に怯えてでもいるのか、どうにも体調がよくないらしい。
雨が降ろうが降るまいが、どのみち先に進むのは困難だ。私たちは漁村に引き返すことにした。
這々の体で漁村を訪れると、彼らは快く屋根を貸してくれた。
八人ほどの小さな漁村でたいへんだろうに、こうして助けてくれることは感謝せざるを得ない。
彼らは料理も振る舞ってくれたが、私は仕事があるのでそれを辞退して、仕事の締めにこうして記録をつけている。伝書鳩に餌を与えながらため息をついてしまった。保存食の塩漬け肉より、あの暖かそうな肉が恋しい。
それにしても、何故漁村なのに魚ではなく肉なのだろう?
●翌朝
自警団の者たちが一様に体調不良を訴えた。どうやら昨日の雨で躯を冷やしすぎたらしい。
私は応援を呼ぶために老練の自警団員ふたりを伝令役として村に戻らせた。ふたりは昨日食事も喉を通らぬほど疲労していたそうだが、無事なのが彼らだけだった以上、申し訳ないが頼らせてもらう他ない。
そして相変わらず私の馬の調子がよくない。浅く何度も呼吸を繰り返している。
急ぎすぎて自体は好転するまい。もう少し彼らの言葉に甘えよう。
村より連れてきた伝書鳩に餌を与えると、鳩は軽快に餌を啄んでいく。元気なのはお前と私だけだな。
それにしてもこのにおいには鼻が慣れない。私まで気分を悪くしそうだ。
●あくる日
倒れていた者が息を引き取った。心臓麻痺とのことだった。
私は彼が呼吸に苦しんでいたのは見ていた。それは海でおぼれるもののように喉をつめでひっかき、酸素を求めてもがく漂流者のようですらあった。目を剥きだしにして息絶えた屈強な自警団員の顔に、私は背筋が寒くなるのを感じた。
落ち込む私に、彼らは夕飯をごちそうしてくれた。
彼らは見た目に合わず信心深く、面白い話も聞かせてもらうことができた。なんでも、闇夜の海岸で祈りを口にしながら供物を捧げると海の神が漁業の安全を保障してくれるのだという。
何を捧げるんだい? と訪ねると、彼らは「とってきた獲物だ」と答えた。海の神様も主食は魚介類なのだろうか。
さて、この辺りで切り上げて寝かせてもらおう。そういえば、もうにおいは気にならなくなった。
●次の日
またひとり亡くなった。
伝令は帰ってこない。
息苦しくてめまいがした。
●翌日
また亡くなった。
伝令役は帰ってこない。
呼吸ができない。頭が胡乱だ。私も彼らと同じ風邪でも患ったのか。
小屋に行くと馬はどれも潮風にあてられたのかぴくりともしなかった。
ところで馬は全頭がつながれていたのだが伝令の彼らはどうしたのだろうか。
●日付は読み取れない
ついに私ひとりになった。
伝令役は帰ってない。
釘で打ち付けたドアがやかましい。
息が苦しい。呼吸の仕方を忘れてしまったようだ。
私は四人ほどの漁師が夜の海に供物を捧げているのを見た。私の仲間の死体だ。
彼らは喉を鳴らしこの世ならざる発音で祈りの声をあげると、浜辺には巨大な蛸があらわれたのだ。それは死体に私の胴体ほどはある触腕を巻き付けるとバリバリと口でかみ砕いてしまった。
それを見て漁師たちは口々にこういった。「やはり神様も生き餌の方がお好きなのだろうか?」と。
彼らは食事に混ぜ物をしていた。
私たちは餌だ。私は餌だ。
静かになった。
ドアはもう鳴っていない。
私は鳥かごに手を伸ばす。
私の背後でぎしぎしと床板がなっている。
私は――
●ハンターオフィスにて
「それが当方に届けられた手記の全容です」
眼鏡をかけた受付嬢が淡々と依頼を説明する。
「先日、その手記が彼らの目的地であろう街に届けられました。事実関係を調べましたところ、事実関係が手記の内容と一致しました。緊急性のある依頼と推察されるため、みなさんに依頼させていただきます」
村の備蓄もどれほど残っているか判然とせず、緊急で対処せねばならないとのことだ。
「その漁村は数ヶ月……三、四ヶ月前に作られたようです。当初の記録では漁師たちに不審な点はありませんでした。おそらく、その海岸に移住してきてから、海に潜んでいた狂気の眷属である蛸型歪虚により精神を汚染されたのでしょう」
そこで誰かが何故手記がここに届けられたのかと疑問を口にする。それには受付嬢もはじめて曖昧さを見せた。
「手記に記されている伝書鳩が銜えてきたそうです。けれど、よく無事に逃げられたものだと思いますが」
むしろわざと見逃し、新たな獲物を待っているのかもしれない。
そんな不穏はつぶやきがしんと宙に溶けていった。
私がその漁村に出会ったそもそもの原因は、近隣の街道での通行人の神隠しに端を発していた。
近頃、ある海岸沿いの街道を行き来する行商人が行方不明になっている報告があった。その事実を確信できたのは、私が居を構える村での食事がいつまでもまずいスープとパンに保存食を切り崩すというものだったからだ。
私の村は食糧難で苦しんでいた。といっても、普段なら行商人から買い物ができる。それがいくら予定の期間をすぎてもやってこないのだ。
決定的だったのは、村の猟師が森の中でもぬけの殻になった荷馬車を見つけたことだ。馬の姿もなく、まだ生活臭のする荷馬車が破棄されているなど尋常ではない。
不気味がっていても、村の状況はよくならない。
私は自警団の者たちと、私が飼っている伝書鳩をつれて、近隣の街へと直接赴くことにした。
空は雨雲で陰りつつある。例年通り、蒸し暑い雨が降りそうだ。
●翌日
海岸沿いの街道を征く旅は空が今にも泣き出しそうなのが不安だが、この調子なら十二人の馬での旅は明日の朝には先方に到着できそうだった。
日が沈み始めた頃、私たちは海岸沿いに民家が並び立っている事に気がついた。だが、私の記憶ではこんな所に人が住んでいたとは聞いたことがない。
浜辺には手に網を持った人影があったので、私たちは声をかけてみることにした。
彼は漁師であるらしい。どうやらここは小規模な漁村で、自分たちは余所から移住してきたのだという。
漁師の何人かが珍しいのか馬の口元を撫でていた。何かで塗れた革手袋に包まれた手を馬の口の中にまで伸ばすものだから、馬が不機嫌そうに鼻を鳴らした。手を口から引き抜くときに、つんと鼻にくる臭いがした。
だが馬ににらみ付けられてものっぺりとした表情を変えない漁師たちは不気味で、私たちは先を急がせてもらうことにした。
それにしても、漁師とはあんなに死骸が腐ったような体臭を漂わせるものなのだろうか?
●その日の夜
順調だと思われた旅は突如として道を遮られた。
ついに空が決壊し、雨が降り出したのだ。
強行軍といきたいところだが、馬は雷に怯えてでもいるのか、どうにも体調がよくないらしい。
雨が降ろうが降るまいが、どのみち先に進むのは困難だ。私たちは漁村に引き返すことにした。
這々の体で漁村を訪れると、彼らは快く屋根を貸してくれた。
八人ほどの小さな漁村でたいへんだろうに、こうして助けてくれることは感謝せざるを得ない。
彼らは料理も振る舞ってくれたが、私は仕事があるのでそれを辞退して、仕事の締めにこうして記録をつけている。伝書鳩に餌を与えながらため息をついてしまった。保存食の塩漬け肉より、あの暖かそうな肉が恋しい。
それにしても、何故漁村なのに魚ではなく肉なのだろう?
●翌朝
自警団の者たちが一様に体調不良を訴えた。どうやら昨日の雨で躯を冷やしすぎたらしい。
私は応援を呼ぶために老練の自警団員ふたりを伝令役として村に戻らせた。ふたりは昨日食事も喉を通らぬほど疲労していたそうだが、無事なのが彼らだけだった以上、申し訳ないが頼らせてもらう他ない。
そして相変わらず私の馬の調子がよくない。浅く何度も呼吸を繰り返している。
急ぎすぎて自体は好転するまい。もう少し彼らの言葉に甘えよう。
村より連れてきた伝書鳩に餌を与えると、鳩は軽快に餌を啄んでいく。元気なのはお前と私だけだな。
それにしてもこのにおいには鼻が慣れない。私まで気分を悪くしそうだ。
●あくる日
倒れていた者が息を引き取った。心臓麻痺とのことだった。
私は彼が呼吸に苦しんでいたのは見ていた。それは海でおぼれるもののように喉をつめでひっかき、酸素を求めてもがく漂流者のようですらあった。目を剥きだしにして息絶えた屈強な自警団員の顔に、私は背筋が寒くなるのを感じた。
落ち込む私に、彼らは夕飯をごちそうしてくれた。
彼らは見た目に合わず信心深く、面白い話も聞かせてもらうことができた。なんでも、闇夜の海岸で祈りを口にしながら供物を捧げると海の神が漁業の安全を保障してくれるのだという。
何を捧げるんだい? と訪ねると、彼らは「とってきた獲物だ」と答えた。海の神様も主食は魚介類なのだろうか。
さて、この辺りで切り上げて寝かせてもらおう。そういえば、もうにおいは気にならなくなった。
●次の日
またひとり亡くなった。
伝令は帰ってこない。
息苦しくてめまいがした。
●翌日
また亡くなった。
伝令役は帰ってこない。
呼吸ができない。頭が胡乱だ。私も彼らと同じ風邪でも患ったのか。
小屋に行くと馬はどれも潮風にあてられたのかぴくりともしなかった。
ところで馬は全頭がつながれていたのだが伝令の彼らはどうしたのだろうか。
●日付は読み取れない
ついに私ひとりになった。
伝令役は帰ってない。
釘で打ち付けたドアがやかましい。
息が苦しい。呼吸の仕方を忘れてしまったようだ。
私は四人ほどの漁師が夜の海に供物を捧げているのを見た。私の仲間の死体だ。
彼らは喉を鳴らしこの世ならざる発音で祈りの声をあげると、浜辺には巨大な蛸があらわれたのだ。それは死体に私の胴体ほどはある触腕を巻き付けるとバリバリと口でかみ砕いてしまった。
それを見て漁師たちは口々にこういった。「やはり神様も生き餌の方がお好きなのだろうか?」と。
彼らは食事に混ぜ物をしていた。
私たちは餌だ。私は餌だ。
静かになった。
ドアはもう鳴っていない。
私は鳥かごに手を伸ばす。
私の背後でぎしぎしと床板がなっている。
私は――
●ハンターオフィスにて
「それが当方に届けられた手記の全容です」
眼鏡をかけた受付嬢が淡々と依頼を説明する。
「先日、その手記が彼らの目的地であろう街に届けられました。事実関係を調べましたところ、事実関係が手記の内容と一致しました。緊急性のある依頼と推察されるため、みなさんに依頼させていただきます」
村の備蓄もどれほど残っているか判然とせず、緊急で対処せねばならないとのことだ。
「その漁村は数ヶ月……三、四ヶ月前に作られたようです。当初の記録では漁師たちに不審な点はありませんでした。おそらく、その海岸に移住してきてから、海に潜んでいた狂気の眷属である蛸型歪虚により精神を汚染されたのでしょう」
そこで誰かが何故手記がここに届けられたのかと疑問を口にする。それには受付嬢もはじめて曖昧さを見せた。
「手記に記されている伝書鳩が銜えてきたそうです。けれど、よく無事に逃げられたものだと思いますが」
むしろわざと見逃し、新たな獲物を待っているのかもしれない。
そんな不穏はつぶやきがしんと宙に溶けていった。
解説
勝利条件:漁師の撃破、および蛸型歪虚の撃退
敗北条件:上記が達成できない場合
■勝利条件
漁師たちの撃破は最優先事項です。
また、蛸型歪虚は撃退せずとも海岸から撤退させるだけでもかまいませんが、もちろん撃破が最善です。その際は海中での戦闘など万全の準備で挑んでください。
■到着時の状況
基本的に、みなさんが漁村に到着する時刻は昼頃になります。
彼らは狂気に陥っていますが、最低限のコミュニケーションをとることは可能でしょう。敵対の意思を見せなければ友好的に接触してくるものと手記から予想できます。
【重要】おそらく蛸型歪虚と接触するには、供物となる人間がいる状態で夜を迎えなくてはなりません。
■敵対象
・漁師:漁師、狂気の汚染を受けているため身体能力は高いでしょうが、当然ハンターに及ぶものではありません。しかし、手記では彼らによって生物が危機的状況に陥っています。最低限、該当の状況になるのは避けてください。
追記:正気に戻すのは困難かと思われます。
・蛸型歪虚:漁師たちが祈ると現れるようですが、おそらく言葉に意味などなく、自分と同じ狂気の気配を持つようになってしまった漁師たちの気配に引き寄せられているだけでしょう。また、触腕による拘束や水中への移動が予想されます。
情報源が手記という都合上、不測の事態が起こる危険性もあります。想定外の行動には充分注意してください。
以上です。
それでは、ご健闘を祈ります。
――無愛想な眼鏡の受付嬢より。
敗北条件:上記が達成できない場合
■勝利条件
漁師たちの撃破は最優先事項です。
また、蛸型歪虚は撃退せずとも海岸から撤退させるだけでもかまいませんが、もちろん撃破が最善です。その際は海中での戦闘など万全の準備で挑んでください。
■到着時の状況
基本的に、みなさんが漁村に到着する時刻は昼頃になります。
彼らは狂気に陥っていますが、最低限のコミュニケーションをとることは可能でしょう。敵対の意思を見せなければ友好的に接触してくるものと手記から予想できます。
【重要】おそらく蛸型歪虚と接触するには、供物となる人間がいる状態で夜を迎えなくてはなりません。
■敵対象
・漁師:漁師、狂気の汚染を受けているため身体能力は高いでしょうが、当然ハンターに及ぶものではありません。しかし、手記では彼らによって生物が危機的状況に陥っています。最低限、該当の状況になるのは避けてください。
追記:正気に戻すのは困難かと思われます。
・蛸型歪虚:漁師たちが祈ると現れるようですが、おそらく言葉に意味などなく、自分と同じ狂気の気配を持つようになってしまった漁師たちの気配に引き寄せられているだけでしょう。また、触腕による拘束や水中への移動が予想されます。
情報源が手記という都合上、不測の事態が起こる危険性もあります。想定外の行動には充分注意してください。
以上です。
それでは、ご健闘を祈ります。
――無愛想な眼鏡の受付嬢より。
マスターより
気づいたら依頼を出さずに八月も半ばが過ぎていたことに気づいて時の流れにびびっています。瀬川です。
ある謎の漁村での戦闘となります。よろしくおねがいします。
ある謎の漁村での戦闘となります。よろしくおねがいします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/09/05 21:39
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
作戦相談卓 クレール・ディンセルフ(ka0586) 人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2014/08/30 21:59:02 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/08/27 17:17:34 |