ゲスト
(ka0000)
【龍奏】変わり果てし者
マスター:T谷

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/05/02 15:00
- リプレイ完成予定
- 2016/05/16 15:00
オープニング
※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。
一体の吸血鬼が、リグ・サンガマ北部の地を踏んだ。右腕と心臓周りを機導で補強され、運動能力を向上した個体だ。
それの目的は、とある男を見つけ出し、背負った三つの木箱を届けること。しかし吸血鬼は、自分がただの運び屋という役割しか与えられなかったことに少し不満を持っていた。
木箱の重さはかなりの物だ。これを背負って長い距離を歩くのは、非常に労力が必要だった。
しかし、これは自分がやるような仕事なのだろうか。
確実性。場所柄。使い方の説明をする必要がある。等々。
こじつければ色々と考えられるが、どれも余りしっくりこなかった。考えたくもないが、一番の理由は自分がそれほど位の高い存在ではないということか。
そんなことを考えながらふらふらとクレバス周辺を歩き続け、そして、とある岩陰に人影が蹲っているのを見つけた。
「お前がグラハムか?」
吸血鬼が声を掛ければ、その男はちらりと視線をこちらに向ける。
「……グラハム……グラハム? ああ……グラハム。地球人のグラハム……そう、あの光が……黒い目が……グラハム……頭に、響く……」
男の声は蚊の鳴くように小さく、また言っている意味は半分も分からなかった。ただ適当な言葉の羅列を、ひたすら呟いているようにしか聞こえない。
落ちくぼんだ目、伸びっぱなしの髪とヒゲ、光の無い目。顔だけ見れば、男は薄汚れた浮浪者のようにしか見えなかった。
しかし対して、その肉体は筋骨隆々だった。上背もあり、がっちりとした体格は歴戦の戦士を思わせる。
そんな男が蹲って、ぶつぶつと何も見えていないかのように小さく何かを呟き続ける様はいっそ異様だった。
しかし、聞いていた容姿と合致する。
「いいか、こいつはあのお方から預かった携行式の――」
木箱を下ろし、吸血鬼は早々に話を進めることにした。男の姿に、何か良くない物を覚えたからだ。
そして、吸血鬼のその感覚は大正解だった。ただ一つの間違いは、全てが少し遅かったこと。
「……ああ、私は、地球人が」
吸血鬼が色々説明しようと、男から少し視線を外したその瞬間だった。
男がナイフを素早く取り出し、視線、瞬き、呼吸、思考の隙間を縫って吸血鬼の意識の外から背後に回る。そしてそれと同時に、その喉元をナイフが通り過ぎていた。
声を上げることすら叶わなかった。ぱっくりと開いた傷口から、どろりと青黒い粘液が零れる。
「ふふ……ぐふぁふはは……」
男は力の抜けた吸血鬼の体を突き飛ばすと、流れる様にその上に馬乗りになる。男の顔には先程までの無から一転、零れるような満面の笑みが浮かんでいた。
「地球人! 外来種よ! 貴様らは、滅びねばならないっ! この地に不浄と不和と不義理をもたらし在来種の未来を奪う屑共がなんで俺の、俺は、俺だけが俺様の地球人が地球人を死ね死ね死ね殺すぶち殺すっ! ぐふぁはははははははははっ!」
そして口角泡飛ばし叫び散らしながら嵐のようにナイフが振り下ろされる。その一撃一撃が正確に人体のあらゆる急所を捉え、確実に吸血鬼を殺していった。
非常に効率的な殺し方を、非常に効率悪く数十は繰り返し――やがて男の手から、ナイフが滑り落ちカランと音を立てる。
「……ああ、神よ。この試練は、何のために……」
先程までが嘘のように小さく呟き、静かに男が立ち上がる。そしてふらふらと、空しく地面に転がった木箱の元へと向かって行った。
吸血鬼が運び屋に選ばれた理由はただ一つ。殺されても、特に問題がなかったからだ。
●
”星の傷跡”と呼ばれるその場所に、多数の人類側勢力が威力偵察を行うこととなった。
連合軍はアニタ・カーマイン(kz0005)に、その援護を命じる。周辺に存在する敵の戦力を特定、洞窟内への進入を手助けするという内容だ。
しかし、
「そんな……何であんたが……!」
その姿を遠くに見つけたとき、アニタはとりあえず銃を構えるという基本的なことすら忘れてしまっていた。ほんの数瞬のことだが、ただぼうっと佇み、驚愕に目を見開く。
ガチン、と金属音が響く。
――銃身が一つ回転し、次弾が装填された音だ。
アニタはその音にハッと我を取り戻し、咄嗟に岩陰に飛び込んでいた。
次の瞬間、無数の炸裂音と共に弾丸の嵐がアニタを襲った。
「クソがっ、最悪の展開だ!」
忌々しく掃き捨て、ぎりりと歯を噛む。
「おいグラハム! グラハム・トールマン! 聞こえてたら、まともに考える頭があるなら返事をしろ! 何であんたが、あんたほどの奴がそんなことになっちまってんだ!」
大分雰囲気は変わってしまっているが、それでも気付かないはずがない。
グラハム・トールマン。本来ならばアニタではなく、サルヴァトーレ・ロッソの傭兵隊長を務めるはずだった男だ。そして、アニタに戦いの全てを教えてくれた養父の、かつての戦友。
――老兵は潔く退き、若者に身を任せるべきだと私は思うがね。
グラハムが隊長に推薦されたとき、飄々と笑ってそう言った彼の姿を、決して忘れることはない。
「……聞こえている、聞こえているぞ地球人。そうだ……君たちのせいで私は……私は頭の中の瞳が消えることのない苦痛を全てに! 皆殺しだ地球人共っ! 死んじまえやあああははははははっ!」
どうやら、まともに話の通じる様子はない。
背後に銃撃が岩を穿つ振動を感じながら、アニタは一度目を瞑り、大きく息を吐く。
「……なんだろうな。ようやく見つけたと思ったら、この有様かい。全く、つくづくツいてない」
グラハムの構える武器は、およそ人間の扱うものではなかった。
両前腕に沿って平行に装着された二つの巨大な多銃身機関銃、ガトリングガン。あちらの世界では、戦闘ヘリや戦闘機に積まれているような代物だ。
ほんの一瞬だが、背負っている大きな金属製の箱から銃身へ、弾帯が繋がっているのが見えた。あの箱の中に、弾薬が詰まっているのだろう。対人用の口径だと仮定し、あの箱の大きさと照らし合わせれば、弾数は数千発といったところか。
「そうか。もう、人間じゃないんだねえ」
思わず、皮肉のような笑いが零れた。
「――分かったよ」
ガチャリと、アニタはライフルのマガジンを交換した。中途半端に残っていた中身は捨てて、弾がたっぷり詰まった真新しいものに。
「あんたを殺そうってんだ。半端な覚悟じゃ、失礼ってものさ」
かつての思い出など、こうなってはもう要らない。今は亡き養父との思い出話も聞き飽きた。
だから、餞別代わりに死を送ろう。
恐らくは、彼もそれを望んでいるはずだ。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。
一体の吸血鬼が、リグ・サンガマ北部の地を踏んだ。右腕と心臓周りを機導で補強され、運動能力を向上した個体だ。
それの目的は、とある男を見つけ出し、背負った三つの木箱を届けること。しかし吸血鬼は、自分がただの運び屋という役割しか与えられなかったことに少し不満を持っていた。
木箱の重さはかなりの物だ。これを背負って長い距離を歩くのは、非常に労力が必要だった。
しかし、これは自分がやるような仕事なのだろうか。
確実性。場所柄。使い方の説明をする必要がある。等々。
こじつければ色々と考えられるが、どれも余りしっくりこなかった。考えたくもないが、一番の理由は自分がそれほど位の高い存在ではないということか。
そんなことを考えながらふらふらとクレバス周辺を歩き続け、そして、とある岩陰に人影が蹲っているのを見つけた。
「お前がグラハムか?」
吸血鬼が声を掛ければ、その男はちらりと視線をこちらに向ける。
「……グラハム……グラハム? ああ……グラハム。地球人のグラハム……そう、あの光が……黒い目が……グラハム……頭に、響く……」
男の声は蚊の鳴くように小さく、また言っている意味は半分も分からなかった。ただ適当な言葉の羅列を、ひたすら呟いているようにしか聞こえない。
落ちくぼんだ目、伸びっぱなしの髪とヒゲ、光の無い目。顔だけ見れば、男は薄汚れた浮浪者のようにしか見えなかった。
しかし対して、その肉体は筋骨隆々だった。上背もあり、がっちりとした体格は歴戦の戦士を思わせる。
そんな男が蹲って、ぶつぶつと何も見えていないかのように小さく何かを呟き続ける様はいっそ異様だった。
しかし、聞いていた容姿と合致する。
「いいか、こいつはあのお方から預かった携行式の――」
木箱を下ろし、吸血鬼は早々に話を進めることにした。男の姿に、何か良くない物を覚えたからだ。
そして、吸血鬼のその感覚は大正解だった。ただ一つの間違いは、全てが少し遅かったこと。
「……ああ、私は、地球人が」
吸血鬼が色々説明しようと、男から少し視線を外したその瞬間だった。
男がナイフを素早く取り出し、視線、瞬き、呼吸、思考の隙間を縫って吸血鬼の意識の外から背後に回る。そしてそれと同時に、その喉元をナイフが通り過ぎていた。
声を上げることすら叶わなかった。ぱっくりと開いた傷口から、どろりと青黒い粘液が零れる。
「ふふ……ぐふぁふはは……」
男は力の抜けた吸血鬼の体を突き飛ばすと、流れる様にその上に馬乗りになる。男の顔には先程までの無から一転、零れるような満面の笑みが浮かんでいた。
「地球人! 外来種よ! 貴様らは、滅びねばならないっ! この地に不浄と不和と不義理をもたらし在来種の未来を奪う屑共がなんで俺の、俺は、俺だけが俺様の地球人が地球人を死ね死ね死ね殺すぶち殺すっ! ぐふぁはははははははははっ!」
そして口角泡飛ばし叫び散らしながら嵐のようにナイフが振り下ろされる。その一撃一撃が正確に人体のあらゆる急所を捉え、確実に吸血鬼を殺していった。
非常に効率的な殺し方を、非常に効率悪く数十は繰り返し――やがて男の手から、ナイフが滑り落ちカランと音を立てる。
「……ああ、神よ。この試練は、何のために……」
先程までが嘘のように小さく呟き、静かに男が立ち上がる。そしてふらふらと、空しく地面に転がった木箱の元へと向かって行った。
吸血鬼が運び屋に選ばれた理由はただ一つ。殺されても、特に問題がなかったからだ。
●
”星の傷跡”と呼ばれるその場所に、多数の人類側勢力が威力偵察を行うこととなった。
連合軍はアニタ・カーマイン(kz0005)に、その援護を命じる。周辺に存在する敵の戦力を特定、洞窟内への進入を手助けするという内容だ。
しかし、
「そんな……何であんたが……!」
その姿を遠くに見つけたとき、アニタはとりあえず銃を構えるという基本的なことすら忘れてしまっていた。ほんの数瞬のことだが、ただぼうっと佇み、驚愕に目を見開く。
ガチン、と金属音が響く。
――銃身が一つ回転し、次弾が装填された音だ。
アニタはその音にハッと我を取り戻し、咄嗟に岩陰に飛び込んでいた。
次の瞬間、無数の炸裂音と共に弾丸の嵐がアニタを襲った。
「クソがっ、最悪の展開だ!」
忌々しく掃き捨て、ぎりりと歯を噛む。
「おいグラハム! グラハム・トールマン! 聞こえてたら、まともに考える頭があるなら返事をしろ! 何であんたが、あんたほどの奴がそんなことになっちまってんだ!」
大分雰囲気は変わってしまっているが、それでも気付かないはずがない。
グラハム・トールマン。本来ならばアニタではなく、サルヴァトーレ・ロッソの傭兵隊長を務めるはずだった男だ。そして、アニタに戦いの全てを教えてくれた養父の、かつての戦友。
――老兵は潔く退き、若者に身を任せるべきだと私は思うがね。
グラハムが隊長に推薦されたとき、飄々と笑ってそう言った彼の姿を、決して忘れることはない。
「……聞こえている、聞こえているぞ地球人。そうだ……君たちのせいで私は……私は頭の中の瞳が消えることのない苦痛を全てに! 皆殺しだ地球人共っ! 死んじまえやあああははははははっ!」
どうやら、まともに話の通じる様子はない。
背後に銃撃が岩を穿つ振動を感じながら、アニタは一度目を瞑り、大きく息を吐く。
「……なんだろうな。ようやく見つけたと思ったら、この有様かい。全く、つくづくツいてない」
グラハムの構える武器は、およそ人間の扱うものではなかった。
両前腕に沿って平行に装着された二つの巨大な多銃身機関銃、ガトリングガン。あちらの世界では、戦闘ヘリや戦闘機に積まれているような代物だ。
ほんの一瞬だが、背負っている大きな金属製の箱から銃身へ、弾帯が繋がっているのが見えた。あの箱の中に、弾薬が詰まっているのだろう。対人用の口径だと仮定し、あの箱の大きさと照らし合わせれば、弾数は数千発といったところか。
「そうか。もう、人間じゃないんだねえ」
思わず、皮肉のような笑いが零れた。
「――分かったよ」
ガチャリと、アニタはライフルのマガジンを交換した。中途半端に残っていた中身は捨てて、弾がたっぷり詰まった真新しいものに。
「あんたを殺そうってんだ。半端な覚悟じゃ、失礼ってものさ」
かつての思い出など、こうなってはもう要らない。今は亡き養父との思い出話も聞き飽きた。
だから、餞別代わりに死を送ろう。
恐らくは、彼もそれを望んでいるはずだ。
解説
・概要
突如現れた人型歪虚を撃退せよ。
・敵
「グラハム・トールマン」
正体不明の、未確認人型歪虚です。巨大な銃器を両腕に装備し、こちらに向け弾幕を張るように攻撃を仕掛けてきます。
しかしそれ以外の、身体能力、特殊能力、歪虚としての分類共に不明です。
また、アニタがよく知る人物と容姿が酷似しており、何か関係がある可能性があります。
「トカゲ型歪虚×4」
騒ぎにつられて集まった、四足歩行の爬虫類型歪虚です。
サイズは2。ブレスを吐く能力などはなく、主に噛み付き、引っ掻き、尻尾の振り回しなどの原始的な攻撃を得意とします。
・場所
所々に岩の転がった荒野です。荒涼としており、草木の一本も生えていません。
また起伏は殆どありません。
・友軍
「アニタ・カーマイン」
現在連合軍隊長を務める、元地球軍傭兵隊長です。サバイバル能力や銃器の扱いに長け、高い戦闘力を誇ります。
今回の一件に思うところはあるようですが、感情を切り離し冷徹に事を進めるつもりです。
ハンター達からの提案があれば、それに従ってくれるでしょう。
突如現れた人型歪虚を撃退せよ。
・敵
「グラハム・トールマン」
正体不明の、未確認人型歪虚です。巨大な銃器を両腕に装備し、こちらに向け弾幕を張るように攻撃を仕掛けてきます。
しかしそれ以外の、身体能力、特殊能力、歪虚としての分類共に不明です。
また、アニタがよく知る人物と容姿が酷似しており、何か関係がある可能性があります。
「トカゲ型歪虚×4」
騒ぎにつられて集まった、四足歩行の爬虫類型歪虚です。
サイズは2。ブレスを吐く能力などはなく、主に噛み付き、引っ掻き、尻尾の振り回しなどの原始的な攻撃を得意とします。
・場所
所々に岩の転がった荒野です。荒涼としており、草木の一本も生えていません。
また起伏は殆どありません。
・友軍
「アニタ・カーマイン」
現在連合軍隊長を務める、元地球軍傭兵隊長です。サバイバル能力や銃器の扱いに長け、高い戦闘力を誇ります。
今回の一件に思うところはあるようですが、感情を切り離し冷徹に事を進めるつもりです。
ハンター達からの提案があれば、それに従ってくれるでしょう。
マスターより
グラハムの年齢は43歳に設定しましたT谷です。
新キャラということもあり、ここで殺すのは難しいかもしれません。
新キャラということもあり、ここで殺すのは難しいかもしれません。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/05/16 00:21
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 ニコラス・ディズレーリ(ka2572) 人間(クリムゾンウェスト)|21才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2016/05/02 02:04:03 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/04/30 13:11:07 |