●
　同盟領内に存在する農耕推進地域ジェオルジ。
　この地では初夏と晩秋の頃に、各地の村長が統治者一族の土地に集まって報告を行う寄り合いが行われる。その後、労をねぎらうべくささやかなお祭りが催され、郷祭と呼ばれていた。
　この春と秋の郷祭は、二年ほど前から近隣の住人のみならず同盟内の商人達も商機を当て込んで集まる、大規模な祭りとなっている。
　今年も、その春郷祭の季節が廻って来た。
　ジェオルジ各地の村長達の会議は今にも始まりそうで、そこではいつもはない議題が取り上げられる。
　サルヴァト―レ・ロッソからジェオルジ各地に移り住んだ新住人達からの幾つかの要望と、彼らに新たな地での商業を試みる機会を与えるといった内容だ。
　しかし。
　それらとはまた別に、春郷祭はすでに様々な意味で賑やかに始まっていた。

●
「というわけなのですけど、お願いできますか？」
「ああ、もちろんだぜ！」
　ある日のハンターオフィス。そこでは受付嬢のモア・プリマクラッセ(kz0066)とイバラキ(kz0159)が何やら会話をしていた。どうやらイバラキの元に指名で依頼が入り、それをモアが仲介役になって紹介していたようだ。
「ちゅーわけでモアさん、手伝い頼むな！」
「村長祭はそうでなくても我々ヴァリオスの商人は行くものです。その合間であれば大丈夫ですよ」
「助かったぜ！　いやぁ、モアさんのリングアナウンスとレフェリングは結構受けてたんだぜ？」
　イバラキに入った依頼、それは、村長祭でプロレスを披露して盛り上げて欲しいというものであった。前回の村長祭で披露した所評判を呼び、結果再度お呼びがかかることに成った。
「というわけで、まずはレスラー集めだな。モアさん、依頼出しといてくれよな！」
「へえ、いいじゃない。それじゃ私も参加ね」
　そこでイバラキがモアに依頼を出そうとした時、横から別の人間が口を挟んだのであった。

●
「こちらの方は？」
「愛星 美織（まなせ みおり）さん、アタシにプロレスを教えてくれた人さ」
　美織はリアルブルーからの転移者である。リアルブルーでは結構な人気のプロレスラーをしていたそうだ。鬼のイバラキに比べれば随分小柄。プロレスというものをよく知らないモアにとっては驚きであった。
　モアは手元の資料を確認する。そこには美織のハンターとしての登録内容があった。クラスは疾影士。格闘士で無いのかとそれもまた驚きである。
「よろしくね。まあ私とイバラキだけじゃ興行は打てないし、もっとレスラー集めないとね」
　というわけで、他のレスラーたちが集められることに成った。
　しかしこの依頼に集まったレスラー達は、この後驚くべき展開になることをこの時はまだ知らなかったのである。

●目標
　村長祭でプロレスをして盛り上げて下さい。
　判定の評価軸はいかに盛り上げたかです。試合の勝敗は関係ありません。

●詳細
　試合カードや盛り上げ方は皆さんにお任せします。シングルマッチでも、タッグマッチでもかまいません。
　試合が盛り上がればそれでいいので、試合の進め方をガチンコにするのか、あらかじめ決めておくのかもお好きな方をお選び下さい。お任せします。
　ただし、基本的には皆さん出場する試合は1試合にしてください。複数試合に出場しても構いませんが、その分一試合の描写量は短くなります。

●PL情報
　今回、メインイベント終了時に謎の覆面軍団が乱入してきます。できればプレイングにはこちらの覆面軍団に対する反応も含めてください。
　なお、この覆面軍団は歪虚です。これらとの戦いが後編の内容になります。つまり、前編では反応したところで終わりますのでその点について予めご了承ください。

●NPCについて
　イバラキと美織もどれか1試合に参加します。どの試合に参加させるかは皆さんで話し合いの上お決め下さい。

▼イバラキ
　打撃と関節技を得意とするいわゆるU系のレスラーです。フィニッシュホールドは蒼魔刀（ランニングダブルニーアタック）です。

▼愛星 美織
　リアルブルー時代にはメキシコに遠征しルチャ・リブレのスタイルを身につけたレスラーです。空中殺法を得意とします。

　皆さんこんにちは、ｃｒです。
　というわけでまたしてもプロレスシナリオをリリースさせていただきます。しかし、今回は一筋縄では終わりません。初のシリーズシナリオ、しかも後半戦では村長祭を滅茶苦茶にしようとする歪虚と戦うことになります。
　プロレスラーは誰かの思いを背負って戦うもの。それはきっとハンターも同じです。
　それでは皆さんのご参加をお待ちしております。