• 無し

砲戦用ゴーレム(実験用)、データ収集依頼

マスター:柏木雄馬

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在8人 / 4~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/05/13 07:30
リプレイ完成予定
2016/05/22 07:30

オープニング

 グラズヘイム王国西方・リベルタース地方── 敵本拠地イスルダ島と海を挟んで面するこの地は王国における対歪虚戦の最前線である。
 その地に築かれた王国の最重要拠点の一つ、ハルトフォート砦の司令官・ラーズスヴァンは、比類なき剛勇をもって知られる武人であると同時に、大砲開発に(ともすれば度を過ぎた)熱情を注ぐ『技術者』でもある。
 彼は、彼の理想とする大砲開発を実現する予算を獲得する為、王国内で技術研究が発足したばかりの『ゴーレム』開発に相乗りすることにした。
 ゴーレム──刻令術と呼ばれる魔導技術によって操作される大きな無機物の人形に、彼が開発した大砲を据え付け、自走砲台とする── かくして、ハルトフォート砦において、『砲戦用ゴーレム』の開発は始まった。


 ハルトフォート砦『特種兵站幕僚』ジョアン・R・パラディールは、その日、とある荷物を待つ為に、大河ティベリスに面する艀の一つに出張っていた。
 王都イルダーナから発する河川交通用の大型船は、砦の維持や補修に必要な物資を搬入するには最も適した輸送手段だ。陸路よりもずっと早く、多くの資材や人員を運ぶことができる。
 だが、その日、ジョアンが待っていたのは、そんな『定期便』ではなかった。その定期便に曳かれて大河を下ってきた大筏──その上に固定されて運ばれてきた2つの岩塊が、彼が待つ『荷物』であった。
 この日の為に新設された『上陸用の砂浜』に、船から解かれた筏が寄せる。
「動かせるのか?」
 ジョアンは訊ねた。船乗りとは趣が異なるローブ姿の若い女が、ジャバジャバと水を蹴立てて陸へと揚がる。
「勿論!」
 女は答えた。筏上の荷から伸びたケーブルを何か鞄の様に大きな機械を繋げ。レバーを大きく上へと入れる。
 その瞬間、何か軋む様な音と共に…… 筏の上に横たえられていた岩塊が、ゆっくりと『身を起こし』始めた。
「これが…… これがゴーレムか」
 初めて見るその『異様』に、言葉をなくして立ち尽くすジョアン。
 その『威容』を誇らしげに、ゴーレム刻令術師の娘が「にしし」と笑った。

「砲戦用ゴーレム開発の為、催促されていた実験用の素体ゴーレム2体。本日付をもって砦に搬入いたしました。受け取りにサインをお願いします!」
 ハルトフォート砦、ラーズスヴァンの執務室── ジョアンに案内されて来た刻令術師の娘がそう報告した瞬間。それまでデスクでつまらなそうに書類仕事をしていたドワーフの司令官は「そうか!」と叫ぶと、まるでおもちゃの到着を待ちわびた子供の様に、書類も何もかもおっぽって執務室を飛び出していった。
 逃げられた、と舌打ち、悪態を吐く副官。ジョアンはそちらに同情の視線を向けた後、驚き、目を丸くして立ち竦む刻令術師について来るよう声を掛けた。
 慌てて追いかけて来る彼女を待つようにゆっくりと、砦の中枢──タワー・ハウスを下り、地下工房と砲台に面した中庭に出る。
「……星型のお堀? 随分と面白い形の砦ね」
「所謂、中世的な城郭から稜堡式城郭へと移行してる最中なんだ。大砲が普及してない王国では確かに珍しいかもしれない」
 もっとも、予算の都合上、工事は遅々として進まないけれど…… そう苦笑している内に目的地へと到着する。
 ラーズスヴァンはそこにいた。搬入されたばかりのゴーレム2体、その肩部に、早速、大砲の据え付け工事が行われていた。
「まったく…… まだ受け取りのサインもしていないのに」
 ジョアンがぼやくと、ラーズスヴァンがゴーレムを見上げたまま、その野太い腕を伸ばしてきた。書類を乗せたボードを渡すと、視線を落としもせずに受け取りのサインを書き殴る。
「これでこいつはわしのものだな」
 豪快に笑うドワーフの司令官。欄外に大きくはみ出した(というか、あさっての場所に記された)サインに、刻令術師の娘が困ったようにジョアンを見返す。
「では、こいつの概要を説明してくれ」
「あ、は、はい! これはゴーレムで大砲を運用する上でのデータ収集を目的とした試作ゴーレムです。材質は『クレイ(土塊)』と『ストーン(岩塊)』が1体ずつ。試作と言っても量産化を前提にしたものではなく、『取り合えず作ってみた』という意味での試作で、実験機としての意味合いが強いです。これは『とりあえず実機を寄越せ』というハルトフォートからの無茶な要求を無理に通した結果であり……」
「で、こいつはどこまで動かせるんだ?」(←聞いてない)
「……。元々存在していた『基本運動関係』の刻令術は『感知系』のそれと連動したまま残してあります。でも、元々刻令術にない動作は手動で動かすかこちらでデータ化してやる必要が……」
「さっぱりわからん。もっと具体的には言えんのか?」
「ガッデム! コントローラーで『歩け』とコマンドを入れてやれば、障害物とか地面の平衡とか感知して、ある程度勝手にゴーレムは歩いてくれます! でも、砲撃姿勢とか、弾込め動作とか、この砲の角度だと弾どれくらいの距離飛ぶんだよ、とか言うのは、元々の刻令術にはないので、そっちで勝手に実験せいや! ……ってことです。こほん」
 一気に言い切り、我に返って咳払いをする刻令術師の娘を振り返り、ラーズスヴァンがニヤリと笑う。
「と、言うわけでな、小僧」
「はい(……嫌な予感)」
「お前、ちょっくらこのゴーレムたちと前線行って来て、そのデータとやらを取って来い」
「……はい(やっぱり……)」
「こっちの土塊には固定式の砲をつけておいた。弾着修正はゴーレム自体を動かして行え。そっちの岩塊には上下可動式の砲。腕の上下で着弾距離の修正ができる。……距離は、だが」
 現時点で用意できた弾種は2種。中長距離砲撃用の普通の円弾(所謂、砲丸。非炸裂)と、対小目標用のキャニスター弾(発射後、扇状に散弾をばら撒く近接戦闘用の砲弾)だ。マテリアル式で時差炸裂する砲弾も開発予定ではあったのだが…… ラーズスヴァンが招聘した同族の技術者3名がなぜか未だに到着せず、開発は進んでいない。
「……そんな状態で、本当に戦場に出してしまって大丈夫なんですか? まずは後方で実用に耐え得るレベルにまで持っていく必要があると思いますが」
「そうよ! せっかくのゴーレム2体、いきなり壊されでもしたら堪らないわ!」
 刻令術師の娘が横から口を出すと、ドワーフは「わかった」と頷いた。──その辺のやり方は『お前ら』に一任する。だが、実戦でなければ得られぬ戦訓というものもまた多いのもまた事実。
「え? 『お前ら』……?」
 そう自身を指差しながら…… その意味を理解した娘が「えーっ!?」と大声で抗議した。
「そう喚くな。護衛にハンターたちをつけてやる。……実際にゴーレムを扱うのは彼等だしな。改めて意見も言ってもらって来ると良い」

解説

1.状況と目的
 事情はOP本文の通り。PCたちは、別件でハルトフォート砦にいたところ、急遽、声を掛けられ、依頼を受けることになったハンターとなります。
 ジョアン・パラディール(特種兵站幕僚)、エレン・ブラッドリー(ゴーレム刻令術師の娘)の2名を護衛しつつ、
 砲戦用ゴーレム実験機2体を実際に弄ってみたり、意見や要望を2人に伝えたり、警戒・護衛に徹してみたり、ピクニック気分だったりしながら、
 ゴーレムのデータ収集の手助けをしてください。

2.舞台
 ハルトフォート砦近郊、荒野の平原。春になり草が伸び始めている。
 実験とデータ収集の為、砲撃を繰り返していると、雑魔『バウンドボール』の集団が接近。

3.敵
雑魔『バウンドボール』×多め
 黒くて丸い影の様な雑魔。地面を右へ左へ跳ねながら接近、体当たりを仕掛けて来る。
 大型もいて、それは跳ねずにゴロンゴロン転がってくるタイプ。
 いずれも浸透型のダメージで防御半減。耐久性はあまりない。

4.砲戦ゴーレムの現状
 外見:人型のごつい岩や土。
 攻撃力:低い。大砲(40ポンド魔導式ゴーレム砲。先込め、滑こう砲)の威力は高い。射程は弾に依る。
 命中率:低い。砲撃姿勢を維持した状態で砲撃・弾着修正を繰り返す度に上昇していく。
 運動性・耐久性:打たれ強いが、動きは極めて鈍い。岩より土の方が若干動きは良いが、色んな意味で砲戦用としての性能は劣る。
 操作性:難。感覚はクレーン操作。装填も手動で極めて遅い。コントローラーの大きさは大きな鞄くらい。将来的に小型化予定。

マスターより

 なんとなく、遠い目── 星がキラリ。涙もキラリ。というわけでこんにちは。柏木雄馬です。
 砲戦用ゴーレム開発系のシナリオ、2つ目です。護衛として2人と2体に同道しつつ、色々と遊んでやってください。
 なお、このシナリオに登場する砲戦用ゴーレムは実験機です。実際に発売される(かもしれない)大型ユニットとは別物になります。
 また、砲戦ゴーレムに関して頂戴したご意見・ご要望はオフィシャルに上奏させていただきますが、採用されるかどうかの最終判断はオフィシャルが決します。柏木がリプレイに書いたものも最終的に通らないこともあります。柏木も頑張りますが、予めご理解いただけますと幸いです orz
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/05/21 17:14

参加者一覧

  • エアロダンサー
    月影 夕姫(ka0102
    人間(蒼)|20才|女性|機導師

  • フラン・レンナルツ(ka0170
    人間(蒼)|23才|女性|猟撃士
  • 豪傑!ちみドワーフ姐さん
    レーヴェ・W・マルバス(ka0276
    ドワーフ|13才|女性|猟撃士
  • 「ししょー」
    岩井崎 メル(ka0520
    人間(蒼)|17才|女性|機導師

  • 佐藤 絢音(ka0552
    人間(蒼)|10才|女性|機導師
  • 止まらぬ探求者
    天央 観智(ka0896
    人間(蒼)|25才|男性|魔術師
  • 黒猫とパイルバンカー
    葛音 水月(ka1895
    人間(蒼)|19才|男性|疾影士
  • Sagittarius
    ナナセ・ウルヴァナ(ka5497
    人間(紅)|22才|女性|猟撃士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/05/12 07:45:31
アイコン 相談所
葛音 水月(ka1895
人間(リアルブルー)|19才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2016/05/12 07:59:17