• 戦闘

Rattlesnake piss

マスター:楠々蛙

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/05/13 07:30
リプレイ完成予定
2016/05/22 07:30

オープニング

「ねえ、やっぱりここ止めにしましょ」
 とある酒場にて、カウンターの奥で仏頂面をした店主に聞こえないよう、ラウラ=フアネーレは小さな声で同席する二人に囁き掛けた。
 レモネードをストローで啜る彼女の足下では、黒猫のルーナが皿に注がれた牛乳を舐めている。ちなみに、ラウラの「この子にはミルクを頂戴」という注文に店主が牛乳を出した時、キャロル=クルックシャンクが「あるのかよ……」と小さくツッコんだのだが、まあそれはどうでも良い話である。
「しかしなあ、飯が食える所はここしかなかったというか、ここの方がまだマシだっただろ?」
 ラウラの左に座り、ウイスキーがたゆたうグラスを傾けていたバリー=ランズダウンが、彼女に応じる。
 つい先程彼らが訪れたばかりのこの町はお世辞にも治安が良いとは言えず、そうなると必然、こういう飲食店の衛生環境にも影響が出て来る。
 酒瓶やら吐瀉物やらを片付けてあるだけ、この酒場はこの町の中でまだマシな方だと言えた。
「市場で食材を買えば良かったでしょ?」
「夕暮れ時で何処も品薄だったじゃねえか。それに、それじゃ酒が飲めねえ」
 ラウラの右の席に腰掛け、ラムを呷るキャロルが、懐から紙箱を取り出し煙草を一本咥えた。燐寸の先端を片膝に乗せたブーツの底に擦り付けて着火し、咥え煙草に火を灯す。
「お酒だけならまだしも煙草まで。そんなに身体に毒を詰め込んで、馬鹿なんじゃないの?」
「言ってろ。銃弾を腹に喰らうよか、よっぽど身体に良いぜ。健康に気を遣う手合いに限って、流れ弾なんかに当たってくたばんだよ」
「そんな事言ってたら、本当に飛んで来るわよ──そもそもあれって、弾の痕でしょ?」
 ラウラが指差したのは、店の内壁。そこには確かに、弾痕らしきものがあった。それも一つや二つではない、幾重にも弾痕が刻まれている。
「まあ、そうだろうな」
「それと、なんでテーブルの裏に鉄板が付いてるの?」
「準備が良いじゃねえか。必要なもんは取り揃えてあるから、後はセルフサービスで自衛しろってわけだ」
「銃の持ち込みもOKだからな。流石に長物はNGらしいんで、リボルバーで手を打っておいたが」
「やっぱり止めましょうよ、全然落ち着かないわ」
「そんなに不安なら、ラウラも少し飲んでみれば良いんじゃないか? ほんの少しくらいなら、大丈夫だろう。カウボーイなんてどうだ?」
「カウボーイ?」
 ラウラが、バリーとキャロル──その西部劇然とした格好に目をやる。
「ウイスキーのミルク割りの事さ」
「ふうん、そんなのがあるの。けど、わたしは要らないわ。──それより、早くご飯を食べて帰りましょ」
「頼んだピザが出て来ない事には、食べようがないがな」
「キャロルが、オリーブ抜きなんてややこしい頼み方をするから遅いのよ」
「うるせえな。良いだろ、その方が好きなんだ」
 悪びれた様子もなく紫煙を吐いて、キャロルが灰皿に灰を落とす。すると、店主に負けず劣らず無愛想な給仕の手に乗って、ようやく注文したピザがテーブルに置かれた。
「うわぁ、おいしそう♪」
 程良く焦げ目のついた生地に、色鮮やかなトマト―ソース。そして切り分けた生地を持ち上げれば、糸を引いて伸びるチーズ。内装とは裏腹のピザに、それまで落ち込んでいたラウラのテンションが、傍目に見ても二段階は上がった。
「早く食べましょ♪──あ、タバスコは掛けないでね」
 自分の皿にピザを取り分けようとするラウラ──だが、店街に響いたけたたましい騒音に、手を止める。
「なに? 馬車?」
 音の正体は、轍が粗悪な舗装の石畳を転がって立てている物らしい。
 音源たる荷馬車は、酒場の正面に停車する。──直後。
「伏せろ!」
 そう叫んだのは、果たしてキャロルだったか、バリーだったか。とにかく彼らは、馬車の荷台に乗ったソレを目にするや否や、丸テーブルを手前に引き倒した。
 宙を舞うラム入りのグラスをキャロルが掴み、ウイスキーとレモネードのグラスをバリーが掴んだ。そしてピザの乗った皿──二回転を決めたにも関わらず、生地が落ちなかったのは奇跡と言って良いだろう──の下に、滑り込んだラウラの手が入る。床に落としそうなった皿を、ルーナの尻尾が支えた。
「よ、良か──」
 安堵の溜息を零そうとしたラウラだが、そんな余裕は次の瞬間に消し飛んだ。
 
 BRATATATA──!!

 獣の咆哮を思わせる、轟音によって。
 幾らか耳の慣れて来たラウラには、それが銃火の音だと判別が付いた。だが、今まで聞いたどの銃の音と比べても、その音は暴力的で、そして何より、留まる事を知らない。既に、ラウラの良く知るキャロルのリボルバーの装填数など比べ物にならない程の銃弾が店内へと降り注いでいた。
「なにこれ、なにこれ、ナニコレ!?」
 ピザの皿を未だに手放さないまま、悲鳴を上げるラウラ。その声も度重なる轟音にかき消される。
 だから、ラウラの疑問に応えたわけではなかっただろうが、キャロルは今しがた目にしたこの咆哮の主の名を怒鳴るように口にした。
「糞っ垂れ、ガトリング砲だと!? それもクランク式の骨董品かよ!?」
 そう、この弾時雨を酒場に降らせているのは、複数の銃身を円環上に並べ、人力でクランクを回す事によって、給弾、装填、撃発、排莢を連続で行い、高速長連射を実現した銃火器──ガトリング砲である。
「このテーブル、きっちり耐えられるのか?」
 バリーが不安げに天板を拳で叩くと、不意に銃声が止んだ。残響が鼓膜へこびり付く。
 弾切れか。いや、一瞬ちらりと目にしただけで明言はできないが、ガトリング砲に取り付けられた箱型弾倉のサイズから鑑みるに、装填数はおおよそ百。今の掃射に費やしたのは、精々がその半分程度と見て良いだろう。
 バリーはウイスキーのグラスを、テーブルの陰からそっと差し出した。琥珀色の液体で満ちたグラスの表面に、半壊した正面入り口の様子が映る。
 ガトリング砲一門だけではないらしい。数人の男達が、銃を構えてそこに立って居た。流石に店内に踏み込む気はないようだ。誰も好き好んで、あんな化物に背中を見せたくはないだろう。
 あの手の得物は、使い手の心を殊更熱くさせる。余程心が冷えた者が扱わなければ、過剰殺人(Over kill)は必定。
 人様の食事を邪魔するような手合いなら尚更だ。いよいよ歯止めが利かなくなれば、敵であろうと味方だろうと、射的の的よりも容易く薙ぎ払うようになる。
 店内を見渡せば、疎らに居た他の客も生き残っているらしい。
「……さて、どうするか」
 中折れ式リボルバーの銃身を折り、飛び出した弾丸を改めて六つの薬室へ込めながら、バリーはすぐに前へ出ようとする相棒を如何にして諌めるべきか、その術を考え始めた。

解説

・目的
襲撃者の撃退

・フィールド
酒場。二階と吹き抜けになっている。二階は安宿。
各テーブルの裏に、鉄板が仕込んである。ただ、強度は推して知るべし。
カウンターは、テーブル以上に分厚い鉄板が仕込まれている。

・敵
猟撃士
武装は、クランク式ガトリング砲。装填数は100発。固定式、携行不可。射手を庇うように鋼板が設置。照準用のスリットあり(ここを狙撃するのは、不可能に近い)。盾受けした場合、身動きが取れなくなり、どんどん削られていく。
また、彼は賞金首。生死は問わず(DEAD or ALIVE)。酒場の壁に、手配書が貼ってあります。

非覚醒者
武装は、リボリバー、猟銃。
約十人程。

・味方
キャロル=クルックシャンク
武装は、シングルアクションリボルバー×2

バリー=ランズダウン
武装は、中折れ式リボルバー(三分間待ってやる、のアレ)

ラウラ=フアネーレ
一般人。

ルーナ
黒猫。

・備考
参加PCの装備武器に制限あり(PC達にとっては、酒場への入店制限といった認識)。
判定に反映されるのは、主武器と副武器の二種のみ。両手武器項の装備、及び携行品の武器も使用不可。
近接武器に関しては、全長90cm以上の武器は使用不可、80cm以下のみ反映。魔術具、法具、魔導機械は長さ制限が適応されない。ただし、外見が剣、槍、斧などの通常武器であった場合はその限りではない。
射撃武器に関しては、種別銃、弓使用不可。拳銃のみ使用可能。
以上、質問があれば受け付ける。

OPの掃射の際は当たらない。例えばテーブルに隠れず、暢気に酒を飲んでいても、グラスが割れたりするだけでPC自身にダメージはない。ここで遊びを入れたい人は、御自由に。
戦闘後は料理が冷めていると思われる。竈が破壊された為、新たに調理も不可能。

今回酒場が襲撃を受けたのは、ギャング同士による縄張り争いの巻き添え。
そこに、間が悪くPC達が居合わせたという設定。

マスターより

 さあさ、久方振りの西部劇です。
 ピザを受け止める件とか、グラスを鏡代わりに使う件とか、こういう演出が大好物です。ルーナが尻尾で支える所とか、ここだけ挿絵を入れたいくらい好き。

 オリーブ抜きにしたのは、会話の流れで何となく。ただ、あれのヒロインは良かった。何であの娘は毎回衣装が変わるのか。可愛いけど。
 両刀遣いの海賊大佐とか、ナッツクラッカー花魁とか、首狩り剣士とか、最近おっかない女性キャラばかりでしたから、ラウラが超可愛く見える。あの人達だったら、この状況でどうするんだろうか。……うわー、負ける気がしない。

 ちなみに、ガトリング砲を売って報酬アップは不可。回収して、今後どっかで使うから。

関連NPC

  • Mr.Safety
    バリー=ランズダウン(kz0161
    人間(リアルブルー)|21才|男性|猟撃士(イェーガー)
  • Senorita
    ラウラ=フアネーレ(kz0162
    人間(クリムゾンウェスト)|12才|女性|一般人
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/05/17 03:05

参加者一覧

  • 破れず破り
    春日 啓一(ka1621
    人間(蒼)|18才|男性|闘狩人
  • 掲げた穂先に尊厳を
    ルーエル・ゼクシディア(ka2473
    人間(紅)|17才|男性|聖導士
  • 戦いを選ぶ閃緑
    アイビス・グラス(ka2477
    人間(蒼)|17才|女性|疾影士
  • それでも私はマイペース
    レイン・ゼクシディア(ka2887
    エルフ|16才|女性|機導師
  • 交渉人
    J・D(ka3351
    エルフ|26才|男性|猟撃士

  • 烏丸 涼子 (ka5728
    人間(蒼)|26才|女性|格闘士

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 質問卓
春日 啓一(ka1621
人間(リアルブルー)|18才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2016/05/09 21:15:39
アイコン 相談卓
春日 啓一(ka1621
人間(リアルブルー)|18才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2016/05/13 00:26:02
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/05/08 02:00:20