ゲスト
(ka0000)
大江家の忠臣、里を眺めて涙する
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/05/17 19:00
- リプレイ完成予定
- 2016/05/26 19:00
オープニング
●宗主、帰還
大江 紅葉(kz0163)は久しぶりのエトファリカ連邦国に安堵した。
二週間ほどグラズヘイム王国のとある貴族の家に厄介になっていた。少女を助けに入った結果、自分自身が重傷となってしまったからだった。
(術の腕を磨く……これからでも遅くはありませんよね)
己の知識偏重を痛感した出来事。これまではそれでもかまわなかったが、いざ世界を見て回り、歪虚との戦いを考えた場合今以上の力がいるとわかってきた。
帰宅の途中で陰陽寮に顔を出し、上司であり術の指南役でもあった男にこっぴどくしかられた上、心配したと告げられた。ひたすら謝るしかなかった。
途中で知り合いの男性に会い、やはり説教と心配した旨を告げられた。
この瞬間、帰ってこられて良かったと改めて思う。
帰宅したとたん、家臣たちには泣かれた。そのあとの対応は真綿にくるむであり、旅の疲れもあるだろうからと寝室や着替えを用意される。
「怪我が治ったから帰ってきたのです! ちょ、皆さん、何ですか」
妙にご飯も豪勢で、紅葉に精をつけようと必死なのがうかがえる。
「宗主はお体弱いですし、すぐ風邪ひくし」
「怪我が治ったとはいえ、あちらの空気とこちらでは違います」
家臣たちの中にいろいろ理由があるらしい。
紅葉は仕方がないと理解して流される。大江の里がなくなってから、紅葉を中心に家臣や里人は集まった。小さい集団でも紅葉の存在は中心であり、上に立ち導き手であった。
(でも、信用がないんですよね……この構いっぷりは)
ここで再び己のふがいなさを痛感した。
そんな中、三人の爺たちが旧里に向かいたいと伝えてきたのだった。
「待ってください! 危険ですよ。まず、私と一個小隊くらい行かないと」
「そんな大仰なことはいりませんよ」
三人の爺に諭され、経緯を話されて紅葉はうなずくしかなかった。
「何かいるかもしれないんですよね?」
「だからこそ、ちょっと奮発して人数を雇いますじゃ」
すでに外堀は埋まっていた。
紅葉は彼らの無事を祈るだけだった。少しずつ、人の流れができれば、帰還もしやすくなる。近いうちに、己もその地に向かうことを決心した。
●古い里、言い知れぬ不安
ハンターたちは大江家の三人の老人たちをつれて大江の古い里に向かった。堀川 瑞奈、杉 広雪と田貫 石丸という三人は、年をとっていることを除けば好奇心強く、思考も記憶もしっかりしている。そのため、ハンターたちの意見にも耳を傾け、必要ならば意見をしていた。
道中は問題なかった。この三人に道中の調査依頼を受けたハンターが調べていたから、油断さえしなければ想定できる部分が多かった。
古い里が見えた瞬間、誰もがほっとする。ハンターの気は緩みすぎることはないが、三人の爺たちは涙を流さんばかりに喜んだ。
「なつかしいのう!」
「潮の香りじゃ」
「ああ、あのこんもり加減は」
海が見えて島が見える。
島と言っても潮の満ち引きで道が現れる為、孤立してしまうことはない。うまく橋を作れれば言うことはないが、満ち潮の時は小舟で行き来できるので問題はない様だ。
三人は見つめる、ただ黙って。
戦闘の跡も見受けられる。時間が経っているため、逃げたときのままではない。
里を見れば戻ってくるのは、あの時の辛さだ。
「紅葉様とはぐれたときはどれだけ不安だったか」
「本当に運がいいとしか言いようがない」
「まあ、紅葉様は勘が鋭いし、道に関しては心配はしておらなかったが」
三人は笑う。
「嘘いえ、ぬしが一番取り乱しておったくせに」
「そうじゃそうじゃ」
「そ、そうじゃったか?」
時が巻戻る。辛かったことを口にしているが、すでに明るい日が見えたために思い出として笑えるようになっていた。
細い道を進み、里に上がる。
「先日のハンターが言っておった家はあれかのう?」
「あれがなければ廃墟だといっても分からぬ」
「もう、人が住んでおらぬから」
三人の爺は溜息をもらす。
カサリ、ガサリ……。
奇妙な音が響く。
風のせいにするには風がない。
「……しゃれこうべも多いと聞くし」
「葬らねばならぬよのう」
「幾人死んだのか……」
里人は分からないが、大江家で半分以上は死んでいるのは間違いない。傭兵は全滅に近かった。
「本当に、彼らがわしらを見捨ててもおかしくはなかったのにの」
「鬼の……行く末に気付いておったからか」
「……気の毒なことをした……本当に」
傭兵の多くは鬼だった。歪虚による汚染が強い所が近いため、鬼を雇うのは合理的だった。仕事を求める彼らと、必要とする大江家。
島は静まり返っている。そのために音が響く。
カサリ、ガサリ……。
「おお、ハンターが言っていた家はあれじゃの」
瑞奈が指さす家は、他と異なり形をとどめていた。
「墓参りとできれば宗主の家をみてきたいのぉ」
広雪はあれているといえども生まれて長く住んでいた島に再び来られた喜びをかみしめている。
「夕餉はわしが腕を振るおう、戦料理じゃが」
石丸は家のかまどを見てうきうきしている。
カサリ、ガサリ……。
何かが動く。姿は見せないそれらは、侵入者たる人間たちを静かに見つめていた。
●???
それは侵入者に苛立ちを覚えた。
「あたくしの世界にどうして人間が入ってくるの? どうして? 本当に……腹が立つわ! ねえ? どうにかしてちょうだい、お願いよ?」
大江 紅葉(kz0163)は久しぶりのエトファリカ連邦国に安堵した。
二週間ほどグラズヘイム王国のとある貴族の家に厄介になっていた。少女を助けに入った結果、自分自身が重傷となってしまったからだった。
(術の腕を磨く……これからでも遅くはありませんよね)
己の知識偏重を痛感した出来事。これまではそれでもかまわなかったが、いざ世界を見て回り、歪虚との戦いを考えた場合今以上の力がいるとわかってきた。
帰宅の途中で陰陽寮に顔を出し、上司であり術の指南役でもあった男にこっぴどくしかられた上、心配したと告げられた。ひたすら謝るしかなかった。
途中で知り合いの男性に会い、やはり説教と心配した旨を告げられた。
この瞬間、帰ってこられて良かったと改めて思う。
帰宅したとたん、家臣たちには泣かれた。そのあとの対応は真綿にくるむであり、旅の疲れもあるだろうからと寝室や着替えを用意される。
「怪我が治ったから帰ってきたのです! ちょ、皆さん、何ですか」
妙にご飯も豪勢で、紅葉に精をつけようと必死なのがうかがえる。
「宗主はお体弱いですし、すぐ風邪ひくし」
「怪我が治ったとはいえ、あちらの空気とこちらでは違います」
家臣たちの中にいろいろ理由があるらしい。
紅葉は仕方がないと理解して流される。大江の里がなくなってから、紅葉を中心に家臣や里人は集まった。小さい集団でも紅葉の存在は中心であり、上に立ち導き手であった。
(でも、信用がないんですよね……この構いっぷりは)
ここで再び己のふがいなさを痛感した。
そんな中、三人の爺たちが旧里に向かいたいと伝えてきたのだった。
「待ってください! 危険ですよ。まず、私と一個小隊くらい行かないと」
「そんな大仰なことはいりませんよ」
三人の爺に諭され、経緯を話されて紅葉はうなずくしかなかった。
「何かいるかもしれないんですよね?」
「だからこそ、ちょっと奮発して人数を雇いますじゃ」
すでに外堀は埋まっていた。
紅葉は彼らの無事を祈るだけだった。少しずつ、人の流れができれば、帰還もしやすくなる。近いうちに、己もその地に向かうことを決心した。
●古い里、言い知れぬ不安
ハンターたちは大江家の三人の老人たちをつれて大江の古い里に向かった。堀川 瑞奈、杉 広雪と田貫 石丸という三人は、年をとっていることを除けば好奇心強く、思考も記憶もしっかりしている。そのため、ハンターたちの意見にも耳を傾け、必要ならば意見をしていた。
道中は問題なかった。この三人に道中の調査依頼を受けたハンターが調べていたから、油断さえしなければ想定できる部分が多かった。
古い里が見えた瞬間、誰もがほっとする。ハンターの気は緩みすぎることはないが、三人の爺たちは涙を流さんばかりに喜んだ。
「なつかしいのう!」
「潮の香りじゃ」
「ああ、あのこんもり加減は」
海が見えて島が見える。
島と言っても潮の満ち引きで道が現れる為、孤立してしまうことはない。うまく橋を作れれば言うことはないが、満ち潮の時は小舟で行き来できるので問題はない様だ。
三人は見つめる、ただ黙って。
戦闘の跡も見受けられる。時間が経っているため、逃げたときのままではない。
里を見れば戻ってくるのは、あの時の辛さだ。
「紅葉様とはぐれたときはどれだけ不安だったか」
「本当に運がいいとしか言いようがない」
「まあ、紅葉様は勘が鋭いし、道に関しては心配はしておらなかったが」
三人は笑う。
「嘘いえ、ぬしが一番取り乱しておったくせに」
「そうじゃそうじゃ」
「そ、そうじゃったか?」
時が巻戻る。辛かったことを口にしているが、すでに明るい日が見えたために思い出として笑えるようになっていた。
細い道を進み、里に上がる。
「先日のハンターが言っておった家はあれかのう?」
「あれがなければ廃墟だといっても分からぬ」
「もう、人が住んでおらぬから」
三人の爺は溜息をもらす。
カサリ、ガサリ……。
奇妙な音が響く。
風のせいにするには風がない。
「……しゃれこうべも多いと聞くし」
「葬らねばならぬよのう」
「幾人死んだのか……」
里人は分からないが、大江家で半分以上は死んでいるのは間違いない。傭兵は全滅に近かった。
「本当に、彼らがわしらを見捨ててもおかしくはなかったのにの」
「鬼の……行く末に気付いておったからか」
「……気の毒なことをした……本当に」
傭兵の多くは鬼だった。歪虚による汚染が強い所が近いため、鬼を雇うのは合理的だった。仕事を求める彼らと、必要とする大江家。
島は静まり返っている。そのために音が響く。
カサリ、ガサリ……。
「おお、ハンターが言っていた家はあれじゃの」
瑞奈が指さす家は、他と異なり形をとどめていた。
「墓参りとできれば宗主の家をみてきたいのぉ」
広雪はあれているといえども生まれて長く住んでいた島に再び来られた喜びをかみしめている。
「夕餉はわしが腕を振るおう、戦料理じゃが」
石丸は家のかまどを見てうきうきしている。
カサリ、ガサリ……。
何かが動く。姿は見せないそれらは、侵入者たる人間たちを静かに見つめていた。
●???
それは侵入者に苛立ちを覚えた。
「あたくしの世界にどうして人間が入ってくるの? どうして? 本当に……腹が立つわ! ねえ? どうにかしてちょうだい、お願いよ?」
解説
依頼は三爺の護衛。
天ノ都と旧里の往復も含まれますが、リプレイの描写は旧里での対応です。
到着日は夕方、翌日に丸一日行動、その翌日出発の二泊三日予定です。
●里の状況
前回の調査において、鋭い視線を感じる、となっています。何か姿は見ていませんが、存在は感じています。
供養をしていない骨はたくさんあります。
里は荒廃しており、建物も朽ちています。
枯れた木々が多く、新しく植物も育っていない様子です。
里の入り口から頂上に向かって道があり、その先に墓があります。この道は通れます。
それ以外の道は途中で倒木や壊れた家によって道はふさがれています。乗り越えることは可能でし、時間をかければ取り除くこともできます。NPCたちが通るには、今回に予定している以上の時間がかかるとします。
PL情報としては手ごわい妖怪はいます。皆さんが入った時点で敵として見なして様子を観ています。
●三爺に聞くと分かる里の歴史
大江家が縁あってその里で暮らすようになりました、何代かで溜まった書物がたくさんあり引っ越すことできず。
妖怪の侵攻により壊滅寸前に次期宗主の紅葉や妹の若葉を中心に、脱出。逃げ遅れたり、戦う選択をした里人、大江家当時の宗主夫妻、傭兵たちが命を落としています。傭兵の多くは鬼でした。それらの供養が今回の目的です。
●NPC
いらないかもしれませんが、一応一覧。
・堀川 瑞奈(ほりかわ みずな) 紅葉に「爺」と呼ばれる人。一番年寄。
・杉 広雪(すぎ こうせつ) 大江家の財布を握っていた人。引退後はお茶を飲むのが趣味。
・田貫 石丸(たぬき いしまる) 大江家の警備等に携わっていた人。小柄でそんな雰囲気はゼロ。
天ノ都と旧里の往復も含まれますが、リプレイの描写は旧里での対応です。
到着日は夕方、翌日に丸一日行動、その翌日出発の二泊三日予定です。
●里の状況
前回の調査において、鋭い視線を感じる、となっています。何か姿は見ていませんが、存在は感じています。
供養をしていない骨はたくさんあります。
里は荒廃しており、建物も朽ちています。
枯れた木々が多く、新しく植物も育っていない様子です。
里の入り口から頂上に向かって道があり、その先に墓があります。この道は通れます。
それ以外の道は途中で倒木や壊れた家によって道はふさがれています。乗り越えることは可能でし、時間をかければ取り除くこともできます。NPCたちが通るには、今回に予定している以上の時間がかかるとします。
PL情報としては手ごわい妖怪はいます。皆さんが入った時点で敵として見なして様子を観ています。
●三爺に聞くと分かる里の歴史
大江家が縁あってその里で暮らすようになりました、何代かで溜まった書物がたくさんあり引っ越すことできず。
妖怪の侵攻により壊滅寸前に次期宗主の紅葉や妹の若葉を中心に、脱出。逃げ遅れたり、戦う選択をした里人、大江家当時の宗主夫妻、傭兵たちが命を落としています。傭兵の多くは鬼でした。それらの供養が今回の目的です。
●NPC
いらないかもしれませんが、一応一覧。
・堀川 瑞奈(ほりかわ みずな) 紅葉に「爺」と呼ばれる人。一番年寄。
・杉 広雪(すぎ こうせつ) 大江家の財布を握っていた人。引退後はお茶を飲むのが趣味。
・田貫 石丸(たぬき いしまる) 大江家の警備等に携わっていた人。小柄でそんな雰囲気はゼロ。
マスターより
こんにちは。
前回の「江家の忠臣、墓参りを望む」を受けての内容ですが。必要なことは解説ありますのでこのシナリオのみで問題ありません。
大成功をおさめたのでそのあたりを加味し……あれこれ動いています。
なお、大江の旧里の地形ですが潮の満ち引きで発生するわけですが……モンサンミシェルや神奈川・江ノ島などであります。
よろしくお願いします。
前回の「江家の忠臣、墓参りを望む」を受けての内容ですが。必要なことは解説ありますのでこのシナリオのみで問題ありません。
大成功をおさめたのでそのあたりを加味し……あれこれ動いています。
なお、大江の旧里の地形ですが潮の満ち引きで発生するわけですが……モンサンミシェルや神奈川・江ノ島などであります。
よろしくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/05/24 00:06
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 ムディル(ka6175) 人間(クリムゾンウェスト)|27才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2016/05/17 11:08:24 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/05/15 05:08:22 |