ゲスト
(ka0000)
ササノハ誘拐事件
マスター:尾仲ヒエル

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/05/23 09:00
- リプレイ完成予定
- 2016/06/01 09:00
オープニング
●帝都の酒場
「くそっ。何が朱花の教団だ。あいつら人を馬鹿にしやがって」
薄暗い隅のテーブルで、くたびれた風体の男が酒をあおっていた。
他の客が遠巻きにする中、ガラの悪い3人組が男のいるテーブルに近づいていく。
「よお、どうした。そんなにカッカして」
愛想よく話しかけたのは、目つきの鋭い小男。
3人組の中では一番立場が上のようだ。
しばらく飲む内に、小男の口のうまさと気前よく振舞われる酒に、男の口が軽くなる。
「それがな。この間のことなんだが……」
男はそう言って、先日の一件を話し出した。
朱花の教団がパンを配っているところに男が乱入し、教団を非難したところ、そこにいた信者全員から非難され、追い出されたのだった。
「あいつらなんにも分かっちゃいないんだ」
「そりゃあ気の毒に。ひどい目にあったな。朱花の教団って、あれだろ。『ササノハさま』がどうとかいう」
「ああ。あんな奴、ただ見た目がいいだけでちやほやされてる偽者だ。いつか絶対に正体を暴いてやる」
その言葉を聞いた小男が、興味をそそられた様子で口を挟む。
「へえ、教主が美人っていう噂は本当だったのか」
「ふん。教団については色々と調べたからな。なんでも知ってるぞ。東方風のそれらしい服をいつも着ていてな……あの服を買う金もどこから出ているのやら」
「俺も一度近くで拝みたいもんだが、なかなか会えるもんでもないんだろう?」
「ああ。教団が街に来ている時、行列に並べば会えないこともないだろうが……今の人気じゃ見るのも大変かもな」
「そうか。ちらっと見るだけでもいいんだがなあ」
さも残念そうにため息をつく小男。
ササノハについて妙に興味のある様子だが、聞き役ができて気分の良くなった男は気付かない。
「それなら教団本部に行くといい。教主は本部の離れに暮らしてるからな。何度か行けば近くで見かけることもあるだろうよ」
「本部ねえ……俺みたいなのがうろうろしていたら怪しまれるんじゃないか?」
「ふん。じゃあ、とっておきの情報を教えてやるよ。しばらく観察していて分かったんだが、いつも新月の日になると教団幹部どもの集会があるらしくてな。離れを含めた本部を警備する人間がぐっと減るんだ」
「へえ。そりゃあいい。ありがとよ」
酔いの回った男を残し、小男は連れの2人に目くばせすると酒場を出ていった。
●新月の夜に
帝都近くの町。そのはずれに、朱花の教団の本部があった。
ひなびた町に似合わない真っ白な壁に囲まれた建物ができたときには、周辺の住民も不安に感じたものだが、ササノハの人気と教団関係者の礼儀正しさに、今では貧しい人々のために尽力する教団として受け入れられている。
その本部の離れ、広い部屋に敷かれた布団の中で、咳き込む人影があった。
艶のある黒い髪を広げて横になっているのは、朱花の教団の教主のササノハ。
元々体が丈夫ではないササノハは、幼い頃からこうして床に臥すことが少なくなかった。
咳の合間に疲れたようなため息がこぼれる。
「……でも、たくさん寝たら背が伸びるかも」
これまでのハンターたちとの出会いを思い返したササノハが、くすりと笑みをこぼす。
それは13歳の少年らしい、あどけない笑顔だった。
「ササノハさま、失礼致します。お薬の時間です」
その時、すっと襖が開いて青い髪の若者が部屋に入ってきた。
新しくササノハのお付きになったゴウだ。
傭兵として働いていたことがあることから、護衛としての役割も期待され、信者の中から選ばれた。
「それから、新しいお着物をお持ちしました。お元気になられたら、これをお召しになるようにとイリフネさまからの言伝です」
「分かりました。ありがとう」
ササノハは素直に薬を飲むと、紫を基調とした艶やかな女物の着物を一瞥した。
その表情が少しかげるが、敬愛するササノハの前で粗相のないよう緊張するゴウには気付く余裕はない。
すると、申し訳なさそうにササノハが近くに置いてある香炉を示した。
「そういえば、香が切れてしまったみたいなんです。替えをお願いできますか? 手間をかけてしまってごめんなさい」
「とんでもありません。すぐに持って参ります」
ぶんぶんと首を横に振ったゴウが部屋を出ていくと、ササノハはため息をついた。
「僕がもう少し丈夫で、もう少し力があれば……」
その時、がたんという音がした。
驚くササノハの前で、庭に面した障子が大きく左右に開き、3人の男が土足で部屋に上がり込んでくる。
明かりを手にした男たちはササノハの知らない顔だ。
「おやおや。こりゃあ本当に上物だ」
その内の1人、にたりと笑った小男がササノハに近づく。
「誰だ!」
駆け付けたゴウが香の袋を放り出して小刀を抜く。
「ちっ。やれ」
弓を背負った小男が合図すると、一緒にいた眼帯の男がゴウに向かっていった。
「賊ごときに遅れを取るわけが……」
目にもとまらない速さで距離を詰めてきた男に、ゴウの顔が驚きに歪む。
「なっ……まさか、ハンター!?」
「男に用はないんんだよ」
必死に応戦するゴウの足に、小男の放った矢が刺さった。
膝をついたゴウにとどめの一撃が加えられそうになったとき、凛とした声が響いた。
「おやめください。彼はただの世話係です」
布団の上に正座したササノハが、人形のように整った顔を頭領に向けていた。
熱のせいで潤んだ瞳と、朱に染まったまなじりが匂い立つような色香を放つ。
ただ白い着物の膝の上で組まれた手だけが微かに震えていた。
「ほう」
小男は面白そうなものでも見るように目を細め、残りの2人はササノハの美貌にごくりと喉を鳴らした。
「まあ、アンタが大人しく俺たちについてきてくれるなら、考えないこともないがな」
「わかりました」
頷いたササノハが少しふらつきながら立ち上がる。
「その足じゃ追いつかれるな。おい」
指示を受けた大男がササノハを軽々と担ぎ上げ、大きな体に見合わない子供っぽい声を出した。
「わあ。この人、いいにおいがするよ」
「ちっ。黙ってかついでろ」
倒れているゴウの耳に、賊の相談する声が聞こえてくる。
「思っていたより幼いな」
「まあいいさ。そういう趣味の客に売れば高値がつくだろう」
男たちは、その見た目と着物から、まさかササノハが男だとは思ってもいない様子だ。
「……追っ手が……」
「こちらは8人……元ハンターが2人も……」
朦朧とする意識の中でゴウが最後に見たのは、大男にかつがれて庭に消えていくササノハの姿だった。
黙って大男の肩につかまるササノハの着物の袖がきらりと光る。
それは、ササノハが咄嗟に爪で傷をつけて袖に入れた、香の袋からこぼれる粉。
目に見えないほどの香の粉は、ごくわずかに、道の上へとこぼれ続けていく。
「くそっ。何が朱花の教団だ。あいつら人を馬鹿にしやがって」
薄暗い隅のテーブルで、くたびれた風体の男が酒をあおっていた。
他の客が遠巻きにする中、ガラの悪い3人組が男のいるテーブルに近づいていく。
「よお、どうした。そんなにカッカして」
愛想よく話しかけたのは、目つきの鋭い小男。
3人組の中では一番立場が上のようだ。
しばらく飲む内に、小男の口のうまさと気前よく振舞われる酒に、男の口が軽くなる。
「それがな。この間のことなんだが……」
男はそう言って、先日の一件を話し出した。
朱花の教団がパンを配っているところに男が乱入し、教団を非難したところ、そこにいた信者全員から非難され、追い出されたのだった。
「あいつらなんにも分かっちゃいないんだ」
「そりゃあ気の毒に。ひどい目にあったな。朱花の教団って、あれだろ。『ササノハさま』がどうとかいう」
「ああ。あんな奴、ただ見た目がいいだけでちやほやされてる偽者だ。いつか絶対に正体を暴いてやる」
その言葉を聞いた小男が、興味をそそられた様子で口を挟む。
「へえ、教主が美人っていう噂は本当だったのか」
「ふん。教団については色々と調べたからな。なんでも知ってるぞ。東方風のそれらしい服をいつも着ていてな……あの服を買う金もどこから出ているのやら」
「俺も一度近くで拝みたいもんだが、なかなか会えるもんでもないんだろう?」
「ああ。教団が街に来ている時、行列に並べば会えないこともないだろうが……今の人気じゃ見るのも大変かもな」
「そうか。ちらっと見るだけでもいいんだがなあ」
さも残念そうにため息をつく小男。
ササノハについて妙に興味のある様子だが、聞き役ができて気分の良くなった男は気付かない。
「それなら教団本部に行くといい。教主は本部の離れに暮らしてるからな。何度か行けば近くで見かけることもあるだろうよ」
「本部ねえ……俺みたいなのがうろうろしていたら怪しまれるんじゃないか?」
「ふん。じゃあ、とっておきの情報を教えてやるよ。しばらく観察していて分かったんだが、いつも新月の日になると教団幹部どもの集会があるらしくてな。離れを含めた本部を警備する人間がぐっと減るんだ」
「へえ。そりゃあいい。ありがとよ」
酔いの回った男を残し、小男は連れの2人に目くばせすると酒場を出ていった。
●新月の夜に
帝都近くの町。そのはずれに、朱花の教団の本部があった。
ひなびた町に似合わない真っ白な壁に囲まれた建物ができたときには、周辺の住民も不安に感じたものだが、ササノハの人気と教団関係者の礼儀正しさに、今では貧しい人々のために尽力する教団として受け入れられている。
その本部の離れ、広い部屋に敷かれた布団の中で、咳き込む人影があった。
艶のある黒い髪を広げて横になっているのは、朱花の教団の教主のササノハ。
元々体が丈夫ではないササノハは、幼い頃からこうして床に臥すことが少なくなかった。
咳の合間に疲れたようなため息がこぼれる。
「……でも、たくさん寝たら背が伸びるかも」
これまでのハンターたちとの出会いを思い返したササノハが、くすりと笑みをこぼす。
それは13歳の少年らしい、あどけない笑顔だった。
「ササノハさま、失礼致します。お薬の時間です」
その時、すっと襖が開いて青い髪の若者が部屋に入ってきた。
新しくササノハのお付きになったゴウだ。
傭兵として働いていたことがあることから、護衛としての役割も期待され、信者の中から選ばれた。
「それから、新しいお着物をお持ちしました。お元気になられたら、これをお召しになるようにとイリフネさまからの言伝です」
「分かりました。ありがとう」
ササノハは素直に薬を飲むと、紫を基調とした艶やかな女物の着物を一瞥した。
その表情が少しかげるが、敬愛するササノハの前で粗相のないよう緊張するゴウには気付く余裕はない。
すると、申し訳なさそうにササノハが近くに置いてある香炉を示した。
「そういえば、香が切れてしまったみたいなんです。替えをお願いできますか? 手間をかけてしまってごめんなさい」
「とんでもありません。すぐに持って参ります」
ぶんぶんと首を横に振ったゴウが部屋を出ていくと、ササノハはため息をついた。
「僕がもう少し丈夫で、もう少し力があれば……」
その時、がたんという音がした。
驚くササノハの前で、庭に面した障子が大きく左右に開き、3人の男が土足で部屋に上がり込んでくる。
明かりを手にした男たちはササノハの知らない顔だ。
「おやおや。こりゃあ本当に上物だ」
その内の1人、にたりと笑った小男がササノハに近づく。
「誰だ!」
駆け付けたゴウが香の袋を放り出して小刀を抜く。
「ちっ。やれ」
弓を背負った小男が合図すると、一緒にいた眼帯の男がゴウに向かっていった。
「賊ごときに遅れを取るわけが……」
目にもとまらない速さで距離を詰めてきた男に、ゴウの顔が驚きに歪む。
「なっ……まさか、ハンター!?」
「男に用はないんんだよ」
必死に応戦するゴウの足に、小男の放った矢が刺さった。
膝をついたゴウにとどめの一撃が加えられそうになったとき、凛とした声が響いた。
「おやめください。彼はただの世話係です」
布団の上に正座したササノハが、人形のように整った顔を頭領に向けていた。
熱のせいで潤んだ瞳と、朱に染まったまなじりが匂い立つような色香を放つ。
ただ白い着物の膝の上で組まれた手だけが微かに震えていた。
「ほう」
小男は面白そうなものでも見るように目を細め、残りの2人はササノハの美貌にごくりと喉を鳴らした。
「まあ、アンタが大人しく俺たちについてきてくれるなら、考えないこともないがな」
「わかりました」
頷いたササノハが少しふらつきながら立ち上がる。
「その足じゃ追いつかれるな。おい」
指示を受けた大男がササノハを軽々と担ぎ上げ、大きな体に見合わない子供っぽい声を出した。
「わあ。この人、いいにおいがするよ」
「ちっ。黙ってかついでろ」
倒れているゴウの耳に、賊の相談する声が聞こえてくる。
「思っていたより幼いな」
「まあいいさ。そういう趣味の客に売れば高値がつくだろう」
男たちは、その見た目と着物から、まさかササノハが男だとは思ってもいない様子だ。
「……追っ手が……」
「こちらは8人……元ハンターが2人も……」
朦朧とする意識の中でゴウが最後に見たのは、大男にかつがれて庭に消えていくササノハの姿だった。
黙って大男の肩につかまるササノハの着物の袖がきらりと光る。
それは、ササノハが咄嗟に爪で傷をつけて袖に入れた、香の袋からこぼれる粉。
目に見えないほどの香の粉は、ごくわずかに、道の上へとこぼれ続けていく。
解説
【依頼内容】
賊に連れ去られたササノハの捜索、保護を目的とした、朱花の教団からの依頼。
ササノハが男であることが賊にばれた場合、危害を加えられる恐れがあるため、早急に探し出す必要があります。
動機などを探るために、できれば賊の生け捕り希望とのことですが、難しい場合はササノハの無事を優先。
ササノハが無事であれば成功となります。
【朱花の教団について】
最近庶民の間で噂されるようになった新興宗教集団。貧しい人々や戦災孤児などに施しを与え、台頭してきています。
【ササノハについて】
朱花の教団の教主。少女のような見た目の13歳の少年。
【ゴウ】
新しくササノハの世話係になった元傭兵の若者。怪我をおしてササノハの誘拐をすぐに教団に報告。重症。
【香の粉】
普通の人間の目には見えないであろう、香り高い粉。
賊とササノハの進んだ道にごく少量ずつこぼれています。
スキルなどで気付いて利用できた場合、捜索時間が大幅に短縮できる可能性があります。
【時間と場所】
ササノハが攫われた直後の離れから捜索開始です。
教団の前の道は町へ続く道と、町から離れる道の2方向。
(時間はかかりますが、町の人に聞き込みをして道を特定することも可能です)
賊を見つけた場合、道の上、及びその周りの野原での戦闘となります。
新月の夜ですが、賊がランプを持っているため、ある程度近くまで行けばどこにいるか分かるはずです。
【敵情報】(ゴウの話をまとめたもの)
◆賊
元ハンターの覚醒者を含む8名(覚醒者2名、非覚醒者6名)
リーダー格の小男(猟撃士)と、眼帯の男(疾影士)だけが元ハンターの覚醒者。
状況が不利になるとササノハを人質に逃走を図る可能性があります。
◆小男(猟撃士)
弓を所持。レベルは8程度。
◆眼帯の男(疾影士)
片手剣を所持。レベルは5程度。
賊に連れ去られたササノハの捜索、保護を目的とした、朱花の教団からの依頼。
ササノハが男であることが賊にばれた場合、危害を加えられる恐れがあるため、早急に探し出す必要があります。
動機などを探るために、できれば賊の生け捕り希望とのことですが、難しい場合はササノハの無事を優先。
ササノハが無事であれば成功となります。
【朱花の教団について】
最近庶民の間で噂されるようになった新興宗教集団。貧しい人々や戦災孤児などに施しを与え、台頭してきています。
【ササノハについて】
朱花の教団の教主。少女のような見た目の13歳の少年。
【ゴウ】
新しくササノハの世話係になった元傭兵の若者。怪我をおしてササノハの誘拐をすぐに教団に報告。重症。
【香の粉】
普通の人間の目には見えないであろう、香り高い粉。
賊とササノハの進んだ道にごく少量ずつこぼれています。
スキルなどで気付いて利用できた場合、捜索時間が大幅に短縮できる可能性があります。
【時間と場所】
ササノハが攫われた直後の離れから捜索開始です。
教団の前の道は町へ続く道と、町から離れる道の2方向。
(時間はかかりますが、町の人に聞き込みをして道を特定することも可能です)
賊を見つけた場合、道の上、及びその周りの野原での戦闘となります。
新月の夜ですが、賊がランプを持っているため、ある程度近くまで行けばどこにいるか分かるはずです。
【敵情報】(ゴウの話をまとめたもの)
◆賊
元ハンターの覚醒者を含む8名(覚醒者2名、非覚醒者6名)
リーダー格の小男(猟撃士)と、眼帯の男(疾影士)だけが元ハンターの覚醒者。
状況が不利になるとササノハを人質に逃走を図る可能性があります。
◆小男(猟撃士)
弓を所持。レベルは8程度。
◆眼帯の男(疾影士)
片手剣を所持。レベルは5程度。
マスターより
元ハンターを含む賊を倒し、連れ去られた13歳の少年を保護する依頼です。
ササノハを御存知の方もそうでない方も宜しくお願い致します。
ササノハを御存知の方もそうでない方も宜しくお願い致します。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/05/30 12:34
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 デュシオン・ヴァニーユ(ka4696) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/05/23 00:59:52 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/05/19 13:07:03 |