• 無し

無能力異邦人とエルフの森

マスター:真太郎

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在5人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
少なめ
相談期間
5日
プレイング締切
2016/05/24 09:00
リプレイ完成予定
2016/06/02 09:00

オープニング

 リゼリオの町の一角に居を構える喫茶店『ひだまり亭』で暮らす私『柊真緒』と『マルシア・シュタインバーグ』は最近は少し良い暮らしができていた。
 バレインタインに臨時で販売したチョコレートの売り上げのお陰だ。
 でもあれからもう4ヶ月が過ぎて、流石に蓄えが少なくなってきている。
 店の売り上げが以前と変わってないから当然だけど。
 やっぱり臨時収入ではなく、日々の定期収入を上げる方法を考えないといけない。
 一番簡単な方法は固定客を増やす事。
 なので毎日モーニングを食べにくる常連のおじさん達に話しを聞いてみた。
「え? なんで毎日この店に来てるかって?」
「そりゃあ俺達が来なきゃマルシアさん飢え死んじまうだろうが」
「そんな事になったら死んだ旦那に申し訳ねぇよ」
「もちろんコーヒーが美味いし、マルシアさんが好きだから来てるんだぜ」
「最近はマオちゃんもいるしな」
「お陰で料理は普通になったな」
「色気はないけどな」
「あっはっはっ」
 嬉しいけど余計なお世話です。
 おじさん連中は役に立たないのでもう1人の常連客、牛乳配達員のキイ君に話を聞いた。
「え? ボクがこの店に来る理由ですか? それは、この店が最後の配達場所だからそのついでというか……」
「それでも毎日来てくれて嬉しいわ」
 話を聞いていたらしい店長のマルシアさんがキイ君に微笑みかけた。
「いえ! あの……ボクここのモーニング好きなんです。コーヒーもとっても美味しいですし」
 キイ君は照れたのか、やや頬を赤らめながら嬉しそうに答える。
「うふふっ、ありがと。おかわりどうぞ」
 店長が嬉しそうにキイ君のカップにコーヒーを注ぐ。
 どうやらキイ君が店に来る理由はもう一つありそうだ。
 キイ君って確か私より1つ年下の15歳よね。
 店長ってかなり若く見えるけど幾つなのかな?
 ま、それはともかく、常連客の目的はほぼ店長だ。
 これでは何の参考にもならない。
 どうしたらいいんだろう……。
 私は頭を悩ましながらキイ君が配達してくれた牛乳を飲んだ。
 キイ君の牛乳は味が濃くて美味しいから私のお気に入り。
 最初はこの世界はオーガニックだから牛乳も美味しいんだろうと思ってたけど違った。
 他の牛乳も飲んでみたけど、キイ君の牛乳は特別美味しかったのだ。
 こんなに美味しい牛乳はこの世界でもそんなにない……
 ……
 ……
 ……
「これだーー!!」
「ど、どうしたのマオちゃん。いきなり大声出して」
「店長! 牛乳ですよ牛乳! キイ君の牛乳です!」
「えぇ、そうね。キイ君の牛乳ね」
「違います。牛乳を使って新メニューを作るんです」
「え?」
「キイ君の牛乳でバターとかチーズとかヨーグルトとか作って、それで新作料理作ればきっと美味しいものができますよ!」
「すごいアイデアよ、流石マオちゃんだわ!」
「ふふぅ~ん♪」
 おだてられた私は得意気に胸を張った。
「という訳でキイ君。牛乳をもっとたくさん買いたんだけど」
「ボクは単なる配達員ですから、そういう事は決められませんよ」
 それもそうか。
 なので私はキイ君に牛乳の生産者の『キング』さんを紹介してもらい、早速交渉に向かった。


「うちの牛乳を気に入ってくれたのは嬉しいけど、今は販売数に余裕がないんだ。悪いけど今以上は売ってあげらないよ」
 え? 計画実行前に頓挫?
 いやいや、私達の今後の生活がかかっているのだ。諦めるわけにはいかない。
「販売数を上げられないんですか? あんなに美味しい牛乳なんですから数を増やしても売れると思うんですけど」
「僕も増やしたいんだけど放牧地が足りなくてね。森を開墾できれば土地は増やせるんだけど、森のエルフがそれを許してくれなくてね」
「エルフ?」
「放牧地の隣には森が広がってるんだけど、その森はエルフの物なんだ。そこのエルフは友好的だけど、開墾するには彼らの許可がいるんだよ」
「じゃあ、許可を取ってくれば放牧地を増やせるんですね?」
「そうだけど……アンタもしかして?」
「はい! 許可をくれないか交渉してみます」
 友好的なら危険はないはず。
 それに絶世の美貌を誇るエルフにも一度会ってみたかったしね。


 私はキングさんの案内でエルフと会う事になった。
 そのエルフ達は森の中にある物だけを使って生活しているらしく、木々を上手く利用して作った家に住んでいた。
 そして私達と会ってくれたのはとっても美形なエルフのお兄さん。
 眼福だわ~。
「放牧地を増やすために森を切りたいと? それはもちろん相応の見返りを用意しての事だろうな?」
 でも話し方や態度はちょっと怖い。
「先に言っておくが金はいらんぞ。我らには必要のないものだからな」
 お金じゃダメなのかぁ……。
「それじゃあ、え~と……何か困っている事はありませんか?」
「困り事?」
「はい。私達がそれを解決する代わりに開墾の許可をいただくとか、そういうのはダメでしょうか?」
「ふむ……」
 エルフのお兄さんは少し考え込んだ。
「お前達は、その……バイクという物を持っているか?」
「え? いえ、私は持ってません。キングさんは?」
「僕も持ってないな」
「そうか……」
「あの、バイクが欲しいんですか?」
「いや、その件はもういい。忘れろ」
「はぁ?」
 慌てて取り繕ったみたいだけど、何なんだろう?
「最近森の外れにコボルトが出没するらしい。我らで退治すると手や森がコボルトの血で穢れるため放っておいたのだが、未だ森に居座っているらしい。
 このまま居つかれても迷惑だ。お前達がコボルトを森から追い払ってくれるのなら、そうだな……牛2頭分の森を開墾する事を許そう。
 手段は問わない。ただし退治するのなら森は決して汚さぬ事、遺体はお前達で全て処理し、森には血の一滴も残さぬ事。それが条件だ」


 私達はエルフの出した条件をとりあえず保留にして、キングさんの家に戻った。
「コボルト退治ですか……そんなの私達の手には負えないですよね」
 となると、一番手っ取り早いのはハンターを雇う事だけど、今ある残金で雇えるだろうか?
「柊さん。もしハンターを雇うつもりなら依頼料の半分は僕が持つよ」
「本当ですか!」
 それは本当に助かる。
「その代わり条件を出してもいいかな?」
「条件?」
「エルフは牛2頭分の開墾を約束したけど、どうせなら3、4頭分は欲しいんだ。だから雇ったハンターと協力して再交渉しててくれないか」
「う~ん……でもあの人達頑固そうですよ。交渉の余地があるでしょうか?」
「あのエルフ、最初にバイクの事を聞いてきただろ。もしかしたらバイクや機械に興味があるのかもしれない」
「え? そういう物に頼らない生活が信条の人達じゃないんですか?」
「そういう生活をしてたって興味は持ったりするものさ」
「確かにそうですね」
「ま、ダメ元でもいいから交渉してみてくれ」
「はい、分かりました」
 私はエルフとキングさんの2つの用件をハンターオフィスに依頼した。

解説

目的1:エルフと交渉して報酬を吊り上げる
目的2:コボルトの群れを森から排除する

・依頼人
柊真緒(通称、マオちゃん)
リアルブルー出身の16歳の女の子
非覚醒者
身重154cm
痩せ型(Acup)

エルフ(名はシダル)との交渉にはマオも付き添います。
シダルが提示した報酬は牛2頭分の土地の開墾許可ですが、それをどうにかして3~4頭分にまで吊り上げる。
シダルのエルフ達は機械等には頼らず自然にある物だけを利用した暮らしをしています。
でもシダルはバイクや機械類に興味を抱いている節があります。


コボルトの対処にマオは同行しません。
コボルトは森から排除さえすれば良いので、必ずしも倒す必要はありません。
コボルトを退治した場合、死骸は森の外で処理し、森には血の一滴も残す事なく清掃しなければいけません。



 以下PL情報

シダルとの交渉の成否でシナリオの成功度が変わります。

コボルトは4体だけの小さな群れです。
群れを観察すると
体が一回り小さくて背中に傷跡のあるコボルトが率いている。
1体はメスでお腹が大きく妊婦らしい。
3体のオスは狩った獲物をメスに与えている。
群れの住処は木と葉で作った雨がしのげる程度の粗末な物。
等が分かります。

コボルトに言葉は通じません。

コボルトは自分達からハンターに攻撃を仕掛ける事はありません。
ハンターを見ると、戦っても勝てないと知っているような態度で警戒します。
ただし攻撃を行えば死に物狂いで反撃してきます。
コボルトの攻撃は『投石』『爪』『牙』『拾った剣』。

妊婦は1週間以内に出産します。

エルフはコボルトを追い払う期限を設けてはいません。
エルフも多少は譲歩の余地を持っていますが、コボルトが森に住む事は決して許しません。

マスターより

ずいぶんと間が空いてしまいましたが『無能力異邦人シリーズ』の新作をお届けします。

一応、『無能力異邦人とチョコレート』の続編ですが、
 NPCのマオはリアルブルーからの召喚者だが無能力の非覚醒者で、喫茶店『ひだまり亭』の店長マルシア・シュタインバーグと暮らしている。
という基本設定さえ知っていれば前作を読んでいなくてもまったく問題ありません。

ちなみにマオもマルシアは決して裕福ではないのため、依頼料は『少なめ』です。
これでも一般市民である彼女達には高額な依頼料なのですよ。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/05/30 16:23

参加者一覧

  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズール(ka0878
    人間(紅)|19才|男性|機導師
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • それでも生きてる
    何 静花(ka4831
    エルフ|14才|女性|霊闘士
  • 慈愛の聖導士
    マーオ・ラルカイム(ka5475
    人間(紅)|18才|男性|聖導士
  • ユグディラの準王者の従者
    保・はじめ(ka5800
    鬼|23才|男性|符術師
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/05/22 20:15:11
アイコン 相談卓
保・はじめ(ka5800
鬼|23才|男性|符術師(カードマスター)
最終発言
2016/05/24 06:38:46