ゲスト
(ka0000)
リゼリオ事件簿『迷子からの依頼』
マスター:蒼かなた

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/05/30 09:00
- リプレイ完成予定
- 2016/06/08 09:00
オープニング
●暗くて寒くて寂しい場所
ここはどこだろう?
気づいた時にはこの場所にいた。とても暗くて何にも見えない。それにとても寒くて、体が勝手に震えてくる。
どうしてこんなところにいるんだろう?
思い出してみる。少し前までは確かお買い物をしてたはずなのに。今日の夕食の食材を買いに市場に行って、それから……
それから、どうしたんだっけ?
ずきりと頭が痛んだ。上手く思い出せない。気づいたら体中に痛みが走り出した。
痛い。痛い。痛い。
瞳から勝手に涙が溢れだしてきた。口から思わず嗚咽の声が漏れてしまう。
暗い。痛い。寒い。怖い。
心の中はそんな言葉で満ちていく。何があったのかも分からなくて、どうしていいかも分からなくて。
「誰か……助けて……」
誰にも聞こえない懇願の言葉は闇に飲まれて消えた。
●ハンターオフィス
「暇だな」
「暇ね」
「暇ですねぇ」
ハンターオフィスに設けられている休憩所の机の1つを囲って、3人のハンターがそんな言葉を漏らしていた。
容姿はそれぞれ筋骨隆々の厳つい顔をしたオッサン、兎耳のアクセサリーをした小柄な少女、エルフ特有の尖った耳をした細身の青年だ。
「なあ、何か依頼でも受けないか?」
「だーかーらー、私達は待機組なの。有事の際の即応要員としてここにいないといけないの」
オッサン――熟練ハンターのブレアの言葉に兎耳少女は辟易といった様子で自分達がここにいる理由を告げる。
ハンターは基本的に依頼を自由に選ぶことが出来る。依頼人がハンターズソサエティに申請して、それがハンターオフィスに張り出され、ハンター達はその中から選んで自分に合った仕事を請け負うのだ。
ただ、極稀にだが即時対応が求められる依頼が舞い込む時もある。近くの街道で雑魔が出たり、街中で誘拐事件が起きたり、海で船が難破したりと時間との勝負が必要になるものがそれだ。
そう言った時の為に、ハンターオフィスには『待機組』と言われるメンバーが詰めていたりする。
因みにこれはハンターズソサエティの作った仕組みではなく、そういった依頼に対応する為にハンター達が自主的にやりだしたことだ。
そんなわけで、知り合いのハンター達の中で今日の待機組となったブレア達は朝からハンターオフィスに詰めているのだ。
「分かってるけどよ。この待機組って、滅多に出番ないじゃねーか」
「そうですね。でもその滅多にない出番がたまにあるので、疎かにするわけにもいかないんですよ」
ブレアの言う通り待機組に仕事が回ってくることは稀だが、エルフ青年が言うように稀にはあるのでそれに備えないわけにはいかないのだ。
「まっ、今日は休息日だとでも思ってのんびりするしかないわね」
「そういうことです」
そういって兎耳少女は鞄から取り出した本を読みだし、エルフ青年は耳にイヤホンを嵌めて何やら小さな機械を弄りだした。
完全に手持ち無沙汰になったブレアは1つ溜息を吐きながら、休憩所に設けられた売店に足を向ける。
「全く、待機組じゃ酒も飲めねぇし」
「……」
「こうなったらやけ食いでもして……」
「……」
「……何だ?」
売店の前で適当な食べ物を買おうとしていたブレアは、こちらを見上げてくる小さな影に気づいてそちらに視線を向けた。
影の正体はブレアの腰程度の背丈しかない幼い少女だった。年齢にすれば10歳にいくかどうかといった程度だろうか。
同業者かとも思ったが、見たところ体も鍛えている様子はなくマテリアルの気配も一般人のソレだ。少なくともハンターではなさそうだった。
「ねえ、おじさんはハンターよね?」
「ああ、その通りだ。お嬢ちゃんはどうしてこんなところにいるんだ。もしかして迷子か?」
ブレアの問いに少女は口元に指をあてて「んー」と暫し考える仕草をした上で、こくりと頷いた。
「そうか。それなら……」
「あのね、わたし迷子なの。だから探して欲しいの」
「はぁ?」
少女からの突然の頼みにブレアは首を傾げる。迷子だから探して欲しいと言われても、今彼女は目の前にいる。
どうしたものかとブレアは周囲を見渡すが、少女の保護者らしき姿は見当たらない。
「……んっ? おい、どこに行った」
そしてブレアが少女に視線を戻した時、何故かそこに少女の姿はなかった。
代わりにその場の床に一枚の布切れが落ちているのに気付く。それを拾い上げて広げてみると、どうやらそこには地図が描かれているようだった。
「こりゃあ、リゼリオの下水道の地図か?」
昔受けた依頼で同じような地図をみたことのあったブレアは、その地図がどこの道を示しているのかの検討がついた。
ただ、どうみても手書きな地図は線が曲がっていたり、縮尺がどう見てもあってない場所がいくつも見受けられる。恐らくだが、子供が作ったものなのだろう。そうだとしたらよくできている部類だ。
「で、これを元に『私』を見つけて欲しいと……つまりはかくれんぼへのお誘いか」
やれやれと思いながらブレアは溜息を吐く。無視してもいいのだが、先ほどの少女は既にこの地図の示す場所へ隠れに行ってしまっただろう。
そもそも下水道内は関係者以外立ち入り禁止だし、悪人が隠れ家にしていたり雑魔が発生する可能性もあって危険な場所だ。
「まあ、放ってはおけないよな」
顔に似合わず世話焼きなブレアは、暇潰しついでに探しに行くかと仲間のいる机へと戻る。
しかし、そこには彼を待っているはずの仲間2人の姿はなかった。
「あっ、ブレアさん。お2人なら酒場の喧嘩を止める為に行っちゃいましたよ」
「おい、それなら何で……アイツら、喧嘩の仲裁ついでにサボる気だな」
恐らく数時間後に帰ってきて、喧嘩を止めるのに時間が掛かったとか言い訳してくるんだろう。もしかしたら酒臭い息まで吐いてくるかもしれない。
「2人共俺には散々アレコレ言っておいて、やっぱ自分達も我慢できなかったんじゃねぇか」
とりあえず後で殴ると心の中で誓いつつ、ブレアはハンターオフィス内に目を配る。そして数人のハンター達に目をつけて声を掛けた。
「よう、お前ら。迷子からの依頼を受ける気はねぇか?」
●誰も見ていない
ブレアが数名のハンターを引き連れて出ていくのをカウンターにいるオフィス職員は見つめていた。
突然現れてそして消えた迷子の少女を探しに行くのだと言っていたが、彼も暇だから外に出る口実が欲しかったんだろうなとオフィス職員は思っていた。
「今日は子供なんて誰も来てませんもんね」
「そうだな。入ってきたらカウンターにいる俺達が絶対見ているはずだからな」
今日はそんな少女は見かけていない。入ってくるところも、出ていくところも見ていない。
仕事には割と真面目なブレアもサボることはあるんだなとオフィス職員達はそんな話を暫く続けていた。
そしてその数十分後、慌てた様子で駆け込んできた女性から子供が行方不明になったという話を聞くことになる。
ここはどこだろう?
気づいた時にはこの場所にいた。とても暗くて何にも見えない。それにとても寒くて、体が勝手に震えてくる。
どうしてこんなところにいるんだろう?
思い出してみる。少し前までは確かお買い物をしてたはずなのに。今日の夕食の食材を買いに市場に行って、それから……
それから、どうしたんだっけ?
ずきりと頭が痛んだ。上手く思い出せない。気づいたら体中に痛みが走り出した。
痛い。痛い。痛い。
瞳から勝手に涙が溢れだしてきた。口から思わず嗚咽の声が漏れてしまう。
暗い。痛い。寒い。怖い。
心の中はそんな言葉で満ちていく。何があったのかも分からなくて、どうしていいかも分からなくて。
「誰か……助けて……」
誰にも聞こえない懇願の言葉は闇に飲まれて消えた。
●ハンターオフィス
「暇だな」
「暇ね」
「暇ですねぇ」
ハンターオフィスに設けられている休憩所の机の1つを囲って、3人のハンターがそんな言葉を漏らしていた。
容姿はそれぞれ筋骨隆々の厳つい顔をしたオッサン、兎耳のアクセサリーをした小柄な少女、エルフ特有の尖った耳をした細身の青年だ。
「なあ、何か依頼でも受けないか?」
「だーかーらー、私達は待機組なの。有事の際の即応要員としてここにいないといけないの」
オッサン――熟練ハンターのブレアの言葉に兎耳少女は辟易といった様子で自分達がここにいる理由を告げる。
ハンターは基本的に依頼を自由に選ぶことが出来る。依頼人がハンターズソサエティに申請して、それがハンターオフィスに張り出され、ハンター達はその中から選んで自分に合った仕事を請け負うのだ。
ただ、極稀にだが即時対応が求められる依頼が舞い込む時もある。近くの街道で雑魔が出たり、街中で誘拐事件が起きたり、海で船が難破したりと時間との勝負が必要になるものがそれだ。
そう言った時の為に、ハンターオフィスには『待機組』と言われるメンバーが詰めていたりする。
因みにこれはハンターズソサエティの作った仕組みではなく、そういった依頼に対応する為にハンター達が自主的にやりだしたことだ。
そんなわけで、知り合いのハンター達の中で今日の待機組となったブレア達は朝からハンターオフィスに詰めているのだ。
「分かってるけどよ。この待機組って、滅多に出番ないじゃねーか」
「そうですね。でもその滅多にない出番がたまにあるので、疎かにするわけにもいかないんですよ」
ブレアの言う通り待機組に仕事が回ってくることは稀だが、エルフ青年が言うように稀にはあるのでそれに備えないわけにはいかないのだ。
「まっ、今日は休息日だとでも思ってのんびりするしかないわね」
「そういうことです」
そういって兎耳少女は鞄から取り出した本を読みだし、エルフ青年は耳にイヤホンを嵌めて何やら小さな機械を弄りだした。
完全に手持ち無沙汰になったブレアは1つ溜息を吐きながら、休憩所に設けられた売店に足を向ける。
「全く、待機組じゃ酒も飲めねぇし」
「……」
「こうなったらやけ食いでもして……」
「……」
「……何だ?」
売店の前で適当な食べ物を買おうとしていたブレアは、こちらを見上げてくる小さな影に気づいてそちらに視線を向けた。
影の正体はブレアの腰程度の背丈しかない幼い少女だった。年齢にすれば10歳にいくかどうかといった程度だろうか。
同業者かとも思ったが、見たところ体も鍛えている様子はなくマテリアルの気配も一般人のソレだ。少なくともハンターではなさそうだった。
「ねえ、おじさんはハンターよね?」
「ああ、その通りだ。お嬢ちゃんはどうしてこんなところにいるんだ。もしかして迷子か?」
ブレアの問いに少女は口元に指をあてて「んー」と暫し考える仕草をした上で、こくりと頷いた。
「そうか。それなら……」
「あのね、わたし迷子なの。だから探して欲しいの」
「はぁ?」
少女からの突然の頼みにブレアは首を傾げる。迷子だから探して欲しいと言われても、今彼女は目の前にいる。
どうしたものかとブレアは周囲を見渡すが、少女の保護者らしき姿は見当たらない。
「……んっ? おい、どこに行った」
そしてブレアが少女に視線を戻した時、何故かそこに少女の姿はなかった。
代わりにその場の床に一枚の布切れが落ちているのに気付く。それを拾い上げて広げてみると、どうやらそこには地図が描かれているようだった。
「こりゃあ、リゼリオの下水道の地図か?」
昔受けた依頼で同じような地図をみたことのあったブレアは、その地図がどこの道を示しているのかの検討がついた。
ただ、どうみても手書きな地図は線が曲がっていたり、縮尺がどう見てもあってない場所がいくつも見受けられる。恐らくだが、子供が作ったものなのだろう。そうだとしたらよくできている部類だ。
「で、これを元に『私』を見つけて欲しいと……つまりはかくれんぼへのお誘いか」
やれやれと思いながらブレアは溜息を吐く。無視してもいいのだが、先ほどの少女は既にこの地図の示す場所へ隠れに行ってしまっただろう。
そもそも下水道内は関係者以外立ち入り禁止だし、悪人が隠れ家にしていたり雑魔が発生する可能性もあって危険な場所だ。
「まあ、放ってはおけないよな」
顔に似合わず世話焼きなブレアは、暇潰しついでに探しに行くかと仲間のいる机へと戻る。
しかし、そこには彼を待っているはずの仲間2人の姿はなかった。
「あっ、ブレアさん。お2人なら酒場の喧嘩を止める為に行っちゃいましたよ」
「おい、それなら何で……アイツら、喧嘩の仲裁ついでにサボる気だな」
恐らく数時間後に帰ってきて、喧嘩を止めるのに時間が掛かったとか言い訳してくるんだろう。もしかしたら酒臭い息まで吐いてくるかもしれない。
「2人共俺には散々アレコレ言っておいて、やっぱ自分達も我慢できなかったんじゃねぇか」
とりあえず後で殴ると心の中で誓いつつ、ブレアはハンターオフィス内に目を配る。そして数人のハンター達に目をつけて声を掛けた。
「よう、お前ら。迷子からの依頼を受ける気はねぇか?」
●誰も見ていない
ブレアが数名のハンターを引き連れて出ていくのをカウンターにいるオフィス職員は見つめていた。
突然現れてそして消えた迷子の少女を探しに行くのだと言っていたが、彼も暇だから外に出る口実が欲しかったんだろうなとオフィス職員は思っていた。
「今日は子供なんて誰も来てませんもんね」
「そうだな。入ってきたらカウンターにいる俺達が絶対見ているはずだからな」
今日はそんな少女は見かけていない。入ってくるところも、出ていくところも見ていない。
仕事には割と真面目なブレアもサボることはあるんだなとオフィス職員達はそんな話を暫く続けていた。
そしてその数十分後、慌てた様子で駆け込んできた女性から子供が行方不明になったという話を聞くことになる。
解説
【依頼内容】
迷子を探しだして連れ帰る
【依頼詳細】
ブレアの元を訪れた少女が残していったらしい地図を頼りに、迷子の少女を探し出す。
少女が仕掛けた遊びか悪戯の可能性もあるが、念のための確認も兼ねてといった依頼となる。
【地図情報】
地図にはリゼリオの下水道の一部が記されていた。
居住区と商業区の中間あたりの再開発地区の下水道地図らしく、手書きでミスは多いがだいたいの道は分かる。
地図には赤く印がしている部分があり、少女は恐らくこの場所に隠れているのだと思われる。
海側にある下水道の出入り口から中に入るらしく、途中に通行止めの鉄格子や工事中の場所がある為何度も回り道をする必要がありだいたい距離にして1kmほど歩くことになる予定。
【下水道情報】
下水道の道幅は2mほど、明かりはないので各自準備する必要あり。
悪人や雑魔と遭遇する可能性はあるが、定期的に確認はされているので遭遇確率は低い。
子供達の遊び場として使われたりすることもあり、たまに壁面に落書きなどがあったりする。
【備考】
ブレアの言う少女に関しては、見かけていてもいいし見かけていなくてもどちらでも大丈夫です。
ブレアが少女と話しているシーンを見ていたということにしてもかまいません。
水色のワンピース、ショートヘアで白いリボンをした10歳くらいの少女です。
※PL情報
OPの『●暗くて寒くて寂しい場所』『●誰も見ていない』の内容はPL情報となります。
迷子を探しだして連れ帰る
【依頼詳細】
ブレアの元を訪れた少女が残していったらしい地図を頼りに、迷子の少女を探し出す。
少女が仕掛けた遊びか悪戯の可能性もあるが、念のための確認も兼ねてといった依頼となる。
【地図情報】
地図にはリゼリオの下水道の一部が記されていた。
居住区と商業区の中間あたりの再開発地区の下水道地図らしく、手書きでミスは多いがだいたいの道は分かる。
地図には赤く印がしている部分があり、少女は恐らくこの場所に隠れているのだと思われる。
海側にある下水道の出入り口から中に入るらしく、途中に通行止めの鉄格子や工事中の場所がある為何度も回り道をする必要がありだいたい距離にして1kmほど歩くことになる予定。
【下水道情報】
下水道の道幅は2mほど、明かりはないので各自準備する必要あり。
悪人や雑魔と遭遇する可能性はあるが、定期的に確認はされているので遭遇確率は低い。
子供達の遊び場として使われたりすることもあり、たまに壁面に落書きなどがあったりする。
【備考】
ブレアの言う少女に関しては、見かけていてもいいし見かけていなくてもどちらでも大丈夫です。
ブレアが少女と話しているシーンを見ていたということにしてもかまいません。
水色のワンピース、ショートヘアで白いリボンをした10歳くらいの少女です。
※PL情報
OPの『●暗くて寒くて寂しい場所』『●誰も見ていない』の内容はPL情報となります。
マスターより
皆さんこんにちわ。蒼かなたです。
今回は基本的に戦闘なしの調査依頼です。
自分で迷子だと名乗る少女からの依頼。オフィス職員には不思議そうな顔をされて見送られたことでしょう。
今回は行動よりも心情メインとなります。これから起こる不思議な体験を楽しんでください。
それでは、よろしければ依頼へのご参加をお待ちしております。
今回は基本的に戦闘なしの調査依頼です。
自分で迷子だと名乗る少女からの依頼。オフィス職員には不思議そうな顔をされて見送られたことでしょう。
今回は行動よりも心情メインとなります。これから起こる不思議な体験を楽しんでください。
それでは、よろしければ依頼へのご参加をお待ちしております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/06/04 21:08
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/05/26 06:45:52 |
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![]() |
作戦相談卓 玉兎 小夜(ka6009) 人間(リアルブルー)|17才|女性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2016/05/30 07:30:21 |