騎士。
　リアルブルーの戦場では数世紀前に居場所を失った存在だが、クリムゾンウェストでは今でも現役だ。
　盾で受ければ拳銃弾も受け止める重装甲。
　マテリアル抜きでも鉄板を切り裂く剣の腕。
　それらを兼ね備えた騎士は、グラムヘイズ王国における主戦力の１つなのだ。

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「逃げるんだよぉっ」
「馬鹿者！　明日に向かって転進と言えっ」
　降り注ぐ触手の豪雨を切り払いながら馬を走らせる騎士が２人。
　どちらもグラムヘイズ王国からの援軍であり、狂気との合流に失敗した雑魔や決戦から逃げ出した雑魔を刈り続けてきた凄腕達だ。
「先輩！　タローがもちませんっ」
　タローとは満年齢２歳の軍馬。選び抜かれ鍛え抜かれた彼は凄まじい健脚と獰猛な士気を兼ね備えているけれども、数時間全力疾走できるほどの持久力はない。
「ジローちゃんも」
　ジローとは満年齢３歳の軍馬でジローの嫁候補兼先輩騎士の愛馬だ。タローより少しだけ体格と能力が高いがほとんど差はなく消耗も同程度。何故か吐く息が妙に色っぽい。
「馬鹿言ってないで走れ馬鹿！」
　先輩騎士が馬が潰れない程度に速度を落として弓を構える。
　狙うのは地表５メートルで彼等と並走するクラゲ型雑魔だ。
　速度は馬に匹敵しても回避能力は低い。先輩式の矢が触手の森をすり抜け本体に直撃した。
　直撃したのに、分厚い皮を貫通できず押し返されてぽとりと落ちた。
「先輩これって高位ヴォイドでは」
「このサイズなら雑魔だっ。我等にとって相性最悪のなっ」
　逃走再開。騎士２人と軍馬２頭が力尽きるまで、後１時間である。

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　ハンターオフィス本部に新たな３Ｄディスプレイが現れる。
　縁には赤文字で緊急とかＷＡＲＮＩＮＧとかタスケテとか表示されぐるぐる回転中だ。
　ディスプレイ中央には、分厚い全身鎧で身を固めランスと大盾と長弓を装備した騎士が映し出されている。
　荒い画像でも騎士２人が必死に馬を操っているのが分かる。
　２人の斜め後ろ上方にクラゲっぽい雑魔が１体……今増援が合流して２体になった。
　何人かのハンターがディスプレイに視線を向けると、画面が分割され騎士が弓を使った場面が再生される。
「装甲が厚いな」
「猟銃ではダメージが通らないぞ」
　ハンター達が率直な感想を述べると、ディスプレイの真下で踊っていたパルムがギルドショップに向かって駆け出した。
　しばらくして、３Ｄディスプレイの済みに、アサルトライフル無料貸し出しマスの１文が追加されるのだった。

　重装甲浮遊雑魔との対決依頼です。
　分厚い装甲、頑張れば地表５メートルまで浮かべる浮力、軍馬に迫る移動力、無に等しい回避能力、触手攻撃（射程１～２の並命中高威力物理攻撃）と貧弱な生命力を兼ね備えた多分強敵です。
　戦場となるのはリゼリオ近くの何もない野原。周辺１キロメートルにはハンターと騎士と雑魔しかいません。
　ハンターが現地に到着したときには疲労状態の騎士２人が雑魔３体から逃走中です。
　騎士と雑魔はそれぞれ固まって移動中で、両者の距離は１０メートルです。
　プレイングで特に指定が無い場合、ハンターと騎士の距離が２００メートルを切った場面から描写が開始されます。

　騎士達は疲労で判断力が低下しています。
　基本的にハンターの指示に従ってはくれますが難しい指示は理解してくれないかもしれません。

　参加ハンターが希望すれば、希望者１人あたり１丁のアサルトライフルを借りることができます。性能はギルドショップで販売中のものと同じです。壊すと報酬がちょっとだけ減ります。

　あえて剣や槍、あるいは弓で立ち向かうのも格好良いと思います。