• 無し

薬草園の猫、地下潜る

マスター:狐野径

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/06/14 15:00
リプレイ完成予定
2016/06/23 15:00

オープニング

●猫とともに
 グラズヘイム王国の小さな町にある薬草園。その薬草園で働くというか面倒を見てもらっているコリンは初めてのお遣いに出ていた。
 薬草園で仕事することはする。小さな町の中で動き回ることもある。
 大きな隣町に行ったことはなかった。この町に来て一年近くたつが、誰かのお供でもなかった。
 馬に乗れないため、乗合馬車に乗っていくこととなる。道もまっすぐであるし、問題ないはずだった。
 乗り場で待っていると、薬草園に住み着いたユグディラのうち若いと思われる茶トラの毛並みのチャがやってきた。本名はチャイロー・クズーハというのだが、言葉が通じない関係でチャという名になった。
 チャはコリンを見上げ、キラキラ輝く目を向ける。
「……まさか、お前も行きたいのかい?」
 こくりと首を縦に振る。
「……クロはそのことを知っているのかな?」
 首を横に振る。
「だめだよ、心配させちゃうよ?」
 コリンはしゃがんで視線を合わせる。
 チャから不満そうな雰囲気が漂う。
『おいらね、大きな町見てみたいにゃ! おとなしくしているから、一緒に連れて行ってにゃー』
「……僕、説得されている気がする」
『お願いにゃ』
 チャは前足を首当たりで合わせている。
「……でも、僕も初めていくところなんだ。ジャイルズさんのいう園芸店もすぐ見つかるかわからないし」
 ジャイルズとは薬草園の主でジャイルズ・バルネという。
『おとなしくするにゃ!』
 ちょうど馬車がやってきた。コリンが乗ろうとしたがチャもついてくる。
「前足はおろしてね」
 根負けしたコリンはチャにささやく。
『わかったにゃ!』
「おじさん、あの、猫も連れて乗ってもいいですか?」
 コリンは御者に尋ねる。
「おとなしくしてくれるならいいが、騒いだらおろすぞ?」
「わかりました」
 コリンはチャを抱きかかえ、馬車に乗った。

●町の見物
 大きな町はやはり違った。人が多いし、商店街という存在があること自体違う。
 緊張する中、教わった道を探して進む。大きな道というのがはっきりしているおかげで、初めてでも迷うことはなかった。
 園芸店を訪れ、発注していた種をもらってお金を払う。
「帰りの馬車まで時間があるからちょっと見て行こう」
 コリンはうきうきした。お遣いさえ終われば、心の余裕も生まれる。もらっていた小遣いも少し持ってきているので、気になるものがあれば購入することもできる。
 買い食い、という魅惑の言葉が脳裏をよぎる。住む町でお金を使うことがほとんどない。駄菓子を買うこともあるが、
 チャもうきうきした。楽しい匂いが漂ってくるから。

●案の定
 乗合馬車の時間が迫る中、コリンはハンターズソサエティに駆け込む。
 しかし、依頼を出すにはお金がいる。
 こんな理由で出していいのかと途方に暮れる。
 職員と目が合った。
「初めまして依頼かな? それとも新入りさんかな? この町の職員の一人のロビン・ドルトスっていうんだ、よろしくね」
 にこにこと優しくさわやかな笑顔でロビンは告げる。
「ロビンさん、この依頼受けたいです」
「だめです! 大体、領主様から止められています」
「コボルド退治です!」
「でも危険は危険です」
 奥にいたハンターらしい少年に声をかけられ、ロビンは戻っていく。
 コリンは場違いだと思って出ようとした。
「君、用があるなら、ロビンさんに話していったほうがいいですよ?」
 少年が気づいてコリンを止める。
「で、でも」
「ロビンさんは話を聞くのも仕事です」
 少年に言われ、ロビンが受付のところまでくる。コリンに席を勧める。
「あの、猫を探してください」
「猫? ペットかな?」
「えと、そんな感じです。商店街のはずれの下水に入っちゃって……」
「壊れてたのかな」
 会話を聞いた少年が隣に座った。
「……ですよね」
 ロビンが渇いた笑いを浮かべる。
「あなたが受けてくださるんですか?」
「違う、たぶん受けるというと怒られるんです。でも、下水道に不備があるならそれは領主の管轄です」
「……?」
「申し遅れました。私は、ここの領主シャールズの子、リシャール・べリンガーと申します」
「え、えええ!?」
 コリンは驚いた。
 領主など雲の上の存在だ。その息子がこんなところにいるとは考えたことはない。それに、年齢は同じくらいのようだ。
 コリンは状況を話した。
 チャが下水道に下りる扉を開けて入って行ってしまったと。
 落ち度はチャにあるのだ。
「なぜかわからないんですが、入って行ってしまいました」
「……」
 この瞬間、リシャールとロビンが目を泳がせる。二人は視線が合った瞬間、違和感に気づく。
「待ってください、猫何ですか?」
「猫が開けられるような扉ではないはずだ」
 コリンは冷や汗を流した。黙っていたら話が進まない。
「ユグディラなんです……」
「ああ」
 二人が納得したという顔になる。
「リシャール様、この際だからついでに言っちゃっていいですか?」
「何かあるんですか?」
「実は、地下に大きなネズミがいるとか蛇がいるとか、邪教『生水凧根』がいるとか、強盗団がいるとか……」
「……その無法地帯ですか」
「そ、そうなんですよ。治安悪化はしていないんですが、噂がまとまり次第、領主様にお願いを出そうとしたんですよ」
「……邪教って」
 歪虚がらみの事件があったばかりなため、リシャールは眉を寄せる。
「早急に解決しないとだめですね。わかりました。下水道の調査を依頼しましょう」
 リシャールはきっぱり言った。
 ユグディラが潜った位置は商店街の外れの入り口。あとの噂があるのは町のあちこちに分散はしている。
「私も行きます!」
「だめです。あなたはここでコリン君といてください」
 ロビンに戻されリシャールはため息交じりに椅子に戻った。
「あの、すみません」
「謝ることはないんですよ? まあ、チャ君は説教ですけど!」
「そうですね」
 コリンは安心が生じて微笑んだ。
「馬車、間に合うかな……」
「……先に戻りますか?」
 連絡をするにもチャを一人にするのも問題だ。
「なら、私が手紙を届けましょう」
「だめですよ! 貴族の方にそんなこと……」
「何を言っているんですか! 君が戻るのがいいけれど、チャ君が見つかったとき知らない人ばかりになる。それなら、私がぱっと行って戻ってくるのがいいんです。ポチだって走るの好きなんですから」
 ポチとは表にいる立派な馬の名前らしい。
 コリンはジャイルズへの伝言をリシャールに頼み、ソサエティの事務所で待つことになった。

解説

 「下水道の調査ついでに猫探し」もしくは「猫探しのついでに下水道調査」
 なお、日が沈み始めています。

●下水の状態
 整備したりしているため、まあ普通の下水道。
 通路があるため水の中行かずともなんとかなります。通路を行くには身長160以上だとかがむ必要があります。
 何か所か部屋はあります、作業員の休憩室や資材置き場として。カギはありますが、コツを知っていると先の細いもので簡単に開けられます。

●噂
 巨大ネズミがいる!
 巨大蛇が出る!
 邪教「生水凧根(きすいだこね)」の隠れ家がある!
 強盗団が住んでいる?

●捜索される猫
 名前はチャ、本名はあるが言葉が伝わらず不明。茶トラ、青年前。
 特徴、後ろ足で立って移動する。
 一言でいえばユグディラ。

●PL情報
 油断さえしなければ解決しうる話ばかりです。
 敵勢力は全部で雑魔×1、動物×1匹、ごろつき×少し、ただの人間×少し……通りすがりのネズミ。
 噂自体ですが、巨大ネズミは町の中心部、蛇は南側の日当たりがいいあたり。邪教は北のほう、強盗団は西側で聞くことができます。

マスターより

 こんにちは、狐野径です。
 コリン少年はまじめでおとなしく、堅実タイプですので無理に探しに行くことはしません。ソサエティで待っています。
 さて、いろいろ混じっていますがどうにかなるでしょう! 邪教ってあるから怪しいって? いえいえ、半ばコメディです! ええ、コメディですよ!
 よろしくお願いします。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/06/20 05:58

参加者一覧

  • 支援巧者
    ロニ・カルディス(ka0551
    ドワーフ|20才|男性|聖導士
  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズール(ka0878
    人間(紅)|19才|男性|機導師
  • エルフ式療法士
    ソナ(ka1352
    エルフ|19才|女性|聖導士

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
  • 一肌脱ぐわんこ
    小宮・千秋(ka6272
    ドワーフ|6才|男性|格闘士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/06/11 20:41:47
アイコン 相談・お猫さま探し
ディーナ・フェルミ(ka5843
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2016/06/14 01:37:29