• 調査

自信の根拠

マスター:波瀬音音

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在4人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/06/21 12:00
リプレイ完成予定
2016/06/30 12:00

オープニング

 わたし、ハンターに向いていないんじゃないだろうか。



 とある森で、ハンターたちが雑魔と戦闘を繰り広げていた。
 そしてその様子を、森の外から見守る少女がいる。
(ううう……何でこんなことに……)
 響き渡る剣戟や魔法などの戦闘音、怒号を耳にする度、身の縮む思いがする。
 というのも、本来なら今のように森の中で戦闘をするはずもなく。
 その原因がまず間違いなく自分にあるのを、少女――ミレイユ・ブランヴィルも自覚しているからだ。

 彼女も猟撃士として、雑魔の討伐に参加していた。
 大型かつ肉食の鳥類が歪虚化した雑魔。空中から舞い降りてくる敵に対し、遠距離をメインに戦えるのは彼女一人だった。
 それでも、地上に叩き落とせば十分に勝機は見える筈、だったのだけれども。
 結論から言えば、猛烈な勢いで飛びかかってくる雑魔に対し、竦み上がってしまった彼女は何も出来なかった。
 雑魔に傷を与えることは他のハンターの身を削った努力で出来たものの、動きを抑えるのがままならなかった為、上空から近くの森に逃げ込まれてしまったのである。
 そこから先はハンターも雑魔も、深い森に視界と動きを制限された泥沼の戦いとなり。
 攻撃手段を弓と銃しか持たないミレイユには、まともに射線も通らない場所では役目はなかった。

 それでもなんとか戦闘に勝利し、ハンターたちは報酬を受け取る。
 彼女もまた、申し訳ない気持ちしかないながらもそんなハンターたちの一団の中に居た。
「……わたしの分は、皆さんで使ってください」
 一通りの手続きを終えた後、気持ちを体現する。
 ミレイユは俯きながら自らの手取りを同行したハンターたちの前に差し出した。
 他のハンターたちの反応はといえば、
「それなら遠慮無く」
「まぁ……あれだ、こういうこともあるから、あまり気にしないほうが」
 目に見えるものは様々だったけれども、彼女の言葉の真意に異を唱える者はいなかった。
 前者などは、「もうお前とは一緒に仕事したくない」などと言わんばかり。
 正直、直接言われないだけマシだった。

 一番何もしていない筈なのに疲れきり、宿に着くなり簡素なベッドにうつ伏せに突っ伏す。
 これまでにも依頼は何度か受けているけれども、本格的に戦闘をする必要があるものは今回が初めてだった。
 ハンターとしてやっていく自信が何となくつき始めたところの、この有様である。
 いや、不安は正直あったのだ。戦いの役に立てるのだろうか、と。
 でも実際はどうにかなると思っていた。
 過信だった。
 というか、そもそも自分が「持ち始めていた」ものが自信だったのかどうかさえ分からない。

 どうしよう……。
 これじゃ、到底ムリだ。
 彼女の脳裏に今もこびり付いているとある光景を、今一度鮮明に思い出した時――急に宿の外が騒がしくなった。
 間もなく彼女は、ここ最近空き巣にひったくりといった行為で宿のある界隈を騒がせている悪党がいるという話を耳にした。
 しかも身体能力は高いとのこと。
 ただ平穏の保たれている街中故に、歪虚である可能性は低い。
 となると――ハンターではない覚醒者か、と噂されている。
 大人しくさせる為(という名目の)ハンターズソサエティの支部に依頼も出ているらしい。
「倒すわけじゃない……これなら」
 少しでも、役に立てるのではないだろうか。
 流れかけた涙を拭うように瞼を擦ると、ミレイユは支部へと足を向け始める。
 支部への近道は、路地裏。
 善は急げとばかりに駆けていると、
「お、嬢ちゃん、急いでどうした」
 途中、横道から中年の男に声をかけられた。
 身なりからするとどう見ても浮浪者なのだけれども、急いでいるミレイユは気にも留めない。
 というか、顔見知りだ。
「後でまた戻ってくると思うから、その時に会えたら話すねー!」
 そのまま物凄い勢いで駆け抜けていくミレイユの後ろ姿を、
「なんだってんだ……」
 浮浪者は呆然とした表情で見送った。

 住民の少なくなっている路地裏の区割りは非常に複雑で、支部に限らず目的地のある方角へまっすぐ進むことなど出来はしない。
 ついでに言えば、先ほどの浮浪者以外にも通行を妨げる要因になるものは存在する。迷子とトラブルの多発地帯なのである。
 けれど、彼女は何の躊躇いもなく突っ切って行く。
 別に地図が頭の中に入っているわけではなく、感覚で進んでいるだけだ。
 それでも意図せず最短ルートを進んでいたり、トラブルの種を回避していたりすることに、彼女自身自覚はまるでなかった。

解説

覚醒者と思われる悪党を捕らえてください。

現場エリアは街の中でも郊外に位置しています。
狭い道の両脇にアパルトメントや小さな一軒家が立ち並んでいます。
ミレイユが滞在している宿もその一角にあります。
道は整備はされていますが、近隣住民が仕事に赴く朝と帰ってくる夕方を除くと人通りは少ない様子。
家屋と家屋の間には人ひとり~ふたり分くらいの幅の路地裏があります。
路地裏は入り組んだ迷路のようになっており、中には浮浪者がこぞって出没するポイントもあるとのこと。

ちなみに、ミレイユは以前この浮浪者たちに絡まれたことがあります。
絡まれたと言っても、当の本人的には「襲われた」という意識は全くないようですが。
その一件以後、浮浪者たちは「襲えない」対象としてミレイユを見ているようです。

本題の犯行は昼間に多め。
ひったくりの被害者からは、身体能力が非常に高くすぐに姿を見失ったとの証言があります。
同時多発的にひったくりと空き巣がほぼ同時刻に起こったこともある為、複数犯の可能性があります。

●NPC
ミレイユ・ブランヴィル
猟撃士の少女。レベルは3~4程度。このレベルで覚えられるスキルは大凡習得済み。
ハンターになったのには適性があった以外に何かしら目的がある模様。
コミュニケーション能力は高め。戦闘に入るとちょっとしたことで怯えがち。

マスターより

気がついたら半年程休眠していました。波瀬音音です。
また頑張ります。宜しくお願いします。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/08/08 17:58

参加者一覧

  • この手で救えるものの為に
    カッツ・ランツクネヒト(ka5177
    人間(紅)|17才|男性|疾影士
  • 兎は今日も首を狩る
    玉兎 小夜(ka6009
    人間(蒼)|17才|女性|舞刀士
  • ハナミズキの巫女アイドル
    天の原 九天(ka6357
    人間(紅)|20才|女性|機導師

  • ルーデンス・フクハラ・LC(ka6362
    人間(蒼)|37才|男性|符術師
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/06/20 23:53:36
アイコン 作戦相談卓
玉兎 小夜(ka6009
人間(リアルブルー)|17才|女性|舞刀士(ソードダンサー)
最終発言
2016/06/21 01:26:50