• 戦闘

ハッスルジジイは止まらない!

マスター:T谷

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2014/09/07 19:00
リプレイ完成予定
2014/09/16 19:00

オープニング

 油の臭い、鉄の臭い、そして長年勤め続けた男たちの汗の臭い――古錆びた工場の壁面には、歴史が染み込んでいた。
 木工を扱い家具を作っていた時代から、金属の加工へと手を広げ、やがて金属加工を専門に行うようになり、様々な動乱を細々と生き抜いてきた。代を重ね、地元に密着しながら生き残ることは、それほど難しくはなかった。時代の変遷についていく柔軟ささえあれば、の話だが。
「工場長。五本目、完成しました」
 そしてこの度、ことさらに柔軟な思考を持った工場長の手により、工場は大きな一歩を踏みだそうとしていた。
 工場に勤める地元の青年の手には、黒光りする金属の筒が握られている。それは無数の部品からなる、兵器――魔導銃だ。既存の魔導銃を小型化し、取り回しを良くした改造品であり、ともすれば、それは世界を救う糧ともなる。そう、青年は信じている。
「おう、やっと準備ができたか。手筈は整ってんな?」
 青年の声に応えるのは、齢六五を迎える壮年の男。短い白髪を後ろに流し、刻まれた深いシワの奥に異様に鋭い眼光を覗かせている。背は低く、痩身だが、長年現場で働き続けてきた威厳と風格を纏っている。
 男は慎重に、青年の手から銃を受け取った。慈しむように表面に手を這わせ、男は頷く。
「ふふ、こいつを帝国に売込みゃ……」
 独りごち、男は銃を机に置く。隣には、すでに作られていた四本の銃が並べられている。
 これは賭けだ。長く続く家業を、自分の代で大きく発展させる。そのための。
 なんとかノウハウを手に入れ、お高い素材を節約することで偶発的に小型化に成功し、量産するための工作機械を自作までして……長く時間をかけてきた。並んだ集大成を前に、男は目頭を熱くする。
「工場長……!」
 青年は、すでに涙を溢れさせている。
「ヘクター、よく俺に付いてきてくれたな」
 感慨深げに、男は青年の頭に手を乗せた。青年は僅かに驚く。男の顔がこれほどまでに優しく見えたのは、ここに務めた五年間で初めてだった。
 今まさに、ここには夢が満ちていた。
 輝く未来に向かう道が、二人には間違いなく見えていた。

 ――騒音と共に、小さな影が工場に飛び込んでくるまでは。


「誰か、誰か助けて!」
 声が響き、一人の青年が這々の体で村に駆け込んでくる。それは、この村に住む者なら誰でも知っている顔だった。
 村外れの小さな工場、そこに一人住む偏屈ジジイのところへと足繁く通う変わり者。
 普段ならば、誰も関わり合いになりたくない相手だった。だが、その青年の様子があまりに切羽詰まっていて、思わず住民は次々に家から顔を出す。
「工場が、ゴブリンの群れに襲われて……!」
 息も絶え絶え、青年はそう言い放った。それはもしかすると、たまたま村に滞在していたハンター達に訴えかけようとしていたのかもしれない。


 壮年の男、トリスタン・サイトウは今や、蛮族の棲家と化してしまった工場を遠巻きに眺めるしかなかった。持ち出せたのは、常に腰に携えていた愛用のレンチだけ。それを握りしめ、トリスタンは渋面で、窓越しに見え隠れするゴブリン共を睨みつけた。
「俺の、俺の工場を……!」
 その目は、怒りに燃えていた。先程は青年に連れられて逃げてしまったが、むざむざと我が家が奪われるのを見ていることしかできない彼ではない。
 レンチを振り上げ、近くの岩に叩きつける。ゴンと鈍い音がして、岩の表面は小さく砕けた。
 窓の向こうでは、ゴブリン達が我が工場に誇れる工作機を叩いたり蹴ったり、適当に操作盤を弄ったりと好き放題に暴れている。トリスタンの視線が、凶弾の如く奴らを貫く。
「いい、加減にっ――!」
 ふるふると、肩が震える。握りしめたレンチはミシミシと音を立てる。
 そして遂に、トリスタンは工場に向けて駆け出した。
「――しろやてめぇらぁっ!」
 寄る年波に体力は衰え、節々は痛み、最近は髪も薄くなってきた。
 だが、そんなことは関係ない。駆け出さずにはいられなかった。例えこの手に、レンチの一本しかなかったとしても。

解説

●概要
 工場を襲ったゴブリンの集団。これを排除し、工場を取り戻す。ハンターの到着を待たずに突っ込んでいってしまった工場長の身柄も確保して欲しい。

●場所
 それほど広くない、古ぼけた平屋建ての工場。室内には大型の工作機を中心に、小型の工作機や工具の置かれた棚などが並ぶ。奥の方には、事務作業を行う小部屋があるようです。

●敵
 複数のゴブリンと、それらに飼い慣らされたコボルドが十匹ほど。ゴブリンの中には、特に大きく太った個体も数体混じっているようです。特筆すべきは小さなゴブリンで、工場内に置かれていた試作品の銃を装備しています。どこかで人間が使っているのを見て覚えたのか、ゴブリン程度の頭脳でも、極基本的な動作を行うことはできるようです。ただし、銃の出来は無理な改造も相まってお世辞にも良いとは言えず、またゴブリン自体に射撃の能力があまり無いため、それほど脅威ではないかもしれません。しかしながら、工場内には機械が沢山並んでいます。無闇に発砲を許すと、外れた弾丸が工場内を破壊していき、大事故につながりかねません。
 銃を持ったゴブリンは調子に乗り、高所からハンター達を悠々と狙うでしょう。

●補足
 工場長は激高しており、年甲斐もなく突っ走ります。年の割には随分と動けますが、それでもおじいちゃん故に戦闘能力は高くありません。何とか宥め、労ってあげるといいかもしれません。

マスターより

どうも、過去に一年ほど工場でバイトしていた経験のあるT谷です。

帝国っぽく、工場や銃器など出してみたところこうなりました。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2014/09/13 23:43

参加者一覧


  • 杜郷零嗣(ka0003
    人間(蒼)|18才|男性|機導師

  • 来栖 龍馬(ka1890
    人間(蒼)|20才|男性|機導師
  • 白狼鬼
    ネイハム・乾風(ka2961
    人間(紅)|28才|男性|猟撃士

  • シャオ・クーデリカ(ka3009
    人間(紅)|14才|女性|霊闘士
  • テキパキ看護師さん
    シャル・ブルーメ(ka3017
    人間(蒼)|22才|女性|聖導士

  • 天音 恭一郎(ka3034
    人間(蒼)|28才|男性|聖導士

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 作戦卓
杜郷零嗣(ka0003
人間(リアルブルー)|18才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2014/09/07 18:48:21
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/09/05 18:39:57