ゲスト
(ka0000)
大きな少女のお引越しあるいはピクニック
マスター:春野紅葉

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~12人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/06/25 19:00
- リプレイ完成予定
- 2016/07/04 19:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
●安息の地は何処かに
こじんまりとした部屋の中で、ユリヤはぐっと身体を伸ばした。低い天井に手が届き、天井がみしっという音を立てた。赤毛の三つ編みを尻尾のように躍らせながら、窓辺に視線を向ける。日差しに照らされた丸々と太った鞄が窓への最短距離を塞いでいた。
「うーん……荷物はまとめ終えた……よね」
移動をあきらめて数歩後ろへ下がると、備え付けだったベッドに足が当たり、身体が倒れていく。それに抗うことなく、ベッドへと寝ころんだ。
聖堂士になって、リゼリオから帝都まではるばる渡ってきてから数ヶ月。旅路の同行者は10人ほどしかいない。ほとんどの者達が旅の途中に立ち寄った場所で新しい生活を始めるか、或いはそもそも一緒に来てくれなかった。
「帝都はみんなにとっては少しうるさすぎるみたいだし、次の所なら……きっと」
口に出しながら、数日前に貰って来たチラシに目を通す。住民募集中と書かれたそのちらしは、よくよく読むと、住居への入居者を募る物ではなく、一つの町へと移住する者を募集するチラシだった。
募集されている町は畜産と農耕を生業としているらしく、のんびりとした空気が流れる田舎町なのだという。それ故、若い者の流出が絶えず、過疎化が止まらないらしい。
「ここなら、村にいた頃と同じような生活も……」
口に出すと同時に、背中を寒気が駆け巡る。数ヶ月前までいた村の光景が、村の本当の姿が、昨日のことのように思い出されて、ユリヤは思わずチラシを捨てて身体をかきだいた。
「大丈夫、大丈夫。もう村長さんはいないし、私はもう、あんなことをしたくない。きっとみんなも、同じはず」
不安になる心を奮い立たせようと、頬を叩く。じぃんとする痛みを確かに感じながら、ユリヤはゆったりと身体を起こすと、その場で足を組んで目を閉じた。その状態でゆっくりと深呼吸をすると、頬の痛みが薄れて、やがて真っ暗の視界の中にぼんやりと自分の姿が浮かび上がってくる。
誰にも言えないことも、自分自身になら言える。そんな気がして、心の奥で、浮かび上がった自分に語りかける。それは聖堂士になってから、ずっと続けてきて、いつの間にか日常になっていた。
愚痴や不安、恐怖、今は無いけれど歓喜に喜楽。色々な事を語ると、時には何かしらの答えが返ってくるような気がした。
目を開けてもう一度深呼吸すると、気合を入れるために声を出して立ち上がり、そのまま今までいた部屋の扉を潜って歩き出す。
「お母さん」
ユリヤが両手を広げれば壁に手がついてしまうほど狭い廊下を、ぎぃと音を立てながら進み、母がいるであろう台所に顔を出してみる。
そこでは背が少し小さくなったようにも見える母が、昼食を作っているのが見えた。
「ユリヤちゃん……どうかしましたか?」
少し震えるような声で振り返る母の顔はやつれている。村を出てから、母はずっとこの調子だった。村での騒動が片付いた後、旅に出ようとしたユリヤと同行者に、母は着いて来てくれた。やつれ果てる母の様子を見れば、旅など止めておいた方が良いと説得しても、決して止めなかった。村から着いて来てくれている者達には悪いが、ユリヤ本人の目的は母がゆっくりと暮らせる場所を探すためでもある。
母がやつれている理由は分かっている。それはきっと、父のことだろう。しかし、それを口にする気にはなれなかった。口に出せばきっと母は今よりもやつれていく。
「私、ちょっとお買い物に行ってくるね」
半ば無理矢理、声を明るい調子にしてユリヤが言うと、母は少し怯えるようにして身体を震わせながら、絞り出すように声を出す。
無性に悲しくて、でもそれが表に出ないよう気を付けながら、ユリヤは逃げるように家を後にした。
●旅路は晴れやかに
ユリヤは家を出ると、じんわりと湿った空気の中を歩いて、ハンターオフィスへと足を運んだ。中に入るとすぐに顔なじみになりつつある受付嬢を見つけて声をかける。
「こんにちは。あの依頼ってもう出てますか?」
「あら。あれですか? ええ。出ていますよ。……もうすぐなのですね」
微笑む受付嬢に、ユリヤはほんのりと笑った。
「お世話になりました」
優しい受付嬢の微笑に、何度か心を救われた時もあった。ユリヤの言葉に、受付嬢は優しい笑みを返すだけだった。
もう一度お礼を言って、ユリヤはそのままオフィスを後にすると、今度は商店街で店舗を回っていく。全ての食材を集め終えた頃には、日が傾きかけていた。
「これぐらいでいいかな……」
鞄の中に入った肉や野菜の数々を見ながら、一言つぶやいて、空を見上げる。まだやや高めの空にある陽を見て、思わず目を眩ませた。目線をおろすと、伸びる影を踏むようにしながら、再び歩いて帰途につく。
●大きな少女の小さな集団
「本日は、よろしくお願いします!」
後ろにいる10人の自分と目的を同じくするかつての村民を代表して頭を下げる。各々の様子でそれを見ているハンターたちの反応を聞いて胸をなでおろし、ユリヤは軽く笑う。
同行者が10人、ユリヤを含めて11人の集団による旅立ちとあって、持ち出された二大付きの馬車の数は5個ほど。この馬車を再び借り受けるためにユリヤはここ二ヶ月、帝都で任務をこなしていた。
振り返りみると、自分のこれまでの働きが報われたように思えて、熱いものがこみ上げてきた。
向かう先までは舗装された道と平原が続く。必ずしも危険がないとは限らないとはいえ、おそらくは平和に済むであろう道のりだ。
「えっと……まず帝都を出て南にくだります。それで、ここの草原に出てから休んで村に行きます」
ユリヤは地図を広げると、事前に相談しておいた道順を確認するように言うと、ハンターの方を見てハンターの反応を確認した。
「それじゃあ、おねがいします」
ユリヤはそう言うと、ハンター達の各々の肯定の意思を見てから、後方に向けて指示を出した。
●安息の地は何処かに
こじんまりとした部屋の中で、ユリヤはぐっと身体を伸ばした。低い天井に手が届き、天井がみしっという音を立てた。赤毛の三つ編みを尻尾のように躍らせながら、窓辺に視線を向ける。日差しに照らされた丸々と太った鞄が窓への最短距離を塞いでいた。
「うーん……荷物はまとめ終えた……よね」
移動をあきらめて数歩後ろへ下がると、備え付けだったベッドに足が当たり、身体が倒れていく。それに抗うことなく、ベッドへと寝ころんだ。
聖堂士になって、リゼリオから帝都まではるばる渡ってきてから数ヶ月。旅路の同行者は10人ほどしかいない。ほとんどの者達が旅の途中に立ち寄った場所で新しい生活を始めるか、或いはそもそも一緒に来てくれなかった。
「帝都はみんなにとっては少しうるさすぎるみたいだし、次の所なら……きっと」
口に出しながら、数日前に貰って来たチラシに目を通す。住民募集中と書かれたそのちらしは、よくよく読むと、住居への入居者を募る物ではなく、一つの町へと移住する者を募集するチラシだった。
募集されている町は畜産と農耕を生業としているらしく、のんびりとした空気が流れる田舎町なのだという。それ故、若い者の流出が絶えず、過疎化が止まらないらしい。
「ここなら、村にいた頃と同じような生活も……」
口に出すと同時に、背中を寒気が駆け巡る。数ヶ月前までいた村の光景が、村の本当の姿が、昨日のことのように思い出されて、ユリヤは思わずチラシを捨てて身体をかきだいた。
「大丈夫、大丈夫。もう村長さんはいないし、私はもう、あんなことをしたくない。きっとみんなも、同じはず」
不安になる心を奮い立たせようと、頬を叩く。じぃんとする痛みを確かに感じながら、ユリヤはゆったりと身体を起こすと、その場で足を組んで目を閉じた。その状態でゆっくりと深呼吸をすると、頬の痛みが薄れて、やがて真っ暗の視界の中にぼんやりと自分の姿が浮かび上がってくる。
誰にも言えないことも、自分自身になら言える。そんな気がして、心の奥で、浮かび上がった自分に語りかける。それは聖堂士になってから、ずっと続けてきて、いつの間にか日常になっていた。
愚痴や不安、恐怖、今は無いけれど歓喜に喜楽。色々な事を語ると、時には何かしらの答えが返ってくるような気がした。
目を開けてもう一度深呼吸すると、気合を入れるために声を出して立ち上がり、そのまま今までいた部屋の扉を潜って歩き出す。
「お母さん」
ユリヤが両手を広げれば壁に手がついてしまうほど狭い廊下を、ぎぃと音を立てながら進み、母がいるであろう台所に顔を出してみる。
そこでは背が少し小さくなったようにも見える母が、昼食を作っているのが見えた。
「ユリヤちゃん……どうかしましたか?」
少し震えるような声で振り返る母の顔はやつれている。村を出てから、母はずっとこの調子だった。村での騒動が片付いた後、旅に出ようとしたユリヤと同行者に、母は着いて来てくれた。やつれ果てる母の様子を見れば、旅など止めておいた方が良いと説得しても、決して止めなかった。村から着いて来てくれている者達には悪いが、ユリヤ本人の目的は母がゆっくりと暮らせる場所を探すためでもある。
母がやつれている理由は分かっている。それはきっと、父のことだろう。しかし、それを口にする気にはなれなかった。口に出せばきっと母は今よりもやつれていく。
「私、ちょっとお買い物に行ってくるね」
半ば無理矢理、声を明るい調子にしてユリヤが言うと、母は少し怯えるようにして身体を震わせながら、絞り出すように声を出す。
無性に悲しくて、でもそれが表に出ないよう気を付けながら、ユリヤは逃げるように家を後にした。
●旅路は晴れやかに
ユリヤは家を出ると、じんわりと湿った空気の中を歩いて、ハンターオフィスへと足を運んだ。中に入るとすぐに顔なじみになりつつある受付嬢を見つけて声をかける。
「こんにちは。あの依頼ってもう出てますか?」
「あら。あれですか? ええ。出ていますよ。……もうすぐなのですね」
微笑む受付嬢に、ユリヤはほんのりと笑った。
「お世話になりました」
優しい受付嬢の微笑に、何度か心を救われた時もあった。ユリヤの言葉に、受付嬢は優しい笑みを返すだけだった。
もう一度お礼を言って、ユリヤはそのままオフィスを後にすると、今度は商店街で店舗を回っていく。全ての食材を集め終えた頃には、日が傾きかけていた。
「これぐらいでいいかな……」
鞄の中に入った肉や野菜の数々を見ながら、一言つぶやいて、空を見上げる。まだやや高めの空にある陽を見て、思わず目を眩ませた。目線をおろすと、伸びる影を踏むようにしながら、再び歩いて帰途につく。
●大きな少女の小さな集団
「本日は、よろしくお願いします!」
後ろにいる10人の自分と目的を同じくするかつての村民を代表して頭を下げる。各々の様子でそれを見ているハンターたちの反応を聞いて胸をなでおろし、ユリヤは軽く笑う。
同行者が10人、ユリヤを含めて11人の集団による旅立ちとあって、持ち出された二大付きの馬車の数は5個ほど。この馬車を再び借り受けるためにユリヤはここ二ヶ月、帝都で任務をこなしていた。
振り返りみると、自分のこれまでの働きが報われたように思えて、熱いものがこみ上げてきた。
向かう先までは舗装された道と平原が続く。必ずしも危険がないとは限らないとはいえ、おそらくは平和に済むであろう道のりだ。
「えっと……まず帝都を出て南にくだります。それで、ここの草原に出てから休んで村に行きます」
ユリヤは地図を広げると、事前に相談しておいた道順を確認するように言うと、ハンターの方を見てハンターの反応を確認した。
「それじゃあ、おねがいします」
ユリヤはそう言うと、ハンター達の各々の肯定の意思を見てから、後方に向けて指示を出した。
解説
今回の依頼は、ユリヤちゃんとその他村人の皆さんのお引越しの護衛をして頂きます。
リプレイでは三場面に分けて執筆いたします。団体さん、パートナーさんとご一緒する場合はタグ付けを忘れないようにお願いします
①出発からお昼休憩まで
お昼休憩の場所までの描写を行ないます。
皆さまで語り合うもよし、村人たちやユリヤと触れ合うもよしです。
②お昼休憩
天気のいい草原にてお昼ご飯を食べます。
お弁当などはご持参をお願いします。
③休憩終了から到着まで
到着後はすぐに帰ることも出いますし、町の中を見てもいいです。ご自由にどうぞ。
町のお土産、特産品は地元産のお野菜やお肉などです。
リプレイでは三場面に分けて執筆いたします。団体さん、パートナーさんとご一緒する場合はタグ付けを忘れないようにお願いします
①出発からお昼休憩まで
お昼休憩の場所までの描写を行ないます。
皆さまで語り合うもよし、村人たちやユリヤと触れ合うもよしです。
②お昼休憩
天気のいい草原にてお昼ご飯を食べます。
お弁当などはご持参をお願いします。
③休憩終了から到着まで
到着後はすぐに帰ることも出いますし、町の中を見てもいいです。ご自由にどうぞ。
町のお土産、特産品は地元産のお野菜やお肉などです。
マスターより
お久しぶりです、或いは初めまして。
春野紅葉です。
ユリヤさんとの再始動、或いは皆様のピクニック。
是非お楽しみください。
皆様のご参加とプレイングを心よりお待ちしております。
春野紅葉です。
ユリヤさんとの再始動、或いは皆様のピクニック。
是非お楽しみください。
皆様のご参加とプレイングを心よりお待ちしております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/07/01 18:07
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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ご相談 ヘルヴェル(ka4784) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2016/06/24 23:35:22 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/06/24 19:34:57 |