ゲスト
(ka0000)
夜襲 ~ガルカヌンク~ Side月影の旗
マスター:DoLLer

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 普通
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在25人 / 1~25人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/06/27 07:30
- リプレイ完成予定
- 2016/07/06 07:30
オープニング
●
「お久しぶりです、おじさま」
革命によって途絶えた帝国皇族の血を引くクリームヒルトは、書斎の主に対してそう挨拶を述べながら、ディアンドルの裾をつまみ、そして僅かに膝を落とした。そんな挨拶に書斎の主、フランツ・フォスターはしばしその穏やかな双眸を見開くばかりであった。
「クリームヒルト様……」
「いつぞやはお手紙ありがとう。おじさまの言葉でもう少し頑張ってみようと言う気になりました」
その言葉に何かしらの確信を得たのであろう。フランツ伯は眼鏡を胸のポケットにしまい目を細めながら、前に進み出て彼女を出迎えた。
「手紙ではこんなに成長し美しくなられているとは窺い知ることもできませんでしたな ……お父上もさぞお喜びでしょう」
「ありがとう。チェスをしながら父、先帝ブンドルフの話も聞かせてもらいたいところなんだけど、今日は急ぎなの。いいかしら?」
クリームヒルトの眼の鋭さにフランツ伯はおどけたような表情を見せた。
だけど、知っている。本当は自分が突如到来したことも薄々感づいている事を。
なんといっても彼は、旧帝国の情報戦の要。諜報機関最高責任者たる存在なのだから。
●
時は遡って。
一人の少女がクリームヒルトの居る屋敷に佇んでいた。
彼女はヴルツァライヒによって暗殺者として育てられた。名前はテミス。
心を閉ざした暗殺者。だが、ハンターによって心は解放され暗殺者でいられなくなった少女。
「もう大丈夫だからね。聖導士さんをお願いしておいているの。もう準備してもらっているから、しっかり治療するのよ」
「あの……」
「その姿で過ごされても困るもの。ちゃんと治した分だけの働きをしてくれるって信じているわ。ね?」
逡巡する包帯だらけの少女の肩を、クリームヒルトは軽く抱きしめて笑顔で階上へと送り出した。
傷だらけの少女が扉の向こうへと消えた後、クリームヒルトもまた笑顔が消えていた。
「暗殺者に仕立てるなんてこと、まだしているなんて思わなかった……ヴルツァライヒは本当にしつこいのね。アミィ?」
アミィ、と声をかけられた女は、その言葉に天を仰いだ。
「あのねー。あたしもヴルツァライヒだけどさ。全部知ってるワケないじゃん。メンバーが知ってるのは親方と呼ばれる上司と、徒弟と呼ばれる親方によって誘われたメンバーだけ。横のつながりもないんだってば」
アミィは分かりやすく、口をチャックする仕草をして笑った。
「そういうワケで何も知りませーん」
「別にそんな裏事情なんて知りたくもないわ。貴女に教えてほしいのは、過激派ヴルツァライヒを黙らせる方法よ」
「あらン。お姫様、ご立腹?」
アミィの口元が不敵に吊り上がる。クリームヒルトの憤慨をまるで楽しんでいるかのようだったが。
次の瞬間、脚が彼女の真横をかすめて壁を激しく打ち鳴らすと、さすがに笑顔が消えた。
「あれ……お姫様ってば愛とか平和好きじゃなかった?」
「もちろん好きよ?」
クリームヒルトの笑顔にアミィは沈黙すると、帝都バルトアンデルスで起こったとある騒動に目を光らせる人物の名を上げた。
それがフランツ・フォスターであった。
●
話を聞いたフランツ伯はしばらく報告書の束をめくり続ける中、クリームヒルトは言葉を重ねた。
「テミスの村は何者かによって村ごと壊滅……その後カール・ヴァイトマンという契約者の運営する施設で、テミスは暗殺者として育てられました。
カールはもうこの世にはいない。しかしテミスは暗殺者として送り込まれた。どこかに彼女を預かり、そして現政権派の富裕層に向けて差し向けた張本人がいるはずなんです。複数の暗殺者を隠匿して、必要な時に差し向けるというなら、それなりの場所と人間が必要だと思うの」
「……私の方でも、アダムという医師が歪虚と共に、人間を血のようなスライムへ変えるという胸の痛む事件が起きました。アダムは無事逮捕され、現在取り調べが始まりましたが……その彼が逃亡した際、逃亡先として選ばれた一つにガルガヌンクという場所があります。ズェーベン・ユーベルヴァルン州東端……シュレーベンラントのすぐ隣、という方が正しいですかな」
その言葉に、クリームヒルトは眉をひそめた。
「歴史書に乗ってた地名ね。錬金術が始まる前まで帝国のエネルギーを担った最初期の採掘場よね。でももう地図にすらない名前よ」
「……さすがですな。再利用している動きがあるのでしょう。複雑な坑道は何かを隠すには最適です。名義はファバルという人物が買い取っているようですが、実体は不確定です」
「町が再興されるって相当なことよ? 働く場所とか。道路とか。地方は今困窮して過疎化するばかりなのに……」
そこまでいってクリームヒルトは気づいた。
一般的な地方の町は維持できない。だが、一般的でなければ? フランツ伯はそれを町とは呼んでいない。
人が集まる。不自然に。
お金が集まる。ありえない速さで。
「丸ごとヴルツァライヒの拠点……なのね。ありがとう」
「お待ちください。アダムを操っていたとされる歪虚の行き先はまだ杳として知れません。もしかしたら、歪虚の襲撃に遭って万が一のことがあれば先帝に申し訳が……」
「心づかい感謝します。おじさま。でも非道は止めなきゃならないの。時には無茶してでも」
クリームヒルトの言葉に、フランツ伯は根負けしたのか、苦笑いを浮かべて「勝てませんなぁ」と呟いたのであった。
●
ガルガヌンクは山を抉って作られていた。数百年の昔のままで打ち捨てられた建物は遺跡と言っても過言ではない。
それを遺跡と呼べないのはところどころ今日日にある壁材で補修がなされ、そこここに明かりがちらちら見えるからだ。生活の息吹がする。
息づく建物は全てが中央の大きな建物、暗殺者などを飼う『市場』に囲うようにできていた。
「町の人間120人は下調べの結果、全員奴隷市場の関係者であることは判明しています。無理やり働かされていた事実はありません。この秘匿された地にいること自体が証左です」
月明かりの元、軍服姿のクリームヒルトはハンターの前でそう宣言した。
「あっちの道の封鎖は?」
自分たちが集まるのに使った道がある。こちらは自分たちが押さえればいいことだが、それ以外にも森に向かって踏み固められた道がちらりと見えてハンターが声を上げた。
「フランツ伯に協力いただき、封鎖をしていただいています。私達の目標は町の壊滅。および市場の主ファバルという人物を捕まえることです。住人ともども生死不問。例外は商品扱いされた人だけです」
町規模の土地と人間をまるまる制圧をかける。
それは大変苦労の伴うことは容易に想像できる話であった。
それでも。いつの間にか鼓動しはじめた帝国の病巣を取り除かなくてはならない。
「モンドシャッテの名にかけて。これ以上悲しい人間を増やさないために制圧しますっ!!」
「お久しぶりです、おじさま」
革命によって途絶えた帝国皇族の血を引くクリームヒルトは、書斎の主に対してそう挨拶を述べながら、ディアンドルの裾をつまみ、そして僅かに膝を落とした。そんな挨拶に書斎の主、フランツ・フォスターはしばしその穏やかな双眸を見開くばかりであった。
「クリームヒルト様……」
「いつぞやはお手紙ありがとう。おじさまの言葉でもう少し頑張ってみようと言う気になりました」
その言葉に何かしらの確信を得たのであろう。フランツ伯は眼鏡を胸のポケットにしまい目を細めながら、前に進み出て彼女を出迎えた。
「手紙ではこんなに成長し美しくなられているとは窺い知ることもできませんでしたな ……お父上もさぞお喜びでしょう」
「ありがとう。チェスをしながら父、先帝ブンドルフの話も聞かせてもらいたいところなんだけど、今日は急ぎなの。いいかしら?」
クリームヒルトの眼の鋭さにフランツ伯はおどけたような表情を見せた。
だけど、知っている。本当は自分が突如到来したことも薄々感づいている事を。
なんといっても彼は、旧帝国の情報戦の要。諜報機関最高責任者たる存在なのだから。
●
時は遡って。
一人の少女がクリームヒルトの居る屋敷に佇んでいた。
彼女はヴルツァライヒによって暗殺者として育てられた。名前はテミス。
心を閉ざした暗殺者。だが、ハンターによって心は解放され暗殺者でいられなくなった少女。
「もう大丈夫だからね。聖導士さんをお願いしておいているの。もう準備してもらっているから、しっかり治療するのよ」
「あの……」
「その姿で過ごされても困るもの。ちゃんと治した分だけの働きをしてくれるって信じているわ。ね?」
逡巡する包帯だらけの少女の肩を、クリームヒルトは軽く抱きしめて笑顔で階上へと送り出した。
傷だらけの少女が扉の向こうへと消えた後、クリームヒルトもまた笑顔が消えていた。
「暗殺者に仕立てるなんてこと、まだしているなんて思わなかった……ヴルツァライヒは本当にしつこいのね。アミィ?」
アミィ、と声をかけられた女は、その言葉に天を仰いだ。
「あのねー。あたしもヴルツァライヒだけどさ。全部知ってるワケないじゃん。メンバーが知ってるのは親方と呼ばれる上司と、徒弟と呼ばれる親方によって誘われたメンバーだけ。横のつながりもないんだってば」
アミィは分かりやすく、口をチャックする仕草をして笑った。
「そういうワケで何も知りませーん」
「別にそんな裏事情なんて知りたくもないわ。貴女に教えてほしいのは、過激派ヴルツァライヒを黙らせる方法よ」
「あらン。お姫様、ご立腹?」
アミィの口元が不敵に吊り上がる。クリームヒルトの憤慨をまるで楽しんでいるかのようだったが。
次の瞬間、脚が彼女の真横をかすめて壁を激しく打ち鳴らすと、さすがに笑顔が消えた。
「あれ……お姫様ってば愛とか平和好きじゃなかった?」
「もちろん好きよ?」
クリームヒルトの笑顔にアミィは沈黙すると、帝都バルトアンデルスで起こったとある騒動に目を光らせる人物の名を上げた。
それがフランツ・フォスターであった。
●
話を聞いたフランツ伯はしばらく報告書の束をめくり続ける中、クリームヒルトは言葉を重ねた。
「テミスの村は何者かによって村ごと壊滅……その後カール・ヴァイトマンという契約者の運営する施設で、テミスは暗殺者として育てられました。
カールはもうこの世にはいない。しかしテミスは暗殺者として送り込まれた。どこかに彼女を預かり、そして現政権派の富裕層に向けて差し向けた張本人がいるはずなんです。複数の暗殺者を隠匿して、必要な時に差し向けるというなら、それなりの場所と人間が必要だと思うの」
「……私の方でも、アダムという医師が歪虚と共に、人間を血のようなスライムへ変えるという胸の痛む事件が起きました。アダムは無事逮捕され、現在取り調べが始まりましたが……その彼が逃亡した際、逃亡先として選ばれた一つにガルガヌンクという場所があります。ズェーベン・ユーベルヴァルン州東端……シュレーベンラントのすぐ隣、という方が正しいですかな」
その言葉に、クリームヒルトは眉をひそめた。
「歴史書に乗ってた地名ね。錬金術が始まる前まで帝国のエネルギーを担った最初期の採掘場よね。でももう地図にすらない名前よ」
「……さすがですな。再利用している動きがあるのでしょう。複雑な坑道は何かを隠すには最適です。名義はファバルという人物が買い取っているようですが、実体は不確定です」
「町が再興されるって相当なことよ? 働く場所とか。道路とか。地方は今困窮して過疎化するばかりなのに……」
そこまでいってクリームヒルトは気づいた。
一般的な地方の町は維持できない。だが、一般的でなければ? フランツ伯はそれを町とは呼んでいない。
人が集まる。不自然に。
お金が集まる。ありえない速さで。
「丸ごとヴルツァライヒの拠点……なのね。ありがとう」
「お待ちください。アダムを操っていたとされる歪虚の行き先はまだ杳として知れません。もしかしたら、歪虚の襲撃に遭って万が一のことがあれば先帝に申し訳が……」
「心づかい感謝します。おじさま。でも非道は止めなきゃならないの。時には無茶してでも」
クリームヒルトの言葉に、フランツ伯は根負けしたのか、苦笑いを浮かべて「勝てませんなぁ」と呟いたのであった。
●
ガルガヌンクは山を抉って作られていた。数百年の昔のままで打ち捨てられた建物は遺跡と言っても過言ではない。
それを遺跡と呼べないのはところどころ今日日にある壁材で補修がなされ、そこここに明かりがちらちら見えるからだ。生活の息吹がする。
息づく建物は全てが中央の大きな建物、暗殺者などを飼う『市場』に囲うようにできていた。
「町の人間120人は下調べの結果、全員奴隷市場の関係者であることは判明しています。無理やり働かされていた事実はありません。この秘匿された地にいること自体が証左です」
月明かりの元、軍服姿のクリームヒルトはハンターの前でそう宣言した。
「あっちの道の封鎖は?」
自分たちが集まるのに使った道がある。こちらは自分たちが押さえればいいことだが、それ以外にも森に向かって踏み固められた道がちらりと見えてハンターが声を上げた。
「フランツ伯に協力いただき、封鎖をしていただいています。私達の目標は町の壊滅。および市場の主ファバルという人物を捕まえることです。住人ともども生死不問。例外は商品扱いされた人だけです」
町規模の土地と人間をまるまる制圧をかける。
それは大変苦労の伴うことは容易に想像できる話であった。
それでも。いつの間にか鼓動しはじめた帝国の病巣を取り除かなくてはならない。
「モンドシャッテの名にかけて。これ以上悲しい人間を増やさないために制圧しますっ!!」
解説
ゾンネンシュトラール帝国東南のズェーベン・ユーベルヴァルン州にヴルツァライヒによって作られた施設群があると確認されました。
これを急襲し、制圧します。
●舞台
ガルカヌンク
山を大きく削り、削った部分に石造りの建物が幾棟も建っています。
80棟ほどありますが、灯りのついているのは20棟ほど。
中央にとりわけ大きな建物、通称市場があり、残りはそれを取り囲むようになっています。
また200mもいかないうちに坑道への入り口とたどり着きます。
時間は午後10時頃とします。
●敵情報
ヴルツァライヒメンバー120名
ファバルという人物につながりのある奴隷売買関係者ばかりです。
覚醒者、一般人入り混じっています。建物に分散して潜伏しています。
今のところ、皆さんの襲撃に気付いているという情報はありません。
装備は銃が主です。
構成員は生死不問。ファバルについても同様。
ゾンビ
経過時間に応じて坑道から増援として出てきます。
20体ほど
●保護対象
暗殺者として育てられた人達。市場と呼ばれる建物のどこかにいると推測されます。
一般人ばかり10名ほど
武器などはもっていません。
極度の精神疲労を起こしており、冷静な判断ができない状態です。
場合によっては皆さんを攻撃してくる可能性があります。
●味方
クリームヒルト
一般人
基本、捕まえることになった構成員をトラックで回収する仕事、もしくはハンターに必要な物資の輸送に従事しています。
アミィ
覚醒者
クリームヒルトの仕事の手伝いをしています。
その他質問事項があればクリームヒルトまでどうぞ。
これを急襲し、制圧します。
●舞台
ガルカヌンク
山を大きく削り、削った部分に石造りの建物が幾棟も建っています。
80棟ほどありますが、灯りのついているのは20棟ほど。
中央にとりわけ大きな建物、通称市場があり、残りはそれを取り囲むようになっています。
また200mもいかないうちに坑道への入り口とたどり着きます。
時間は午後10時頃とします。
●敵情報
ヴルツァライヒメンバー120名
ファバルという人物につながりのある奴隷売買関係者ばかりです。
覚醒者、一般人入り混じっています。建物に分散して潜伏しています。
今のところ、皆さんの襲撃に気付いているという情報はありません。
装備は銃が主です。
構成員は生死不問。ファバルについても同様。
ゾンビ
経過時間に応じて坑道から増援として出てきます。
20体ほど
●保護対象
暗殺者として育てられた人達。市場と呼ばれる建物のどこかにいると推測されます。
一般人ばかり10名ほど
武器などはもっていません。
極度の精神疲労を起こしており、冷静な判断ができない状態です。
場合によっては皆さんを攻撃してくる可能性があります。
●味方
クリームヒルト
一般人
基本、捕まえることになった構成員をトラックで回収する仕事、もしくはハンターに必要な物資の輸送に従事しています。
アミィ
覚醒者
クリームヒルトの仕事の手伝いをしています。
その他質問事項があればクリームヒルトまでどうぞ。
マスターより
この度は葉槻MSと連動しての依頼となります。
イベントとショートなので、システム的には同時参加が可能ですが、出来ましたら避けて頂けますとあなたを横半分に分断せずに済みますのでご協力下さい。
テロリストの町ですので、銃弾とかで大歓迎の予定です。
非覚醒者や覚醒者入り混じっての戦いですので、重要なのは戦術と状況を見極める力。
皆様と協力して大暴れしてあげてください。
イベントとショートなので、システム的には同時参加が可能ですが、出来ましたら避けて頂けますとあなたを横半分に分断せずに済みますのでご協力下さい。
テロリストの町ですので、銃弾とかで大歓迎の予定です。
非覚醒者や覚醒者入り混じっての戦いですので、重要なのは戦術と状況を見極める力。
皆様と協力して大暴れしてあげてください。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/07/05 14:19
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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町制圧&奴隷救出作戦卓 神楽(ka2032) 人間(リアルブルー)|15才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2016/06/27 06:15:31 |
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教えてクリームヒルト様! 神楽(ka2032) 人間(リアルブルー)|15才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2016/06/26 21:00:53 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/06/26 19:37:27 |