• 詩天
  • 戦闘

【詩天】風の戯れ

マスター:鷹羽柊架

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/07/09 15:00
リプレイ完成予定
2016/07/18 15:00

オープニング

 東方のとある地方にある千早城。
 現在、楠木家は前当主の娘が長となり、城を治めている。
 度重なる歪虚との戦にて武家としてその力を衰退させているのが実情であるものの、若き当主は娘ながらに武器を持ち、兵を率いては雑魔討伐や他の家の兵との演習に積極的に参加していた。
 愛らしい姿と臣下、民を守ろうとする凛々しい武士の心構えに人望は厚い。

 私室にて香は手紙を読んでいると、楠木家の老臣である新田勝久が姿を現す。
「香様」
「爺、ご足労だった」
 読んでいた手紙を膝の上に置いた香は新田の顔を真っ直ぐ見て労わった。
「幕府より文が届いたと聞きました」
 新田の声に香は一度頷く。
「詩天へと向かうようにとあった」
「詩天ですと……!」
 声を荒げてしまう新田に香は傍らに置いてある手紙を手に取った。
「大川殿より打診をもらった件といい、物事がこうも重なるとはな」
 そっと呟く香の表情は曇っている。
 香の手の中にある手紙の差出人は詩天を統治する三条家が臣下、大川真次郎匡彦である。
 内容は兵の派遣だった。
 詩天の話は聞いており、応えたいと香は思っている。
 だが、この地もまた、歪虚の襲撃に遭っており、その傷跡は香が何故若くして城主となったのが分かりやすいだろう。
 簡単に兵を出せるかどうか判断がつかない、しかし、思いに応えたい。
「爺、詩天に行こうと思う」
 観光ついでの思いつきの様子などではない、真剣な顔で香は思いを口に出す。
「香様、なりません……今、あの土地は……」
「爺、分かっている。そこにもまた、力なき民がいるのだ」
「香様……!」
 新田が止めるのは香も理解していた。
「爺、私は千早城を……城下の民を守る者として、詩天の状況をこの目で見極めたい。行かせてほしい!」
 語気を強め、真摯な黒い瞳が新田を真っ直ぐ見つめる。
「お一人で行かせる訳には行きません」
「大仰な共をつけて行っては調査に差し支える」
 新田が妥協しようとすると、香は応じようとしない。
「一人の人間として、詩天を見極めたい。頼む」
 熱心な香の言葉に新田はため息をついて肩を落とした。


 手紙をもらってから数日後、香は一人で詩天の道を歩く。
 梅雨時期の東方は何かと雨が多いが、今日は久々の晴れの日であった。
 雨が降った後の晴れ間ゆえか、やたらと蒸し暑い。
 もう、視界には詩天の街が見えてきた。
 詩天の首都、若峰はにぎやかな街と香は眺めていた。
 自分がいる場所とは違うことを思うと、自然と香の足取りは軽い。浮ついた気分がないとは決していえないのだが、香は調査に乗り出す気満々である。
 しかし、結構な道を歩いて香は喉の渇きを覚える。
 どこか適当な店でお茶を頂こうと思った矢先だ。
 物がひっくり返るような音が響き、どよめきと共にその場にいた人々の視線を奪う。
「なにするんだ!」
 叫んだのは少年の声。
「人の通行の邪魔をするなよ」
 少年を小ばかにするように言ったのは浪人であり、同行していただろう数人の浪人達が転がっている少年に対して笑っていた。
「返せ! 大事な物なんだ……いてて……」
 威勢のいい少年の声に浪人達は「取り返してみろよ。へへ」と言って歩き去ってしまう。
 浪人達の姿が見えなくなった頃、人だかりを掻き分けた香が少年へと駆け寄る。
「大事無いか」
 香の気遣う声に少年は「平気……」と返す。
 店の軒先においてあった竹の長いすへ突き飛ばされて椅子がひっくり返ってしまったようだった。
「それよりも、旦那様より言いつかった物をとられてしまったんだ……」
 困ったようにしょんぼりとする少年に香は悲しそうに眉を下げてしまうと、意を決したように、少年へと向き直る。
「私が取り戻そう」
「え、お姉さんが?」
 きょとんとする少年に香は頷いた。
「お嬢さん、危ないよ!」
「そうだよ。可愛い顔に傷なんかついたら、親が悲しむよ」
 周囲の野次馬達が香を心配して声をかける。
「おい! 即疾隊だ!」
 一瞬にしてざわめく周囲は逃げるように道を空けていく。
 隊を名乗るわりには衣服はバラバラ。鉢金を巻いており、香はその紋に心当たりがあった。
 この地を統治せんとする三条家の紋。
 治安部隊なのだろうかと香は思案する。
 即疾隊の者達は香を見て何か言い合っているようであった。
「どうかしましたか」
 隊士が尋ねると、少年はびくっと、肩を竦めて怯えてしまう。
「この子が大事な使いの品を浪人に奪われたそうだ」
「お、お姉さん……っ」
 関わっちゃだめだと言いたげに子供は香の袖を引っ張るが、彼女はそのまま話を続ける。

「手伝おう」

 隊士の言葉に子供がきょとんとなる。
「頼む。少年、奴らの居所は分かるか?」
 香が言えば、少年は知っていると頷いた。
 丁稚少年の案内で浪人達の居所へ向かうと、小走りで走る男と鉢合わせた。
「即疾隊……?」
 端正な顔をした男は即疾隊を見て目を細めて睨む。
「風待の親分さん!」
 丁稚少年は顔をぱっと輝かせて、事情を話す。
「そいつはぁ、大変だなあ、お前さん方も手伝うってぇのか」
 風待の親分と呼ばれた男は目を丸くする。
「じゃぁ、共同戦線と行こうじゃねぇか!」
 親分の声に全員が頷いた。

解説

依頼内容
少年が取られたものを取り返すこと。


皆様は即疾隊の依頼を受け、即疾隊として行動しており、見回りをしてました。
街の人々へ対する行動如何では即疾隊の印象が上がったり下がったりします。

丁稚の少年が奪われたのは旦那様より預かった薬です。
痛みに効く薬のようで、お得意様へお届けする際に浪人に難癖つけられてしまったようです。

この浪人たち、旦那様の店に何かとけちをつけては商売の邪魔をするようであり、困っているようです。
番所にお願いして引っ立ててもらうようなことはなく、店の人達は頭を悩ませるばかりだと言う。

浪人達は町外れの一軒屋のあばら家でたむろして住んでいるようです。
乱暴者ばかりなので、人は近寄りません。
普段はごろごろしたり、どこかの用心棒をしてたりして日銭を稼いでは酒飲みに使っているようです。
人数は八人です。
二人ほど覚醒者です。
全員、刀を持ち、剣術を嗜んでます。

大怪我させない程度でお願いします。
最優先事項はお薬を取り戻すことです。

捕まえた浪人達は番所へ引き渡してください。

薬は若竹色の巾着に入ってます。

同行NPC
楠木香:くすのき・かおる。武家四十八家門の二十位に位置する。楠木家の姫。通称、香姫。
幕府や大川の打診があり、見極めの為に詩天へと向かう。
今回携えているのは刀です。
勝気で頑張り屋。今回の少年への理不尽に憤りを感じている模様です。

風待の親分:(かぜまちのおやぶん)。見た目は二十台半ばの男前です。小太刀を腰に差してます。

報酬について
今回の依頼に関して、交渉しても追加で報酬が増えることはありません。
少年がお小遣いをはたいて甘味屋で団子一本奢ってもらえるかどうかです。


PL様向け情報
今回のシナリオは歪虚との戦闘を御考慮願います。
風待の親分と香は覚醒者です。
今回はレベル制限なしとなっております。
レベル20以上のハンター様は初心者ハンター様へのご配慮、お願い申し上げます。

マスターより

お世話になっております。
鷹羽柊架(たかば・しゅうか)です。
今回は香姫が詩天へと参りました。
その際に遭遇したトラブルを解決するため、皆様のお力を頂戴したく思います。
何卒宜しくお願いします。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/07/14 06:19

参加者一覧

  • 大悪党
    神楽(ka2032
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • 銀紫の蜘蛛
    守原 由有(ka2577
    人間(蒼)|22才|女性|機導師
  • Ms.“Deadend”
    アメリア・フォーサイス(ka4111
    人間(蒼)|22才|女性|猟撃士
  • 九代目詩天の信拠
    三條 時澄(ka4759
    人間(紅)|28才|男性|舞刀士
  • 甘苦スレイヴ
    葛音 ステラ(ka5122
    人間(蒼)|19才|女性|舞刀士
  • 即疾隊一番隊士
    和音・空(ka6228
    人間(紅)|19才|女性|符術師
依頼相談掲示板
アイコン 不貞浪人捕縛作戦会議室
守原 由有(ka2577
人間(リアルブルー)|22才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2016/07/09 11:59:24
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/07/06 08:56:40