• 夜煌祭
  • 無し

【夜煌】合従連衡

マスター:近藤豊

シナリオ形態
ショート

関連ユニオン
ガーディナ

難易度
やや難しい
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
プレイング締切
2014/09/17 09:00
リプレイ完成予定
2014/09/26 09:00

オープニング

 辺境の部族は、皆苦境に立たされていた。
 北から侵攻する敵に対して部族会議を中心に一丸となって戦っている。しかし、戦士が倒れて小さな部族は歪虚へと飲み込まれていった。

 生き残る術があるとすれば、帝国へ帰順する事。
 帝国の庇護下に入れば、生き存える事ができる。

 だが――誇りある辺境の部族にとって、その選択肢を選ぶ事はできない。
 帝国の庇護下に入る事は『帝国の臣民』になる事を意味している。つまり、部族の伝統や文化を捨てて帝国の文化を受け入れなければならない。
 先祖が伝えてきた文化を自分の代で絶えさせても良いのか……。
 辺境の部族は、思い悩み続ける。

 部族の誇りを貫き戦士として倒れるか。
 それとも、部族を捨てて帝国へ帰順するか。
 辺境の部族は岐路へ立たされている。


 満天の星空が、辺境の空へ広がる。
 雪が地面を覆い隠し、白と黒だけの世界。
 ――オイマト族の族長バタルトゥ・オイマト(kz0023)は、その世界に居た。
 
「……星が動いたか」
 族長は、流れ星の一つを目にしてぽつりと呟く。
 ラッツィオ島に現れた狂気の存在は聞き及んでいた。
 辺境を侵攻する怠惰とは別の軍が動いている。今回は各国の協力で狂気の軍を撃退する事はできたが、もし辺境の南部に姿を現せば部族達は挟撃を受ける事になる。
 今回の一件は、辺境を襲う敵が一つではないと再認識させる結果となった。
「族長っ!」
 バタルトゥの姿を見つけた戦士が、雪を掻き分けながら走り寄る。
「なんだ?」
「巫女が夜煌祭への参加を打診してきました」
 大精霊に捧げる感謝と祈り、浄化と癒しの儀式――かつては、『禍をもたらせる悪魔』と考えられていた雑魔を払うのが『夜煌祭』と呼ばれる祭がある。
 身を清めた巫女が大精霊へ大地に生きるすべてのものの恵みを願い、マテリアルが満ち溢れるよう祈願するのが祭の始まりだと伝えられている。
 巫女は辺境の部族にとって聖なる存在。
 族長も、巫女が夜煌祭をなればそれを支えなければならない事を熟知していた。
「その話か。
 既に部族会議から連絡があった。辺境の部族として夜煌祭へ参加する旨は返答している。夜煌祭を平穏無事に終える事がすべての部族の願いだ。
 ……そんなに慌てる必要はないはずだが?」
「も、もう一つあるんです!」
 息を切らせる戦士。
 その様子を見た族長は、この辺境の地で何かが大きく動き始めた事を感じ取った。
「帝国の……要塞の管理者が、族長へ会いに来るそうです。
 なんでも、辺境の将来について話し合いたいって……」
「辺境の将来、か。帝国は何を考えている……」


 ――数刻前。
 帝国の要塞『ノアーラ・クンタウ』、要塞管理者執務室。
「夜煌祭……」
 要塞管理者のヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032)は、机の脇に置かれたチェスの駒を動かしながら呟いた。
「はい。巫女が主催する祭りで、辺境の部族は多くがこの祭り参加するそうです」
 辺境部族の動きを察知した部下が、ヴェルナーへ調査報告を行っている。
 当初部下は、最近になって活発な動きを見せ始めた部族達が反帝国活動が活発化したと懸念していたものの、実際には夜煌祭の準備を始めていたようだ。
「それで?」
「あ……いえ、それだけですが……」
 ヴェルナーの予想外な言葉に、気圧される部下。
 ヴェルナーは持っていた駒を盤に戻して視線を送る。
「おやおや。
 報告だけなら子供でもできます。中間報告としてもお粗末な内容ですねぇ。
 それで帝国を支える軍人が務まるとは、私には到底思えません」
 立ち上がったヴェルナーは、腕を腰に回してゆっくりと部下の方へ近づいてくる。
「大切なのはこの状況を如何に帝国の利益へ誘導するか、です。
 夜煌祭は、巫女の名の下に辺境中の部族が多く集まる重要なイベントです。このイベントに帝国が介入する事ができれば、帝国への恭順を考える部族が増えるかもしれません。
 一つ確認しますが、部族会議から夜煌祭への招待状は……」
「届いていません」
「でしょうね。そうだと思っていました」
 その言葉を口にした後、ヴェルナーは部屋の中を歩き回る。
 誇り高い辺境の戦士から見れば、帝国は歪虚と変わらない侵略者として見られている可能性がある。それはヴェルナーは辺境の部族へ帰順を促したが、多くの部族は拒否してきた事からも推測できる。
 このまま部族が滅ぶのを見守っていては辺境の戦線は厳しくなるばかりだ。
 何とかして辺境を戦力として帝国に取り込みたいところだが――。
 部屋の中は、ヴェルナーの靴音だけが鳴り響く。
「あ、あの。夜煌祭へ直接赴けば良いのではないでしょうか?
 何も辺境部族の許可を取る必要はありません。辺境でも中立の巫女が行う儀式ですから、遠慮する必要は……」
「黙っていて下さい。私は考え事をしています」
 自分の失点を必死で取り繕うとする部下を一喝したヴェルナー。
 そして、次に口を開いた時――ヴェルナーは突飛な発言をする。
「ハンターズソサエティへ依頼を出して下さい」
「は、はい」
「オイマト族は先日ハンターへ雑魔退治を依頼して能力を推し量ったと聞いています。
 つまり、オイマト族はハンターの力量をある程度認めている可能性があります。言い換えてみれば、オイマト族はハンターの言葉ならば耳を貸すかもしれません。
 そうですねぇ……辺境の将来について彼らに自由な発言を行ってもらいましょう。説得し易い空気を作っていただいた上で、オイマト族の説得を試みます」
 オイマト族は帝国側に対して穏健的な態度を取っている。
 しかし、まだ親帝国と評して良い程の関係ではない。オイマト族は帝国を意識しているが、まだ帰順しなければ滅亡するまでには至っていない。言ってみれば、お互いが干渉せずに様子見を行っていた状況だ。
 そこでオイマトが注目するハンターを連れて、対歪虚を念頭に置いた辺境の将来をハンターに論じてもらう。ハンターが意見を述べて議論する空気を醸成した後、ヴェルナーがオイマトへ懐柔を仕掛けつもりのようだ。
「うまくいくかは分かりませんが、やってみる価値はあります」
 ヴェルナーはポーンを握ると、一歩駒を進める。
 帝国にとってみれば英断とも言える行動だ。うまくいけば夜煌祭だけではなく、今後も良好の関係を構築できるかもしれない。
「なるほど。部族会議でも発言力の高いオイマト族であれば、帝国を招待してくれるかも、しれません。
 しかし、この事は部族会議のスコールの耳にも入ります。
 それだけではありません。もし、ハンターが反帝国の発言を繰り返せば……」
 失敗の可能性を口にする部下。
 それに対してヴェルナーは、部下を一瞥。
 大きくため息をついた後、はっきりとした口調で答えた。
「その時は、また別の方法を用います。
 少々強引ではありますが……」

解説

目的:ヴェルナーと共にオイマト族の集落へ赴き、辺境の在り方について意見を述べる。
場所:雪原の中に立てられたオイマト族の集落。族長のいる集落である為、規模は他の部族と比較して大きい部類です。オイマト族は帝国側に対して穏健的な態度を取っている為、攻撃される事はありません。

備考:
 ヴェルナーの目的は夜煌祭への招待打診ですが、帝国側とオイマト族が接近すれば今後とも良い関係を構築する事が可能でしょう。但し、部族会議で帝国側を危険視するスコール側との関係は悪化する可能性もあります。
 ハンターはこの説得に対してオブザーバーとしての役割になります。独自の意見(提案も可)をハンターが述べる事が可能です。その結果によってオイマトもしくは帝国側の心情に変化があるかもしれません(必ず変化がある訳ではありません)。
 なお、説得の結果は依頼の成否に反映しません。あくまでもハンターへの依頼は『対歪虚と辺境の将来を議論して、ヴェルナーが切り出しやすい空気を作る事』になります。


●NPC
 ヴェルナー・ブロスフェルト
 帝国軍第一師団所属の兵長。辺境管理者。
 同師団長オズワルドより任を賜り着任。最前線で歪虚の侵攻を食い止めるよう尽力している。部族側のからの評判は芳しくない。リアリストで時には冷徹な命令を下す事もあるという。

 バタルトゥ・オイマト
 辺境部族オイマト族の若き族長。
 先代族長が歪虚に倒されて以来、若くしてオイマト族を牽引している。部族が生き残る術を模索しているが、最近帝国との協調路線に活路を見出している。

マスターより

 近藤豊です。
 今回は説得がメインとなります。
 どのような議論が持ち込まれるのか。そして、提案が持ち込まれるのか。
 それによってNPC側の心情に変化があるかもしれません。
 それでは、牡蠣のバター焼きを肴にお待ちしています。

関連NPC

  • 辺境要塞管理者
    ヴェルナー・ブロスフェルト(kz0032
    人間(クリムゾンウェスト)|25才|男性|疾影士(ストライダー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2014/09/17 21:50

参加者一覧

  • 無明に咲きし熾火
    マッシュ・アクラシス(ka0771
    人間(紅)|26才|男性|闘狩人
  • 無口の傭兵
    ダラントスカスティーヤ(ka0928
    人間(紅)|30才|男性|闘狩人
  • 笑顔を咲かせて
    リケ・アルカトゥラ(ka1593
    エルフ|13才|女性|霊闘士
  • マテリアル調査員
    ノアール=プレアール(ka1623
    人間(紅)|23才|女性|機導師
  • 答の継承者
    オキクルミ(ka1947
    エルフ|16才|女性|霊闘士
  • 狂戦士
    バルバロス(ka2119
    ドワーフ|75才|男性|霊闘士

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 仮プレ置き場
ダラントスカスティーヤ(ka0928
人間(クリムゾンウェスト)|30才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
アイコン 相談というほどのものでもない
バルバロス(ka2119
ドワーフ|75才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2014/09/15 23:49:41
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/09/13 00:30:19