ゲスト
(ka0000)
【西参】消魂の肺腑 ~前編~
マスター:赤山優牙

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 普通
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在25人 / 1~25人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/07/15 07:30
- リプレイ完成予定
- 2016/07/29 07:30
オープニング
●王国歴1015年初夏
悲鳴と怒号が飛び交う混乱した小さい村。
歪虚王 九蛇頭尾大黒狐 獄炎とその配下が天ノ都を守る結界に至る前の事である。
「イチガイ兄貴!」
筋肉ムキムキで暑苦しい三兄弟が名前を呼び合った。
「ジロウ、サブロウ! 無事だったか!」
「あぁ、なんとか。それより、あれを!」
三兄弟が指さした方角に歪虚の一団が迫っていた。
その先頭に居るのは――。
「親方じゃねぇか!」
この三兄弟の主にして、ある武家の頭領は、堕落者と化していた。
意識があるのかないのか、怒り狂った表情でひたすらに自身の村を破壊している。
「まさか……親方ぁぁぁ!」
飛び出そうとした長兄を押さえる三男。
「だ、だめだ! イチガイ兄貴!」
「馬鹿言え! 今こそ、我らが頭領を解放するのが我ら兄弟が果たすべき役目だろ!」
「分かってる! 分かってるけど、この状況じゃ!」
万が一の事があれば、討って欲しいと頼まれていた三兄弟は主の願いを叶える事ができず、余儀なく撤退した――。
「それじゃ、親父、行ってくるぜ」
刀を差したのは一人の青年の侍。
中年のおっさんからは返事は無かった。
ただ、歪虚によって惨殺された妻と娘の思い出を握り締め放心状態だった。
「親父……」
ぐっと青年は拳を握った。
父親は周囲からゲンタと呼ばれていた。験担ぎの太郎からの異名だ。
だが、先日の歪虚の襲撃で験担ぎでは無くなった。放心状態の父親を息子の青年は見ていられなかった。
「母さん達の仇は必ず取る……例え、この命、投げ出す事になっても。だから、親父。親父は、いつまでも験を担いでくれ」
その声が届いているのかいないのか――やはり、返事はない。
一礼をすると長屋の戸を開けた。
北の空には、歪虚の巨大兵器ヨモツヘグリの姿が見えた。
「きっと、生きて帰れない。だとしても、だとしても!」
この青年は一兵士としてハンター達と供に、巨大兵器ヨモツヘグリへと乗り込む事になっている。
ハンター達が中枢を破壊するまで、彼らの退路を守る為に――。
一人の青年が龍尾城の廊下を歩いていた。
ヒソヒソとした会話と哀れみの視線を感じる。
「彼奴か……一族徒党、領民を置いて真っ先に逃げ出した武家の生き残りは」
「あぁ……なんでも、報告のため、難を逃れてたらしいぜ」
「いや、危険を察知して、真っ先に逃げ出したんだ」
心無い者達の言葉が突き刺さる。
分かっている。この国を守る為に、命を掛けて戦い、そして散っていった身内が彼らにも居る事を。
だからこそ、『逃げた卑怯者の生き残り』のレッテルを貼られても青年は反論せず、耐えていた。
「一応、歪虚に包囲される前に突撃したっていうのが表向きらしいがな」
「そんなもの、死んでしまえば、幾らでも言えるよな」
「声が大きい。聞こえているぞ」
会話が聞こえない振りをして青年は、軽く頭を下げながら、心無い者達とすれ違う。
十分に青年が立ち去ってから一人が言った。
「思い出した。彼奴の名前、確か、瞬といったか――」
●草原にて
機導術の光が雑魔を貫き、消滅させた。
「許さない……絶対にッ!」
紡伎 希(kz0174)だった。殺気に満ちた視線を次の標的に向けた。
だが、再び機導術が放たれる前に、その雑魔は槍と刀で貫かれ、消滅する。
「何度言えば分かる! 無駄に技を使うな!」
「そう、怒るな、瞬」
「正秋……お前は、ほんと、女には甘いよな」
その言葉で正秋と呼ばれた青年が顔を真っ赤にした。
「な、な、何を言っている!」
「この前も女のハンターらと一緒に探索に行っていたじゃないか」
女性の話になるとすぐに照れるのが正秋という男だ。
慌てて弁解する侍と、追い打ちを次から次へと掛ける侍を交互に見比べ、中年のおっさん――ゲンタ――が声を出して笑った。
「若さだな。嬢ちゃんは、そういうのは無いのかい?」
「ありません」
冷たい声で即答する希。
あまりの迫力にゲンタは思わず両肩を竦めた。これは、触れてはいけない話題なのだろう。
「陣地に戻りましょう。構築の進捗状況が気になります」
希の宣言に頷く一同。
災狐軍勢を迎え撃つための陣地を構築する一方、周囲の安全を確保する為に、雑魔を退治していたのだ。
●牡丹再び
「なんですか、これは!?」
希が、構築中の陣地に帰って来て声を上げた。
そこには惨状が広がっていたからだ。
「……ぐ、ぐぅ……生きてるか? ジロウ? サブロウ?」
「盾でなんとか支えてるよ、イチガイ兄さん……」
「イチガイ兄さん、こんな所で、まさか……」
筋肉が溢れているのではないかと思うほど、筋肉質の三兄弟が息も絶え絶えだった。
みれば、構築に必要な資材が崩れて、その下敷きになっているようだった。
彼らだけではなく、陣地のアチラコチラで資材がひっくり返っている。
「これは……一体、何が……」
呆然とする希の所へ、木材を肩に担いで牡丹が通りがかった。
「やぁ、ノゾミ。討伐はどうだった?」
「えぇ……そこそこ、周囲の安全は確保できてきた感じですが……ところで、牡丹様、これは一体、何があったのですか?」
周囲の惨状は酷いの一言だ。
まるで、戦闘でもあったのかと思うほどである。いや、既に攻め込まれたのかとも思う。
「あんまりにも暇だったから、資材の片付けを手伝っているんだよ」
嫌な予感がした。
凄く、嫌な予感がした。下駄の鼻緒が切れてしまいそうな位に。
牡丹が――何かを察知して振り返ると――
担いでいた棒が高速で振られ――
新しい荷崩れと犠牲者が出る――
まさに、この惨状を作り出しているのは、女将軍、鳴月 牡丹(kz0180)その人であった。
「あの、念の為、もう一度尋ねますが、牡丹様はなにを?」
「片付けだよ」
震えながら確認する希に、木材を担いだままブンブンと廻る牡丹は、ニッコリとした笑顔だった。
「そんな大きいものを振りながら、ナニを即答しているのですかぁ! 片付けすら出来ないのですか!」
ノゾミの叫びは、遠く、北の果てまで届きそうだった。
悲鳴と怒号が飛び交う混乱した小さい村。
歪虚王 九蛇頭尾大黒狐 獄炎とその配下が天ノ都を守る結界に至る前の事である。
「イチガイ兄貴!」
筋肉ムキムキで暑苦しい三兄弟が名前を呼び合った。
「ジロウ、サブロウ! 無事だったか!」
「あぁ、なんとか。それより、あれを!」
三兄弟が指さした方角に歪虚の一団が迫っていた。
その先頭に居るのは――。
「親方じゃねぇか!」
この三兄弟の主にして、ある武家の頭領は、堕落者と化していた。
意識があるのかないのか、怒り狂った表情でひたすらに自身の村を破壊している。
「まさか……親方ぁぁぁ!」
飛び出そうとした長兄を押さえる三男。
「だ、だめだ! イチガイ兄貴!」
「馬鹿言え! 今こそ、我らが頭領を解放するのが我ら兄弟が果たすべき役目だろ!」
「分かってる! 分かってるけど、この状況じゃ!」
万が一の事があれば、討って欲しいと頼まれていた三兄弟は主の願いを叶える事ができず、余儀なく撤退した――。
「それじゃ、親父、行ってくるぜ」
刀を差したのは一人の青年の侍。
中年のおっさんからは返事は無かった。
ただ、歪虚によって惨殺された妻と娘の思い出を握り締め放心状態だった。
「親父……」
ぐっと青年は拳を握った。
父親は周囲からゲンタと呼ばれていた。験担ぎの太郎からの異名だ。
だが、先日の歪虚の襲撃で験担ぎでは無くなった。放心状態の父親を息子の青年は見ていられなかった。
「母さん達の仇は必ず取る……例え、この命、投げ出す事になっても。だから、親父。親父は、いつまでも験を担いでくれ」
その声が届いているのかいないのか――やはり、返事はない。
一礼をすると長屋の戸を開けた。
北の空には、歪虚の巨大兵器ヨモツヘグリの姿が見えた。
「きっと、生きて帰れない。だとしても、だとしても!」
この青年は一兵士としてハンター達と供に、巨大兵器ヨモツヘグリへと乗り込む事になっている。
ハンター達が中枢を破壊するまで、彼らの退路を守る為に――。
一人の青年が龍尾城の廊下を歩いていた。
ヒソヒソとした会話と哀れみの視線を感じる。
「彼奴か……一族徒党、領民を置いて真っ先に逃げ出した武家の生き残りは」
「あぁ……なんでも、報告のため、難を逃れてたらしいぜ」
「いや、危険を察知して、真っ先に逃げ出したんだ」
心無い者達の言葉が突き刺さる。
分かっている。この国を守る為に、命を掛けて戦い、そして散っていった身内が彼らにも居る事を。
だからこそ、『逃げた卑怯者の生き残り』のレッテルを貼られても青年は反論せず、耐えていた。
「一応、歪虚に包囲される前に突撃したっていうのが表向きらしいがな」
「そんなもの、死んでしまえば、幾らでも言えるよな」
「声が大きい。聞こえているぞ」
会話が聞こえない振りをして青年は、軽く頭を下げながら、心無い者達とすれ違う。
十分に青年が立ち去ってから一人が言った。
「思い出した。彼奴の名前、確か、瞬といったか――」
●草原にて
機導術の光が雑魔を貫き、消滅させた。
「許さない……絶対にッ!」
紡伎 希(kz0174)だった。殺気に満ちた視線を次の標的に向けた。
だが、再び機導術が放たれる前に、その雑魔は槍と刀で貫かれ、消滅する。
「何度言えば分かる! 無駄に技を使うな!」
「そう、怒るな、瞬」
「正秋……お前は、ほんと、女には甘いよな」
その言葉で正秋と呼ばれた青年が顔を真っ赤にした。
「な、な、何を言っている!」
「この前も女のハンターらと一緒に探索に行っていたじゃないか」
女性の話になるとすぐに照れるのが正秋という男だ。
慌てて弁解する侍と、追い打ちを次から次へと掛ける侍を交互に見比べ、中年のおっさん――ゲンタ――が声を出して笑った。
「若さだな。嬢ちゃんは、そういうのは無いのかい?」
「ありません」
冷たい声で即答する希。
あまりの迫力にゲンタは思わず両肩を竦めた。これは、触れてはいけない話題なのだろう。
「陣地に戻りましょう。構築の進捗状況が気になります」
希の宣言に頷く一同。
災狐軍勢を迎え撃つための陣地を構築する一方、周囲の安全を確保する為に、雑魔を退治していたのだ。
●牡丹再び
「なんですか、これは!?」
希が、構築中の陣地に帰って来て声を上げた。
そこには惨状が広がっていたからだ。
「……ぐ、ぐぅ……生きてるか? ジロウ? サブロウ?」
「盾でなんとか支えてるよ、イチガイ兄さん……」
「イチガイ兄さん、こんな所で、まさか……」
筋肉が溢れているのではないかと思うほど、筋肉質の三兄弟が息も絶え絶えだった。
みれば、構築に必要な資材が崩れて、その下敷きになっているようだった。
彼らだけではなく、陣地のアチラコチラで資材がひっくり返っている。
「これは……一体、何が……」
呆然とする希の所へ、木材を肩に担いで牡丹が通りがかった。
「やぁ、ノゾミ。討伐はどうだった?」
「えぇ……そこそこ、周囲の安全は確保できてきた感じですが……ところで、牡丹様、これは一体、何があったのですか?」
周囲の惨状は酷いの一言だ。
まるで、戦闘でもあったのかと思うほどである。いや、既に攻め込まれたのかとも思う。
「あんまりにも暇だったから、資材の片付けを手伝っているんだよ」
嫌な予感がした。
凄く、嫌な予感がした。下駄の鼻緒が切れてしまいそうな位に。
牡丹が――何かを察知して振り返ると――
担いでいた棒が高速で振られ――
新しい荷崩れと犠牲者が出る――
まさに、この惨状を作り出しているのは、女将軍、鳴月 牡丹(kz0180)その人であった。
「あの、念の為、もう一度尋ねますが、牡丹様はなにを?」
「片付けだよ」
震えながら確認する希に、木材を担いだままブンブンと廻る牡丹は、ニッコリとした笑顔だった。
「そんな大きいものを振りながら、ナニを即答しているのですかぁ! 片付けすら出来ないのですか!」
ノゾミの叫びは、遠く、北の果てまで届きそうだった。
解説
●目的
陣地構築と資材の整理
周囲の安全確保の為の雑魔探索&退治
●内容
主に以下の二通りに分かれる
・陣地構築や資材の整理等を通じて征西部隊の隊員らと交流する
・陣地周辺の安全を確認する為、雑魔を探索して討伐する
二つとも選択した際には、どちらかで描写されると思って下さい
●陣地構築
前回『【西参】閉ざされた大地』の結果、牡丹は森の中の丘に陣地を構築する事を決めました
柵と木板を並べて陣を作るつもりですが詳細までは牡丹は関与しません
防御に適した工夫や形等、ハンター達からの提案は、物理的に不可能ではない限り、取り入れられます
憤怒の歪虚である災狐の軍勢を迎え撃つ予定の陣地となります
●探索&討伐
森の中に雑魔が居ないか探索し、見つけ次第、討伐します
発見できるかどうかは『直感』を基に各種修正を加えて判定します
発見できれば、駆け出しハンターと同等位の雑魔がD4体出現します
●NPC
紡伎 希(kz0174):買物前にはチラシを確認するタイプ。家事全般は得意。
鳴月 牡丹(kz0180):洗濯以外の家事全般は壊滅的。体力は底なし(かもしれない
上記2名は関連NPC欄を参照の事。質問卓にも顔を出します。
正秋:十鳥城の代官の息子
瞬:正秋と同世代の青年の侍
ゲンタ:中年のおっさん兵士
サブロウ、ジロウ、イチガイ:筋肉質な暑苦しい3兄弟
●描写について
プレイングでの指定などが無い限り、基本的には1シーンずつ区切って描写します
同行者がいる場合は、その方のIDと、【友人】【恋人】【恋人未満】など関係性を明記されていると大変助かります
例:【同行者】ヘクス・シャルシェレット(kz0015)【関係性】恋人未満
●その他
『前編』という事で、『中編』『後編』と続く予定です
なぜ、繋げたかと言うと、シナリオ結果が次回に大きな影響を与える為です
オープニングの『●王国歴1015年初夏』はPL情報です
陣地構築と資材の整理
周囲の安全確保の為の雑魔探索&退治
●内容
主に以下の二通りに分かれる
・陣地構築や資材の整理等を通じて征西部隊の隊員らと交流する
・陣地周辺の安全を確認する為、雑魔を探索して討伐する
二つとも選択した際には、どちらかで描写されると思って下さい
●陣地構築
前回『【西参】閉ざされた大地』の結果、牡丹は森の中の丘に陣地を構築する事を決めました
柵と木板を並べて陣を作るつもりですが詳細までは牡丹は関与しません
防御に適した工夫や形等、ハンター達からの提案は、物理的に不可能ではない限り、取り入れられます
憤怒の歪虚である災狐の軍勢を迎え撃つ予定の陣地となります
●探索&討伐
森の中に雑魔が居ないか探索し、見つけ次第、討伐します
発見できるかどうかは『直感』を基に各種修正を加えて判定します
発見できれば、駆け出しハンターと同等位の雑魔がD4体出現します
●NPC
紡伎 希(kz0174):買物前にはチラシを確認するタイプ。家事全般は得意。
鳴月 牡丹(kz0180):洗濯以外の家事全般は壊滅的。体力は底なし(かもしれない
上記2名は関連NPC欄を参照の事。質問卓にも顔を出します。
正秋:十鳥城の代官の息子
瞬:正秋と同世代の青年の侍
ゲンタ:中年のおっさん兵士
サブロウ、ジロウ、イチガイ:筋肉質な暑苦しい3兄弟
●描写について
プレイングでの指定などが無い限り、基本的には1シーンずつ区切って描写します
同行者がいる場合は、その方のIDと、【友人】【恋人】【恋人未満】など関係性を明記されていると大変助かります
例:【同行者】ヘクス・シャルシェレット(kz0015)【関係性】恋人未満
●その他
『前編』という事で、『中編』『後編』と続く予定です
なぜ、繋げたかと言うと、シナリオ結果が次回に大きな影響を与える為です
オープニングの『●王国歴1015年初夏』はPL情報です
マスターより
●挨拶
どうも、お世話になります。赤山です。
順調だと思われた征西部隊ですが、なんだか、雲行きが怪しいですね。
●攻略のヒント
構築された陣地は、次の『中編』で利用しますので、色々と手を打っていると、次が楽……かもしれません。
周囲の安全を確保するのも大事ですし、陣地をちゃんと作るのも大事だと思うのです。
どうも、お世話になります。赤山です。
順調だと思われた征西部隊ですが、なんだか、雲行きが怪しいですね。
●攻略のヒント
構築された陣地は、次の『中編』で利用しますので、色々と手を打っていると、次が楽……かもしれません。
周囲の安全を確保するのも大事ですし、陣地をちゃんと作るのも大事だと思うのです。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/07/20 22:14
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/07/14 10:46:35 |
|
![]() |
相談卓 門垣 源一郎(ka6320) 人間(リアルブルー)|30才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2016/07/15 00:27:55 |
|
![]() |
確認用に 龍崎・カズマ(ka0178) 人間(リアルブルー)|20才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2016/07/15 03:18:22 |