ゲスト
(ka0000)
【奏演】Preludio
マスター:風亜智疾

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,500
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/07/17 19:00
- リプレイ完成予定
- 2016/07/31 19:00
オープニング
――祈り給へ。崇め給へ。敬い給へ。我らが神を。
■
その村は、フマーレとジェオルジの中間点から少し北へ上った山間にあった。
名は知られておらず、60人程度の小規模な村であり、村人達は慎ましやかに自分達の食べるだけの食料と狩猟を行って生活していた。
――そう。その村は『あった』。村人は生活『していた』。
何処となく焦げ臭い香りと、低く響き渡る声。
農作物があったであろう畑には何一つ生えず、村人が生活していた家の影もない。
そんな村に唯一残されたレンガ造りの集会場には、今日も老若男女問わず人が集まっている。
集まった人々は、煤に汚れていたり泥に汚れていたり、或いは何処かどす黒い何かのシミが付いた服を着込み、一心不乱に祈り続ける。
――祈り給へ。崇め給へ。敬い給へ。我らが神を。
瞳に生気はなく、ただ浮かぶのは只管に救いを求める色のみ。
そんな人々の声を身に浴びつつ、建物の中から二つの影が現れた。
頭から被ったローブのおかげで、その表情を窺い知る事は出来ないが、唯一見える口元が、慈愛に満ちた微笑みを浮かべている。
「教祖様!」
「あぁ、我らが偉大なる教祖様!」
祈りの声が、歓喜の声へと変わっていく。
声に軽く手を挙げる事で答えた影のうちの一つ――教祖、と呼ばれた者は小さく息を吸い込んだ。
「神の子達よ、聴きなさい。貴方方の身に降りかかった罪悪は、貴方方の罪ではありません」
シン、と静まり返った人々に向かって告げられる言葉は、甘やかに人々へと沁み込んでいく。
「降りかかった罪悪は全て、今この時も世界中に生息するもの。救う力を神から与えられながら、貴方方を救えなかった者にあるのです」
奏でる様に語られる言葉に、人々は息を呑む。
「教祖様、その『者』とは一体誰なのですか……!」
声をあげたのは、体の至る所に傷を負い包帯を巻かれた男だ。
瞳に浮かぶのは溢れんばかりの憎悪。それもそのはず、男はつい1週間前に雑魔に襲われ、自分も傷を負いつつ最愛の妻と幼い子供を失った。
憎むべきが世界が『敵』と定める異物ではないと言われ、それでは誰を恨めばいいのかと憤っている。
男の元へと歩み寄った教祖は、そっとその肩に手を置いた。
浮かべる表情は、慈愛の微笑み。
「貴方方が憎むべき、罪悪の根本。貴方方を苦しめるその者は……」
――ハンター。
■
男の前に座った、やや幼い顔立ちの女性は困惑の表情を浮かべていた。
「私の絵本が……?」
「えぇ、そうです。今申し上げた襲撃事件全ての現場で、貴方の描かれた絵本の1ページが置かれているのです」
だからなのだろう。自分が今、ソサエティの一室に呼ばれ、事情を聴かれているのは。
「何か心当たりはありませんか?」
「心当たり、って……」
戸惑い言葉が出ない彼女へと、追い打ちをかける様に男は言い募っていく。
「偶然にしては出来すぎてるでしょう。何かあるんじゃないですか?」
「分かりません、そんな……だって、聞いたのだって初めてなのよ……」
腕を組み見下ろす男の前で、女性――ヴェロニカ・フェッロ(kz0147)は声を詰まらせ俯くのだった。
――同刻。同ソサエティ別室。
「呪われた村?」
灰色のロングマフラーに埋もれかけた口元が歪む。ディーノ・オルトリーニ(kz0148)は訝し気に目を細めた。
「あぁ、何の変哲もない村なんだが、常人には立ち入る事が出来ないらしい」
いやそうじゃない。言葉を改めた馴染みの受付担当の男性、バルトロ曰く。
そこは、特に何かある村ではない。名前を知る者すら少ない、小さな村だ。
そんな村に向かう人がいるのだという。
不思議に思って追いかける人間もいたのだが、その人間は全て雑魔の襲撃にあってしまうのだ。
「向かった人間も雑魔に襲われたんじゃないのか」
「いや、それはない。言い方は酷いが、死体は見つかっていない上に、戻っても来ていない」
おそらくそれが意味するのは、望んで村へ向かった人間は村へと辿り着けるにも拘わらず、それ以外の人間は雑魔に拒まれてしまうという事だ。
「なぁディーノ。そんな事があり得るか?」
「……俺の知る限りではないが」
「そうか……」
バルトロは首を振った後、そういえばと思い出した事柄を口にする。
「雑魔に襲われた人が倒れていた場所に、必ず落ちてるものがあるらしい」
「落ちているもの?」
首を捻っていたディーノだったが、次に告げられた言葉に勢いよく席を立つのだった。
「あぁ、絵本の1ページだ。確か……オオカミが主人公のやつ」
■
「一体どうしたんだディーノ」
受理された依頼書を手に困惑の表情を浮かべるバルトロへ、ディーノはいつになく鋭い表情を浮かべつつ告げる。
「使われた絵本に心当たりがある。調べたい」
「だとしてもお前一人では行かせられない。追いかけた人は必ず雑魔に襲われるんだ」
戦闘になると分かり切ってるのに、一人で行かせるわけにはいかないという判断だ。
「だから、調査と討伐依頼として受ける。頭数が揃い次第、任務についてくれ」
それが、ディーノとバルトロの妥協点だった。
■
その村は、フマーレとジェオルジの中間点から少し北へ上った山間にあった。
名は知られておらず、60人程度の小規模な村であり、村人達は慎ましやかに自分達の食べるだけの食料と狩猟を行って生活していた。
――そう。その村は『あった』。村人は生活『していた』。
何処となく焦げ臭い香りと、低く響き渡る声。
農作物があったであろう畑には何一つ生えず、村人が生活していた家の影もない。
そんな村に唯一残されたレンガ造りの集会場には、今日も老若男女問わず人が集まっている。
集まった人々は、煤に汚れていたり泥に汚れていたり、或いは何処かどす黒い何かのシミが付いた服を着込み、一心不乱に祈り続ける。
――祈り給へ。崇め給へ。敬い給へ。我らが神を。
瞳に生気はなく、ただ浮かぶのは只管に救いを求める色のみ。
そんな人々の声を身に浴びつつ、建物の中から二つの影が現れた。
頭から被ったローブのおかげで、その表情を窺い知る事は出来ないが、唯一見える口元が、慈愛に満ちた微笑みを浮かべている。
「教祖様!」
「あぁ、我らが偉大なる教祖様!」
祈りの声が、歓喜の声へと変わっていく。
声に軽く手を挙げる事で答えた影のうちの一つ――教祖、と呼ばれた者は小さく息を吸い込んだ。
「神の子達よ、聴きなさい。貴方方の身に降りかかった罪悪は、貴方方の罪ではありません」
シン、と静まり返った人々に向かって告げられる言葉は、甘やかに人々へと沁み込んでいく。
「降りかかった罪悪は全て、今この時も世界中に生息するもの。救う力を神から与えられながら、貴方方を救えなかった者にあるのです」
奏でる様に語られる言葉に、人々は息を呑む。
「教祖様、その『者』とは一体誰なのですか……!」
声をあげたのは、体の至る所に傷を負い包帯を巻かれた男だ。
瞳に浮かぶのは溢れんばかりの憎悪。それもそのはず、男はつい1週間前に雑魔に襲われ、自分も傷を負いつつ最愛の妻と幼い子供を失った。
憎むべきが世界が『敵』と定める異物ではないと言われ、それでは誰を恨めばいいのかと憤っている。
男の元へと歩み寄った教祖は、そっとその肩に手を置いた。
浮かべる表情は、慈愛の微笑み。
「貴方方が憎むべき、罪悪の根本。貴方方を苦しめるその者は……」
――ハンター。
■
男の前に座った、やや幼い顔立ちの女性は困惑の表情を浮かべていた。
「私の絵本が……?」
「えぇ、そうです。今申し上げた襲撃事件全ての現場で、貴方の描かれた絵本の1ページが置かれているのです」
だからなのだろう。自分が今、ソサエティの一室に呼ばれ、事情を聴かれているのは。
「何か心当たりはありませんか?」
「心当たり、って……」
戸惑い言葉が出ない彼女へと、追い打ちをかける様に男は言い募っていく。
「偶然にしては出来すぎてるでしょう。何かあるんじゃないですか?」
「分かりません、そんな……だって、聞いたのだって初めてなのよ……」
腕を組み見下ろす男の前で、女性――ヴェロニカ・フェッロ(kz0147)は声を詰まらせ俯くのだった。
――同刻。同ソサエティ別室。
「呪われた村?」
灰色のロングマフラーに埋もれかけた口元が歪む。ディーノ・オルトリーニ(kz0148)は訝し気に目を細めた。
「あぁ、何の変哲もない村なんだが、常人には立ち入る事が出来ないらしい」
いやそうじゃない。言葉を改めた馴染みの受付担当の男性、バルトロ曰く。
そこは、特に何かある村ではない。名前を知る者すら少ない、小さな村だ。
そんな村に向かう人がいるのだという。
不思議に思って追いかける人間もいたのだが、その人間は全て雑魔の襲撃にあってしまうのだ。
「向かった人間も雑魔に襲われたんじゃないのか」
「いや、それはない。言い方は酷いが、死体は見つかっていない上に、戻っても来ていない」
おそらくそれが意味するのは、望んで村へ向かった人間は村へと辿り着けるにも拘わらず、それ以外の人間は雑魔に拒まれてしまうという事だ。
「なぁディーノ。そんな事があり得るか?」
「……俺の知る限りではないが」
「そうか……」
バルトロは首を振った後、そういえばと思い出した事柄を口にする。
「雑魔に襲われた人が倒れていた場所に、必ず落ちてるものがあるらしい」
「落ちているもの?」
首を捻っていたディーノだったが、次に告げられた言葉に勢いよく席を立つのだった。
「あぁ、絵本の1ページだ。確か……オオカミが主人公のやつ」
■
「一体どうしたんだディーノ」
受理された依頼書を手に困惑の表情を浮かべるバルトロへ、ディーノはいつになく鋭い表情を浮かべつつ告げる。
「使われた絵本に心当たりがある。調べたい」
「だとしてもお前一人では行かせられない。追いかけた人は必ず雑魔に襲われるんだ」
戦闘になると分かり切ってるのに、一人で行かせるわけにはいかないという判断だ。
「だから、調査と討伐依頼として受ける。頭数が揃い次第、任務についてくれ」
それが、ディーノとバルトロの妥協点だった。
解説
【達成目標】
今回の達成目標は、向かった先に出現する敵を殲滅する事です。
現地まではNPCディーノが案内します。目的地までの行動記入は不要です。
スタートは目的地付近からとなるので、事前に目的地に仕掛けを行う事は出来ません。
【同行NPC】
・ディーノ・オルトリーニ
おっさん闘狩人。すばしっこいタイプで武器は両刃剣。
使用できるスキルは現在開示されている闘狩人スキルすべて。
今回は皆さんの援護を担当します。特別指示がなければ戦闘描写はありません。
【敵データ】
・ゴーレム「ロックパペット」(略:RP)…固い岩のようなもので出来ている体長2m弱のゴーレム。見た目通りの体力で、やや回避に難ありだが、それを補う防御力を備えている。
殴りつけ…拳で殴りつけてくる技
押さえこみ…全体重をかけて押しつぶしてくる技
ロックニードル…範囲攻撃。RP周囲5スクエアのランダムな個所に展開される地雷。該当スクエアに敵が侵入すると、足元から鋭い石の針が体目掛けて飛んでくる。回避判定でダメージ量が増減。
【PL情報】
殲滅が成功すれば、今回の手掛かりになりそうなものを拾う事があります。
拾ったものはディーノが責任を持って持ち帰ります(参加者が持ち帰ることはできません)
今回の成功如何で、次回以降の難易度や情報量が変わってきます。
また、OPにNPC『ヴェロニカ・フェッロ』が登場しましたが、相談卓及び今リプレイには登場しません。
今依頼の結果次第では、彼女も今後この事件に深くかかわってくることになるでしょう。
今回の達成目標は、向かった先に出現する敵を殲滅する事です。
現地まではNPCディーノが案内します。目的地までの行動記入は不要です。
スタートは目的地付近からとなるので、事前に目的地に仕掛けを行う事は出来ません。
【同行NPC】
・ディーノ・オルトリーニ
おっさん闘狩人。すばしっこいタイプで武器は両刃剣。
使用できるスキルは現在開示されている闘狩人スキルすべて。
今回は皆さんの援護を担当します。特別指示がなければ戦闘描写はありません。
【敵データ】
・ゴーレム「ロックパペット」(略:RP)…固い岩のようなもので出来ている体長2m弱のゴーレム。見た目通りの体力で、やや回避に難ありだが、それを補う防御力を備えている。
殴りつけ…拳で殴りつけてくる技
押さえこみ…全体重をかけて押しつぶしてくる技
ロックニードル…範囲攻撃。RP周囲5スクエアのランダムな個所に展開される地雷。該当スクエアに敵が侵入すると、足元から鋭い石の針が体目掛けて飛んでくる。回避判定でダメージ量が増減。
【PL情報】
殲滅が成功すれば、今回の手掛かりになりそうなものを拾う事があります。
拾ったものはディーノが責任を持って持ち帰ります(参加者が持ち帰ることはできません)
今回の成功如何で、次回以降の難易度や情報量が変わってきます。
また、OPにNPC『ヴェロニカ・フェッロ』が登場しましたが、相談卓及び今リプレイには登場しません。
今依頼の結果次第では、彼女も今後この事件に深くかかわってくることになるでしょう。
マスターより
新しい火種が生まれました。
不気味な影と、落とされた絵本。
ここから紡ぎ出される物語は、一体どんなものになるのでしょう。
どうぞ、お気をつけて。
不気味な影と、落とされた絵本。
ここから紡ぎ出される物語は、一体どんなものになるのでしょう。
どうぞ、お気をつけて。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/06/16 02:02
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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質問卓 ディーノ・オルトリーニ(kz0148) 人間(クリムゾンウェスト)|41才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2016/07/16 21:15:15 |
|
![]() |
相談卓 久延毘 大二郎(ka1771) 人間(リアルブルー)|22才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/07/17 18:50:54 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/07/13 21:50:38 |