• 戦闘

【王国始動】破壊の胎動

マスター:藤山なないろ

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
7日
プレイング締切
2014/06/18 15:00
リプレイ完成予定
2014/06/27 15:00

オープニング

●real time
 押し寄せるは圧倒的な白。土埃に汚れ、血の赤を孕んだ、混沌とした白。
 明白に“群れ”ではない。それは“大群”であった。
 歪虚の大群、その脅威たるや。ハンターらの背後の街を消し潰すに半刻も必要無いだろう。
「ハンター諸君、“我々”は何だ」
 言わずとも理解しているだろう。
 けれど、その青年……グラズヘイム王国最強を誇る騎士団の長エリオット・ヴァレンタイン(kz0025)は、こう言って剣を引き抜いた。
「我々は、歪虚(あれ)を狩る者──」

 ──そして、世界を守り継ぐ者だ。

◆go back&go back

 夜と朝の境界。薄闇の残照を陽の纏うコーラルが浸食し、形容しがたい神秘的な空が広がっている。まるで奇跡のように感ぜられる、美しく静かな王都の夜明け。それを見守る青年の心など知らずか、不似合いな叫びが未だ寝静まる城下に響いた。
「エリオット様!? 今日もこちらにいらしたのですか!」
 エリオット・ヴァレンタインは、日課と化したこのやりとりに、天を仰いで嘆息した。
「あれほどお休みくださいと申し上げたではないですか……!」
 クリムゾンウェスト最大の国グラズヘイムは、5年前の戦いで大きな傷を負った。
 強大に過ぎる歪虚の侵攻。数え切れないほどの騎士が犠牲となり、そして“自らの命と引き換えにしても守べき主君までもを失った”事実は、今なお騎士たち──特にエリオット自身──に重く圧し掛かっている。
 国を守るべき騎士は圧倒的に不足。国政もかろうじて一部の賢人が運用しているにすぎない。現在の王国は、そこに集う人材のスペックによって力技で無理やりまわしている状態だ。
 少数精鋭と言う言葉あるが、少数だからこそ、それぞれが精鋭にならざるを得ないだけだ。
 エリオットは、詰め寄る騎士を宥めるでもなく、言い分を受けとめては「そうだったな」と相槌を打つ。
「そんな貴方だから、皆もついていこうと思うのでしょうけれど……」
 大気に溶けるほど小さな呟き。それを覆い隠すように、騎士は敢えてこう言った。
「恐れながら……貴方様が休まれないと、下の者達が休みづらくなるのですよ」

 こうして、騎士団長の短い休暇が幕を開けた。

◆bad company

「どうせ暇してるか、持て余してるんだろう?」
 ちょっと付き合ってよ、エリーと。二、三言交わした後にそう言い放ったのは、港街ガンナ・エントラータの領主ヘクス・シャルシェレット(kz0015)。彼に対し、エリオットは文字通り閉口した。
「あれ、ひょっとしてエリー、僕のこと疑ってる?」
 どちらかと言えば「だから、その名で呼ぶな」だとか「そもそも持て余す暇なんぞない」などと言う類の怒りを覚えていただけだが……言われて、ふと気が付いた。このヘクスという男は、いつだってへらへらした体裁の裏に動機を隠し持っている。つまりどういうことかと言えば、エリオットはヘクスの言動に何らか意図があるのだろうと思い直すこととしたのだ。実際、ヘクスに巻き込まれると大抵ロクな目に合わないのだが。
 ヘクス自身疑われていると分かっているのか、反応を楽しむ様子で悪びれもせずに笑い、続ける。
「最近、ハンターが爆発的に増えただろう? エリーが伝承を信じててもそうじゃなくても、どっちでもいいんだけど……いずれ、賽は投げられる」
 サルヴァトーレ・ロッソの出現により、事態が大きく動くだろう。国の軍事を担うエリオットも、それが免れ得ないことだと感じている。
「歪虚に。滅びに、抗う……そう思うと、さ。少し感傷的になってね」
 エリオットは、時折思うのだ。ヘクスはずるい男だと。軽薄そうに見えるその奥で、彼の真摯な想いや愛国の意が見え隠れするから、だから……無碍にできない。
「だから、さ。西部の酒でも飲みにいかない?」
 苦笑して言うヘクスに、エリオットは暫し思案した。
 そして。
「……仕方ないな」
 そう、言った。

◆Kingdom's banquet

 王国西部――またの名をリベルタース地方と言う――は王国にとって王都に次いで重要な土地と言っても過言ではない。
 海洋に面するだけでなく河川に貫かれた土地は肥沃でもあり、交易の上でも農業の上でも便利が良い。
 しかしながら、この土地の価値であり、そして同時に問題でもあるのは『リベルタース地方が、イスルダ島に面する最前線である』点だ。
 王国の他の土地と比較しても、歪虚に連なる勢力の出現頻度は多い。騎士団が派遣されているとはいえ、危険な土地であることには代わりはないのだ。

「おい、ヘクス」
 ヘクスとエリオットが訪れたのは、リベルタース地方の中でも有数の都市として知られる、デュニクスの街。
 到着するや否や、エリオットは天を仰いで、言った。この日、二度目のことだ。
「騙したな」
「やだなぁ、人聞きの悪い。王女から御達しがあったでしょ? 彼らを歓迎して欲しい、って」
 ヘクスはヘラヘラと笑いながらそう言った。彼の視線の先には個性豊かな集団――ハンター達。
 ヘクスは彼らに向かって柔らかく手を降ると、声を張った。
「やぁ、ハンターの諸君! 待たせたね。僕はヘクス・シャルシェレット。こっちの仏頂面はエリオット・ヴァレンタイン……王国の騎士団長様であり、今回の宴のゲストだよ」
 無論、当の団長は何も聞いていない。

●and real time

 盛大な宴の翌日。日が上がり始めた頃合いに、ハンター達は宿場のホールに集められ、こんなことを聞かされた。
「やあ、ハンター諸君、そして我らが騎士団長様、お休みの所すまないね。だが、緊急事態なんだ」
 朝も早くから周辺警邏にあたろうとしていたエリオットは、ヘクスの言葉に眉を吊り上げる。
「どうやら雑魔の集団……いや、大群が、がこの街に向かっているらしい」
 ──“これ”が狙いか。
 エリオットは、盛大なため息を零す。
 「お休みください」と懇願した若い騎士たちの顔が脳裏にチラついたが、手は無意識に腰元の剣へと伸びた。

 肥沃な土地をある程度整備しただけだが、住民たちにとってはライフラインと言える街道だった。両脇を彩る街路樹も、なだらかに続く農地も、全てを無感情に蹂躙しながら進み来る“それ”らは、暴威そのものだ。
 恐らくは、生物の返り血を浴びたのだろう。多少の赤に飾られ、土埃に汚れる白毛を纏ったそれらは、元来“羊”と呼ばれていた生物だったと思われる。だがそれは、二足歩行。各々が凶器を持ち、群れを成してやってくる。その数、ヘクスが“集団”を“大群”と訂正したのも頷ける。
「ヘクス。この件、高くつくぞ……」
 あれを街へと入れてはならない。殲滅せねばならない。
 だがしかし、自分一人で殲滅させるには時間が足らず、駐在している騎士団員を呼ぶ間にあれらはここへ辿り着く──。
 その時、エリオットは気が付いた。自らの傍に、ハンターたちの存在があることを。

解説

※この依頼はムジカ・トラスSSDの依頼「【王国始動】揺籃の外郭」と連動しています。相互に状況を説明しているので、ご確認頂けると2倍楽しくなるかもしれません。
※「【王国始動】揺籃の外郭」へ本シナリオの結果が影響しますので、その点を念頭に置いて作戦相談を楽しんで頂けると幸いです。

●目的
敵の殲滅
手段は問いません
街に到達させず速やかに殲滅できたら成功
敵を街に踏み込ませるなど遅れをとれば普通判定
街の損壊状況や討ち漏らしが連動依頼へ行ってしまうなど状況に応じて失敗へ……

●敵
【白羊】
二足歩行する半人半羊型の雑魔。各々に武器を持ち、哀れっぽい声で鳴く。
数は大群
前の羊群に後ろの羊が隠れて正確な数が現時点では不明。
見える分で20体程度
また、羊1体は現時点の皆様にとっては鎧袖一触というわけにはいきません。
しかし『WTの戦闘において必要なのは、大事なのは、ステータス値だけではありません』。
【大成功を収める方法は必ずあります】

●地形その他
現場はなだらかな平地
障害物は無し
視界はひらけており、街道の向こうから大群がやってきていることを皆さまは認識しています
時刻は朝、この事態が残念なほどに快晴
陽が昇っており、光源は心配無用
街からどのくらい離れた場所で迎撃するか、などご相談頂いて構いませんが、街から離れられる距離は最長「50m」としてください

●デュニクスの街
高さ1mほどの風化した石の外壁に囲われた街
外壁は心許なく、羊はそれを容易に破壊して進むと思われる(足止めにならない)
清水と、大地の恵みを体現する農作物を活かした優れた銘酒で栄えた街であった。

●NPC
グラズヘイム王国騎士団団長エリオットが共に戦います
闘狩人
強さは規格外
武器は西洋剣

●ポイント
使えそうなものを有効活用してみましょう

他、ご不明な点は質問卓にてお問い合わせ下さい

マスターより

いきなり連動、いきなり高難度!
すべては、皆さまへのご挨拶代わりでございます。
さて、改めまして……

はじめましての方、お初にお目にかかります。
私なんぞのことを覚えていて下さった方、性懲りもなくすみません。

藤山なないろと申します。王国を愛する王国所属のMSです。
(戦闘力だけ)王国最強の公式NPC、王国騎士団長のエリオットをお預かりすることになりました。
皆さま、これからどうぞよろしくお願い申し上げます。

「あぁ、やっぱWTって面白いな!」
そんなWTの原点たる面白さを感じられるようなシナリオを、手掛けるMS陣がファナティックブラッドには沢山います。
ぜひ、この運営陣による新たなWTをご堪能頂けると幸いです。

関連NPC

  • 王国騎士団“黒の騎士長”
    エリオット・ヴァレンタイン(kz0025
    人間(クリムゾンウェスト)|29才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2014/06/25 04:33

参加者一覧

  • 古塔の守り手
    クリスティア・オルトワール(ka0131
    人間(紅)|22才|女性|魔術師
  • 甘香、誘う蝶
    イオ・アル・レサート(ka0392
    人間(紅)|19才|女性|魔術師
  • その名は
    エステル・L・V・W(ka0548
    人間(紅)|15才|女性|霊闘士

  • 佐藤 絢音(ka0552
    人間(蒼)|10才|女性|機導師

  • 安藤・レブナント・御治郎(ka0998
    人間(蒼)|28才|男性|機導師

  • 椿姫・T・ノーチェ(ka1225
    人間(蒼)|30才|女性|疾影士

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
佐藤 絢音(ka0552
人間(リアルブルー)|10才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2014/06/18 00:57:58
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/06/11 02:23:17