●襲い来る黒いオオカミ
　その一団は自由都市同盟から来た女性達だった。
　人数は４人。ほとんどが１０代後半から２０代前半の若い女性だ。
　彼女達は、グラズへイム王国を目指していた。国境を越え、王都イルダーナの聖堂教会へと巡礼を考えていたのだ。
　しかしながら、このご時世、夜盗を始め、雑魔、場合によっては歪虚による襲撃の話もある。彼女達は同性のハンターを２人雇い、女性だけの一団で馬車を走らせて旅をしていた。
　国をまたいでの旅など、ほとんどするものではない。ただ、敬虔なエクラ教教徒である彼女達は、身を固める前に一度、聖堂教会を訪れたいと考え、危険を承知で旅に出ていたのだ。
　それは楽しい旅だった。雇われのハンター達とは初対面ではあったが、年齢も近いこともあり、すぐに打ち解けた。女性ばかりで過ごす楽しい夜はなんとも面白い。
　しかし、数日が経った頃。
　国境を越え、リンダールの森へと入った頃、状況が一変する。
「皆さん、ちょっと面倒なことになりました」
　野営を行う一行。ハンターが雇い主の女性達へと話す。なんでも、この先の街道で黒いオオカミの集団が鎮座し、動く様子がないとのこと。
　追い払いたいところだが、ハンター２人ではさすがに返り討ちに合いそうだ。
　また、街道の迂回をするのなら、リンダールの森ごと迂回することとなる。さすがにそれは、女性巡礼者達のスケジュールが大幅に狂ってしまうので、それは避けたい。
「少し戻って、ハンターズソサエティに相談すべきと考えます」
　楽しい旅路は一変。雑魔の影響で、彼女達は立ち往生せざるを得ない状況となってしまうのだった……。

　ハンターズソサエティにこのオオカミの討伐依頼が出たのは、それからしばらくしてのこと。
　最近、王都の聖堂教会を訪れようとする巡礼者を狙い、オオカミが姿を現すという話もある。
　王都に詰めている聖堂戦士団の面々もその対応を行ってはいるのだが、現状、王都で事件を起こさぬよう、王都内の巡礼者の警護が手一杯。人不足も手伝い、王都外への団員派遣はままならぬ状況だ。それ以外はハンターに依頼を行って手数を埋めているという現状だ。
　このままハンターの援軍がやってこないと、女性ハンターが無謀にも特攻して命を散らしてしまう危険もある。そうなると、同行していた女性信者達は、巡礼を諦めてしまう可能性もある。
　長い目で見れば、王都に巡礼する人が減る一因ともなりかねない。聖堂教会としては憂慮する事態ではあるのだが……。
　ともあれ、オオカミを討伐してしまえば済む話。どうかよろしくお願いしますと、女性ハンターからの言伝。そして、とある聖堂戦士団の女性団員からも、「よろしくお願いします！」と力強い字で走り書きがされてあったのだった。

　リンダールの森の中、街道に鎮座する黒いオオカミの討伐を願います。

●敵
○オオカミ……大型５体。小型５体。
　その体躯は雑魔となったことでどす黒くなり、全長３メートルほどにまで大きく膨れ上がっております。
　噛みつき、前足の爪、体当たりで攻撃を行います。噛みつきには麻痺、爪には毒の効果があります。
　また、通常のオオカミと同じくらいの大きさの固体も出現します。大型のオオカミに従っているようです。攻撃方法は、噛み付きと体当たりのみ。噛み付きには麻痺の効果があります。
　大型が劣勢になると小型を呼ぶことがありますので、対策を練る必要があるでしょう。

●状況
　敵はリンダールの森内の街道に現れます。
　森の中に続く街道を封鎖するように、オオカミ達は居座っています。見通しはさほど良くはない森ですが、街道に鎮座する１０体のオオカミはある程度近づいたタイミングで分かるでしょう。
　なお、女性ハンター２人も参加します。闘狩人と 疾影士。レベルは1０相当。基本は各自で動きますが、戦闘の作戦などはある程度応じてくれます。
　また、女性巡礼者４人は討伐に同行しません。ハンターズソサエティのある森手前の集落で待機しています。

　事後、状況が許せば、森手前の集落で女性達と一夜を過ごすのもよいでしょう。
　依頼人の意向で余り大所帯になるのは好まないようなので、その後の同行に関してはやんわりと断られてしまうようです。

初めましての方も、
どこかでお会いしたことのある方もこんにちは。なちゅいです。
王都に向かう巡礼者の邪魔をする雑魔がいるようですので、
その討伐を願います。
今回もよろしくお願いいたします！