ゲスト
(ka0000)
噂の運び屋さん
マスター:真柄葉

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- サポート
- 現在0人 / 0~5人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/08/03 07:30
- リプレイ完成予定
- 2016/08/12 07:30
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
●豪奢な一室
煌びやかと表現するにはあまりにも悪趣味。
油増し増しのラーメンの如く、こってりと施された装飾の数々が部屋のくどさに拍車をかける。
部屋の奥では、世の中金が全てと本気で考えていそうな主が、革張りの高級チェアーを軋ませていた。
「ななな……なぁああああいっっっ!?」
そんな部屋に突然、甲高い悲鳴が響き渡る。
「若様、いかがなさいましたか!」
「うおぉぉぉっ!? ノックもせんと入ってくる奴があるかっ!!」
「申し訳ありません。若様の悲鳴が聞こえましたもので……つい」
「ついでは無いわ、ついでは! 何でもないから、さっさと出ていけっ!!」
「は、はぁ……」
心配して入ってきたのにこの扱いである。しかし、長年この家に仕える老執事は不機嫌などおくびにも出さず一礼すると、音も立てずに退室した。
――まずい、まずいまずいまずい!
若様と呼ばれた男は、落ち着きなく革張りチェアーを揺らす。
――あれがもし世に出回れば、僕の輝かしい評判が……!
若様と呼ばれた男は、いらいらと器用に両手の親指の爪を同時に噛む。
――いや、その程度では済まない。もしあれがこの世に出れば、このノアーラ・クンタウが崩壊するほどの激震に見舞われる……!
若様と呼ばれた男が、カッと目を見開いた。
「誰か! 誰かいないか!!」
若様はハンドベルと鳴らし、先ほど下がらせたばかりの老執事を呼ぶ。
「ここに」
すると今度はちゃんとノックした老執事が、音もなく部屋へと滑り込んだ。
「おい! あれだ! あれを何とかしろ!」
「はて……あれ、とは何の事でしょうか?」
「あの運び屋に持たせた荷物の事だっ!!」
「運び屋……ああ、ケン殿ですな。彼に任せたのであれば、荷物の心配は何もございませんが?」
「ちがーーーーーーう!!」
「むむむ……若様のお怒りの意味がいまいち掴めないのですが」
長年この家に仕えてきた老執事ではあるが、これほどまでに狼狽する若様を見るのは初めてであった。
「これだ、これっ!」
そんな困惑する老執事に、若様は一冊の本を突きつけた。
「これは……? やや、これは今朝ケン殿に預けた書物ではありませんか。なぜここに?」
「なんでわからない! 取り違えだ、取り違え!! まったく、なんという初歩的なミスだ! いったい何年我が家の執事をしているのだお前は!!」
「はい、今年で丸50年になります。いやはや、先代様と二人三脚で始めたジャガイモ売りに始まり――」
「そんなことを聞いているのではなああぁぁーーい!! もう耄碌したのか!!」
柔らかな態度をまるで崩さない老執事に業を煮やした若様が手にした本を投げつける。
――なんとしても、取り返さなければ。あれは……あれだけは世に出してはならない! ………………親父に怒られるし。
「はて……? 何か申されましたか?」
投げつけられた本を軽々とキャッチした老執事が問いかけた。
「なっ、なんでもない! ってか、お前の耳は老い知らずか!?」
「お褒めに預かり光栄です」
「褒めておらんわっ!!」
恭しく首を垂れる老執事に、若様は唾を飛ばす。
「とにかく、早々に取り返して来い!!」
「ふむ……しかし、あのケン殿から荷物を取り返すと……ふむ……これは困りましたな」
命令はしたからさっさと行って来いと無言で訴えるように、高級チェアーをくるりと半回転させ背を向けた若様にむけ、老執事は深くため息をついた。
●商業区
市の賑わいはそのまま街の活気に比例する。
威勢のいい客引きの声がそこかしこから上がり、買い手である待ち人や観光客が人の波を作る。
西方東方辺境、果てはリアルブルーの品まで、ありとあらゆる品物が通りを行くそれらの人の目を楽しませていた。
そんな大いに賑わう通りを行く人々から頭一つ二つとびぬけた大男が一人。
着る物は旅に汚れ、それだけで重さ大人数人分はありそうな巨大な背嚢を背負い、通りを歩いていた。
「おや、ケンさん今日もせいが出るね!」
張り上げすぎて声の潰れた八百屋の親父に、目礼一つ。
「今日はどこまでお届けだい?」
恰幅の良すぎる魚屋の女将に、目礼一つ。
「あ、ケンさん! 今度飲みに来てよね!」
開店準備真っ最中の看板娘が向ける朗らかな営業スマイルに、目礼一つ。
馴染みの顔に目礼を返しつつ、ケンは商業区に溢れる怒涛の人波を、誰ともぶつかることなく最小限の動きで回避し続けていた。
やがてケンは一件の露店の前で立ち止まる。
「お、ケンさん。相変わらず時間ぴったりだね」
迎えたのは古物商を営む親父だ。
「今日はこれを図書館まで頼みたいんだ」
親父は早速と店の一番奥に積んでいた古めかしい燭台を持ってきた。
「少し重いが……って、ケンさんには愚問だったか」
ちょっとした子供の背丈ほどもある重厚な燭台を、ケンはフォークでも持つように軽々と手に取る。
「それにしても毎日毎日仕事ばっかりで大変じゃないのかい? たまにはゆっくり休んだらどうなんだい? もういい年なんだしさぁ」
受け取った燭台を巨大なリュックサックに詰めるケンに対し、古物商の親父は膝の上で大欠伸をする飼い猫の背を撫で、呆れるように呟いた。
「……自分、不器用ですから」
そんなお節介にケンは露天商の手元からはっと顔を上げ、今日初めての声を発したのだった。
●豪奢な一室
煌びやかと表現するにはあまりにも悪趣味。
油増し増しのラーメンの如く、こってりと施された装飾の数々が部屋のくどさに拍車をかける。
部屋の奥では、世の中金が全てと本気で考えていそうな主が、革張りの高級チェアーを軋ませていた。
「ななな……なぁああああいっっっ!?」
そんな部屋に突然、甲高い悲鳴が響き渡る。
「若様、いかがなさいましたか!」
「うおぉぉぉっ!? ノックもせんと入ってくる奴があるかっ!!」
「申し訳ありません。若様の悲鳴が聞こえましたもので……つい」
「ついでは無いわ、ついでは! 何でもないから、さっさと出ていけっ!!」
「は、はぁ……」
心配して入ってきたのにこの扱いである。しかし、長年この家に仕える老執事は不機嫌などおくびにも出さず一礼すると、音も立てずに退室した。
――まずい、まずいまずいまずい!
若様と呼ばれた男は、落ち着きなく革張りチェアーを揺らす。
――あれがもし世に出回れば、僕の輝かしい評判が……!
若様と呼ばれた男は、いらいらと器用に両手の親指の爪を同時に噛む。
――いや、その程度では済まない。もしあれがこの世に出れば、このノアーラ・クンタウが崩壊するほどの激震に見舞われる……!
若様と呼ばれた男が、カッと目を見開いた。
「誰か! 誰かいないか!!」
若様はハンドベルと鳴らし、先ほど下がらせたばかりの老執事を呼ぶ。
「ここに」
すると今度はちゃんとノックした老執事が、音もなく部屋へと滑り込んだ。
「おい! あれだ! あれを何とかしろ!」
「はて……あれ、とは何の事でしょうか?」
「あの運び屋に持たせた荷物の事だっ!!」
「運び屋……ああ、ケン殿ですな。彼に任せたのであれば、荷物の心配は何もございませんが?」
「ちがーーーーーーう!!」
「むむむ……若様のお怒りの意味がいまいち掴めないのですが」
長年この家に仕えてきた老執事ではあるが、これほどまでに狼狽する若様を見るのは初めてであった。
「これだ、これっ!」
そんな困惑する老執事に、若様は一冊の本を突きつけた。
「これは……? やや、これは今朝ケン殿に預けた書物ではありませんか。なぜここに?」
「なんでわからない! 取り違えだ、取り違え!! まったく、なんという初歩的なミスだ! いったい何年我が家の執事をしているのだお前は!!」
「はい、今年で丸50年になります。いやはや、先代様と二人三脚で始めたジャガイモ売りに始まり――」
「そんなことを聞いているのではなああぁぁーーい!! もう耄碌したのか!!」
柔らかな態度をまるで崩さない老執事に業を煮やした若様が手にした本を投げつける。
――なんとしても、取り返さなければ。あれは……あれだけは世に出してはならない! ………………親父に怒られるし。
「はて……? 何か申されましたか?」
投げつけられた本を軽々とキャッチした老執事が問いかけた。
「なっ、なんでもない! ってか、お前の耳は老い知らずか!?」
「お褒めに預かり光栄です」
「褒めておらんわっ!!」
恭しく首を垂れる老執事に、若様は唾を飛ばす。
「とにかく、早々に取り返して来い!!」
「ふむ……しかし、あのケン殿から荷物を取り返すと……ふむ……これは困りましたな」
命令はしたからさっさと行って来いと無言で訴えるように、高級チェアーをくるりと半回転させ背を向けた若様にむけ、老執事は深くため息をついた。
●商業区
市の賑わいはそのまま街の活気に比例する。
威勢のいい客引きの声がそこかしこから上がり、買い手である待ち人や観光客が人の波を作る。
西方東方辺境、果てはリアルブルーの品まで、ありとあらゆる品物が通りを行くそれらの人の目を楽しませていた。
そんな大いに賑わう通りを行く人々から頭一つ二つとびぬけた大男が一人。
着る物は旅に汚れ、それだけで重さ大人数人分はありそうな巨大な背嚢を背負い、通りを歩いていた。
「おや、ケンさん今日もせいが出るね!」
張り上げすぎて声の潰れた八百屋の親父に、目礼一つ。
「今日はどこまでお届けだい?」
恰幅の良すぎる魚屋の女将に、目礼一つ。
「あ、ケンさん! 今度飲みに来てよね!」
開店準備真っ最中の看板娘が向ける朗らかな営業スマイルに、目礼一つ。
馴染みの顔に目礼を返しつつ、ケンは商業区に溢れる怒涛の人波を、誰ともぶつかることなく最小限の動きで回避し続けていた。
やがてケンは一件の露店の前で立ち止まる。
「お、ケンさん。相変わらず時間ぴったりだね」
迎えたのは古物商を営む親父だ。
「今日はこれを図書館まで頼みたいんだ」
親父は早速と店の一番奥に積んでいた古めかしい燭台を持ってきた。
「少し重いが……って、ケンさんには愚問だったか」
ちょっとした子供の背丈ほどもある重厚な燭台を、ケンはフォークでも持つように軽々と手に取る。
「それにしても毎日毎日仕事ばっかりで大変じゃないのかい? たまにはゆっくり休んだらどうなんだい? もういい年なんだしさぁ」
受け取った燭台を巨大なリュックサックに詰めるケンに対し、古物商の親父は膝の上で大欠伸をする飼い猫の背を撫で、呆れるように呟いた。
「……自分、不器用ですから」
そんなお節介にケンは露天商の手元からはっと顔を上げ、今日初めての声を発したのだった。
解説
●目的
噂の運び屋『ケン』から、ある書物を取り戻す事です。
●舞台:城塞都市ノアーラ・クンタウ
貴族街:
スタート地点。
商業区:
様々な店が出てる街でも屈指の賑わいスポット。とても人がいっぱい。
ケンさんにはここから接触可能です。
広場:
噴水がシンボルの広場。家族連れやカップルなどリア充さん達の憩いの場。
図書館:
ケンさんが請け負った別の荷物の届け先。
下町:
出稼ぎに来ている人達が住まう区域。増築に次ぐ増築で道が迷路のようになっています。
新聞社:
ケンさんの目的地。ここに到達されると依頼失敗です。
●人物
ケン:
リュック一つで絆創膏からCAM(入れば)まで、何でも運ぶ凄腕の運び屋さん。
質実剛健をまんま体現したような人物で、非常に寡黙でくそ真面目です。
齢60を数える老骨ですが、2mに迫るその体躯は強靭そのもの。下級歪虚なんか屁のツッパリにもなりません。
上級歪虚をソロで討伐した凄腕ハンターだったとか、万の軍勢を率いた王国の元将軍であったとか、帝国を裏で牛耳る闇社会のボスであったとか、その噂は様々に囁かれています。
運び屋としての仕事は実に堅実で、こんなご時世だというのにほぼ100%の確率で目的地に荷物を届けます。
若様:
老舗商会の若旦那(38歳:独身)。やり手の親父さんのすねを齧りまくる成金七光りニートさん。
ノアーラ・クンタウ崩壊の引き金を引く可能性を秘めているかもしれないと勝手に思ってるものを、うっかりケンさんに渡してしまった。
名前はまだない。
●補足
・若様は極度のぽっちゃり体形&出不精な為、自分で荷物を取りに行けません。
・信頼第一のケンさんは、一度預かった荷物は例え誰であろうと、どんな事情があろうと返品しません。
・取り返してほしい書物とまったく同じ表装の物を用意してあります。一見しただけでは判別がつきません。
・なお、相談期間はありますが、至急の依頼という体ですので、あまり凝った用意や仕掛けは出来ません。
噂の運び屋『ケン』から、ある書物を取り戻す事です。
●舞台:城塞都市ノアーラ・クンタウ
貴族街:
スタート地点。
商業区:
様々な店が出てる街でも屈指の賑わいスポット。とても人がいっぱい。
ケンさんにはここから接触可能です。
広場:
噴水がシンボルの広場。家族連れやカップルなどリア充さん達の憩いの場。
図書館:
ケンさんが請け負った別の荷物の届け先。
下町:
出稼ぎに来ている人達が住まう区域。増築に次ぐ増築で道が迷路のようになっています。
新聞社:
ケンさんの目的地。ここに到達されると依頼失敗です。
●人物
ケン:
リュック一つで絆創膏からCAM(入れば)まで、何でも運ぶ凄腕の運び屋さん。
質実剛健をまんま体現したような人物で、非常に寡黙でくそ真面目です。
齢60を数える老骨ですが、2mに迫るその体躯は強靭そのもの。下級歪虚なんか屁のツッパリにもなりません。
上級歪虚をソロで討伐した凄腕ハンターだったとか、万の軍勢を率いた王国の元将軍であったとか、帝国を裏で牛耳る闇社会のボスであったとか、その噂は様々に囁かれています。
運び屋としての仕事は実に堅実で、こんなご時世だというのにほぼ100%の確率で目的地に荷物を届けます。
若様:
老舗商会の若旦那(38歳:独身)。やり手の親父さんのすねを齧りまくる成金七光りニートさん。
ノアーラ・クンタウ崩壊の引き金を引く可能性を秘めているかもしれないと勝手に思ってるものを、うっかりケンさんに渡してしまった。
名前はまだない。
●補足
・若様は極度のぽっちゃり体形&出不精な為、自分で荷物を取りに行けません。
・信頼第一のケンさんは、一度預かった荷物は例え誰であろうと、どんな事情があろうと返品しません。
・取り返してほしい書物とまったく同じ表装の物を用意してあります。一見しただけでは判別がつきません。
・なお、相談期間はありますが、至急の依頼という体ですので、あまり凝った用意や仕掛けは出来ません。
マスターより
お世話になっております。真柄 葉(まがら よう)と申します。
今回お届けするシナリオは、辺境で活躍する運び屋さんとのお話。
何か面白そうな依頼を出したいなぁと、お家でぼーっと郵便局のCMを見てたら、いつの間にかこんなシナリオが出来上がってました。実に不思議です。
なお、真面目なプレイングをいただいてもきっとコメディになります。なので、諦めて面白おかしく仕立ててやってください。
では、今回のシナリオもよろしくお願いいたします。
今回お届けするシナリオは、辺境で活躍する運び屋さんとのお話。
何か面白そうな依頼を出したいなぁと、お家でぼーっと郵便局のCMを見てたら、いつの間にかこんなシナリオが出来上がってました。実に不思議です。
なお、真面目なプレイングをいただいてもきっとコメディになります。なので、諦めて面白おかしく仕立ててやってください。
では、今回のシナリオもよろしくお願いいたします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/08/09 20:54
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓、です メトロノーム・ソングライト(ka1267) エルフ|14才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/08/03 01:05:11 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/07/30 00:57:38 |