ゲスト
(ka0000)
路地裏工房コンフォートと薬屋
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/08/08 09:00
- リプレイ完成予定
- 2016/08/17 09:00
オープニング
●
極彩色の街ヴァリオス、華やかな街の裏通り、閑散とした物寂しい一角に小さな宝飾工房があった。
一度は閉店した、工房に連なる店舗の大きな窓を1人の少女が磨いていた。
店の中のショーケースには数点のアクセサリーとルースが展示されており、中には古い値札の付いた物もある。
朝の早い時間にはまだ来客は無く、少女は鼻歌交じりに掃除の手を淀みなく進めていく。
「よっし、今日も良い天気!」
夏の朝日を見上げて笑う。
その背に負われた小さな弟もふにゃふにゃと笑って手を揺らした。
少女は裏口から工房へ、キッチンを抜けて主寝室に。
この工房の持ち主たる老人はベッドに腰掛けて咳き込んでいた。
「おはよう、エーレンフリートさん。薬、ちゃんと飲んで下さいね。あたし見張ってますから」
トレイに乗せた小皿に錠剤と薬包紙に包まれた粉薬、グラスに一杯の水を差し出す。
エーレンフリートと呼ばれた老人は窶れた皺の多い顔を顰めるが錠剤を嚥下し、粉薬を眺める。
「苦いんだがな、これは」
「咳止めの薬です、ちゃんと飲んで下さいって、先生も言ってましたよ。飲まないとピノに移って大変なんですよー」
「ピノ君はまだ小さいから……ああ、また連れて入ってきたのか。この部屋に入れてはいけないよ。移っては大変だろう」
1人で待たせておく方が危ないです。少女は笑って弟のピノをあやして背を揺らす。
「そうそう、今日は午前中に薬屋に行きますから、お客さんが来たら聞いておいて下さいね」
「――ああ、分かった。……モニカは大分変わったな。向こうで、頑張ってきたようだね」
空になったグラスを手許で弄りながらエーレンフリートは目を細める。
「本当ですか!」
「ああ、この老いぼれを顎で使えるようになった」
皮肉めいたことを言いながら、エーレンフリートの眼差しは穏やかに優しい。
少女、モニカはピノを振り返る。
ピノはきゃあきゃあと笑っていた。
●
涼しい内に薬屋へ向かうが、着く頃には日がすっかり昇っていた。
帰りは暑いだろうなと外を眺めながら、調剤を待つ。
カウンターの量りに薬包紙を乗せ、褪せたラベルを貼った遮光瓶から一匙ずつ、天秤が釣り合うまで量り取り、分銅を1つ置き換えて、別の瓶から更に一匙。
五角形に折られた白い包みが1週間分並ぶと、マスクを外した薬屋の娘がモニカを呼んだ。
「お待たせしました。いつものですね……お祖父さん早く元気になると良いですね」
紙袋に収めた薬を差し出して娘が言うと、モニカはそれを受け取りながら溜息を吐く。
本当に、と手の中でかさりと紙の擦れる音が鳴った。
「そうそう、明日から暫く休みなんです。それが切れるまでには戻って来るけど……」
「何かあったんですか?」
「仕入れに。ちょっと、ジェオルジまで――あ。モニカちゃんも、ジェオルジの子だっけ?」
「え?」
モニカはぱちくりと瞬いて娘を見た。
娘は首を傾げながらまじまじとモニカを見詰め返す。
「あれ、違ったかな……この前来た時、向こうから着いたばかりって、言ってなかった?」
「ああ! フマーレですよ。長ーい街道を越えてきました。ハンターさん達にお世話になりっぱなしで……雨は降るし、ゴブリンは沸くし」
着いたばかりなのに、お祖父ちゃんの薬は無くなってるし。
そう言うと、そうだったと笑いながら娘が頷く。
「――ゴブリンが出るのか……ちょっと怖いな。……でも、そっかー、モニカちゃんはフマーレの子かー」
「はい! フマーレにはお姉さんがいます!」
良い返事、と娘が褒める。
「ハンターさんって、急な依頼でも平気なのかな?」
「大丈夫だと思いますよ、私もお姉さんもお世話になってるし、お姉さんなんて困ってる人にはしょっちゅう勧めてましたもん」
●
ハンターオフィスの前で、薬屋の娘はうろうろと歩き回る。
時にドアをノックしようと手を伸ばしながら、どうにもその勇気が出ない。
だって仕入れに行くだけだし、街道は一本道だし、1人で行く人なんて沢山いるし。
モニカちゃんみたいに小さい子を連れているわけでも、荷物を抱えて行くわけでも無い。
「……うーん、やっぱり……でも……うーん……」
でも、ゴブリンが出たら怖いし、ジェオルジは山の方だから、動物が出てくるかも。
どうしよう、と離れては戻ってきてと繰り返していると、その様子に気付いた受付嬢がドアを細く開いて声を掛けた。
引き摺り込まれてお茶を一杯。
ハンターさん、怖くないですから。優しくて強くて、すごいんですと、説得されて。
「…………じゃあ、えっと、お願い出来ますか?……明日、出発なんですけど……」
娘の言葉に、「急募」と赤字で添えた依頼が掲示された。
極彩色の街ヴァリオス、華やかな街の裏通り、閑散とした物寂しい一角に小さな宝飾工房があった。
一度は閉店した、工房に連なる店舗の大きな窓を1人の少女が磨いていた。
店の中のショーケースには数点のアクセサリーとルースが展示されており、中には古い値札の付いた物もある。
朝の早い時間にはまだ来客は無く、少女は鼻歌交じりに掃除の手を淀みなく進めていく。
「よっし、今日も良い天気!」
夏の朝日を見上げて笑う。
その背に負われた小さな弟もふにゃふにゃと笑って手を揺らした。
少女は裏口から工房へ、キッチンを抜けて主寝室に。
この工房の持ち主たる老人はベッドに腰掛けて咳き込んでいた。
「おはよう、エーレンフリートさん。薬、ちゃんと飲んで下さいね。あたし見張ってますから」
トレイに乗せた小皿に錠剤と薬包紙に包まれた粉薬、グラスに一杯の水を差し出す。
エーレンフリートと呼ばれた老人は窶れた皺の多い顔を顰めるが錠剤を嚥下し、粉薬を眺める。
「苦いんだがな、これは」
「咳止めの薬です、ちゃんと飲んで下さいって、先生も言ってましたよ。飲まないとピノに移って大変なんですよー」
「ピノ君はまだ小さいから……ああ、また連れて入ってきたのか。この部屋に入れてはいけないよ。移っては大変だろう」
1人で待たせておく方が危ないです。少女は笑って弟のピノをあやして背を揺らす。
「そうそう、今日は午前中に薬屋に行きますから、お客さんが来たら聞いておいて下さいね」
「――ああ、分かった。……モニカは大分変わったな。向こうで、頑張ってきたようだね」
空になったグラスを手許で弄りながらエーレンフリートは目を細める。
「本当ですか!」
「ああ、この老いぼれを顎で使えるようになった」
皮肉めいたことを言いながら、エーレンフリートの眼差しは穏やかに優しい。
少女、モニカはピノを振り返る。
ピノはきゃあきゃあと笑っていた。
●
涼しい内に薬屋へ向かうが、着く頃には日がすっかり昇っていた。
帰りは暑いだろうなと外を眺めながら、調剤を待つ。
カウンターの量りに薬包紙を乗せ、褪せたラベルを貼った遮光瓶から一匙ずつ、天秤が釣り合うまで量り取り、分銅を1つ置き換えて、別の瓶から更に一匙。
五角形に折られた白い包みが1週間分並ぶと、マスクを外した薬屋の娘がモニカを呼んだ。
「お待たせしました。いつものですね……お祖父さん早く元気になると良いですね」
紙袋に収めた薬を差し出して娘が言うと、モニカはそれを受け取りながら溜息を吐く。
本当に、と手の中でかさりと紙の擦れる音が鳴った。
「そうそう、明日から暫く休みなんです。それが切れるまでには戻って来るけど……」
「何かあったんですか?」
「仕入れに。ちょっと、ジェオルジまで――あ。モニカちゃんも、ジェオルジの子だっけ?」
「え?」
モニカはぱちくりと瞬いて娘を見た。
娘は首を傾げながらまじまじとモニカを見詰め返す。
「あれ、違ったかな……この前来た時、向こうから着いたばかりって、言ってなかった?」
「ああ! フマーレですよ。長ーい街道を越えてきました。ハンターさん達にお世話になりっぱなしで……雨は降るし、ゴブリンは沸くし」
着いたばかりなのに、お祖父ちゃんの薬は無くなってるし。
そう言うと、そうだったと笑いながら娘が頷く。
「――ゴブリンが出るのか……ちょっと怖いな。……でも、そっかー、モニカちゃんはフマーレの子かー」
「はい! フマーレにはお姉さんがいます!」
良い返事、と娘が褒める。
「ハンターさんって、急な依頼でも平気なのかな?」
「大丈夫だと思いますよ、私もお姉さんもお世話になってるし、お姉さんなんて困ってる人にはしょっちゅう勧めてましたもん」
●
ハンターオフィスの前で、薬屋の娘はうろうろと歩き回る。
時にドアをノックしようと手を伸ばしながら、どうにもその勇気が出ない。
だって仕入れに行くだけだし、街道は一本道だし、1人で行く人なんて沢山いるし。
モニカちゃんみたいに小さい子を連れているわけでも、荷物を抱えて行くわけでも無い。
「……うーん、やっぱり……でも……うーん……」
でも、ゴブリンが出たら怖いし、ジェオルジは山の方だから、動物が出てくるかも。
どうしよう、と離れては戻ってきてと繰り返していると、その様子に気付いた受付嬢がドアを細く開いて声を掛けた。
引き摺り込まれてお茶を一杯。
ハンターさん、怖くないですから。優しくて強くて、すごいんですと、説得されて。
「…………じゃあ、えっと、お願い出来ますか?……明日、出発なんですけど……」
娘の言葉に、「急募」と赤字で添えた依頼が掲示された。
解説
目的 依頼人をジェオルジまで届ける。
●地形
ジェオルジへ向かう広い街道。
幅は2~5スクエア両端は茂みや木で陰になっている。
道には轍が通り、踏み固められている。
カーブも少なく前後の見通しは良好。
●エネミー
ゴブリン×~5×1~
統率の取れていないものが数匹の小さな群で茂みや木陰から飛び出してくる。
襤褸を纏って、棍棒や石で攻撃を行う。
群は1つとは限らない。
●依頼人
薬屋の娘
護衛を頼むようなことも起きないかもしれない街道と言うことに加え、
明日出発という急な依頼で、若干萎縮気味。
ハンターの指示には従うが、戦闘時にはパニックを起こす可能性がある。
●地形
ジェオルジへ向かう広い街道。
幅は2~5スクエア両端は茂みや木で陰になっている。
道には轍が通り、踏み固められている。
カーブも少なく前後の見通しは良好。
●エネミー
ゴブリン×~5×1~
統率の取れていないものが数匹の小さな群で茂みや木陰から飛び出してくる。
襤褸を纏って、棍棒や石で攻撃を行う。
群は1つとは限らない。
●依頼人
薬屋の娘
護衛を頼むようなことも起きないかもしれない街道と言うことに加え、
明日出発という急な依頼で、若干萎縮気味。
ハンターの指示には従うが、戦闘時にはパニックを起こす可能性がある。
マスターより
よろしくお願いします。
ヴァリオス路地裏の宝飾工房に帰ってきました。
お爺さんが病気なので、薬を買いに行きました。
薬屋の娘さんが仕入れに行くそうなので、ハンターオフィスを紹介しました。
街道で散発的に飛び出してくるゴブリンを撃退する依頼です。お気軽にご参加下さい。
ヴァリオス路地裏の宝飾工房に帰ってきました。
お爺さんが病気なので、薬を買いに行きました。
薬屋の娘さんが仕入れに行くそうなので、ハンターオフィスを紹介しました。
街道で散発的に飛び出してくるゴブリンを撃退する依頼です。お気軽にご参加下さい。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/08/17 02:45
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談 カリアナ・ノート(ka3733) 人間(クリムゾンウェスト)|10才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/08/07 21:30:05 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/08/04 22:20:56 |