• 冒険

鈴虫草を探しに

マスター:STANZA

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在10人 / 4~10人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2014/09/16 09:00
リプレイ完成予定
2014/09/25 09:00

オープニング


 ここはフマーレ商店街の一角にある、猫雑貨と花の店フロル。
 その日の閉店間際、店に駆け込んで来た客がいた。

「おい、明日の夜までに鈴虫草を用意してくれ! 30本ほどな!」
 その注文を聞いて、主のフロル(kz0042)は大きな溜息を吐いた――客の前であるにも関わらず、遠慮なく。
 客の名はエドアルド・ジラルディ、ヴァリオスの上流階級には及ばないが、ここフマーレでは相当な金持ちの部類に入る男だ。
 そして、店にとっては金離れの良い上客でもある。

 無理難題さえ、ふっかけて来なければ。

 彼が店に置いてある花を素直に買って行く事は滅多にない。
 大抵の場合、特注でなければ用意出来ない様な珍しい花を欲しがるのだ。
 しかも、他の花屋には無理だと断られた難易度の高いものばかり。

 ただ今回の鈴虫草は、それほどの無茶振りという訳でもない。
 が、大抵の花屋が渋るであろう依頼だった。
「用意は出来ると思いますがー、明日の夜までというのは……ちょっとぉ……」
 鈴虫草はその名が示す通り、鈴虫の鳴き声の様な音を出す植物だ。
 鈴の様な形をした小さな花が、夜になるとリーンリーンという軽やかな音を立てる。
 だが栽培技術が確立されていない為、野山に自生するものを探すしかなかった。
 自生地の場所ならフロルも知っているが――明日の夜までとなると、これから徹夜で探す羽目になるだろう。
「30本も、どうされるのですかー?」
 鈴虫草は一本か二本なら子守唄代わりに丁度良い音量で、枕元に置けば心地よい眠りに誘ってくれるだろう。
 実際、この季節には睡眠導入剤の代わりに使うという金持ちも多い。
 だが30本となると……はっきり言って、うるさい。
 リンリンリンリンと、耳鳴りの様に響く。
 だから、たまに店に置く事があっても、せいぜいが5〜6本程度に留めているのだ。
 しかしエドアルドは嬉しそうに言って、フロルの肩を思いきり叩いた。
「まさにそれだ! それを経験してみたいのだよ私は!」
 鈴虫草が自生しているのは、ハンターでなければ危険で近寄れない場所が多い。
「こう、周りじゅうを鈴虫草に囲まれてだな、サラウンドなリンリンを経験してみたいのだよ!」
「それならば、護衛でも付けてご自分で自生地に行かれた方がよろしいのでは~?」
「冗談じゃない! そこらの野っ原には虫がいるだろう、余計な虫が!」
 刺されて痒いし、チーチーガチャガチャと雑音が入るのも気に入らない。
「私は鈴虫草の音だけに囲まれたいのだ!」
 金持ちの考える事は、よくわからない。
 様々な虫が好き勝手に鳴き交わす、デタラメな様で不思議と調和のとれたそのハーモニーこそが美しいのに。
 多少の危険はあっても、星の見える夜空の下で耳を傾ける事こそが楽しいのに。

 それでも。
「……わかりました、何とか……してみます」
 フロルは折れた。
 と言うか、折れるしかなかった。
 お得意様の頼みとあっては断れない。
 それに、提示された金額が余りにも魅力的だったのだ。
 この仕事だけで、今月はもう働く必要がないほどに。
「睡眠時間を削る価値は、ありますよねー」
 ついでに、ちょっとした危険を冒す価値も。
 何しろ鈴虫草は夜の間しか見付ける事が出来ないのだ。
 そしてその自生地は大抵、人の手が届かない場所――つまりはモンスター達が闊歩する危険地帯だ。
「あの辺りに出るのは、ゴブリンかコボルド……でもたまーに、オーガなんかも出るんですよねー」
 探し物に夢中になっているうちに背後から襲われるなんて、考えたくはないが有り得る話だ。
「ここは素直に、ハンターオフィスで人を集めましょうかー」
 報酬を支払ったら手元に残る金は僅かだが、所詮は臨時収入、あぶく銭だ。
 そんなものに頼っていては堅実な商売は出来ない。
「安全第一、ですよねー」
 商売に関しても、自分自身についても。
 フロルは肩に乗った白と黒の猫達を撫でる。
 自分に何かあったら、この子達が路頭に迷ってしまうではないか。
 ゴブリンなどの雑魚クラスは、集団で行動していれば滅多に出て来ない。
 強敵が出ても、人数が多ければ対処は難しくないだろう。

 というわけで。

「みなさーん、これから一緒に夜のピクニックに行きませんかぁ〜?」

解説

ちょっと危険な(?)夜のピクニックを楽しみつつ、鈴虫草を探して持ち帰って下さい。
順調に行けば翌日の午前中には町に戻れるでしょう。


現場:
低い山に囲まれた盆地にある、平坦な草地。
周囲には雑木林もあるが、草地の部分はかなり広く、見晴らしは良い。
足元には膝丈ほどの様々な草花が生え、秋の虫が競う様に鳴き交わしている。
馬車の進入は不可。


鈴虫草:
夜になると鈴虫の様な音を出す植物。
丸い鈴の形をした小さな花を穂の様に咲かせ、それが風や震動などで僅かでも揺れると音を出す(通の間では「鳴き始める」と言うらしい)
ただし鳴くのは夜間のみ。
また、野生の状態では花は夜にしか咲かず、しかも一日で散ってしまう。
翌日の夜になれば新しい花が咲くが、蕾の間は他の植物と区別が付かず、夜になって鳴き出すまでは採集が出来ない。
切り花にしたものは花が散らず、そのまま一週間程度は楽しむ事が出来る。
水に浸ける必要はなく、ドライフラワーの様に楽しめるのも特徴のひとつ。
資源保護の為、根こそぎの採取は不可。


敵:
・オーガ×3
人間よりも二回りほど大きな、鬼の様なモンスター。
棘付き棍棒を振り回すパワーファイターで防御も硬いが、魔法防御はそれほどでもない。
・ゴブリン×多数
オーガ先生の後ろにくっついて上前を撥ねようとするチンピラの様な雑魚。
出て来る時は必ずオーガと一緒だが、オーガの方に保護者意識はない。
弱いが、数が多くて鬱陶しい。


NPC:
道案内と解説等の為、フロルが同行。
戦闘では余り役に立たないが、自衛程度なら問題なく出来る。
ヒールてんこ盛りにつき、回復要員として使っても良い。


※その他、疑問点があればフロルまでどうぞ(出発24時間前まで)

※OP及び解説に明記された情報は、全てPCが知っているものとして構いません。

※情報として明示されていない事に関してはお任せします。
 ルール的に問題のない範囲において、ご自由にお楽しみ下さい。

マスターより

お世話になっております、STANZAです。

我が家の周囲は、昼間の蝉より夜の虫の方がうるさいかも……。
あと、カエル——と、それは置いといて。

現場は鈴虫草の自生地ではありますが、一ヶ所に纏まって生えている訳ではなく……かなり、まばらに点在しています。
音を頼りに探す事になりますが、現場では本物の鈴虫も鳴いていますので、ちょっと紛らわしいかも。

月と星が明るく、また光る虫なども飛んでいる為、目が慣れれば光源は必要ないでしょう。

モンスターの襲撃は一度きり、痛めつけて追い払う程度でOK。
後は目的を忘れない程度に、ピクニックを楽しんで頂ければ、と。

では、よろしくお願いいたします。

関連NPC

  • 猫と花の
    フロル(kz0042
    人間(クリムゾンウェスト)|21才|男性|聖導士(クルセイダー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2014/09/25 13:04

参加者一覧

  • 課せられた罰の先に
    クオン・サガラ(ka0018
    人間(蒼)|25才|男性|機導師
  • 優しさと懐かしさの揺籠
    シグリッド=リンドベリ(ka0248
    人間(蒼)|15才|男性|疾影士
  • 豪傑!ちみドワーフ姐さん
    レーヴェ・W・マルバス(ka0276
    ドワーフ|13才|女性|猟撃士

  • 椿姫・T・ノーチェ(ka1225
    人間(蒼)|30才|女性|疾影士
  • エルフ式療法士
    ソナ(ka1352
    エルフ|19才|女性|聖導士
  • グリム・リーパー
    ジェーン・ノーワース(ka2004
    人間(蒼)|15才|女性|疾影士
  • その力は未来ある誰かの為
    神代 誠一(ka2086
    人間(蒼)|32才|男性|疾影士
  • 鍛鉄の盾
    イーディス・ノースハイド(ka2106
    人間(紅)|16才|女性|闘狩人

  • アルディシャカ(ka2968
    人間(紅)|18才|女性|霊闘士
  • 秋の使者
    カミル・イェジェク(ka3174
    人間(紅)|15才|男性|機導師

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/09/11 21:18:56
アイコン 相談はこっちで。
ジェーン・ノーワース(ka2004
人間(リアルブルー)|15才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2014/09/16 00:54:58