ゲスト
(ka0000)
【詩天】なみのあや
マスター:鷹羽柊架

- シナリオ形態
- シリーズ(新規)
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,300
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/08/19 15:00
- リプレイ完成予定
- 2016/08/28 15:00
オープニング
上弦の三日月の夜は思った以上に光源が強かった。
蜘蛛が一匹、爪の先に乗る。
何かを感じ取ったのだろうか、飽きたようなそぶりで指を振っては蜘蛛を落とした。
その視線の先にいた「彼」は再び動き出し、闇夜に消えた。
●
即疾隊に新しく、小隊が出来ることになった。
人数が増えたことにより、局長副局長が任務に対していちいち班分けするという面倒を省くのが主な理由。
現状、小隊は五番隊までであり、一番から四番隊までは実務隊。
五番隊だけは総務を担当する。
映えある一番隊の隊長は壬生和彦となっていた。
新たな形式に隊士達の意欲は上がってきており、治安部隊に所属しているという責任も少しずつであるが、芽生えてきている。
それは、ハンターを介して、少しずつ詩天の街の人々との距離が縮まってきているのも要因だと思われる。
とはいえ、まだまだ資金不足の即疾隊。
見回り以外は行く当てなどもないので、稽古に精を出す。
そんなある朝、即疾隊の屯所へ転がり込んでくる人物がいた。
「なんだ、壬生か?」
見張り番の隊士が来客だろう人物に尋ねると、「そうだ」と答える。
その人物は筒香町の岡っ引き、八助親分だった。
局長副局長は和彦を呼んで同席させる。
「辻斬りがまた現れた」
八助の切り出しに三人の目は鋭くなる。
「春先にあったきりだったな」
副局長の前沢の言葉に八助が頷く。
詩天が州都、若峰では春先まで辻斬りが出ていた。
番所の方で取り扱っていた事件であったが、犯人の捕縛までには至らなく、捜査は梅雨前に打ち切りとなったそうだ。
「でまぁ、俺達がダメだったってこともあるんだがよ、この件、あんた達にお任せしようって、俺は思ってる」
「その心は?」
局長の江邨の返しに八助は和彦の方を向いた。
「先日の豊後屋の若衆、忘れてないよな」
八助が言っていたのは、先日まで即疾隊が担当していた失踪事件の件だ。
浪人や町人などを言葉巧みにいいようにし、蜘蛛型歪虚を飼っていた覚醒者である斉鹿。
実際、斉鹿は歪虚を借りただけであり、彼にも歪虚は巣食っており、落ち度があったのか、斉鹿は歪虚に身を破られて死んでしまった。
「今回の辻斬りも、そいつが空き家で飼っていた大蜘蛛と同じ殺され方だった」
八助の言葉に和彦は目を見張る。
「もしかしたら、斉鹿の身体をあんなにしたやつにたどり着けるかもしれねぇ」
やってくれるかという八助の言葉に和彦は「承った」と答えた。
その表情は追い詰められたような、切羽詰まったような鬼気迫るものだった。
隊士達は辻斬りの事件を担当すると聞いて気合を入れていた。
辻斬りは夜の犯行ともあり、夜の見回り班も組むことになる。
提灯を片手に隊士達は見回りに入った。
事件場所の殆どが中心部から中流上流の者達が住まう北の方の倉本町辺りだという。中心部から北のへ向かうと、住宅街故に一気に人通りは減り、静かであった。
見回りは今まであった辻斬り現場を通りつつ見回る。
「辻斬り班ならば、斬りあいも仕方ないからな」
「俺が捕まえてやるさ」
隊士達は低く小さい声で笑いつつ、辻斬りとの対峙を待っていたようだった。
右に曲ろうとした時、暗がりに人の影を見る。
「即疾隊だ」
「何者だ」
隊士達が手を刀にかけつつ、問う。
影は蝋燭の火のように揺れると、瞬時に隊士達へ間合いを詰めた。
抜かれる刀が微かに月光を弾いて切っ先が隊士の肩から鎖骨にかけて切り上げる。
「うっ」
短く呻く隊士の身体には血が滲んでいるのか、着物を汚していく。
「おのれ!」
別の隊士二人が斬られた隊士を庇うように前に立つと、辻斬り班は振り上げたままの刀を隊士の額目掛けて振り下ろす。
隊士達は和彦ほどではないが、実力には自信があったが、赤子のように手が出せなかった。
「た、退却だ!」
怪我をした隊士達を抱えて見回り班が逃げていく。
辻斬りは逃す気はないのか、そのまま即疾隊を早歩きで追う。
追われていることに肝を冷やす隊士達は恐慌状態寸前であるが、まだなんとか距離は稼げている。
ここを曲ればと思ったところ、手招く手が見え、隊士達は転がり込んだ。
隊士達が中に入りきると、手招きした者はそっと戸を閉め、息を殺すように手振りで指示をする。
足音が聞こえなくなった頃、全員が大きく息を吐く。
「お前さんら、即疾隊じゃな?」
しゃがれた老人の声だが、中々にピンシャンしている。
「貴様は……」
尋ねる隊士の後ろにいた隊士には見覚えがあった。
「ここは、亀田診療所か」
「その通り」
隊士の声に老人は頷いた。
「この辺には辻斬りが現れるからな。いたずらに剣で人を斬るなど、言語道断。これだから剣士は」
ぶちぶち説教と嫌味を言う老人に知っている隊士は他の隊士に「若峰では剣士嫌いで有名な医者だ」と素早く教える。
「なんか言ったか」
ぎろりと睨み付ける老人だが、重症の隊士に気づく。
「出血はひどいが、まぁ、すぐに治るじゃろ。上がれ」
老人が言えば、隊士達は診療所に上がり、適切な治療を受けた。
朝を待ち、無傷の隊士が屯所へと駆け込み、和彦を叩き起こす。
「辻斬りが出た」
眠れてなかったのか、ぐったりした様子の和彦は、その言葉にはすぐに反応して飛び起きる。
即座に用意をして診療所へ飛び込んだ。
診療所では重症の隊士はまだ寝てるが、軽傷の隊士含め、他の隊士は朝食を頂いていた。
「あら、先生。噂の壬生和彦さんですよ」
助手の女医が老人……亀田医師を呼ぶ。
「いらぬ食客がきおったか」
嫌そうに言う亀田医師だが、和彦は「隊士の容体は!」と詰め寄る。
「出血はあったが、数日安静にしておれば問題はない」
ほっとする和彦に医師は無遠慮に和彦の長い前髪をあげる。
「なんじゃ、その顔は。全く寝ておらん顔じゃないか」
顔を見られて和彦は反射的に医者の手を振り払うが、はっとなって「すみません」と謝った。
医師は和彦の様子を見て、「医者の性分じゃ。許せ」と返した。
状況を聞いた局長達は穴が開いた部分は他の隊で賄い、辻斬り犯を追う為、再びハンターオフィスへ依頼をかけた。
蜘蛛が一匹、爪の先に乗る。
何かを感じ取ったのだろうか、飽きたようなそぶりで指を振っては蜘蛛を落とした。
その視線の先にいた「彼」は再び動き出し、闇夜に消えた。
●
即疾隊に新しく、小隊が出来ることになった。
人数が増えたことにより、局長副局長が任務に対していちいち班分けするという面倒を省くのが主な理由。
現状、小隊は五番隊までであり、一番から四番隊までは実務隊。
五番隊だけは総務を担当する。
映えある一番隊の隊長は壬生和彦となっていた。
新たな形式に隊士達の意欲は上がってきており、治安部隊に所属しているという責任も少しずつであるが、芽生えてきている。
それは、ハンターを介して、少しずつ詩天の街の人々との距離が縮まってきているのも要因だと思われる。
とはいえ、まだまだ資金不足の即疾隊。
見回り以外は行く当てなどもないので、稽古に精を出す。
そんなある朝、即疾隊の屯所へ転がり込んでくる人物がいた。
「なんだ、壬生か?」
見張り番の隊士が来客だろう人物に尋ねると、「そうだ」と答える。
その人物は筒香町の岡っ引き、八助親分だった。
局長副局長は和彦を呼んで同席させる。
「辻斬りがまた現れた」
八助の切り出しに三人の目は鋭くなる。
「春先にあったきりだったな」
副局長の前沢の言葉に八助が頷く。
詩天が州都、若峰では春先まで辻斬りが出ていた。
番所の方で取り扱っていた事件であったが、犯人の捕縛までには至らなく、捜査は梅雨前に打ち切りとなったそうだ。
「でまぁ、俺達がダメだったってこともあるんだがよ、この件、あんた達にお任せしようって、俺は思ってる」
「その心は?」
局長の江邨の返しに八助は和彦の方を向いた。
「先日の豊後屋の若衆、忘れてないよな」
八助が言っていたのは、先日まで即疾隊が担当していた失踪事件の件だ。
浪人や町人などを言葉巧みにいいようにし、蜘蛛型歪虚を飼っていた覚醒者である斉鹿。
実際、斉鹿は歪虚を借りただけであり、彼にも歪虚は巣食っており、落ち度があったのか、斉鹿は歪虚に身を破られて死んでしまった。
「今回の辻斬りも、そいつが空き家で飼っていた大蜘蛛と同じ殺され方だった」
八助の言葉に和彦は目を見張る。
「もしかしたら、斉鹿の身体をあんなにしたやつにたどり着けるかもしれねぇ」
やってくれるかという八助の言葉に和彦は「承った」と答えた。
その表情は追い詰められたような、切羽詰まったような鬼気迫るものだった。
隊士達は辻斬りの事件を担当すると聞いて気合を入れていた。
辻斬りは夜の犯行ともあり、夜の見回り班も組むことになる。
提灯を片手に隊士達は見回りに入った。
事件場所の殆どが中心部から中流上流の者達が住まう北の方の倉本町辺りだという。中心部から北のへ向かうと、住宅街故に一気に人通りは減り、静かであった。
見回りは今まであった辻斬り現場を通りつつ見回る。
「辻斬り班ならば、斬りあいも仕方ないからな」
「俺が捕まえてやるさ」
隊士達は低く小さい声で笑いつつ、辻斬りとの対峙を待っていたようだった。
右に曲ろうとした時、暗がりに人の影を見る。
「即疾隊だ」
「何者だ」
隊士達が手を刀にかけつつ、問う。
影は蝋燭の火のように揺れると、瞬時に隊士達へ間合いを詰めた。
抜かれる刀が微かに月光を弾いて切っ先が隊士の肩から鎖骨にかけて切り上げる。
「うっ」
短く呻く隊士の身体には血が滲んでいるのか、着物を汚していく。
「おのれ!」
別の隊士二人が斬られた隊士を庇うように前に立つと、辻斬り班は振り上げたままの刀を隊士の額目掛けて振り下ろす。
隊士達は和彦ほどではないが、実力には自信があったが、赤子のように手が出せなかった。
「た、退却だ!」
怪我をした隊士達を抱えて見回り班が逃げていく。
辻斬りは逃す気はないのか、そのまま即疾隊を早歩きで追う。
追われていることに肝を冷やす隊士達は恐慌状態寸前であるが、まだなんとか距離は稼げている。
ここを曲ればと思ったところ、手招く手が見え、隊士達は転がり込んだ。
隊士達が中に入りきると、手招きした者はそっと戸を閉め、息を殺すように手振りで指示をする。
足音が聞こえなくなった頃、全員が大きく息を吐く。
「お前さんら、即疾隊じゃな?」
しゃがれた老人の声だが、中々にピンシャンしている。
「貴様は……」
尋ねる隊士の後ろにいた隊士には見覚えがあった。
「ここは、亀田診療所か」
「その通り」
隊士の声に老人は頷いた。
「この辺には辻斬りが現れるからな。いたずらに剣で人を斬るなど、言語道断。これだから剣士は」
ぶちぶち説教と嫌味を言う老人に知っている隊士は他の隊士に「若峰では剣士嫌いで有名な医者だ」と素早く教える。
「なんか言ったか」
ぎろりと睨み付ける老人だが、重症の隊士に気づく。
「出血はひどいが、まぁ、すぐに治るじゃろ。上がれ」
老人が言えば、隊士達は診療所に上がり、適切な治療を受けた。
朝を待ち、無傷の隊士が屯所へと駆け込み、和彦を叩き起こす。
「辻斬りが出た」
眠れてなかったのか、ぐったりした様子の和彦は、その言葉にはすぐに反応して飛び起きる。
即座に用意をして診療所へ飛び込んだ。
診療所では重症の隊士はまだ寝てるが、軽傷の隊士含め、他の隊士は朝食を頂いていた。
「あら、先生。噂の壬生和彦さんですよ」
助手の女医が老人……亀田医師を呼ぶ。
「いらぬ食客がきおったか」
嫌そうに言う亀田医師だが、和彦は「隊士の容体は!」と詰め寄る。
「出血はあったが、数日安静にしておれば問題はない」
ほっとする和彦に医師は無遠慮に和彦の長い前髪をあげる。
「なんじゃ、その顔は。全く寝ておらん顔じゃないか」
顔を見られて和彦は反射的に医者の手を振り払うが、はっとなって「すみません」と謝った。
医師は和彦の様子を見て、「医者の性分じゃ。許せ」と返した。
状況を聞いた局長達は穴が開いた部分は他の隊で賄い、辻斬り犯を追う為、再びハンターオフィスへ依頼をかけた。
解説
依頼内容
辻斬り調査
皆様は一番隊隊長である壬生和彦と共に即疾隊仮隊士として行動して頂きます。
今回も今まで通り、行動如何では即疾隊の評判は落ちます。
辻斬りについて
すべて刀傷。
向かって左側から右へ斬り上げ、そのまま真っすぐ右側を斬り下ろした傷だそうです。
シナリオ「【詩天】臥待に咲く香散見草」にて空き家にいた大蜘蛛の一体もそんな形で倒されていたと筒香町の番所の八助が証言してました。
辻斬りに関しては中心部の商業施設の細い路地から北の方(上流から中流階級の居住地)へ繋がる道の暗い所で犯行が行われてます。
今までの犯行は計四回。
浪人、お使いの女中、武士、武家の世話人。全て関連はありません。
太刀筋に関しては見慣れない流派ではないかということ。
今回OPで出てきた亀田診療所も辻斬り犯が出没するルートに入ってます。
亀田藤五郎:非覚醒者の老人の医師。
初名:はつな、非覚醒者の女性医師。亀田診療所に住み込みで働く。
マスターより
お世話になります。
鷹羽柊架(たかば・しゅうか)です。
今回は辻斬り調査です。
詩天の闇夜に人を殺める辻斬り犯の調査、よろしくお願いします。
鷹羽柊架(たかば・しゅうか)です。
今回は辻斬り調査です。
詩天の闇夜に人を殺める辻斬り犯の調査、よろしくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/08/26 06:19
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談しましょう! カリン(ka5456) エルフ|17才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2016/08/18 23:15:23 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/08/15 19:58:30 |