ゲスト
(ka0000)
彼等と猫
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/08/25 19:00
- リプレイ完成予定
- 2016/09/03 19:00
オープニング
●
蒸気工場都市フマーレの工業区の外れに、古ぼけた民家を改装した建物がある。
アパートを隣接したそこは、出来てからまだそれ程経っていない自警組織の詰め所として使われていた。
街の警邏を主に、迷子の子供や泥酔者の保護、依頼があれば失せ物を探したり、ときどきコボルトの駆除程度なら駆り出される。
初夏の頃には、強力な歪虚の出現に伴い見回りを強化し、ハンター達が戦っている間は近隣住民の避難を手伝って奔走していた。
その事件の収束から一月、二月と経ち、街も元の賑わいを取り戻しつつある。
彼等の内の1人、シオは今日も、件の跡地に事件で失った友人や少なくない街の人々達へ手向ける花を供えて街を歩く。
彼等の元に1人の女性が加わった。
ハンターオフィスの受付嬢に付き添われ、初めてここへ来た日から数週間、閑散とした詰め所の中で受付や掃除を手伝い、時折クッキーを焼く仕事をしている。
盲目で足も弱っているらしい。
白い瞼が開かれたことはなく、杖を突きながらも歩くのは壁際を慎重に。
快方の兆しはなく、日毎その足は痩せていくようにさえ思われた。
オフィスの受付嬢の話によると、彼女は件の事件の被害者らしい。
歪虚に操られる様にして契約を行い、自覚の無いままその力を行使したという。
その反動で光を失い、身体は酷く衰弱していた。
歩ける程度には回復したがこれ以上は望めない。
――寧ろ、彼女の状態は良好で、驚かれるかも知れませんが、本当にとてもとても良いくらいなんです――
既に亡くなっていても可笑しくないくらいだと受付嬢は気まずそうに言った。
彼等とのそんな会話を隣で聞いていた女性はくすりと笑った。
「私、少し前まで喫茶店で働いていたの。その店にはハンターをされてる常連さんも多くて、よくお喋りをしていたのよ。だからね、そのお陰で精霊が守ってくれたのかな……って、思っているの」
さて、この通りを見回ったら詰め所に戻ろう。
そろそろ彼女のクッキーが焼き上がる時間だ。
●
シオが街の通りを巡って、今日も問題なし、と詰め所に戻ろうとしたところ、1人の少女がその制服を認めて駆け寄ってきた。
「あの、すみませんが、猫、見ませんでした?」
猫、とシオが聞き返すと少女はこくりと頷いた。
これくらいの、と手で示しながら特徴を説明する。
ずんぐりとした三毛らしい。
見ていないとシオが応えると、少女はそうですかと溜息を吐く。
「飼い猫?」
「はい、ずっと家族で……」
「名前は?」
「猫太郎」
「雄?」
「女の子」
「……」
「こ、子猫の時に、名前付けちゃって……」
「ああ。……猫太郎、ちゃん」
「ネコって呼んでるの」
「――仲間内にだけど、見たら保護するように伝えておこう。もう少し特徴とか聞きたいから、詰め所まで来て貰えるかな?」
「はい!」
少女と連れだって詰め所に戻ると、交代のメンバーが集まってクッキーを摘まんでいた。
コーヒーを煎れるのは苦手だという女性の代わりに、彼等のリーダーが振る舞っている。
「コーヒー、飲める?」
「甘いのなら」
「わかった、座ってて。……おい、ちょっといいか、この子のネコちゃん……猫太郎ちゃんが脱走したらしい。特徴を聞いておくからお前等も交代の奴らに言っておけよ――それから、カフェオレを一杯」
メンバーの返事を聞きながら、シオは紙に猫の特徴を書き並べていく。
他には、と少女に問うと、少女は思い出話を交えながら答えた。
「猫太郎っていう名前は私が付けたの。まだ小っちゃかったから、女の子だったらとか考えつかなかったみたいで」
懐かしがる様に目を細めた少女をシオは暫しじっと見詰め、瞬いて咳払い、何かを言い掛けた口を噤んで眉を寄せ口許を手で隠しながら溜息を吐いた。
粗方書き終えた紙を掲示板に、シオも出されたコーヒーを啜りとクッキーを摘まむ。
いつもの芳しいはずのコーヒーが薄く渋く、クッキーは砂を食むように味気なく感じられた。
「この後は暇なんだ。探すなら付き合うぞ」
「本当ですか!」
少女は無邪気に微笑んだ。
蒸気工場都市フマーレの工業区の外れに、古ぼけた民家を改装した建物がある。
アパートを隣接したそこは、出来てからまだそれ程経っていない自警組織の詰め所として使われていた。
街の警邏を主に、迷子の子供や泥酔者の保護、依頼があれば失せ物を探したり、ときどきコボルトの駆除程度なら駆り出される。
初夏の頃には、強力な歪虚の出現に伴い見回りを強化し、ハンター達が戦っている間は近隣住民の避難を手伝って奔走していた。
その事件の収束から一月、二月と経ち、街も元の賑わいを取り戻しつつある。
彼等の内の1人、シオは今日も、件の跡地に事件で失った友人や少なくない街の人々達へ手向ける花を供えて街を歩く。
彼等の元に1人の女性が加わった。
ハンターオフィスの受付嬢に付き添われ、初めてここへ来た日から数週間、閑散とした詰め所の中で受付や掃除を手伝い、時折クッキーを焼く仕事をしている。
盲目で足も弱っているらしい。
白い瞼が開かれたことはなく、杖を突きながらも歩くのは壁際を慎重に。
快方の兆しはなく、日毎その足は痩せていくようにさえ思われた。
オフィスの受付嬢の話によると、彼女は件の事件の被害者らしい。
歪虚に操られる様にして契約を行い、自覚の無いままその力を行使したという。
その反動で光を失い、身体は酷く衰弱していた。
歩ける程度には回復したがこれ以上は望めない。
――寧ろ、彼女の状態は良好で、驚かれるかも知れませんが、本当にとてもとても良いくらいなんです――
既に亡くなっていても可笑しくないくらいだと受付嬢は気まずそうに言った。
彼等とのそんな会話を隣で聞いていた女性はくすりと笑った。
「私、少し前まで喫茶店で働いていたの。その店にはハンターをされてる常連さんも多くて、よくお喋りをしていたのよ。だからね、そのお陰で精霊が守ってくれたのかな……って、思っているの」
さて、この通りを見回ったら詰め所に戻ろう。
そろそろ彼女のクッキーが焼き上がる時間だ。
●
シオが街の通りを巡って、今日も問題なし、と詰め所に戻ろうとしたところ、1人の少女がその制服を認めて駆け寄ってきた。
「あの、すみませんが、猫、見ませんでした?」
猫、とシオが聞き返すと少女はこくりと頷いた。
これくらいの、と手で示しながら特徴を説明する。
ずんぐりとした三毛らしい。
見ていないとシオが応えると、少女はそうですかと溜息を吐く。
「飼い猫?」
「はい、ずっと家族で……」
「名前は?」
「猫太郎」
「雄?」
「女の子」
「……」
「こ、子猫の時に、名前付けちゃって……」
「ああ。……猫太郎、ちゃん」
「ネコって呼んでるの」
「――仲間内にだけど、見たら保護するように伝えておこう。もう少し特徴とか聞きたいから、詰め所まで来て貰えるかな?」
「はい!」
少女と連れだって詰め所に戻ると、交代のメンバーが集まってクッキーを摘まんでいた。
コーヒーを煎れるのは苦手だという女性の代わりに、彼等のリーダーが振る舞っている。
「コーヒー、飲める?」
「甘いのなら」
「わかった、座ってて。……おい、ちょっといいか、この子のネコちゃん……猫太郎ちゃんが脱走したらしい。特徴を聞いておくからお前等も交代の奴らに言っておけよ――それから、カフェオレを一杯」
メンバーの返事を聞きながら、シオは紙に猫の特徴を書き並べていく。
他には、と少女に問うと、少女は思い出話を交えながら答えた。
「猫太郎っていう名前は私が付けたの。まだ小っちゃかったから、女の子だったらとか考えつかなかったみたいで」
懐かしがる様に目を細めた少女をシオは暫しじっと見詰め、瞬いて咳払い、何かを言い掛けた口を噤んで眉を寄せ口許を手で隠しながら溜息を吐いた。
粗方書き終えた紙を掲示板に、シオも出されたコーヒーを啜りとクッキーを摘まむ。
いつもの芳しいはずのコーヒーが薄く渋く、クッキーは砂を食むように味気なく感じられた。
「この後は暇なんだ。探すなら付き合うぞ」
「本当ですか!」
少女は無邪気に微笑んだ。
解説
目的 猫探しに付き合う
●猫太郎
両手に余る大きさのずんぐりとした三毛の雌
尻尾が膨れており、耳は小さめ
目は細く、笑っているのか眠っているのか分からない顔
抱えるとずっしりと重い
通称、ネコ
●街
工業区の一角とその辺りで働く住人の住む住宅街
工業区は様々な工場が並んでおり、中には庭が広いものや資材が積んであるなどして、
猫が隠れられそうな場所は多いが、基本的に関係者以外立ち入り禁止
覗く程度は可能で、工場の職人に見付かった場合、咎められて追い払われる確率は30%程度
住宅街は一戸建てやアパートが幾つも並んでおり、治安の良さそうな印象を受けるが、
冒頭で触れた歪虚関連の事件があったため、若干外に出ている人は少ない
上手く遭遇出来れば、何等かの情報は得られるが、役に立つことは稀
住宅街には民家の他にちょっとした商店や公園などもある
●NPC
依頼人
十代半ばくらいの少女、指示があれば従う
シオ
民間の自警組織の隊員、主に街の警邏を行っている
指示があれば大抵は従う
●PL情報として、1
猫を見付ける必要はありません
偶然、依頼人とシオと遭遇し、依頼人から直接頼まれて手伝う。或いは、
自警組織(「彼等の~」)に用があって、若しくは、女性(「珈琲サロンとぱぁず~」)の様子を見に
詰め所を訪問して掲示板の張り紙を見てどこかで合流することが可能
(※遭遇、合流したい場所をプレイングにお願いします。最初から詰め所にいても大丈夫です)
●PL情報として、2
●猫太郎
依頼人の家で長く飼われていた高齢の猫
死期を悟って出奔、住宅街の公園の植え込みに隠れて息を引き取っている
●シオ
依頼人との会話から猫の年齢を察し、死亡しているという予測を立てている
猫太郎の亡骸をを見付けず、且つ、
猫太郎の状態を知られずに依頼人の気が済むまで捜索を行うことを目的としているが、
猫太郎の生存を願っている
依頼人の目が無い場所でハンターから問われた場合に限り、前述の予測を開示する
●猫太郎
両手に余る大きさのずんぐりとした三毛の雌
尻尾が膨れており、耳は小さめ
目は細く、笑っているのか眠っているのか分からない顔
抱えるとずっしりと重い
通称、ネコ
●街
工業区の一角とその辺りで働く住人の住む住宅街
工業区は様々な工場が並んでおり、中には庭が広いものや資材が積んであるなどして、
猫が隠れられそうな場所は多いが、基本的に関係者以外立ち入り禁止
覗く程度は可能で、工場の職人に見付かった場合、咎められて追い払われる確率は30%程度
住宅街は一戸建てやアパートが幾つも並んでおり、治安の良さそうな印象を受けるが、
冒頭で触れた歪虚関連の事件があったため、若干外に出ている人は少ない
上手く遭遇出来れば、何等かの情報は得られるが、役に立つことは稀
住宅街には民家の他にちょっとした商店や公園などもある
●NPC
依頼人
十代半ばくらいの少女、指示があれば従う
シオ
民間の自警組織の隊員、主に街の警邏を行っている
指示があれば大抵は従う
●PL情報として、1
猫を見付ける必要はありません
偶然、依頼人とシオと遭遇し、依頼人から直接頼まれて手伝う。或いは、
自警組織(「彼等の~」)に用があって、若しくは、女性(「珈琲サロンとぱぁず~」)の様子を見に
詰め所を訪問して掲示板の張り紙を見てどこかで合流することが可能
(※遭遇、合流したい場所をプレイングにお願いします。最初から詰め所にいても大丈夫です)
●PL情報として、2
●猫太郎
依頼人の家で長く飼われていた高齢の猫
死期を悟って出奔、住宅街の公園の植え込みに隠れて息を引き取っている
●シオ
依頼人との会話から猫の年齢を察し、死亡しているという予測を立てている
猫太郎の亡骸をを見付けず、且つ、
猫太郎の状態を知られずに依頼人の気が済むまで捜索を行うことを目的としているが、
猫太郎の生存を願っている
依頼人の目が無い場所でハンターから問われた場合に限り、前述の予測を開示する
マスターより
よろしくお願いします。
PL情報1は気に掛けて頂けると、導入や展開がスムーズかも知れません。
2の方は、見なくても問題ありません。
猫探しを手伝いながら、工場や街並みを散策したり、
忍び込んでみてください(捕まっても責任は負いかねます)。
PL情報1は気に掛けて頂けると、導入や展開がスムーズかも知れません。
2の方は、見なくても問題ありません。
猫探しを手伝いながら、工場や街並みを散策したり、
忍び込んでみてください(捕まっても責任は負いかねます)。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/09/02 02:57
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談 カリアナ・ノート(ka3733) 人間(クリムゾンウェスト)|10才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/08/25 12:15:09 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/08/24 02:13:21 |